2016年、とある企業が「音楽をやっている社員を応援する」という異色のプロジェクトを立ち上げた。その企業は、コンタクトセンターなどのサービスを提供する大手企業・KDDIエボルバ。音楽をやっている社員が希望すれば、その楽曲を配信サービスに登録し、手数料なども会社が負担するという異色の企画「エボルバで、あなたの夢かなえませんか」プロジェクト第1弾「ハタラク」×「オンガク」。過去のJUNGLE☆LIFEでは、KDDIエボルバの代表取締役社長・中澤氏と同プロジェクトに応募したookubofactoryの大久保氏との対談、KDDIエボルバで働き始めてから結成したという直美ズ、メンバー5人中4人がKDDIエボルバで働いている雨先案内人など、働きながら音楽活動を続ける人たちに焦点を当ててきた当企画、今月号ではKDDIエボルバでSV(スーパーバイザー)として活躍しつつ音楽活動を続ける女性2人にインタビューを敢行した。
※今回のインタビューも前回・前々回に引き続き、Evolcity(ITソリューション事業本部)にて実施しました。
山本直子(LEOPARD PAPRIKA)
ザ・ポーキーズのコーラスとして音楽活動を開始。その後、作曲家であるタカオ、作詞を担当するキミヲの3人でLEOPARD PAPRIKAを結成。もともとは制作ユニットとしてスタートしたが、2016年からオリジナル作品及びライブ活動を視野に入れて活動開始。
http://www.tunecore.co.jp/artist?id=178617&lang=ja
宮本晶子(AS BROTHERS)
鳥取県倉吉市で活動していたマーブルキッズ解散後に上京。ドミンゴス、ワタナベイビーのレコーディングなどにコーラスで参加。先に上京していた実弟のソウイチロウとAS BROTHERSを結成し、現在も活動中。奥田裕介監督・脚本によるミュージックショートフィルム「そして僕は」が横濱音楽映画祭にて最優秀賞・観客賞をW受賞。
http://asbros.web.fc2.com/
●宮本さんは鳥取県の倉吉市で音楽活動を始められたそうですね。
そうです。倉吉市出身で、10代の頃からガールズバンドをやっていたんですけど、そのバンドが解散して上京したんです。たまたまなんですけど弟が先に上京していて、弟も別のバンドをやっていたんです。その後、2人ともバンド活動をしていない時期があったんですけど、そのときに共通の知り合いに「なんで2人居るのに一緒に音楽活動やらないの?」と言われたのがきっかけでAS BROTHERSを始めたんです。その知り合いはライブハウスの人だったんですけど、その流れでライブハウスにも出させてもらうようになって。
●上京したのは、音楽活動のためですか?
そうです。バンドをやりたいと思って一緒に上京した音楽仲間が居たんですけど、よくある話で仲違いになって。その後、1人で活動していた時期もあったんですけど、やっぱりバンドがやりたいなと。
●その頃はどういう仕事をやっていたんですか?
●え? ガードマン?
はい(笑)。ガードマンは日給だったから都合が良かったんです。それに長く続けるつもりもなかったし。ただ、やっぱりバンド活動は夜がメインになるじゃないですか。朝早くから…8時から夕方の5時まで働いて、現場が早く終われば早く帰ることができるし、休みも自由に決めることができる。なので最初の仕事はガードマンを選んだんです。
●その後はどういう仕事をされたんですか?
お惣菜屋さんだったり、有名な某カフェチェーンとか。色々とやりました。
●KDDIエボルバの仕事に出会ったきっかけは何だったんですか?
コンタクトセンターという仕事にはまったく縁が無かったんですけど、天気に左右されないとか、怪我をしないとか、そういう条件で仕事を探したんです。肉体労働は必ず怪我がつきものなので、例えばお惣菜屋さんであっても火傷をしたり、指を切ったりしていたんですよね。「天気に左右されない仕事はないか?」「怪我をしない仕事は何かないか?」と探しててコンタクトセンターの仕事を見つけたんです。
●それがKDDIエボルバだった。
●山本さんはいつ頃から音楽を始めたんですか?
私の場合は小さい頃から音楽をやっていたというわけではなくて、KDDIエボルバで働くようになったのは2009年からなんですけど、その前に毎日ショーをやるような箱バンで歌を歌うようになったんです。イメージ的にはKENTO'Sのような場所でやる感じなんですけど。
●なるほど。
それを仕事としてやっていて、他には人のコーラスを歌ったり、レコーディング用の仮歌を入れたりとか。そういう音楽の仕事をしていたときもあったんですけど、そのライブハウスが無くなったりとかもあって、KDDIエボルバでお世話になるようになったんです。
●もともと歌い手になりたいと思っていたんですか?
そうです。でもバンドとかの経験は全然なくて、25歳くらいの頃にオーディションを受けて、バンドでコーラスとして歌い始めたのが最初で。
●あ、そこが最初なんですか。
●かなり遅咲きですね。
そうですね。ふと思い立ってオーディションを受けてみたんです。でも歌の仕事が安定してなかったのと、どうしても夜の時間帯の仕事になってしまうので身体を壊したりもして、最初は週4日だけKDDIエボルバで働いて、他の3日間を音楽活動に当てていたんです。
●お二人ともだいたい同じくらいの期間KDDIエボルバで働いていらっしゃいますが、現在はどのような仕事をされているんですか?
私は電報サービスの部門でSVをやっています。ネットや電話でお客さまに電報の申し込みをしていただいて、その受付や問い合わせ対応をするオペレーターたちの教育や管理をするお世話係ですね。
私は、法人系の固定電話サービスの窓口がありまして、そのコンタクトセンターのSVをやっています。
●仕事のどういうところにやりがいを感じます?
“人に喜んでもらえる”という部分でいえば、音楽とさほど変わらないかなという気がするんですよね。目の前に居る人を…厳密にはちょっと違うんですけど…笑わせたり、喜んでもらったりして、満足してもらう。そこに音楽との共通点を見出して働いてます。
私も同じなんです。「ありがとう」と言われるということに関して、音楽と共通する部分があると思います。
●素人的な見方ですけど、コンタクトセンターはクレームの対応などもあるのかなと想像するんですが、大変じゃないですか?
確かに大変です。でも、お客さまがおっしゃっていることをよく聞けば、原因がわかるじゃないですか。だから「じゃあ何が良くなかったのかな?」ということをお客さまとディスカッションするイメージというか。もちろんこちらが悪ければ「申し訳ございません」と謝りますけど、そこで必要以上に困ることはないですよね。だからこの仕事に就いて、いろんな人がいるということが見えました。怒るポイントや喜ぶポイントが人によって違うんだなって。
そうですよね。お客さまの温度感とか…例えばキツい言葉になってしまうとか…最初の頃はそういう言葉尻というか、怒っていらっしゃる感情をそのまま受け止めてしまってストレスになるようなこともあったんです。でも業務を重ねていくうちに、なぜお客さまがお怒りなのか? を紐解いていって、お客さまが困っていらっしゃることをキャッチして対応していく…業務を重ねていくうちに、そういうことに興味が湧いてきたんです。そのポイントさえキチンと対応すれば、お客さまにはご理解いただけるというところを見い出せたので、クレームに対するストレスは特にないですね。
●なるほど。
あと、歌をやっていて思うのは、声のトーンがすごく大事ということなんです。オーディエンスの方たちが心地いいと感じる声質とかトーンというものがあって、コンタクトセンターの仕事でもお客さまに対する声のトーンで温度感が下がっていくとか、こちらの言うことを聞いてもらえるとか。そういう部分は共通していると思いますし、大事ですね。
●あ、お二人ともそういう実感があるんですね。
はい。コンタクトセンターでは顔が見えませんけど、明るいというか、笑顔でしゃべっているということがわかるような声のトーンってあるじゃないですか。だからきっと声優さんとか俳優さんにも向いている仕事だと思うんです。
そうそう、実際に声優さんや俳優さんは多いんですよ。そもそも声を使っている仕事をされている方は、コンタクトセンター業界には多いらしくて。
●声優や俳優を目指している人にとっても、才能や技量が活きる仕事なんでしょうね。
特にお詫びとかは、顔が見えない分、声だけで気持ちをお伝えしなくてはいけないので。そのための表現力は必要なんじゃないかなって思います。
●今現在マネージャー的なポジションで働いていらっしゃいますけど、そのポジションで活躍されているということは、今まで仕事に対して高いモチベーションで働いてこられたからだと想像するんです。人生の中で、音楽を諦めて仕事を選ぶだとか、音楽を辞めることは考えなかったんですか?
私は音楽を辞めようと思ったことはなかったですね。音楽と仕事はまったく別物のような気がするんです。ただ、バンド…好きなことを続けるためには絶対に資金が要るんですよね。そのためにはこの仕事を絶対に捨てられないんです。長くやっている分、もちろん融通も利きますし。逆に音楽を辞めるのであれば、この仕事じゃなくてもいい気がします。
私も音楽を辞めようと思ったことはないですね。但し、KDDIエボルバで働く前と今とでは、音楽に対する接し方が変わりました。
●どう変わったんですか?
前は音楽を仕事としてやっていたときもあったんですけど、今はお金を稼ぐために歌の仕事をするというよりは、そういうことは関係なく成立しているというか。宮本さんがおっしゃったように、もちろん音楽をするために資金は必要だと私も思うんですけど、音楽との接し方が変わったので「音楽か仕事かどちらかを選ばなくてはいけない」という感じではなくて。そういう概念がなかったですね。
●音楽や歌うことがライフワークになっている。
●すごい。
それに、どうやら私は歌うことがいちばん好きみたいです(笑)。色々と他にも好きなことを見つけてやってみたりして、「楽しい!」とハマることもあるんですけど、結局歌に戻っているというか。楽しいし、いちばん自分に合っていると思うんです。だから“バンドでプロにはなれないかもしれない”と思ったときはありましたけど、だからといってプロになれないから辞めるというわけでもない。音楽は死ぬまでずーっとやっていたいんです。
生活の一部みたいな感じだと思いますね。だから私が音楽をやっていることも職場のみんなは知っているし、ライブをやるとなったらみんなが来てくれたり。そういう形で応援してもらっていますし、音楽をやりながら働きやすい職場だということも大きいですね。
●やはり、夢を持っている人にとって、KDDIエボルバは働きやすい環境なんですね。
私の職場は特にそういう人が多いので、例えば「ライブがある」「舞台がある」となれば、みんなで観に行ったりするんですよ。
●すごい。頼もしい動員力。
例えばライブのために1日休む必要があるとなったとき、周りにもすごく理解があるから「がんばってね」と代わりに出勤してくれる人が居たり、逆の立場になったら助け合ったりしたり。そういう部分でも、今の職場はすごく働きやすいです。
今回の「ハタラク」×「オンガク」プロジェクトを自ら推進しているように、社長ご自身がおもしろい方なので、バンドをやっている方にはおすすめの職場ですよね。だからこの記事を読んでいるミュージシャンの方には「社長がおもしろい会社ですよ!」と教えてあげたいです。夢を追いかけることに理解がある社長さんの会社ということですから(笑)。
interview:Takeshi.Yamanaka
KDDIエボルバのお仕事情報サイト
https://www.evojob.com/
バンド? 俳優? 全然オッケー! 超オッケー! 夢を応援する企業・KDDIエボルバの 「ハタラク」×「オンガク」特集トップページに戻る