NIKIIE LIVE TOUR 2013 “Equal”
2013/4/17@代官山UNIT
NIKIIEが1/30にリリースした2ndアルバム『Equal』は、彼女の強烈な個性が核となった非常にみずみずしい作品だ。音楽性・メロディ・歌詞・アレンジ・世界観…楽曲の随所に散りばめられたその魅力のひとつひとつには一切の妥協がなく、彼女の貪欲な創作欲も伺えれば、ロック感溢れるライブを意識した表現欲も同時に感じさせる。この3月、札幌・仙台・福岡のアコースティックツアーを経て、東名阪で開催されたオールスタンディングのライブハウスツアー。そのファイナルとなった代官山UNITには、早い時間からたくさんの人が詰めかけ、フロアは彼女のステージを心待ちにする観客でいっぱいになっていた。
客電が落ち、ステージでは1つのランプが暖かい光を放っている。まるで秘密の部屋を訪れたような感覚を味わっているうちにNIKIIEが登場。「Morning in the dark」からライブがスタートした。
バンドメンバーとの息も抜群で、駆け上がるような同曲のテンションが我々の気持ちをほぐしていくのが心地良い。白い衣装と凛とした空気を身にまとい、繊細かつ強い“芯”を感じさせるNIKIIEの声が会場に響き渡る。彼女は気持ち良さげに身体を揺らし、2曲目の「Darlin'」を歌い終えて首をゆっくりと振り、腕を宙にあげる。まるで泳いでいるようだ。
立ち上がって歌った「Un Deux Trois!」では大人な側面で魅せ、「Hero:」では光沢感のある声で魅せる。リズムに合わせて手拍子が沸き起こり、「Duty Friend」では独特で淫靡な雰囲気を作り出す。CDとはまた違った自由なアレンジと、一瞬一瞬を楽しみながら歌う彼女の表情は、観ている者の心を捉えて離さない。この日のNIKIIEは、以前に観たそれよりも比べ物にならないくらい自由だった。その場で感じ、その場で想ったかのように歌う彼女の表現はとてもみずみずしく見える。
デビュー前の2年間、彼女は代官山の雑貨屋でアルバイトをしていたらしい。「そのときに書いた曲です」と「春夏秋冬」が始まり、感情を溢れさせて歌う彼女。その心の震えが空気を伝わってきて、聴いている観客の心が共鳴する。ステージを中心にして、まるで波紋のように広がっていく目に見えない共鳴がフロア全部を包み込む。一体感とはきっとこのような感覚を言うのだろう。
NIKIIEが椅子から立ち上がってマイクを持ち、「アルバムの中で自分にいちばん近い歌。真っ暗な部屋の中で毎晩どうやったら自分を消すことができるかと考えて、いつも泣いて過ごしていた」と言った。暖かい光の中で、彼女はまるで泣くように「Mother's cry」を歌い始めた。言葉のひとつひとつ、音のひとつひとつが確かな存在として届いてくる感触にフロアが打ち震える。
アコギを持って歌った「Say you love me」でオーディエンスと気持ちを通わせ、「Everytime」のメロディで会場を包み込み、「カナリア」ではバンド感溢れるダイナミズムで魅せる。「これからも想いと自分と向き合って、一生懸命届けていきたいと思います」と言った後、丁寧に気持ちを込めて歌った「LIGHT」。そしてアンコールでは生命力に溢れる新曲「HAHAHAh」で沸かせ、最後は「From me to you」で終幕。NIKIIEが持つ様々な魅力を全部味わうことができたワンマンは、とても贅沢なひとときだった。ステージでくるくると表情を変えながら歌う彼女はとても無垢で、楽しげで、キュートで、生命力に溢れ、強かった。2ndアルバム『Equal』を完成させた彼女は、その表現の幅を広げ、また大きく成長を遂げていた。
text:Takeshi.Yamanaka