音楽メディア・フリーマガジン

That’s a NO NO!

ガレージなのにポップ! ワイルドなのにセクシー!

吉田ケイ(Vo./G.)
松田玲奈(Ba.)
菊池友香(G.)
新道文宜(Dr.)

ガレージなのにポップ、ワイルドなのにセクシーという相反する魅力を併せ持つ美女3人と美男1人によるガレージロックバンド、That's a NO NO! が1stアルバムをリリースする。モッズ・カルチャーから始まり、60年代のR&Bやロックンロールなどのルーツミュージックを核に独自の進化を 遂げてきた彼女たち。少しずつ異なる4人のバックボーンやキャラクターが化学変化を果たし、バラエティ豊かな名作へと昇華された。

#Interview

●今回が初のアルバムになりますが、最初はどんな経緯で始められたんですか?

ケイ:元々は私とレナともう1人のボーカルとの、3人で始めたんです。3人ともモッズ系のファッションや音楽が好きで、知り合ったのもモッズイベントなんですよ。

レナ:ビンテージのスクーターに乗って3人でモッズイベントへ遊びに行ったり、家に集まって踊りの練習をしたりしていましたね(笑)。

●カルチャーから音楽に入ったというか。

ケイ:演奏することよりも踊ることのほうが先行していて、「自分たちが踊っているような曲を演奏したい!」っていう衝動からのスタートなんです。ファッションから入っているので演奏したこともなかったし、まずは楽器を買うところからでしたね。

レナ:私はたまたま人にもらって、ベースを持っていたんです。初期はカバー曲ばかりやっていたんですけど、これ以上ないくらいの下手くそさで…(笑)。

ケイ:"東京のシャッグス(The Shaggs)"って呼ばれていましたからね。

一同:(爆笑)。

●"世界最悪のロックンロールバンド"と並べられるくらい、下手くそだったと(笑)。

ケイ:自分では、今でもそんなに成長していない気がしていて。トモカや新道くんが入ってくれたおかげで何とか音楽に聞こえるようにはなったけど、誰にも教わっていないし、教則本も見ていないし…。いまだにコードがわからなくて、トモカに怒られたり(笑)。

レナ:ピアノを習っていたのでドレミはわかって、楽器を鳴らした時に音は拾えるんですけどね。

ケイ:カバー曲も全部、耳コピでやっていたんですよ。歌詞も耳コピだったのでテキトーな英語で、本当に世間様に顔向けできないようなライブをやっていました。ごめんなさい(笑)。

●トモカさんが入ったことは大きかった?

ケイ:大きかったですね。音に厚みも出ましたし、私は歌に注力できるようになったことですごく楽になりました。私が作った曲にすごく良いギターを乗せてくれて、より良いものにしてくれるのにも救われています。

トモカ:私は2人と逆で元々はファッションより音楽が先で、ギターキッズみたいな高校時代を送っていたんです。Led ZeppelinみたいなハードロックやNIRVANAとかのグランジが好きだったので、服装もドクロのTシャツにベルボトムみたいな感じで…。高校生の 時にガチギメのファッションで街を歩いていたら、見ず知らずの外国人に指さされて「Hey! Rock You!」と言われました(笑)。

一同:(爆笑)。

●ルーツも他のメンバーとは違うんですね。

トモカ:でも元々はギターヒーロー的な人が好きで、Jimmy PageやJeff Beckとかが好きだったんですよ。だから60年代の音楽も好きで、日本のGSからイギリスのThe Whoとかも好きだったので、このバンドにも入れてもらえた感じです。

ケイ:そのあたりでリンクしている部分は強いよね。

●そういえば、M-6「Jizou」は60年代サイケっぽい。

レナ:これは初期に私が作った曲なんですけど、当時は60年代のクラブミュージックを中心にカバーしている時期だったので、60sの要素が強いというか。ちょっとサイケデリックな感じにしたいとは思っていましたね。

トモカ:私もアレンジする時に、サイケっぽさは意識しました。タイトルもちょっとサイケデリックな感じだし…。

●"Jizou(地蔵)"がサイケ!?

トモカ:地蔵だし、何か涅槃(ねはん)みたいな…。

●よく聴いていたというNIRVANAも"涅槃"という意味だし(笑)。

ケイ:すごい誇大解釈(笑)。

レナ:そんなこと、考えたこともなかった…。タイトルは、辛い恋にじっと耐え忍んでいる姿を地蔵に例えた歌詞からきているんです。

●歌詞にはメッセージ性があったりする?

ケイ:M-1「Tori」は友だちのことを歌っているんですけど、私が書く歌詞はだいたい身近な誰かに向けて歌っています。中でも、この曲が一番ストレー トに思いをぶつけている感じですね。逆にM-3「Wao」はそういうメッセージ性のある歌詞が恥ずかしくなった時期に作ったので、あえて意味のない言葉だ けを並べていたりもして。

●インストのM-7「Piggy Piggy Booty」はワイルドなサーフ系ですね。

レナ:これはすごく初期に作った曲で当時はサーフ系の音をすごく聴いていたので、それが出ていますね。

ケイ:初期はもっとペナンペナンの、モロにサーフっぽい感じだったんですよ。

トモカ:それを私がハードな感じにアレンジしちゃったんです。私はサーフ系のギターを寺内タケシさんみたいには弾けないので、逆に暴れん坊な感じでやってみて。

●今作はすごくバラエティに富んでいる印象です。

レナ:ガレージもモッズもサーフも好きだし、そういったもの全部を根底にして作っているので、曲が良い感じにバラバラなんじゃないかな。幅広く音楽を聴く人には面白いと思ってもらえる作品だと思います。

トモカ:4人それぞれのキャラクターが、アルバムの中に出ているんですよね。バックボーンも少しずつ違うし年齢や性別もバラバラだけど、60年代の音楽はみんな好きだっていうのがあって。

ケイ:核になっているのは、そこだよね。

●60年代の音楽を核につながった4人の個性が上手く合わさって、化学変化した感じというか。

トモカ:4人全員が同じ道を通ってきていたら、こうはならなかったと思うんです。そういう意味で、良い曲作りやアレンジができたんじゃないかな。

ケイ:本当に今回は偶然に近くて、たまたまメンバーが持ち寄ったものが上手くハマった感じがします。でも今聴くと「ここをもう少しこうすれば良かった」み たいな部分はあるんですよ。だから次にやりたいことも、もう既にあったりして。新曲作りも始めているので、次作も早く形にして出したいですね。

Interview:IMAI

 

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