The SALOVERSが遂にメジャーデビュー! 2008年に高校の同級生によって結成された彼らは、早くも2010年にはFUJI ROCK FESTIVAL“ROOKIE A GO-GO”に出演を果たす。1stアルバム『C'mon Dresden.』(2010年)、2ndアルバム『バンドを始めた頃』(2011年)という2枚の傑作を残したインディーズ時代。今年7月にはそれらを総括し、さらに新たな展望も示すようなプレデビューアルバム『いざ、サラバーズ!』をリリースし、いよいよメジャーフィールドへと活動の場を移すことを発表した。そして今回のJUNGLE☆LIFE誌上では、9/5にリリースされるメジャーデビューアルバム『珍文完聞 -Chin Bung Kan Bung-』について、バンドの中心人物であり全曲の作詞・作曲を担うVo./G.古舘佑太郎による全曲解説を掲載する。メンバー全員が1990年代生まれという若さながら同世代だけではなく、音楽を長年聴き込んだ大人のリスナーをも惹きつけてやまないThe SALOVERSというバンドの魅力に今こそ触れて欲しい。
M-1「ビオトープ-生物生育空間-」
華々しくもこのアルバム『珍文完聞』の1曲目を飾っているが、実は当初アルバムに入れるつもりは全くなかった。レコーディング制作に追われ、メンバー共々疲れ切っていたある日のスタジオで、1日かけて盛大に音楽で遊んだインスト曲である。イメージは“ピクニック”。
M-2「チンギスハンとヘップバーン」
一見ならぬ、一聴、意味不明な曲であるが、実は本人としてはラブソングのつもりで書いてある。映画『世界の中心で愛を叫ぶ』を見て、不覚にも泣いてしまうような優しい大人に成長しなければ、こんな曲は書けなかっただろう。イメージは“大陸”。
M-3「オールド台湾」
「僕たちにとって、理想郷は何処にあるのだろう?」こんな気持ちを、ぼんやりと考えながら生きていた僕が、ぼんやりと眺めていた旅番組で特集を見て、「台湾に行きてぇーー!」と云う謎の衝動に駆られた。その数日後に完成。イメージは、“九分”。(注:九分とは、PVでも使われた台湾の観光地の名前)
M-4「サイケデリックマリー」
高校1年生、華の16歳の頃に書いた曲で、その割にはやたら歌詞が辛辣になり過ぎている。そこも含め、まだまだ稚拙な部分が多く漂う16歳と云った所か。内向的な内容と、ヒリヒリと音が聞こえて来そうな、ギター藤井清也のリフがなんとも言えない焦燥感で、聴いてて懐かしい。イメージは、“RADIOHEADの2ndアルバム”。
M-5「雨降りのベイサイド」
雨が滴る廃れた港町にて起きた様々な出来事が、つらつらと連なるバラードである。合言葉はアイレイ、アイレイ。船の無事を祈るおまじないの様なものだ。古くは、村人の「愛の言葉を霊にして」と云う言葉から来ているらしい。本当か嘘かは、わからないけど。イメージは“横浜”。
M-6「サイゴンで踊ろう、雨のダンス」
サラバーズとしては、ピアノ弾き語りの楽曲は初挑戦となる。もう全く曲が出来ない! と悩んでばかりいた時期に、ギターを見るのも嫌になって、ピアノを触ってみたら、スッと出て来た。イントロのリフを弾いた時、なんだか救われた気がしたのを覚えている。テーマは“社交界”。
M-7「仏教ソング」
最近の女がよく読んでる本を本屋で偶然見つけて読んだけど、くそつまんない本だったな。そんなの読むんだったら、手塚治虫の『ブッタ』を読みなよ。って気持ちで書いた。ベース小林亮平を家に呼び寄せ、ひたすらベースラインを弾いてもらい、僕が上記のような説法をすると云う作戦で曲ができた。イメージは“仏教の香”。
M-8「サルたち」
なんか、性欲旺盛な大学生とか見てると、俺らはサルと変らないじゃん! って思った。あいつも、こいつも、あの娘も。なんでもかんでも言葉にすれば良いってもんじゃないけど、どうしても言いたくなってしまった。演奏としては、イントロはムカつくほどに絡んでくるドラムのパターンが面白い。イメージは“見ざる言わざる聞かざる”。
M-9「ディタラトゥエンティ」
珍しくリズムが、四つ打ちの曲。本来、四つ打ちが苦手で、あまり好きではなかった。だが、20代を迎え、曲がりなりにも成人したので、苦手な事も少しずつ克服していかなきゃいかん、と云う事で導入。ライブで結構盛り上がるサビを持っている。イメージは“ディタラ気取りのチャラな若者”。
M-10「愛しておくれ」
このアルバムの柱となる1曲。初めて本当に、心から素直な気持ちで歌詞が書けた。良いか悪いかはさておき、素直に自分の思いを、表現出来た事が嬉しい。それが、皆の心に届いたら尚嬉しい。そんな気持ち。この曲を愛しておくれ。イメージは“レゲエ”。
M-11「何処かの土地に」
このアルバムのラストを飾るに相応しい、かはわからないけど、とにかく僕の一番好きな曲(あんまりこう云うことは言いたく無いんだけど)。爽やかで、恋をしていて、一言で言うならば、「チャイニーズラブポップ」。麻婆豆腐食べた、中華街辛くて笑ったね。イメージは“船”。