2019/9/22@ヤマダグリーンドーム前橋
まだ午前中の赤城ステージでダイバーを続出させたSHANK。4年連続出演の喜びを爆発させてオーディエンスを沸かせに沸かせたヤバイTシャツ屋さん。榛名ステージをライブハウスのような熱気と湿度で充満させたENTH、汗が光る笑顔を弾けさせたまま観客と一緒に全力で駆け抜けたOVER ARM THROW。“山人音楽祭2019”の盛り上がりは、幕開けから1日目に負けるとも劣らない。ステージの上下関係なく、「誰よりもいちばん楽しんでやる!」という気合いが充満するグリーンドームのこの雰囲気は毎年たまらない。
芸術的な美しき爆音で観客を虜にしたストレイテナーはG.大山純が群馬県前橋市出身、そしてグリーンドームの高い天井を突き破るほどの鋭いサウンドで魅了したACIDMANはVo./G.大木が同じく前橋市出身。群馬を拠点に活動するNAIKA MCとの繋がりで実現したMCバトル。「ギター弾けるやつ!」と群馬から参戦した観客をステージに上げた「KiLLiNG ME」が沸きに沸いたSiMは2014年の“GUNMA ROCK FESTIVAL”以来5年ぶり。妙義ステージで茂木ほか多くの出演たちと共演して観客を大喜びさせたレジェンド・高木ブー。G-FREAK FACTORYもしくは“山人音楽祭”、そして群馬と各出演者たちとの様々な“繋がり”は、年を重ねるごとに深く強くなっていき、幾重にも重なってイベント自体の色を豊かに、そして濃くしている。榛名ステージのトリは1日目が群馬出身のIvy to Fraudulent Game、そして2日目は同じく群馬出身のFOMARE。主催者の想いがビシビシと伝わってくる。
様々な“熱き想い”が積み重なった“山人音楽祭2019”は、G-FREAK FACTORYの盟友・10-FEET、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND、ROTTENGRAFFTYとバトンをつなぎ、いよいよ大トリのG-FREAK FACTORYの出番となった。
「Too oLD To KNoW」から始まったそのライブ、客席エリアの熱気はこの2日間で最高のもの。茂木は「“山人音楽祭2019”、もうすぐ終わっちまう」と名残惜しそうにつぶやき、「俺のフェスでもなければG-FREAK FACTORYのフェスでもない。俺たちのフェスだ!」とその場に居合わせた全員の気持ちを叫び、「SOMATO」、「Fire」と続けて全員で“生きている証”を刻んでいく。ダイブの数は数え切れないほどで、熱気と歓声がグリーンドームの隅々まで満たしていく。
そこまでを終えた茂木は「俺たちのフェスだ、よろしくな」と笑顔でゆっくりとステージを歩き、各席を見渡して「サンキュー、愛してます。…ラブソングをやります」と告げる。その瞬間、ステージ上の雰囲気がガラッと変わったような感覚に襲われる。「ラブソング? まさか…」と思っていたら、そのまさかだった。彼らが鳴らし始めたのは「島生民」。同曲を最後にライブで演ったのは2017年の“ポルノ超特急”で、更にその前になると今から7年以上も前のこと。そんな同曲をここで演ることの意味と想いを噛み締めながら、2019年版の「島生民」を全身で浴びる。次から次へと茂木の口から溢れ出る言葉、G.原田季征、Ba.吉橋“yossy”、Dr.渡部“PxOxN”寛之が組み上げる強靭で深遠なグルーヴ。その場で耳と目にする音と光景が、次から次へと心に刻み込まれていく。ぞくぞくする。
曲の途中から茂木は客の上に立ち、「フェスが出来ること。こんな贅沢な遊びが出来ること、簡単じゃないと思ってます。本当にありがとう」と、様々な人への感謝の気持ちを告げる。そして客の上に立ったままTOSHI-LOWと一緒に「ダディ・ダーリン」で壮絶な光景を描き出す。「どうか来年の今日まで大きな災いなく、誰にも命の時間を邪魔されることなく、どうか達者で。また来年…いや、ライブハウスでこの続きをやろうぜ」と告げて「EVEN」で本編を締めくくる。
アンコールでは地元・群馬で農業を営みながら三味線を弾く上原梅弦と群馬のアンセム「REAL SIGN」、そして「日はまだ高く」で無数の笑顔を作り出し、上毛かるたのコール&レスポンス、更に10-FEETのVo./G.TAKUMAを迎えて終幕…かと思えば、最後はレジェンド・高木ブーを中心にして各出演者が雷様の扮装で再度ステージに登場し、「いい湯だな」で大団円。ヒリヒリした緊張感のあるライブ本編で強烈なインパクトを残し、そして最後は非常に温かい雰囲気で会場を包み込んで“山人音楽祭2019”が終了した。
今年の“山人音楽祭”も強烈だった。熱くて、尖っていて、刺さって、とてつもなく温かくて、記憶に深く深く刻まれた。どうか達者で。また来年、群馬で。
TEXT:Takeshi.Yamanaka