BRAZILIANSIZE等でも活躍する4106xxx(ヨウイチ)を中心に、下北沢を愛するバンドマンたちが呑みながら奏でだしたのが始まりという“俺たち、ようキン族。”はなんと総勢15名! ジャンルもシーンも異なった数々のバンドから集結したメンバーがアコースティックにこだわった演奏とパフォーマンスで、笑いと涙と感動に満ち溢れた大宴会イベントを開催している。そんな彼らが初の音源となる1stアルバム『ようキン族のアルバム』を完成させた。単なる企画物ではなく、コンスタントに活動していくという彼らの実態に迫るスペシャル・インタビュー。
●総勢15名という大所帯なわけですが、始まりは何からだったんですか?
4106xxx:一番最初は、僕が1人で弾き語りのライブをやることになったところが始まりなんですよ。その時のライブが自分の中で不甲斐ない結果になってしまったので、「もう1回やりたい」と思って。タケ(フルショウ)とは前から友だちでそのライブも観に来てくれていたので、その時に「一緒にやりません?」と誘ったんです。
●最初は2人で始まったと。
4106xxx:それに加えてヒガアサミ(Vo.)とTOQUIWAにも声をかけて、最初はその4組で弾き語りイベントを始めたのがキッカケですね。
フルショウ:そして、そのイベントタイトルが“俺たち、ようキン族。”だったんですよ。
●元々はイベント名だったんですね。
4106xxx:イベント名も僕が付けるとカッコつけちゃうので、会場になった下北沢440のスタッフに「何か名前を考えて」とお願いしたんです。そしたら“俺たち、ようキン族。”になったという連絡が来て…。もう恥ずかしくてしょうがないです(笑)。
一同:ハハハ(笑)。
●そこからバンド活動へと移行していった経緯とは?
フルショウ:1回目のイベントの時に「せっかくだから最後は一緒に1〜2曲やろうぜ」という話になって、みんなでリハスタに入ったらすごく楽しかったんです。本番ではさらにパーカッションとかにも参加してもらって何曲かやってみたら、それもまた楽しくて。2回目からは自然と“全体曲をやる”というのがお決まりになって、そこからメンバーも徐々に増えていきました。
●イベントを重ねるごとに人数も増えていったと。
4106xxx:2回目の時にはもう結構いましたね。
フルショウ:最初はイベント名だったんですけど、気付いたら(そこに集まったメンバーが)“俺たち、ようキン族。”みたいになっていったんです。
●歌い手やプレイヤーだけじゃなくて、映像や写真担当のメンバーもいるんですよね?
4106xxx:写真はいつも同じ人に撮ってもらっていて、ツアーにもメンバーとして付いてきてもらいます。あと、HOLIDAYS OF SEVENTEENの(山下)蓬にはPVを撮ってもらったり、映像全般をお願いしていて。彼は最初、ライブで踊っているだけだったんですけど。
フルショウ:初めての沖縄ライブにも、踊るためだけに来ましたからね(笑)。
●本職はキーボードなのに…(笑)。
4106xxx:今回のツアーには蓬は参加しないんですけど、代わりに僕らが踊りますよ(笑)。ライブもぜひ観てほしいですね。本当に呑みながら、ふざけてやっている感じなので…。
フルショウ:一生懸命ふざけています(笑)。
MIKKO:私は“パーティーガール”担当なんですけど、いつもトップバッターで出て行ってお客さんを温めていて。結構みんな緊張しているので、「とりあえず呑みましょう!」と乾杯の音頭を取る役割もやっています。
●みなさん、緊張されるんですか?
フルショウ:やっぱり緊張しますね。普段はやらないことな分、どうしても…。でももう大分やってきたので、ちょっとずつ緊張しなくはなっていますけど。
4106xxx:僕なんてリハから呑んでいますからね。「呑まないと、やっていられねぇ!」とか言いながら(笑)。
●ライブはパーティー感というか、呑み会っぽい雰囲気がありそうですね。
フルショウ:“宴”という感覚はあります。沖縄でふと入った居酒屋で急に沖縄民謡の演奏が始まったことがあって、それにイメージは近いかな。お客さんは飲み食いをメインの目的に来ているんだけど、そこで鳴っている音を聴いていたら「気持ちいいな」っていう感覚というか。ふらっと呑みに来たお店で「何か面白いことをやっているな」と思われるような感じにしたいですね。
●バンドとして、どういう曲がやりたいというイメージはあったんですか?
4106xxx:“唄って呑んで、笑って泣きたい”というだけですね(笑)。色んな曲があったほうが僕は楽しいと思うし、そういうものがパッケージングできたらなと。
フルショウ:アコースティックでやるということには、最初からこだわっていましたね。
●その理由とは?
4106xxx:普通にドラムでやればいいものをカホーンやシェイカーで近い音を出したりするのって、無駄な感じがするじゃないですか? でも僕はその無駄なことをあえてやってみたかったんです。(この編成で)どこまでバンドの音に近づけられるかということを突き詰めようとしている感じですね。
フルショウ:普通はドラムがあれば1人でやれるようなことも、曲によっては3人でやっていたりもするんです。それはこれだけ人数がいるからできることですよね。
●この編成だからこそできることがある。
フルショウ:そこは大きいですね。このメンバーだからやれそうなことっていうのは曲を作っている時も考えているし、このメンバーだからやってみたいこともあって。たとえばM-9「花のしらべ」は、パートごとに「ここは誰が歌う」というのを想像しながら作った曲なんですよ。「この言葉をこの人が歌ったら面白いだろうな」っていう感じで歌詞を考えていきました。
TARO:自分のバンドとは全然違う編成と一緒にやるというのを考えながら曲を作ること自体が新しくて。自分がメインで書くんじゃなくて、他の人が作ってきた曲に手を貸したりしながら形にしていくというのも新鮮で楽しかったですね。
●逆にそこから自分のバンドに持って帰る刺激もあるんでしょうね。
TARO:それはありますね。
4106xxx:あと、心のどこかでやりたいと思っていたことをここで発散している部分もあります(笑)。
●自分のバンドでは出せない遊び心も試せる。
4106xxx:今回のアルバムで1つお願いしたのは、「ダサいタイトル(曲名)を付けてください」ということで。最初はもっとカッコいい曲名だったりもしたんですよ。
フルショウ:英語は禁止でしたね(笑)。
●なぜダサくしたかったんですか?
4106xxx:“俺たち、ようキン族。”というバンド名からそうなんですけど、ちょっと恥ずかしいくらいのことばかりやってみようと思って。音じゃなくて、見え方的な話なんですけど。それでみんなに注文したんです。M-11「あぁ、下北沢」とかヤバくないですか? (笑)。
フルショウ:M-7「ジャンプ!」もヤバいですよ(笑)。
●「ヴァン・ヘイレンか!?」っていう(笑)。M-4「サイボーグ1205X」も一見、意味不明な感じで…。
MIKKO:これは人間になりたいサイボーグが主人公で、「愛を教えて」っていう歌なんです。このタイトルも曲中でそのまま歌っていますね。この曲とM-10「アイツムグ」は私が作りました。
●曲はそれぞれが作ってきているんですか?
フルショウ:曲はみんなで持ち寄って、時にはみんなでアレンジして、みんなでコーラスを決めて…という感じですね。僕が作ってきたのはM-3「淡い光 風の中ソング」と「花のしらべ」の2曲です。
4106xxx:あと、TAROがM-5「100マイル」とM-8「ウソつき男子のラプソディー」を作って、M-6「ミルクコーヒー」は天野明香(Vo.)が作ってきて。「ジャンプ!」と「あぁ、下北沢」はWATAK(G.)ですね。僕が作ったのは、M-2「あの頃の夢を僕らは忘れない」とボーナストラックの「ウェディングソングを君に…」の2曲だけなんですよ。
●てっきり4106xxxさんがメインで作っているのかと思っていました。
フルショウ:最初はイベントで全体曲をやろうということで、4106xxxさんが1曲作ってきてくれたのが始まりでしたけどね。
4106xxx:元々はBRAZILIANSIZEの曲をみんなで歌っていたんですけど、それをやると僕が1人で弾き語りする時の曲が1曲減るから…。
●そんな理由!?
4106xxx:ハハハ(笑)。あとはメンバーのヒガアサミが今、病気で実家の沖縄に帰っているということも僕の中では大きくて。彼女が東京へ戻ってきた時のために、居場所を残しておきたかったんですよ。
フルショウ:沖縄でライブをやれば、あちちゃん(ヒガアサミ)も参加できるということでここ半年くらいで2回も行ったんですよ。1回目が去年の10月だったんですけど、その時にはアルバムを作ろうという話が4106xxxさんから出ていたのでそこから曲作りを始めて。「淡い光 風の中ソング」は、あちちゃんに向けて作った曲なんです。
●だから“なんくるないさー”と歌っているんですね。
フルショウ:そういうことなんです。
4106xxx:この曲が今作で最初にできた曲ですね。
●この曲の前にM-1「プロローグ」が入っていますが、これはどういう意図で?
4106xxx:今回のアルバムは、本を読んでいるような体(てい)にしたくて。1曲1曲が本のページみたいなイメージなんです。だから、その最初のシチュエーションみたいなものをどうしても入れたかったんですよ。
●そういう部分も含めてアルバムを完成させた今、満足感はありますか?
4106xxx:すごくあります。自分たち自身もいい意味で裏切られたというか。「あれっ!? 意外とまとも…」っていう(笑)。もっとシッチャカメッチャカになるのかなと思っていたんですけど、ちょっとしたオムニバスアルバムくらいの感じにまとまったなと思います。
MIKKO:それぞれのカラーはちゃんと出ていながら、1つの作品としてもまとまっていて。私としては家族みたいなアルバムだなと思っているんです。みんなの結束力がすごく出たアルバムかなと。
フルショウ:不思議と統一感が出ているのは、みんなで作っていったからじゃないかな。最高のものができたと思います。レコーディングもライブもリハーサルも含めて、どんどん“バンド”になっていく感じがしますね。
TARO:今回参加できてよかったなと思える作品になりましたね。メンバーのみんなを想像しながら曲を作ったことで得るものも大きかったし、他のメンバーの力になれたと思えることで自信にもつながった作品です。こういうこともできるんだなというのがわかりました。
●レコ発ツアーの予定もあるんですよね?
4106xxx:今回のアルバムを引っさげてのツアーは、全てフルメンバーでまわるつもりなんです。
●スケジュール調整が大変では?
MIKKO:私が調整係なんです…。
4106xxx:そこはやっぱり大変なので、長い期間にわたってツアーをやります。だから、みなさんも観られる時に観ておいて下さいっていう。次にアルバムを出すまでが今回のツアーなんです(笑)。
フルショウ:これだけの人数が集まれることはたまにしかないので、ツアーに出かけたらせっかくなので数日は遊んできます(笑)。
●みんなで旅行に行くような感覚ですね(笑)。
4106xxx:それぞれの活動も頑張っている人たちなので、カッコつけることやいわゆる“バンド”は各々でやって下さいと。これ(俺たち、ようキン族。)に関してはゆっくり、大きなスパンでやっていきたいと思っているんですよ。…あと、最後に一言だけ言わせてほしいんですけど、やっぱり名前は変えたいです(笑)。
一同:ハハハハハ(爆笑)。
Interview:IMAI