「時に激しく、時に優しく」をコンセプトに活動する感情型哀愁ロックバンド“SMASH YOUTH”が、新体制第一弾となるシングル『ラストコード』をリリースした。
兼ねてより人気のある代表曲「ラストコード」、現メンバーになって初めて制作した「解けない魔法」の2曲を収録した今作は、コンセプトのうち“優しさ”の部分が前面に表れた作品だ。
今インタビューでは、3ピースとなり新たな旅立ちを迎えたSMASH YOUTHの変化に迫る。
●みなさんは2012年に現メンバーになったそうですが、この3人になってから大きく変化した部分はありますか?
屋並:なにより一番変わったのはバンドの雰囲気ですね。いい感じのユルさがあるというか、和気あいあいとしています。
塩崎:たぶん、人間的に近いものがあるんですよね。考え方が似ているから「これをやってみよう」って提案すると、みんな賛同することが多いですし。
●お互いに感覚が共有できているということ?
イトウ:本当にそうだと思います。
屋並:その方が良いものが出来ると思いますし。これまで活動して来た中でも一番明るい雰囲気で、メンタル的にもすごく良い状態です。
●それって大事なことですよね。今作『ラストコード』収録の2曲のうち、M-1「ラストコード」は2010年5月にリリースしたデモ音源に収録されていた曲ということで、当時とはまた違ったアレンジになっているんですか?
塩崎:まず、コーラスがかなり増えました。僕は前作の『hand in hand』(2011年11月リリース)の時もコーラスを唄っていたんですけど、その時は友達に「おまえがどこで唄ってるかわからない」って言われたんですよ。今作は自分のコーラスパートが増えたぶん「ここは僕が唄ってるから、ちょっと聴いてみて!」って薦めやすくなりました(笑)。
●より知人にアピールしやすくなったと(笑)。
塩崎:あとは"音源にしかない楽しみを作りたい"と思っていたので、キーボードが入っているのも大きな違いですね。
●なぜあえてキーボードをチョイスしたんですか?
塩崎:以前ライブで他バンドのキーボーティストさんとコラボしたことがあったんですけど、それがあまりにも良くて、練習中もずっと頭の中でキーボードの音が鳴ってるくらいハマってたんですよ。だから音源にするんだったら絶対に入れようと思って、去年から決めてましたね。
●鍵盤の音は曲の雰囲気にも合うし、イントロの部分は特に絶妙だと思いました。シンプルなメロディとストレートな言葉から、作詞者の気持ちがすごく伝わってきます。
屋並:自分の実体験やその時の気持ちを歌にしているので、等身大の姿が出ていると思います。でも昔は、メンバーに求められる理想と自分の考えとの相違から、"自分の音楽って何だろう?"ってすごく悩んでいた時期があって。
●あぁ~。その感じ、すごくわかります。
屋並:だけど、弾き語りのイベントに参加した時、たまたま同じイベントに出演していた畑中ふうさん("M1グランプリ"等のナレーションを担当しているナレーター)が「君にしかない毎日を歩んでいて、君が思う言葉で書いているんだから、例え同じ言葉でもそれは他の人とは違うものだ」と言ってくださって。その言葉のおかげで"素の自分を出せばいいんだ"って気付けたんです。もしあの時畑中さんとお話しなかったら、バンドを辞めていたかもしれない。
●本当に大きなきっかけだったんですね。M-2「解けない魔法」は、どういう曲なんでしょうか?
屋並:「ラストコード」の世界から何年か経った後の、今の気持ちを反映していますね。ちなみにこの3人で作った最初の曲でもあります。思いついたメロディの断片をスタジオで合わせながら、音を乗せていきました。最初に決まっていたのはサビメロくらいかな?
●メンバーのフィーリングが活かされている?
塩崎:そうですね。あと、どちらの曲にも言えることですが、コーラスへのこだわりが強く出ています。
屋並:3人の力を最大限に出すには、やっぱり2人(塩崎、イトウ)の声が必要だなと思って。イメージとしては、包みこむようなコーラスを入れたかったんですよ。包容力のある柔らかい声が広がる感じ。今作ではそれが出来てきたと思います。
●ですが、これほどガッツリとコーラスを入れるとなると、かなり苦労されたのでは?
塩崎:本当に大変でした。音を取るのが難しくて、音源を持ち帰ってひたすら家で練習したりとか。でもやっぱり、純粋に面白いんですよね。
●その結果、ボーカリストからも褒められるほどの完成度になったと。『ラストコード』は5/19からライブ会場限定で発売中ですが、今後のライブ予定はもう決まっているんですか?
屋並:5/19の発売イベントを皮切りに、8/5にアメリカ村AtlantiQsでのファイナルまでいろいろな場所を回る予定です。ファイナルではツアーで出会った人達とも対バン出来たらなと思っていますし、5月のライブを観てくださった人には一回り大きくなった僕の姿を見せられるように頑張りますよ!
●楽しみですね。それに、誰よりもみなさん自身が楽しみにしてるんだろうなって伝わって来ます。
イトウ:バンドもすごく良い状態だし、なにより純粋に今の活動が楽しくて。俺らにとっては売れる売れヘん以上に、"自分たちがやりたいことを、おもいっきり楽しむ"というのが大事なんです。
屋並:それが10年間バンドをやって来たうえで行きついた、最終的な結論ですね。面白くなるようにしたいし、そうじゃないとダメやと思います。以前は"バンドを続けるか、バンドを辞めて仕事に打ち込むか"で悩んだ時期があったけど、今は"バンドをやるか、バンドをやるか"ですよ。
●一択なんですか。
屋並:手法の変化や方向性の選択があったとしても、バンド自体は一生続けていきますからね。
●か、カッコいい!!
Interview:森下恭子