時代を築きつつある若きラウドロックシーンの雄、coldrainとSiM。結成時期も活動をスタートさせた場所も違うこの2バンドは、まるで磁石が引かれ合うようにシーンで出会い、常にお互いを意識し合い、常に切磋琢磨しながらそれぞれの活動規模を大きくしてきた。そんな彼らが、HEY-SMITHとの3者で昨年春に開催した“TRIPLE AXE TOUR”から1年後となる今春、2バンドヘッドライナーとして“MONSTER ENERGY OUTBURN TOUR 2013”で激突する。JUNGLE☆LIFEではその2バンドのヴォーカリストMasatoとMAHに焦点を当て、2ヶ月連続のロングインタビュー特集を展開。今月号では、UNIVARSAL MUSICへの移籍第1弾シングル『EViLS』を4月にリリースすることを発表したSiMのVo.MAHに迫る。
●以前、coldrainのMasatoくんとHEY-SMITHの猪狩くんとの3者対談をやらせていただきましたけど、そのときの話で印象的だったのは、MAHくんが本気で27歳で死ぬと思っていたということで。
MAH:言ってましたね。
●なぜそういう風に思っていたんですか?
MAH:高校でバンドを始めたくらいのとき、カート・コバーン(NIRVANA)を崇拝していて。なんか知んないけど、25歳で何もできていなかったら、そこから2年間生きて、母親に孫の顔だけ見せて、27歳くらいでもう俺死んじゃおって思ってたんです。
●ほう。
MAH:で、ちょうど25歳くらいのとき2ndアルバムの『SEEDS OF HOPE』発売直前のタイミングで“あ、俺、今イケるかも”って思ったんです。“これじゃあまだ俺は死ねないな”って。“もしかしたらもっと夢を見れるかも”って。そのタイミングでその考えは切り捨てて。
●極論ですけど、MAHくんは音楽をやるために生きているんでしょうか?
MAH:そうですね。中学でHi-STANDARDを知ってベースを始めてから、バンドをやるということしか頭になくて。高校もバンドがやりたいから軽音楽部がある学校に行ったし。もう本当に、そのためだけですね。音楽のためだけって感じです。
●音楽以外で喜びを感じることはあるんですか?
MAH:うん…逆に言えば、バンドは喜びを感じるところじゃないのかな。
●あ、そういうことですか。
MAH:喜びっていうか、やっていないのが意味分かんないっていう(笑)。身体の一部じゃないですけど、“楽しいからやる”とか“苦しいから辞める”とか、そういう次元じゃないんです。
●はいはい。
MAH:やっていることが大前提っていう感じがあります。ライブは楽しいし、新曲とかできると楽しいけど、だから続けているわけではなくて。バンドをやっていて苦しかった時期の方が長かったので、“苦しいから辞める”だったらとっくに辞めてるし。
●そうか。
MAH:たぶん、バンドを辞めるのがいちばん苦しいのかな。
●同じくcoldrainのMasatoくんとHEY-SMITHの猪狩くんが言っていたことですが、MAHくんが2人と出会った当時は、今からは考えられないくらい尖っていたと。
MAH:そうですね(笑)。尖ってました。でもお世話になった人たちへの感謝の気持ちとか、「ありがとう」とかを感じ始めてから変わりました。だからツアーをまわるようになってから変わったのかもしれないです。
●沢山の人と接するようになってから。
MAH:はい。東京でしかライブをやっていなかったころは「対バンが何だよ。知らねぇよ」みたいな感じだったんです。でもツアーをまわると、1人もお客さん呼べていない俺らのために、ノルマを払ってライブをやってくれるバンドが居て、客を呼べていないのに交通費を出してくれるライブハウスの人が居て、なんか中途半端なライブしかできないのに観に来てくれるお客さんが居て。“こんなに人に世話になってるんだな”と思い始めてから、なんかやっぱり、単純に「ありがとう」とか「よろしくお願いします」とか、そういう言葉が出てくるようになったからかなって思うんですよね。
●なるほど。
MAH:それが尖っている部分にコーティングをしてくれてる(笑)。根本はやっぱり変わらないので、俺の中では爪を隠している感覚なんです。
●へえ〜。
MAH:いつでも出せるぞ! みたいなのはあるけど(笑)、今じゃないかなって思ってます。衝動ではあまり動かなくなったかな。
●それを歌詞とかに出しているんでしょうか?
MAH:そうですね。あと、ライブとかですげぇ顔をしたりするときとか。ああいうのはたぶん、そういう自分がむき出しになっているんだと思います。でもやっぱりMCとかは単純に「ありがとう」と言いたいし。昔は本当に「全員死ね」と思っていたんですけど、そんなこと言ってられない。それより感謝しなきゃなって。
●ブログに「ありがとうと言いたいけど、人と接するのは苦手だ」というようなことを書いていたじゃないですか。人と接するのは苦手なんですか?
MAH:そうですね。もともと、人と関わると疲れるっていうのがあって。A型なんですよ。相手が何を思っているかとかが気になるんです。人と会って別れた後で“あのひと言、余計だったかな…”と考えたり。
●うんうん。
MAH:例えばあまり親しくない人と2人になっちゃったりすると、“やべえ! 何をしゃべろう?”って焦っちゃうんです。それって疲れるじゃないですか。だからなるべく1人で居たくて。でも、気になる人のことはすごく気になるから、好きな人はきっと好きなんですよ。10人に1人居るか居ないかくらいなんですけど。
●わかるわかる。
MAH:だから自分の興味がある人以外はあまり関わりたくなくて。仕事でこうやって関わってくださる方とかはまた別なんですけど、例えばプライベートで友達と遊びに行ったりはしないんですよ。友達はほとんど居ないし。
●そうなんですか。
MAH:俺が勝手に友達だと思っている人は何人か居るんですけど、しょっちゅう飲みに行くような仲間はそんなに居なくて。1人でぷらっと飲みに行って「あ! 知ってる奴が居た!」とかはあるんですけど、約束して飲みに行ったりするようなことはしない。
●オフの日は何をしてるんですか?
MAH:誰にも連絡しないし、1人で家に居たいです。ゲームしたり、曲を作ったり、パソコンで絵を描いたり。グッズとか自分でやっているというのもあるので。仕事とオフの境界線があまり無いっていうのもあると思うんですが、パソコンに向かってるか、ゲームしているか、寝てるか、ですね。
●俗に言うひきこもりみたいな(笑)。
MAH:本当にそうですね(笑)。で、本当に気が向いたら1人で街に出て飲んで、そこで久しぶりに人としゃべって“楽しい!”って。しゃべるのは基本的に好きなんですけど、気を許すまでにかなり時間がかかっちゃうんです。そうしているうちに「お前、俺のこと嫌いだろ?」と言われるんですよ、先輩とかから。そう言われると余計に気を遣っちゃって。
●不器用ですね(笑)。
MAH:先輩からしたら「お前、もっと絡んでこいよ」っていう感じなんですけど「いや〜、とんでもないです(苦笑)」となって距離感が縮まらずってことがよくあります(笑)。だから特に先輩とかには“こいつとっつき辛いな”と思われていると思います。
●ああ〜。それは自分でなんとかしたいんですか?
MAH:思いますね。こんな性格じゃなければいいのにって思うけど、やっぱり変わらないんですよね。
●でも音楽は、“話す”とか“人と会う”とかじゃなくて、音楽を触媒にして人と心が通じ合える瞬間ってありますよね。ライブハウスとかまさにそういう場所で。
MAH:そうですね。
●人見知りの人にとっては、音楽はすごく大切なコミュニケーションの手段ですよね。
MAH:確かにそうですよね。たぶんライブを観に来ているのも、俺と似たような子が多いと思うんです。もちろん明るい子も居るけど、普段は俺と同じような感じの生活を送っているのに、ライブハウスに来たら「ウワーッ!」ってなる子ばかりなのかなって思っちゃって。
●うんうん。
MAH:そういう子が「ウワーッ!」ってダイヴしているのとか見ると、本当に良かったなって思うんです。やっぱり自分も高校生のときとかすげぇ暗かったけど、ライブをやっているときは楽しかったし、お客さんとして誰かのライブを観に行くときは超楽しかったし。そういう立場に自分も今なれているのかなって思うと、もっと発信していかなきゃなって。だから「俺もこうだったよ」って、最近は発信するようになったんです。
●だからブログとかでも結構赤裸々なことを書いているんですね。
MAH:そうです。お客さんに中高生とか増えてきて、悩んでいる子も多いということがわかってきたので、本当はあまり書かなくてもいいのかもしれないですけど「俺も思ったけど、でも今はこう思うよ」ということをもっと発信していこうと思って。「あの人も昔はこう思っていたんだな」って、今まさにその状況に居る子が見て、元気を出してくれたらいいかなって(笑)。そんなこと、昔はこれっぽっちも思わなかったんですけど、最近はなんか…うーん、それもやっぱり震災の影響が大きいのかな。
●はい。
MAH:「地震が起きて辛い中でSiMを聴いていました」と言ってくれる子が居たりして。本当に…逆にかける言葉もなくて「ありがとう」しか出てこなくて。あのとき、すごく変わりましたね。自分が作る曲がこんなに誰かのためになるんだなって。そういうことをすごく思って。「この曲を聴いて救われました」って。
●ああ〜。
MAH:俺、もっとひと言ひと言に気をつけなきゃとも思ったし。でも、だからといって、教科書通りのことしか言えない奴にはなりたくなかったから、だから今のような感じになったのかな。
●SiMのライブを観ていて思うんですが、MAHくんのステージングというか佇まいは、あまり他にない感じがするんです。存在感とか、一挙手一投足で魅せるところもあれば、すごく感情的になる瞬間もあったり。どういうヴォーカリストになりたいというイメージはあるんですか?
MAH:バンドで作る曲に関しても、好きなバンドっていうのはいくつかあって。俺はRANCIDが好きで、Deftonesが好きで、The Spacialsが好きでっていろいろあるんですけど、ひとつのバンドをずーっと聴いていられないんですよ。
●なるほど。
MAH:すぐ飽きちゃうんです。“なんでこのバンド重たくならないんだろう”とか、逆に“なんでこのバンドずっと重たいんだろう”って。
●好きだけどちょっと物足りないと。
MAH:そうそう。それをカバーするバンドを作りたくて今やってるんですよね。スカの曲なのにいきなり超重くなったり、また戻ったりして。“SiMのMAH”というキャラクターもそうで、憧れているヴォーカリストはいっぱい居るんですけど、例えばDeftonesのヴォーカルのチノ・モレノがすごく好きなんですけど、その人は結構パントマイムみたいなことをしたりとかして、すごくおもしろいんですよ。
●はいはい。
MAH:それをちょっと真似して、普通の人がしない動きとか、身振り手振りとかを採り入れて。でもなんか、もうちょっとエロさが欲しいなと思ったりして。マリリン・マンソンとかも好きですけど、ちょっとエグすぎるなと思ったり。そういう感じで、いいところ取りをしているというか、真似させてもらいつつ、それを磨いていったらこうなったんです。
●なるほど。
MAH:日本人のアーティストでは、SHOWという感じのライブをする人ってあまり居ない気がしていて。特にロックシーンでは。
●そうですね。
MAH:やっぱりライブじゃないですか。“生”じゃないですか。さらけ出すのが何よりかっこいいという風潮があるじゃないですか。
●ありますあります。
MAH:それは俺もかっこいいと思うんですけど、俺が自分でやりたいのはSHOWなんですよね。魅せる。だけど、SHOWだけだとライブには勝てないし、ライブだけだとSHOWには勝てないから、両方を兼ね備えたライブができないとダメだと思っていて。
●そういう感覚なのか。
MAH:だから俺らは基本的にSHOWなんです。決まっている動きもあるし、俺の身振り手振りとかもそうだし。だけど、どこかの瞬間に“何が飛び出すかわからない”みたいな感じを出したりとか。それは俺でいうと、すごくエモーショナルに「ギャーッ!」と叫ぶところだったり。そういうのってやっぱりSHOWだけだと出せないと思うんですよ。
●そうですね。
MAH:そうやって、基本はSHOWなんだけどライブ感もすごくあるっていうものを目指していて。だからそういうところが他のバンドのライブとは違うように見えると思うんです。
●確かに。
MAH:魅せる部分とかはヴィジュアル系の人たちとかすごいと思うんですよね。でもヴィジュアル系にはライブ感がなくて。そこは俺らの強みなのかなと思ってます。楽器陣がそういう雰囲気を出すのは難しいと思うので、自分がいろんな身振り手振りとか、動き方とか歌い方で表現したいなと思っています。
●そういう風なことを意識し始めたのはいつからですか?
MAH:ピンヴォーカルになってからですね。SiMは結成後2年くらいしてSHOW-HATEが入ってきたんですけど、そこで俺はギターを置いてピンヴォーカルになったんです。いきなりマイクだけになって、最初は何をしたらいいかわからなかったんですよ。でもなぜかわからないけど…たぶんそれはDeftonesのPVの真似からなんですけど…動きながらライブをしてみたらそれが「いい」と言われて。
●ふむふむ。
MAH:“なるほどな〜”と思って。マリリン・マンソンとかKornとか好きだったから、そういう動きをしながらレゲエとかをやるっていう感じを出していったらこうなっちゃった、みたいな。
●ということは、試行錯誤をしながら今のスタイルに辿り着いたんですね。
MAH:そうですね。でもここ3年くらいでやっと固まったんですよ。それまでは常に正解がわからなくて。というのは、やっぱりお客さんも居なかったから、下手にいかないといけなかったというか。MCとかも丁寧にしゃべって、ライブが始まったらいきなり「オラオラ!」となったり(笑)。そのバランスとかも、ちょっと前までは本当にどうしたらいいのかわかんなくて。
●そうだったんですね。
MAH:最近になって、お客さんがついて来てくれるようになって、常に自分が“こうだろう!”と思う感じで盛り上げられるようになったんです。
●間違ってないということが確認できたと。
MAH:そうですね。
●ライブ中は冷静なんですか?
MAH:超冷静ですね。常に何かを考えながらやっています。
●自分をさらけ出す瞬間はないんですか?
MAH:ないかもしれないです。それがSHOWなのかどうかはわからないですけど、冷静でいるべきだと思ってます。本当はきっと冷静じゃなくそれが全部できればいいんでしょうけど、まだその域に達していないので。“今日はこれができていないな”と思ったらそれをパッとやったりとか。毎回初めて観るお客さんって居るじゃないですか。逆に、毎回来てくれるお客さんも居て。だったら、毎回違う俺だとダメだと思うんです。
●はいはい。
MAH:だからその日の気分でというよりは、ある程度はMAHのステージングをちゃんとやっておきたいんです。その上で、アクションがもっと派手になったりとか、そこに言葉が乗ったりするのが“生”なんだと思うんです。
●なるほど。
MAH:いつ観てもある程度は同じなんだけど、それを超えてくることがある、というのが理想ですね。「今日は超グダグダだけど、こないだはクソかっこよかった」みたいなバンドにはなりたくないんです。それじゃあダメな気がしていて。
●へぇ〜。
MAH:「さらけ出すことがいちばん」という考え方は俺はなくて、やっぱりお金を払ってもらう以上、常にある程度の一貫性はないといけないと思うんです。
●このシーンでは結構珍しいかもしれないですね。
MAH:そうですね。そういう話をバンドマンにして「そうだね」と言われたことは今まで一度もないです(笑)。特にライブをいっぱいやっているメロディックの人たちとかには、最初は「ダサい」とか「作りすぎだよ」と言われたりもしたんです。でも一発目で「すごいね」と言ってくれる人も居るし。そこは難しいんですよね。「ダサい」と言った人も、何回か観ているうちに「やっぱりいいかも。そういうのもアリなんだね」と言ってくれたりすることもあって。
●ほう。
MAH:メロディックの人はやっぱり“生”であることがいちばんかっこいいと思うだろうし、俺も観ていてかっこいいと思うし。でも自分でやるとしたら違うだろうなっていう感覚です。Tシャツ短パンで、髪もちょっとドライヤーした程度ではステージに上がりたくないし。
●そうなんですね。
MAH:今はスタッフが居てくれているので、セッティングとかも自分ではやらないんですけど、ひたすら引っ張って、SEが鳴ってからやっとステージに登場して「本物だ!」みたいな感じが俺は理想なんです。じゃなきゃ夢もないし、そういうバンドが今まで好きだったから。
●そうか。さっき言っていたように、自分が好きだと思うバンド像を、自分で体現しているんですね。
MAH:そうです。外タレってやっぱりそういうところあるじゃないですか。Slipknotとかマリリン・マンソンを観に行ってて“すげぇかっこいい!”と思ったのは、そういう作り込まれた世界だったから。異次元な感じとか。
●うんうん。
MAH:Rage Against the Machineとかも好きだから、生な感じも好きなんですけどね。
●日本のシーンですごいと思うヴォーカリストは誰なんですか?
MAH:10-FEETのTAKUMAさん。BRAHMANのTOSHI-LOWさん。RIZEのJESSEくん…あの人たちはすごいし、それが“恐いな”っていう気持ちに繋がるんです。“この人は恐ろしいな”って。
●現時点では勝てない3人ですか?
MAH:うん…勝てないですね(笑)。JESSEくんが去年の“京都大作戦”のとき、ステージ上にお客さんを上げてしまったじゃないですか。
●観てました。50人くらいステージに上がっていましたよね。
MAH:JESSEくんのすごいところって、1ステージ中に1回も「RIZEです」って言わないんですよ。すべて「ロックバンドです」と言ってたんです。帰るときも「ロックバンドでした」と言ってステージを去って。それがめちゃくちゃかっこよくて、あれを観た瞬間に“勝てねぇな”と思いました。自分だったら「SiMでした」って言っちゃうし。「ロックバンドでした」って出てくるかなって。でもきっとJESSEくんはその場で出した言葉だろうし…とすげぇ思って。
●うんうん。
MAH:歌はぶっちゃけ人それぞれだと思っているんですけど、ヴォーカリストとして、人間としてその3人はすごいなと思います。ずば抜けてるなって思います。
●その3人って、ステージに上るまでの24時間も全部繋がっているんじゃないかなという印象が僕はあるんですが。
MAH:そうかもしれないですね。ステージを降りてもかっこいいんですよね。あそこまで行くにはどうすればいいんだろう? ってすごく考えてしまいます(笑)。
●ハハハ(笑)。
MAH:積み上げてきたものなんだろうなって。TAKUMAさんとかは特に、いろいろと悩んだんだろうなってすごく思うし、でも今はきっと正解が見えてるんだろうなって。TOSHI-LOWさんは1回くらいしかしゃべったことないんですけど、アンテナの張り方とかすごいと思います。全然そうは見えなかったんですけど、俺の雑誌の連載をチェックしてくれてたりとか。「マジっすか」ってびっくりして。まさかTOSHI-LOWさんに見られるとは思っていなかったので適当に書いてたんですけど(笑)、TOSHI-LOWさんに「連載見たぜ」と言われて「ええっー!?」って。
●ハハハハ(笑)。
MAH:マキシマム ザ ホルモンの亮くんとかも「MAHこないだTwitterで書いてたあれ何なの?」って。「見てんのかよ!」ってびっくりして。TAKUMAさんもそうだけど、アンテナの張り方はすごいなと思います。「どこでそんなこと知ったんだろう?」とびっくりするようなことを知ってたり、あのレベルに居て、俺らみたいな後輩をちゃんとチェックしてくれてるのってすごいなと。そこまでいったらもう自分のことだけやってればいいのかなって思っていたけど、あの人たちはやっぱり常にアンテナを張っていて、見習わないといけないなって。
●きっとそういう意識が今の活動に繋がっているんでしょうね。
MAH:そうですよね。マキシマム ザ ホルモンもいちばん最初に俺らを呼んでくれたのは、それこそ昔のメンバーで、客なんて全然居ないときだったんです。それでも誘ってくれて「え? SiMを知ってるの?」って驚いたんです。それくらいのレベルだったけど、それくらいのバンドを平気で呼んでくれるところとか、超かっこいいなと思うし、見習わなきゃなって。そういうのが活性化に繋がるっていうか。
●続いているバンドってそういう意識を常に持っていますもんね。
MAH:そうなんですよね。すごいなって思います。
●そして“OUTBURN TOUR 2013”は盟友といえるcoldrainとダブルヘッドライナーを務めるわけですが、どんなツアーにしようと思っていますか?
MAH:やっぱり兄弟であり、最大のライバルであるcoldrainと、約1年ぶりのツアーですからね。こうやってまわれるのはすごく燃えますよね。
●やっぱり燃えますか。
MAH:去年の“TRIPLE AXE TOUR”と比べて規模もちょっと大きくなっていますし。結局今回は9本一緒にまわることになって、あいつらはアメリカ帰りでアルバムが控えていて、俺らもシングル出すのが控えていて。
●そうですね。
MAH:お互いのリリースツアーの前にこうやってまわるって、すごい巡り合わせだと思うんです。ROTTENGRAFFTYとUZUMAKIとNEW BREEDは先輩ですけど、みんな若いけど実力は超ある人たちと各地で一緒にできて。シーンが盛り上がったらいいなと思います。
●うんうん。
MAH:「こういうツアーに俺らも出たい」と若いバンドが思ってくれるようなツアーにできたらいいなと思いますし。…問題はcoldrainがどういうライブをしてくるか。
●ハハハ(笑)。
MAH:気になりますね。あいつら、アメリカ帰りだしちょっと調子に乗ってると思うんですよ(笑)。
●前号のインタビューでMasatoくんが言ってましたけど、次の新作は今までとちょっと違うテイストになっているらしいですよ。もう聴きました?
MAH:いや、まだ聴いてないですけど、まあ言ってもcoldrainですからね。“こういう感じなんじゃねぇのかな?”と想像はしてますけど。
●ハハハハハ(笑)。
MAH:特にDr.Katsumaとかはアメリカ帰りで調子に乗っていると思うので、ちょっと鼻をへし折ってやろうかなと思ってます。
●楽しみですね。
MAH:それにファイナルの渋谷AXとかはまだやったことがないハコなんですよ。
●え? AXでライブをしたことはないんですか?
MAH:ないんです。だから緊張するし、燃えますね。coldrainと一緒にまわるようなこういうツアーだと、毎日ライブが終わったあとで、お互い「あそこがよかった」「ここがダメだった」と言い合えるんですよ。それもすごく楽しみです。そういう機会ってやっぱりあまりないので。
●案外そういうのってないんですね。
MAH:つい最近までHEY-SMITHとCOUNTRY YARDと一緒に東北をまわっていて、5日間で4本やったんです。そういう感じで、同じバンドと移動も含めて一緒にやるのがかなり久しぶりだったんですよ。で、すごく良かったんですよね。「仲間っていいな」って。
●うんうん。
MAH:だから今回の“OUTBURN TOUR 2013”なんて、約1ヶ月まるまるcoldrainと一緒に居るので…ここで一皮剥けることができたらいいんですけどね。それで自分たちのツアーに繋げられたらすごくいいと思う。
●そういう意味でも勝負のタイミングですね。
MAH:そうですね。coldrainはアメリカから帰ってきて1本目が台湾で、その次がこのツアーだから最初の新潟GOLDEN PIGS REDとかはいいライブになると思うんですよ。でも俺らが絶対にそうはさせない。
●ハハハ(笑)。既に闘っている(笑)。
MAH:こうやって言えるのも、やっと俺らがあいつらの居るステージに立つことができたからなんだろうなって。それも、俺らが全然売れてないのにcoldrainがずっとツアーで誘ってくれていたからなんだと思うし。それもすごくありがたいし。かと言って負けたくはないので…闘いですね。
●闘いですね。いいですね。
MAH:お客さんもcoldrainとSiMを観に来てくれる人も多いと思うし。そういう意味でも勝負っていう感じですね。
●この両バンドを知っている人からしたら、ガチのツアーだということはわかるだろうし。
MAH:そうですね。仲良しツアーじゃないということはもうお客さんもわかっていると思う。楽しみですね。
Interview:Takeshi.Yamanaka