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THE BOOGIE JACK

4年間という時間がもたらせた“成熟”という名のエッセンス

 2000年の結成以来、名古屋を中心に数々の伝説を作ってきたTHE BOOGIE JACK。2004年にメジャーデビューするも、2007年にその活動を一旦休止。ファンと盟友からの熱望とメンバーの確固たる意志で2010年に再集結。 4年間の休止期間を経て、THE BOOGIE JACKとして再び走りだした4人が、現在進行形の彼等を映し出した名作『GALLERIA』をリリースした。4年間という時間がもたらせた“成熟”という名のエッセンスが加わったTHE BOOGIE JACKが、今動き出した!

Interview

●4年ぶりの活動再開、アルバムリリースおめでとうございます。シュンタさん自身はどんな4年間だったんですか?

シュンタ:ありがとうございます。活動休止してからはSUPER-SUPERSというバンドをやってたりしてバンド活動を死守したというか、そこにこだわって価値を見いだした4年間でした。

●バンドにこだわった理由は?

シュンタ:やっぱりバンドの方が楽しいんですよね。1人でストリートライブにも挑戦したんですけど、何か物足りなくて。「ああでもない、こうでもない」って皆で考えながらワイワイやってる方が好きだったんですよね。

●そもそも、活動休止の背景には何があったんですか?

シュンタ:THE BOOGIE JACKっていうバンドは結成時からライブバンドだったし、青春パンクというシーンで認知されていました。今だからぶっちゃけて言えるんですけど、サウンドの試行錯誤も経てそこ(青春パンク)から抜け出して自分達の好きな音楽に近づけてみようっていう事をしていたんです。

●はい。
パンクからロックに向かっていく流れの中で、メンバーからは「本当はパンク色が強いままでやりたかった」っていう意見もあって。僕は僕で、自分が好きなスピッツや奥田民生さん的なところに近づけたかったし、方向性がだんだんブレてきて、次が見えなかったんです。本音を言うと、子どもができて家庭を持つにあたって、いったんTHE BOOGIE JACKから離れて、バンドと家庭を同じ目線で見る時間が欲しかったんです。

●でも音楽は辞めなかった。

シュンタ:辞めるという選択肢はまったくなかったですね。僕はバンドしか好きなものがないので、これを失ってしまうと何をやったらいいのか分からなくなる。自分が年老いた時に、"バンドだけはやり抜いた"って思いたいんですよ。それが最終目標でもありますね。

●今このタイミングで復活したのには何か理由があったんですか?

シュンタ:きっかけはいろいろあったんですけど、ちょうど1年前にPANから15周年イベントに誘われたんです。僕らにとってPANは特別なバンドだったので、その日限定でライブをして、それから今度はSHACHIの解散イベントにも出演して。誘うなよって話なんですけどね(笑)。その時点で既に"これもう休止じゃないじゃん"って話になってたんですけど、忘年会がてら4人でもう一回話し合おうという事になって鍋をしたんです。具が煮える前の、ものの1分で再始動しようという結論に至りました。

●素敵ですね。

シュンタ:集まる前からみんな答えを出してたんでしょうけど、またこの4人でやりたいという気持ちが強くなった。

●何かがシンクロしたんでしょうね。

シュンタ:SHACHIとPANは、THE BOOGIE JACKを語る上で絶対に外せないバンドなんです。年間150本ライブをしていたのも彼等の影響だし、いろんな事を教えてくれたバンドだったので、そういうバンドがきっかけで再始動できたのも嬉しいですね。

●新しいTHE BOOGIE JACKを表現する上で、困難はありませんでしたか?

シュンタ:困難どころか、サクサクっとできちゃったんです。休止している間に、おのおのが客観的にTHE BOOGIE JACKを聴いていたからだと思うんですが、僕らのカッコいいと思うポイントって、野津のギターだと僕自身が気付いたんです。野津自身も、客観的に僕の作る歌を評価してくれていたのが大きいですね。4年を経て2人の音楽性がリンクした。

●なるほど。

シュンタ:野津のやりたい曲がまさに俺のやりたい曲で、凄く作りやすかった。若手のバンドから「THE BOOGIE JACK好きでした」って言われるようになって、野津くんのファンが相当多いなって解ったんです。休止する当時は俺の独りよがりで野津の良さを封じ込めていたのかもって思えたし、今回は「野津イズム全開でお願いします」って伝えてね(笑)。

●そうして生まれた6曲なんですね。

シュンタ:M-1「Glory Train」はちょっと明るい曲を作るために野津と2人でスタジオに入ってできた曲。歌詞の内容も活動休止前の曲が「終列車」なので、ベタなんですけど再出発らしい歌詞にしたいなというテーマがあって。オープニングに相応しい曲が出来たと思います。

●続くM-2「Heve a nice rock"n"roll show!!」は気持ちの良いロックンロールナンバー。

シュンタ:これがさっき出た"野津イズム"全開の曲です。イントロのギターのフレーズを聴いた瞬間、"完成したな"って思いました。M-3「プリンセス!オー!プリンセス!」は僕に子どもができて、ファンも同じように歳を取っていく訳だし、みんな共感してもらえるんじゃないかな。

●なるほど。M-5「エバーグリーン」も再結成を歌った曲ですよね。

シュンタ:今回の作品で最初にできた曲で、僕が今思っているバンドに対する思いを正直に表現できていると思います。『GALLERIA』の中心になる楽曲ですね。封印していた快速ビートも解禁したんですが、30過ぎになってからやる事に逆に意味があるんじゃないかなと思って。ラストのM-6「ナイスなふたり」はラブソングなんですが、歌詞もドラマチックではなく生々しいし、個人的には一番THE BOOGIE JACKっぽいなと思う。

●4年間でいろんな事を経験されて、きっと人間的にも成長できたんですね。

シュンタ:普通に仕事もしてますけど、土日にライブを観に行くという事が、どれだけ貴重な時間を割いているのかが解ったんです。そのありがたさを感じられるようになりましたね。

●今後の活動予定も気になります。

シュンタ:今はライブを大切にして、THE BOOGIE JACKというバンドを長く楽しめたら良いなと思っています。4年間待っていてくれたすべての人に届いて欲しいし、僕自身がユニコーンのライブを観て活力になるように、みなさんにとってTHE BOOGIE JACKが活力になればと思います。そこに尽きますね。 "こんなに良い時期は初めてかもしれない"ってくらい固まってますので、今のTHE BOOGIE JACKを是非見てもらいたいです。

Interview:上田雄一朗

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