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宇宙人

宇宙人が話題のTVアニメ『惡の華』のオープニングテーマを担当! 思春期特有の若者たちの激情が摩訶不思議な宇宙の電波と交信する

187_uchujin_A群馬県桐生市という実在の土地を舞台に、閉塞的な小さな街の中で鬱積してゆく思春期特有の若者たちの激情がどこへ向かうのかを描いている人気マンガ『惡の華』。押見修造・原作による本作がロトスコープと呼ばれる実写映像を用いた技法によってアニメ化され、4月初旬より放送されている。そのオープニングテーマをなんと宇宙人が担当、メジャー1stシングルとしてリリースした。アニメのオープニングでは後藤まりこ、の子(神聖かまってちゃん)、南波志帆の3名がそれぞれ歌っているパートも含めた全4パートを繋ぎ合わせた組曲として、全て宇宙人のVo.しのさきあさこが歌ったものが今回の表題曲だ。リリースを記念して、JUNGLE☆LIFE編集部は宇宙人との接触に再度成功。アニメのストーリーとの接点を見出すべく、あさこの学生時代を振り返るインタビューとシングルの内容についてのインタビューという2本立てで今作の魅力に迫った。さらには3名の豪華ゲストボーカルからのコメントも合わせた、2013年初夏の宇宙人祭り!

 

Interview #1 あさこ、学生時代を語る

●今回の表題曲はTVアニメ『惡の華』のオープニングテーマになっていますが、あさこさんはアニメを見たりしますか?

あさこ:アニメは『サザエさん』と『サウスパーク』しか見たことがなかったです。『サザエさん』は毎週必ず見ていて、今は『惡の華』も毎週見ています。

●元々、アニメ自体をあまり見ていなかったんですね。マンガはどうでした?

あさこ:子どもの頃からマンガにはあまり触れない感じがあって、読んだことがあるのは『おしゃれ手帖』(長尾謙一郎)とか楳図かずおさん。赤塚不二夫さんの『へんな子ちゃん』が大好きでした。…へんな子ちゃんって! ふふふ(笑)。

●そこ!? (笑)。あさこさんは笑いのツボが独特なところにありそうですよね。

あさこ:大体のことは可笑しいです。普通のことが可笑しくてしょうがない時が結構あります。人が道にいるだけで可笑しいみたいな…ふふふ(笑)。選挙でも笑います!

●選挙に行くんですね。

あさこ:大好きです! あの投票の空間が大好きで、静かなのが可笑しくて…ふふ(笑)。図書館も大好きです。静かなところって可笑しくないですか?

●お葬式や法事でも笑っちゃいそうになるのでは?

あさこ:お葬式も可笑しいです。お坊さんも可笑しいし、お経も可笑しいし、遺影とかも可笑しくて…笑っちゃいそうになります。

●不謹慎ですけど、わかります(笑)。学校の授業も基本的に静かだから、笑いそうになったんじゃないですか?

あさこ:授業も可笑しかったです。特に歴史とか。

●歴史が可笑しいのはなぜ?

あさこ:歴史なんて(授業の内容は)教科書に全部載っているのに、いちいちノートに書く意味がわかりませんでした。教科書を読めば済むことをいちいち説明するのが可笑しかったです。

●勉強は好きだったんですか?

あさこ:勉強は一時期、大好きでした。ずっと好きで勉強していたんですけど、高校1年生の時に先生から「勉強をやめなさい」と言われてやめました。

●…それはどんな理由で?

あさこ:謎です。化学がすごく大好きでテストで100点を取るようなレベルだったんですけど、化学の先生から「勉強をやめなさい」と言われました。

●本当に謎ですね…。しかもそれでやめちゃったんだ?

あさこ:素直だからです! (笑)。

●ハハハ(笑)。好きな教科とかはあった?

あさこ:美術が好きでした。美術の先生と仲良しで、一時期よく美術準備室で雑談して遊んでいました。

●学校で仲の良い友だちとかはいたんですか?

あさこ:学校内では移動教室とかの時に一緒に移動する知り合いみたいな人はいたけど、家に帰ると一切付き合いませんでした。

●それはなぜ?

あさこ:メリハリ!

●め…メリハリ?

あさこ:学校は学校で、そこを出たらバイバイみたいな。壁! 壁!

●あえて壁を作っていたと。

あさこ:塾でも一緒に通ったり、話しかけられたりするのが嫌だったから、みんなと離れた席に座っていました。席替えの時も、いつも一番前にします。

●人に話しかけられたくない?

あさこ:ないです! 話しかけられても大体面白くないから…ふふふ(笑)。

●同級生と雑談とかは?

あさこ:移動教室へ移動中の5分くらいはしました。お昼ごはんも一定の人とは食べていなかったです。

●でも1人きりではなかったと。

あさこ:1人きりではなかったです。本当はお昼ごはんも1人で食べたいけど、みんなが誘ってくれるので…あ、ちょっと贅沢(笑)。

●あまり他人に興味がなかった?

あさこ:自分から興味がある人には関わったけど、興味のある人が少なかったです。

●女の子同士で、気になる男の子のうわさ話をしたりとかは…?

あさこ:そういう話を聞いても、「その人を知らないし」って。ふふ(笑)。本当に興味がなかったと思います。…しかも、女子校でした。

●そもそも学校内に男の子がいなかったと(笑)。でも女子同士の会話って結構ドロドロしているから、昼ドラ好きのあさこさんには面白かったのでは?

あさこ:うーん…。でも色んなグループで起きることが大体、毎回一緒のパターンなので飽きました。同じような流れの繰り返しに飽きたので、昼ドラに走ったんだと思います。

●そういう人間関係は冷静に観察しているし、周りにも流されなかったんですね。

あさこ:冷静でした。幼稚園の頃から、“自分は自分”みたいな感じで。小学校が一番つらかったです。

●というのは?

あさこ:幼稚園の時はすごく自由だったけど、小学校に入ったら自由がなくなった気がして。みんなに合わせる感じが嫌だったので、小学校の6年間が一番つらかったです。中高は自由だったので、最高でした。

●確かに比べてみると、小学校が自由度は一番少ないかもしれないですね。

あさこ:風景画を描くのが大嫌いでした。自由に描くのが好きだから。夏休みの宿題で風景画が出たので、空港の滑走路を描いていったら叱られました!

●空港の滑走路って、それ以外は何もないから…(笑)。

あさこ:灰色だけで終わるみたいな…ふふふ(笑)。風景画は、家とかゴチャゴチャしたものを描かなきゃいけないらしくて。でも滑走路も風景には変わりないのに…。

●一度注意されてからは、もうやらなかった?

あさこ:次の年は…人に手伝ってもらいました。同じ話をまた聞かされるのもめんどくさいし…ふふ(笑)。

●ちゃんと学習するし、何の考えもなしにやっているわけではない。

あさこ:考えた結果がいつも出ています。

●確かに宇宙人の曲を聴くと、よく考えられている感じはします。

あさこ:全部が結論です!

 

Interview #2 あさこ、『惡の華』を語る

●今回のTVアニメ『惡の華』を見た感想は、いかがでしたか?

あさこ:マンガで内容は知っているけど、アニメを見たらまた次回が楽しみになります。それぞれ違うものとして、両方楽しめる感じがする。マンガもどんどん読める感じで、早く次の8巻が出ないか楽しみです。

●アニメのオープニングテーマを書くのは初めてだったと思いますが、スムーズにできた?

あさこ:『じょしらく』でキャラクターソングを作ったことはあって。キャラクターのことを考えて作るという勉強はそこでできていたので大丈夫でした。

●表題曲の「惡の華」は4つのパートに分かれていて、その内3つは登場人物が割り当てられていますが、最後の1つは「惡の華 -群馬県桐生市-」となっていますよね。これは街のイメージで書いたんですか?

あさこ:街のイメージもありつつ、アニメ全体の空気感を歌いました。…たぶん、3人にとって一番の敵なんじゃないかなって思います。超えるもよし、好きになるもよし、離れるもよし、どうするかは自由だっていうことを書いています。

●桐生市に行ったことは?

あさこ:これのために行ってきました。

●制作にあたって、現地に行ったんですね。

あさこ:空気を吸ってきました。すごく不穏な空気があって…ふふふ(笑)。

●不穏な空気?

あさこ:アニメで見たとおりで、周りを山に全部囲まれて出口がない感じがする。昔栄えていたという感じはあるけど、今は寂れているところがちょっと恐ろしい感じを出しているんじゃないかと思います。

●アニメの印象そのままだったと。

あさこ:全く一緒です。でも桐生に行った時は原作を読み込んでから行ったので、そういうふうに見えたのかもしれない。もう1回行ったら、印象が違うのかも…。桐生のご当地アイスは美味しかったです!

●何のフォローですか(笑)。でも今回は宇宙人にとって、アニメを通じて新たなファンに知ってもらえるキッカケになるんじゃないですか?

あさこ:「惡の華」を聴いてアニメを見たくなってもうれしいし、アニメを見てCDを聴いてくれてもうれしいです。

●カップリングのM-2「砂漠の鎮魂歌」も、どこか「惡の華」とつながっている感じがするんですが…。

あさこ:そこも大事なテーマでした。“向こう側に行く”ことが『惡の華』の原作ではテーマになっているので、「砂漠の鎮魂歌」のほうは“向こう側のできごと”の1つというイメージで作ったんです。

●“鎮魂歌(レクイエム)”という言葉は、最近の曲名では珍しい気がします。

あさこ:“鎮魂歌”は…お別れの歌という意味で。この曲の主人公が色んなこととお別れするので、“鎮魂歌”と付けました。

●何かテーマはあるんですか?

あさこ:テーマは“少年の退廃の美”です。大きなスケール感をイメージして書いて。赤ペン先生(※ディレクター)とも相談して、ストーリー性もちゃんと起承転結になるように考えました。

●初期に比べて歌詞に使われている言葉も変わってきて、イメージが伝わりやすくなった感じがします。

あさこ:思い浮かべやすくなりました?

●そうですね。

あさこ:やったね! 前作の『珊瑚』からはちゃんとテーマを決めて意味を匂わせるような歌詞を書くようになったんですけど、それより前は本当に何も考えずに作っていたんです。

●言葉の響きだけを重視した感じ?

あさこ:歌詞を伝えるよりも、使いたい言葉をとにかく使って書いていました。

●歌詞の書き方も次第に変わってきているんですね。

あさこ:変わりました! ふふふ(笑)。「砂漠の鎮魂歌」は今までに作ったことがないタイプの曲で、自分の感情を織り交ぜています。

●今までは自分の感情を歌詞に入れていなかった?

あさこ:全く入れていなかったです。自分のことは歌いません…ふふふ(笑)。でも今回は自分の感情や、今までにあった嫌なエピソードとかも織り交ぜつつ書いてみました。

●自分のことはあまり歌いたくない?

あさこ:歌う機会がなかっただけです。今回はテーマに沿って自分のことを思い返したら、それとピッタリの出来事があったので。

●だから自然と自分の感情も入れた歌詞になったと。

あさこ: “「お楽しみはこれからだ」”っていうフレーズが大好きです。

●ちなみに「惡の華」の最後も“「それでは、お先にいきます」になっていて、2曲とも最後はセリフなんですよね。

あさこ:ああ、そうか! 偶然! でも2曲ともすごく人っぽい感じがします。

●人っぽい?

あさこ:「惡の華」は(登場人物の)春日くんと仲村さんと佐伯さん、3人それぞれの歌。「砂漠の鎮魂歌」はその辺にいる人っぽい感じがする。どちらも人間っぽい曲のような気がしました。表と裏という感じがします。

●対比になっていると。

あさこ:「惡の華」は、海鮮丼みたいな曲だと思います。「砂漠の鎮魂歌」は、にぎり寿司な感じがします。

●共通点は…シーフード?

あさこ:シーフード…ふふ(笑)。「惡の華」は色々なものが一気に楽しめる、彦摩呂タイプの曲で。

●「海の玉手箱や〜!」的な感じですね(笑)。

あさこ:「砂漠の鎮魂歌」は注文したら、それが出てくるという感じがしました。

●色んなネタが乗っているか、1つのネタだけが乗っているかの違いがあると。「砂漠の鎮魂歌」のヘヴィなイントロも今までにない感じでは?

あさこ:この曲はバンドっぽい感じがするし、テンションが上がります。あのイントロはどん底ですね。どん底始まりの曲です!

●何のどん底なんですか…?

あさこ:人が1回どん底まで落ち込んで、ドロドロに巻き込まれて裏切られてグチャグチャになるけど、立ち直りましたっていう曲なんです。あっ…、これも昼ドラっぽいかも。

●結局は全部、昼ドラに戻ってくるんだ…(笑)。

一同:(笑)。

Interview:IMAI

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