2019年に結成20周年を迎え、前半戦と後半戦の20周年記念ツアー及び京都の真言宗総本山・東寺でのワンマンライブを大成功させ、シングル『ハレルヤ』と20周年記念トリビュートアルバム『ROTTENGRAFFTY Tribute Album 〜MOUSE TRAP〜』をリリース。冬の風物詩となった“ポルノ超特急2019”で熱い2日間を作り上げた、響く都のROTTENGRAFFTY。彼らの20年間を網羅したAll Time Best Album 『You are ROTTENGRAFFTY』が、この度3/18にリリースされる。一歩も立ち止まることなく加速する彼らの“未来”を知るべく、昨年JUNGLE☆LIFE誌面に掲載した『20年目の全メンバーソロインタビュー』に続く全メンバーソロインタビューを敢行。ベストアルバムを通して彼らの20年間を振り返りつつ、21年目、そして5人が見据える“未来”について訊いた(※当インタビューは2/24に実施いたしました)。
NOBUYA(Vo.)
N∀OKI(Vo.)
KAZUOMI(G./Programming.)
侑威地(Ba.)
HIROSHI(Dr.)
「ワクワクしながら歌詞を書いたり、レコーディングしていました。まさかリリース前にあんなに盛り上がるとは思っていなかったので、そこも想定以上だった」
●昨年は20周年イヤーということで、前半戦と後半戦に分けたツアーもあり、色々と慌ただしい1年だったと思うんですが。
NOBUYA:でもやっぱり自分でやると決めたことなので。そこに乗っかったくれた周りの人たちが居たのが大きかったですね。それと、自分が想定していたよりも1つ1つの活動がうまくハマったなと思っていて。
●というのは?
NOBUYA:全てがよかったんです。ライブにしても音源にしても、“ポルノ超特急”にしても、噛みしめるものが多かった。俺らだけの歯車じゃなくて、色々なところとの歯車の合致が全て上手くいったんです。なのでやることは多かったですけど、忙しいとは感じなかったですね。
●2018年の武道館までは、“武道館に向けて”という大きな目標を立てて2年くらい走ってきたじゃないですか。それを経た上で、2019年を描いていた?
NOBUYA:はい。振り返ってみると、2018年の方が想定してたものより過酷な部分もあり、上手く回らないことも多かったんです。でも2019年はいい感触ばかりでした。
●昨年の20周年イヤーで、印象に残っていることはありますか?
NOBUYA:うーん…。
●ん? どうしました?
NOBUYA:あまり松原(パインフィールズ/610inc. 松原社長)の名前を出すのは嫌なんですけど…。
●それはなぜですか?
NOBUYA:死んだ奴にしがみついて生きているように見えるのが嫌なんです。
●その気持ちはすごくわかります。
NOBUYA:まあでも、どうしても松原の話になっちゃうんですけど…2018年は武道館のことや、47都道府県ツアーのことは松原込みで話し合っていたんですよ。その流れで2019年のことも話し合っていて。2018年は過酷でしたけど、なんとなく武道館をやりきれる自信みたいなものがあったんです。それは松原の中にもあったと思うんですよ。
●はい。
NOBUYA:それよりも2019年の20周年ツアー後半戦、全国のZeppと各地域のデカ箱、そっちの方が怖かったんです、俺も松原も。当然の話なんですけど、全キャパの人数を合わせたら武道館よりも多いんです。果たしていい形で新曲のリリースを発表出来て、その新曲がフックになってお客さんを集められるのかどうか。…という不安がありました。
●そういうことですか。
NOBUYA:でも2018年に想像していた2019年のプランが、想定以上に歯車が噛み合ったんです。意味があるものを生み出せて、与えてもらって。すごく幸せな2019年でした。
●なるほど。新曲「ハレルヤ」はリリース前からライブでもやっていて、そのときからお客さんからの反応がすごくよかったじゃないですか。自分たちの感触的にはどうですか?
NOBUYA:KAZUOMIからデモが送られてきた時点で「よっしゃ勝った! KAZUOMIやりやがったな!」という気持ちでした(笑)。なんとかいい形で歌も録り終えて、これがリリースできたら、「金色グラフティー」を超えるROTTENGRAFFTYの代表曲になる感覚がありました。だからずっとワクワクしてましたね。ワクワクしながら歌詞を書いたり、レコーディングしていました。まさかリリース前にあんなに盛り上がるとは思っていなかったので、そこも想定以上だったところです。
●あの曲は今後のROTTENGRAFFTYの生き方を宣言するような歌詞の内容になってると思うんですが、今のタイミングで、ああいう曲がライブのアンセムになるということはとてもいいことですよね。
NOBUYA:俺もそう思います。
●昨年末の東寺でのワンマンはどうでした?
NOBUYA:以前から神社仏閣でライブをすることがとても似合うバンドだなと思っていたんです。だから「やんちゃなロックバンドが神聖な場所でライブをする」というアイディアは持っていたんですけど、なかなか言い出せなくて。まさか実現するとは思っていなかったんです。
●アイディアとしてはいつ出たんですか?
NOBUYA:2018年に、20周年にちなんで20個の企画をやるという話があったんですよ。そのときにKAZUOMIが言ったんです。
●あ、KAZUOMIくん発信だったんですね。
NOBUYA:俺もやりたいと思っていたんですけど、実現的じゃないと思っていた。東寺側に俺らの資料や音源を持っていったときに、絶対嫌がるだろうなと(笑)。俺はその発言をすることはすごく勇気が要ることだったので、“KAZUOMI言ったか!”という感じでしたね(笑)。
●なるほど。
NOBUYA:そこからスタッフチームが動き出してくれたんですけど、なかなか感触が良くて。自分が思い描いていたものがどんどん現実味を帯びてきたんです。ROTTENGRAFFTYのファンの人も、ただロックが好きな人も、俺らが東寺でライブをすることに驚いていて。その反響もすごくリアルに届いていたし、さっき言った歯車が噛み合った感覚がありましたね。
●そして東寺の1週間後に“ポルノ超特急2019”がありましたよね。2日目のROTTENGRAFFTYの本番前、NOBUYAくんは「ハッピーな感じで終わりたい」と言っていましたが、実際そうなりましたよね。
NOBUYA:そうですね。いい感じの力の抜け具合と、気合いのバランスがすごくよかったです。
●1日目は鬼気迫るステージで、2日目は多幸感に包まれていて。2日間のライブのコントラストがはっきりとしていて、ROTTENGRAFFTYが持つ両面を見ることができた気がしたんです。
NOBUYA:でもこればっかりは意図して出るものではないんですよね。1日目は「俺らの仲間は全員かっこいいけど、その中でも俺らがいちばんかっこいい」という気持ちでした。じゃないと会場にいる人が納得しないのかと思って。マキシマム ザ ホルモンのナヲとダイスケ(はん)が力を貸してくれことも大きかったし。だから2日間とも幸せでしたね。20周年だからこそ集まってくれたメンツだと思うし、自分たちが思い描いた“ポルノ超特急”の何倍もの楽しさと幸せに満ち溢れていました。それを噛み締めながら、逆に数日後には“これは危険だな”と思ったんです。
●ん? 危険というと?
NOBUYA:今回はよりROTTENGRAFFTYに近いバンドに集まってもらったじゃないですか。そのテーマも自分で決めてやらせてもらって、タイムテーブルを組んだときに“これはお客さんやライブハウスが好きな人にとっても楽しいだろうな”と、自分でもワクワクしたんですよ。
●はい。
NOBUYA:でもこれを1回やってしまうと、1つの形になってしまう気がしたというか。同じことを来年も再来年もやると、今後バンドとしてぬるま湯に浸かるというか、成長できないという危機感を持ったんです。
●なるほど。マンネリというか、形を作ってしまうことに対しての危機感。
NOBUYA:去年は20周年だったので、こういう“ポルノ超特急”でよかったと思うんです。でもここで終わりじゃないので、じゃあ今年はどうしようかというのが大切で。
●毎年塗り替えていかないといけない。
NOBUYA:今年2月にcoldrain主催の“BLARE FEST.”に出たんですけど、彼らも大きいところでやるのは初めてだったじゃないですか。俺らも“ポルノ超特急”を大きいところで初めてやったときは感動するものがあったんです。なので今年もまた“ポルノ超特急”をやらせてもらえるのであれば、またチャレンジしている姿を見せたい。
●常に120%を目指さなければいけないということですね。
NOBUYA:そうですね。声をかけたら出てくれるバンドもありがたいことに居ると思いますけど、そこに甘えたらダメですね。チャレンジしたいです。
●もし今年の“ポルノ超特急”が開催されるのであれば楽しみですね。
NOBUYA:はい。チャレンジした答えを出せていたらいいですし、それを見えるような形で伝えることができたら嬉しいです。
「ちゃんと理解してくれて、投票してくれたんでしょうね。そこまでROTTENGRAFFTYをちゃんと聴いてくれているのがすごく嬉しかった」
●今回リリースするAll Time Best Album 『You are ROTTENGRAFFTY』に関しては、どのタイミングで決まったんですか?
NOBUYA:それも去年ですね。『ハレルヤ』を出すという話の段階でベスト盤の話がありました。正直なところ、俺がまだバンドを始める前は、好きなバンドがベスト盤を出すと冷めていたんですよね(笑)。
●ほう。
NOBUYA:そのベスト盤に入っている音源は既に持っていたし、レコード会社との兼ね合いとかでリリース稼ぎとかなのかな? って(笑)。当時はお金が無いながらに、好きなバンドのCDを買うことがステータスだった部分もあったんです。でもベスト盤は好きじゃなかった。
●なるほど。
NOBUYA:その後、今はバンドをしていて、バンドが自分の人生になっているじゃないですか。この歳になって、自分が若いときに好きだったバンドの曲を聴きたくなるときがあるんですよ。そういうときってベスト盤を買うんですよね。そこで「あ、そういうことか」と(笑)。
●ふふふ(笑)。
NOBUYA:ROTTENGRAFFTYを好きな若い人たちが少し大人になって、ROTTENGRAFFTYから離れているとするじゃないですか。そのときにたまにROTTENGRAFFTYを思い出して、“最近は音源も買ってないし、ライブにも行っていないけどベスト盤買ってみるか”となってくれたらめっちゃ嬉しいですよね。
●うんうん。
NOBUYA:今作は、ROTTENGRAFFTYを現在進行系で好きな人たちが、“今のROTTENGRAFFTYはこの曲がとくにヤバい”と感じてリクエストしてくれたわけじゃないですか。それがいちばんリアリティがあるし、今のROTTENGRAFFTYのファンの人が昔のROTTENGRAFFTYのファンに対してのアンサーにもなると思うんです。俺らがセレクトした楽曲も、俺らからのアンサーになったらいいなと思います。
●ベスト盤に対しての考え方が変わったと。
NOBUYA:はい。そういう価値観ならかっこ悪いことじゃないなと。
●ところでDisc3:ボーナス・ディスクのトリビュート参加楽曲を集めた盤は、NOBUYAくんのアイディアだったらしいですが、よく集まりましたよね。
NOBUYA:そうですね(笑)。去年俺らのトリビュートアルバム『ROTTENGRAFFTY Tribute Album ~MOUSE TRAP~』を出して、俺らも色々参加させて頂いているのでそれを集めた作品にするのもいいなと思ったんです。もしくは、シングルに入ってるカップリング曲を作品として形にしたかった。でもまさかこっちの案が通るとは思っていなかった(笑)。カップリングの方がやりやすいはずなのに(笑)。
●本当にビクターの方はよく集めてくださいましたよね(笑)。今作の中で、20年間を振り返ったときにNOBUYAくんが想い入れのある曲はどれなんですか?
NOBUYA:「暴イズDE∀D」ですね。録り直しが終わったときにKAZUOMIが「やっぱり「零戦SOUNDSYSTEM」にしとけばよかったかな」と言ったんです。それも一理あるんですけど、俺は「暴イズDE∀D」でよかったと思っていて。
●はい。
NOBUYA:「暴イズDE∀D」はROTTENGRAFFTYの中で初めて手応えがあった曲なんです。アレンジを考えているときも楽しかった。俺はhideさんがすごく好きなんですけど、hideさんは亡くなる前に「ROCKET DIVE」、「ピンクスパイダー」、「ever free」を出したんです。俺にとって「暴イズDE∀D」は「ever free」なんですよ。
●おお、なるほど。
NOBUYA:段々と出来上がってきて、この曲がヤバいものになりそうな気がしていたんです。なので自信を持ちながらこのシングルを出したんですけど、想像以上にみんな買ってくれたんですよね。そのうちの1人に、UVERworldのTAKUYA∞も居たんですよ。
●すごい!
NOBUYA:なのでこの曲がROTTENGRAFFTYを広める第一歩になった気がするんです。
●2001年くらいですか?
NOBUYA:そうですね。それまでもCDを出していましたけど、ただやんちゃなだけだったというか(笑)。でも「暴イズDE∀D」を出したときは、ROTTENGRAFFTYに色々な可能性を見てくれた人が居るんじゃないんかなと思います。
●当時のNOBUYAくんは、ROTTENGRAFFTYをどういうバンドにしたいと思っていたんですか?
NOBUYA:その頃はHi-STANDARDの全盛期の少し後で、“ライブハウスシーンはこういうもの”ということを、みんながHi-STANDARDから学んでいたんです。
●そうですね。
NOBUYA:でも逆にHi-STANDARDがやらないような、テレビ出演や大きい会場でライブをするということを俺らはやろうと思っていた。一方でN∀OKIはHi-STANDARDのそういうマインドを継承しているタイプだったので、上手くバランスを取って、N∀OKIの言ってることも俺の言っていることもやっていけば、新しいバンドとしての形ができると思っていましたね。
●そういう中で「暴イズDE∀D」は未来を拓いてくれた。
NOBUYA:この曲でもっとROTTENGRAFFTYを知ってくれている人を増やすことによって、色々なライブハウスを満員に出来たり、媒体が取り上げてくれたりするんじゃないかなと。夢や未来が見えるような楽曲だと思います。
●この曲の構成とか、曲が持っている要素は、今のROTTENGRAFFTYにダイレクトに繋がっている気がするんです。
NOBUYA:そうですね。今回のリテイクも楽しかったですね。“なんでそんなイキりながら歌ってるの?”と自分で聴きながら思ったんですけど(笑)、KAZUOMIは「その根拠のない自信からくるがっついてる感じを出したい」と言っていました。やっぱり恥ずかしかったけど(笑)。
●ふふふ(笑)。
NOBUYA:歌のスキルがなくて当時できなかったことが、今回はできていたりするので、そこも楽しかったです。あとは、流通はしていない「日進月歩」を入れたいとずっと言ってきたので、それが今回入ったのも嬉しいですね。
●「日進月歩」はネットにライブ映像が残っているじゃないですか。NOBUYAくん、タンクトップでライブしていたんですか?
NOBUYA:そうですね。しかもあの当時はタバコ吸いながらライブしてる(笑)。
●絵に描いたようなヤンキーだ(笑)。
NOBUYA:SEが流れてタバコ吸いながら登場しているんですよ(笑)。
●タバコ吸いながらタンクトップで登場(笑)。
NOBUYA:頭イカレてますよね(笑)。あとはファンリクエストの1位が「金色グラフティー」じゃないということもびっくりしましたね。
●それは他のメンバーも言ってました。
NOBUYA:「THIS WORLD」が1位なこともびっくりしたんですけど、何より「I Believe」、「Familiarize」、「アイオイ」の3曲がランクインしていることにも驚きました。ROTTENGRAFFTYは、KAZUOMIが曲のプランや構成を考えているじゃないですか。
●そうですね。
NOBUYA:そこに乗っかるのも楽しいし、それに対してまたアイディアを出すのも好きなんです。KAZUOMIが出してくる曲の中で、今回の「ハレルヤ」みたいにガンガン攻めているROTTENGRAFFTYっぽい曲も好きなんですけど、ミディアムテンポのロックバラードが俺はめっちゃ好きなんですよね。なのでお客さんが俺の感覚と同様に、その魅力を感じてくれて投票してくれたのがすごく嬉しかった。
●なるほど。ライブで盛り上がるところだけじゃなくて、ROTTENGRAFFTYが持つ色んな側面を愛してくれている。
NOBUYA:そういう位置づけの3曲が入っているなんて嬉しいです。
●歌詞の内容も含めてきちんと伝わっているからこそでしょうね。
NOBUYA:ちゃんと理解してくれて、投票してくれたんでしょうね。そこまでROTTENGRAFFTYをちゃんと聴いてくれているのがすごく嬉しかった。
「まずは俺が入口をやって、そこからこの濃いキャラクターを見つけてもらう。それでトータル的にROTTENGRAFFTYのことが好きになってもらえたらいい」
●ヴォーカリストとしては20年間でどのような変遷を辿ってきたと思いますか?
NOBUYA:いちばん目指しているのは、曲を作っているKAZUOMIに「お前の歌は最高だな」と思ってもらえることですね。そこが始まりじゃないと世の中にリリースできないので。「やっぱりNOBUYAの声じゃないとダメだ」くらいに思わせられたら、自分の役割が果たせていると思います。
●はい。
NOBUYA:それと…また松原の話になりますけど…何年か前に「ROTTENGRAFFTYを知らない人たちのROTTENGRAFFTYへの入口は俺がやる」と松原に言ったことがあるんですよ。そしたら松原が「それはNOBUYAくんに言おうと思っていた。でも入口になるということは嬉しい言葉も投げかけてもらえるけど、何かあったときにいちばん攻撃される。それができる?」と言われて。でもそのタイミングでやっていかないと今後もROTTENGRAFFTYは広まっていかないし、誰かがその役割を担わなくちゃいけないのなら俺がやろうと思ったんです。
●そういう決断があったんですね。
NOBUYA:そのときからバンドの入口としてのポジションをやっていたんですけど、やっぱりROTTENGRAFFTYはヴォーカルが2人居るので、世間の人は戸惑うと思うんです。メディアやSNSの入口は俺がやろうと思っていたので、ライブでは俺は一歩引いて、N∀OKIがガンガン前に出て煽ったり、メッセージを伝える役割をすれば辻褄が合うんじゃないかなと。俺はライブのときのN∀OKIはヴォーカリストだと思っていないんです。
●え? なんだと思っているんですか?
NOBUYA:スクリーマー(笑)。
●ハハハ(笑)。
NOBUYA:彼は最前列に向かってど真ん中から突進していくようなタイプで、ライブのときのお客さんの視線はN∀OKIに向けたいんです。歌詞の内容やメロディやテンポを伝えるのは俺の役割。そういう風にすれば二枚看板のように認知してもらえるんじゃないかなって。
●それを決めたときから、NOBUYAくんはほとんどMCをしなくなったんですか?
NOBUYA:そうですね。俺も当然その日に対して色々な想いを持ってステージに立っているんですけど、とりあえず歌を届けたい。
●でもNOBUYAくんはライブで、ひと言だけですけど重要なことを言いますよね。
NOBUYA:それだけでいいかなって。そこに感づいてくれる人が居たら嬉しいですけどね。でもライブに関しては、N∀OKIが前に出てくれないとROTTENGRAFFTYじゃないから。それをここ数年間より強く思っていますね。
●うんうん。
NOBUYA:人を引っ張っていく力というのは、わかりやすくないとダメだと思うんですよ。そこがまだまだだったかなって。
●ツインヴォーカルで始まったバンドだけれど、ツインヴォーカルだからこその試行錯誤があったんですね。
NOBUYA:そうですね。昔はやんちゃだったのもあって、そんなことも考えていなかった。「ツインヴォーカルっておもしろそう」くらいのスタートだったんです(笑)。みんな最初は珍しいと思ってくれていたけど、キャリアを重ねていくと「結局こいつらは何?」ということで終わっていたような気がするんです。そこにもっと早く気づくべきだったんですけど、全然気がつかなかった。ツインヴォーカルに関してはまだまだ試行錯誤すべきところがありますけどね(笑)。
●でも今はNOBUYAくんとN∀OKIくん、それぞれのキャラが認知されていますよね。
NOBUYA:だからそれを強めていくしかないんですよね。それがおもしろいと思ってもらえているから、やっぱりあのとき松原と話したことは正解だったんですよ。なので俺はまずお客さんを呼び込む。そこからライブで“すごいアツい奴いるな”と思ってもらってN∀OKIに興味を持ってもらったり、ギターを弾いていたのに突然客席に飛び込むKAZUOMIのファンになってもらいたい。まずは俺が入口をやって、そこからこの濃いキャラクターを見つけてもらう。それでトータル的にROTTENGRAFFTYのことが好きになってもらえたらいいですよね。
●自分=ROTTENGRAFFTYになっているからそう思えるんでしょうね。
NOBUYA:当然そうですね。ROTTENGRAFFTYが大事なんです。この5人でROTTENGRAFFTYなんです。前にも言いましたけど、俺はROTTENGRAFFTY以外でバンドをやる気はないんですよ。20年経ってもそう思ってる。ROTTENGRAFFTYが終わったら、俺の音楽人生は終わるので。21年目になってもそう思えていることは、自分でも強いなと思います。
●素晴らしいですね。21年目以降はどういう風に進んでいこうと思っていますか?
NOBUYA:また松原の話になっちゃうんですけど(苦笑)…松原と約束していることが何個かあるんです。
●約束?
NOBUYA:武道館をもう一回やることと、“ポルノ超特急”をやっている京都パルスプラザでワンマンがしたい。その2つは約束を果たせていないんです。去年にデカ箱ツアーをやって、その約束は果たせたんです。ずっと怖がっていたけど、あいつがいなくてもやれた。残りの2つの約束を果たすのは来年、再来年とかではなくて、いつかでいいんです。その約束を叶えないと自分の中に悔いが残るんですよね。
●はい。
NOBUYA:今からROTTENGRAFFTYが進んでいく中で、例えば子供の頃に「HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP」を観ていたじゃないですか。メンバーも全員ダウンタウンが好きだし、いつか俺らも出てみたい。そういう夢がある。最近はWANIMAが紅白歌合戦に出たりとかして、ROTTENGRAFFTYが紅白歌合戦に出たらおもしろいだろうなとも思う。でも、その2つの約束の方が俺にとっては重いんですよ。何年かかってもいいから、その約束は果たしたいですね。これをやらずにバンド人生は終われないという感じで生きています。
●いい目標ですね。
NOBUYA:俺自身もいい目標だと思っているんですけど、これを“松原との約束だから”という目で見て「そんなストーリーがあるなら観に行こうかな」と思われるのが嫌なんです。そのときの俺らの実力でやりたいので。
●でも、そこまで明確に生きる目標を持っている人はあまりいないと思うんです。生きる意義というか。たとえ2人の間だけの約束だったとしても、それをNOBUYAくんが目標にしていることは素晴らしいことだと思います。
NOBUYA:あいつよく言っていたじゃないですか。“結果を決めて努力で帳尻”って。あいつと約束していることはまさにそのとおりだなと思います。
●そうですね。
NOBUYA:あとは年齢のこともありますよね。いい歳になってきたので。今のパフォーマンスを50歳になってもできるのかと問われてもたぶん無理だろうし。そのための努力は惜しまない。50歳になってから声が出ていないと思われたくないですしね。それは自分の美学に反するし、そんな姿でステージに立ってお金もらおうなんて思わない。自分が目標としている夢もあるので、まだまだやめれない。
●あと、この20年間でNOBUYAくんが刺激をもらった人で、印象に残っている人は誰ですか?
NOBUYA:難しいですけど、パッと思い浮かんだのはやっぱり同期のバンドですね。でもやっぱり腹立つので名前は言いたくない(笑)。想像してもらっている通りだと思います(笑)。
●はい(笑)。
NOBUYA:自分が京都に生まれて、何故かこの5人が集まって始めたバンドが21年目に差し掛かっている。そのときに誰がROTTENGRAFFTYの傍で叱咤していてくれていたかと言ったら、1つしか居ないですね。いつか「ROTTENGRAFFTYには参りました。勘弁して下さい」と彼らに言わせたいんですよ(笑)。バンドを続けている意味というのはそこもありますかね。
●そこはNOBUYAくんの原動力になっていますよね。
NOBUYA:言葉にはしなくても、大事な存在ですね。腹は立ちますけど(笑)。
●そういう負けず嫌いなところは20年間まったく変わっていないですか?
NOBUYA:変わっていないと思います(笑)。俺らの同期ってもっといたじゃないですか。Hi-STANDARDに憧れてバンドを始めたやつらも、俺みたいにビジュアル上がりでロックバンドを始めたやつもいた。そいつらがどんどん潰れていく度に“ざまあみろ”と思ってました(笑)。
●ハハハ(笑)。
NOBUYA:でも何年後かに久々にバンドを辞めた友達に会って、「今こういう仕事しているけど、ROTTENGRAFFTYが今でもバンドをやってるのがすごく力になってる。CDも買ってるよ」とか言われたら泣きそうになるじゃないですか。“ざまあみろ”とか思っていたのに、突然そんなこと言われると(笑)。でも自分が勝手に怒っていたことですけど、自分の活力になっているので、負けず嫌いなのはいいことだと思ってます(笑)。
●そうですね。
NOBUYA:だから同期がバンドを続けていようが辞めていようが、自分の近くに存在してくれていることが、自分の活力になっているんでしょうね。
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「共演者がいいライブをすればするほど、超えていけるものなんですよね。だから去年の“ポルノ超特急”は、今まででいちばんよかった」
●20周年のツアーはどうでしたか?
N∀OKI:充実してましたね。2018年に武道館をやりきって終わったときに一瞬だけ燃え尽きた感じがあったんです。そのままで迎えた20周年だったんですけど、なんだかぼんやりしていて。
●あら。
N∀OKI:加速しなくちゃいけないのはわかっていたんですけど、頭に身体が追いついてきていなかった。エンジンがかかるのは遅かったですね。
●N∀OKIくん的には武道館が大きかったんでしょうか?
N∀OKI:そうですね。自分たちの最大規模ということもあって、いちばん大きな目標だったんですよね。それで年末に“ポルノ超特急”が終わって、あっという間に20周年ツアーが始まった。最初はぼんやりとしていたけど、だんだん力が入っていったかな。
●間があまり空いていなかったから気持ちの切り替えができなかった。
N∀OKI:こういう生活ができるのは当たり前じゃないと思っているんですけど、目に見えてわかるルーティーンに戸惑っていました。
●その気持ちはどうやって切り替えたんですか?
N∀OKI:だんだん自分で20周年を自覚してきて、ライブを重ねるごとに切り替わっていきましたね。だんだんよくなってきて、4月に北海道に行ったときに松原が亡くなった。そのときの対バンがcoldrainで、言葉にはしないけど向こうにも情報は入っているだろうから、すごく俺らを盛り立ててくれた。バンド仲間のアツい絆みたいなものはやっぱりいいなと思いました。
●うんうん。
N∀OKI:北海道で3箇所まわって、その間に1回神戸に行って松原の顔を見にいったんです。悲しいけどそれにしがみついている暇なんてなかった。なので“切り替えよう”という気持ちになっていました。下を向いていてもしょうがないし、今決まっていることをフルスイングでやることが松原への弔いだと思った。塞ぎこんで泣きじゃくる歳でもないし、松原がいなくなることは遅かれ早かれ分かっていたので。奇跡を信じていたけど、そうなってしまった以上は前に進まないといけないなと。
●はい。
N∀OKI:そこでcoldrainに気持ちを押し上げられましたね。あのタイミングの対バンがcoldrainだったのがすごくよかったです。
●なるほど。昨年の“ポルノ超特急2019”は今まででいちばんよかったと思ったんですが、N∀OKIくん的にはどうでした?
N∀OKI:僕もそう思います。去年のベストライブで上位5本には入るんじゃないですか。
●1日目の金閣ステージのROTTENGRAFFTYのライブ、「マンダーラ」でみんなのスイッチが入ったような気がしたんですよ。あのときのことは覚えてますか?
N∀OKI:はい。「マンダーラ」で歌詞が飛びました(笑)。
●え! そうなんですか?
N∀OKI:「うわ! 飛んだ!」って(笑)。珍しいんですけどね。そのときの感情で別の言葉で持っていったんです。でもずーっと熱量がすごくあったんですよね。昨年の“ポルノ超特急”はド直球で昔から仲のいいメンツが多かったから、いつも以上にすごくデカいライブハウスの感覚がありましたね。
●2日目はどうでしたか?
N∀OKI:Dragon Ashの「マンダーラ」にゲスト出演したとき、また歌詞が飛んだんですよね(笑)。これは言い訳ですけど、頭から歌わないと飛ぶんですよ(笑)。
●ハハハ(笑)。
N∀OKI:あまり「マンダーラ」で歌詞が飛ぶことは普段ないんですけど、2日連続ですからね。Dragon Ashの「マンダーラ」で感動した人が多かったと聞くんですけど、歌詞が飛んでそれどころじゃなかった(笑)。でもDragon Ashのライブが素晴らしかったのは確かです。
●トリビュートアルバム『ROTTENGRAFFTY Tribute Album ~MOUSE TRAP~』をリリースしてからの“ポルノ超特急”というのも大きかったですよね。
N∀OKI:そうですね。2日目はトリビュートのメンバーが多かったし。MAH(SiM)がMCで「カバー大会お疲れ様でしたー!」みたいなことを言ってたのが最高でしたよね(笑)。同じ曲(「f.a.i.t.h」)を3回もやってたし(笑)。
●SiMなりの愛情ですよね。10-FEETは事前提出したセットリストに「金色グラフティー」を入れていなくて、運営サイドにも言っていなかったんですよね。前日のライブが終わった後に「金色グラフティー」の練習をして、当日も3人でスタジオに入ったらしいんですよ。
N∀OKI:愛が深いですね。あんないいライブを観せられると、超えていけるんですよ。共演者がいいライブをすればするほど、超えていけるものなんですよね。だから去年の“ポルノ超特急”は、今まででいちばんよかったんだと思います。
●2019年は忙しかったけど、充実していたと。
N∀OKI:そうですね。ロックバンドらしい動きができているなと。
●2019年に対バンした中で印象に残っているバンドはありますか?
N∀OKI:SPARK!! SOUND!! SHOW!!じゃないですかね。もともとは大阪のバンドなので、アメリカ村で会ったときにCDを渡されたんですよ。聴いてみたらめっちゃかっこよくて、日本にこういうバンドいるんだなと。それからもヴィレッジヴァンガードとかで流れていたりして、自分たちで努力しているんだなと思いましたね。その後に対バンして、メンバー2人は関西の奴らなので意気投合したんです。Vo.のタナカユーキはロック界隈だけじゃなくて、色々な音楽の話ができるんですよ。ロックバンドを全面に出していないスタンスは好きですね。
●いいですね。
N∀OKI:あとは圧倒的なCRYSTAL LAKE。“京都大作戦”のときに「海外から帰ってきて空港からその足で来た」という。胸が打たれるものがありました。結局ジャンルとかは関係ないんですよ。
●N∀OKIくんはいつもそう言ってますよね。ジャンルに関係なく、キャリアに関係なく、バンドを見ている。
N∀OKI:ステージにその“人”が出ているかどうかですね。今残っているバンドはみんなそういうバンドだと思うんですよ。
「ROTTENGRAFFTYがネズミのモチーフを使っているのは「切り札」の歌詞で“古都のドブネズミ”という言葉を使っているから。キャッチーなメロディとヘヴィなサウンドを足したかった」
●充実した20周年を経て、この度ベスト盤がリリースとなりますね。
N∀OKI:ファンリクエスト・ディスクの順位は全然予想していなかったんですよ。1位は「金色グラフティー」だと思っていた。でも「THIS WORLD」は俺らの暗闇のトンネル時代をずっと支えていたんですよね。たぶん“京都大作戦”に初めて出たときもやっていたんじゃないかな。
●うんうん。
N∀OKI:「I Believe」が入っていたことも「マンダーラ」が入っていないのも意外でした。でも「アイオイ」は入ってる。
●「アイオイ」は武道館が大きかったんでしょうね。
N∀OKI:そうですね。ライブで演った回数でいうとそこまで演っていないんじゃないかな。
●お客さんがきちんと曲の内容や背景を理解した上でROTTENGRAFFTYのことを好きになってくれていることがわかりますね。
N∀OKI:そうですね。「Familiarize」もよく演っている曲ではないし。昔、インディーズロックマガジンに付いているCDに「夕映え雨アガレ」を入れていたんですけど、それで知って好きになったと言ってくれる人も多いんです。THE SKIPPERSのJAGGER(Vo.)とか。
●へ〜、そうなんですね。
N∀OKI:嬉しいですよね。「夕映え雨アガレ」は俺が書いた曲なんですよ。
●今作に入っている中で、N∀OKIくんの印象に残っている曲はありますか?
N∀OKI:「切り札」ですかね。ROTTENGRAFFTYがネズミのモチーフを使っているのは「切り札」の歌詞で“古都のドブネズミ”という言葉を使っているから。キャッチーなメロディとヘヴィなサウンドを足したかったんですよね。そしてこんなラウドなチューンなのに、ハーモニカが入っている。
●うんうん。
N∀OKI:山嵐の「山嵐」という曲があるじゃないですか。あれはミクスチャー界の「リンダリンダ」だと俺は思っているんですけど、ROTTENGRAFFTYもそういう曲が作りたかったんです。
●名刺代わりの1曲、みたいな?
N∀OKI:そう。前にやっていたバンドのときから“切り札”という単語を残していて、いつか曲で使いたいと思っていたんです。“夕映え”とかもそうだし、“零戦SOUNDSYSTEM”という言葉もそうですね。曲のタイトルというのはすごく大事だと思っていて、タイトルがバンド名くらいパンチのあるものじゃないと覚えられないと思っていて。英語で長いタイトルよりも、日本語で印象的なタイトルのほうが良かった。ROTTENGRAFFTYはやっぱりジャパニーズロック感がありますよね。
●そもそも、“古都のドブネズミ”という言葉はどこから出てきたんですか?
N∀OKI:もちろんTHE BLUE HEARTSからの影響もあるんですけど、FUNGUSの誠さん(Vo.鎌坂 誠)が昔MAXUXというバンドをやっていたんですよ。読み方が“マウス”なんですけど、僕はMAXUXがめっちゃ好きだったんです。彼らのデモテープの2曲目に「ROTTEN」という曲があったんですよ。スーツでライブをしていた初期の俺らのSEはその「ROTTEN」でした。
●ほう。
N∀OKI:彼らの音源化されていない曲で“ドブネズミ”というワードが入っている曲があったんです。そこからインスパイアを受けて、“ドブネズミ”だけじゃなく“古都の”を付けた。そういうイメージがあったほうがいいなと思っていたんです。MAXUXは知る人ぞ知るバンドで、そのときはもう活動していなかったけど、SEで使用する承諾も本人からもらいました。後々FUNGUSと対バンしたときに「もうあのSE使ってないの? 悲しい」と言われましたけど(笑)。
●ハハハ(笑)。
N∀OKI:影響は今でも受けていますし、誠さんの声や書く歌は今でも好きですね。ライブ前とかに聴いていることもあります。
●N∀OKIくんの原点の1つだと。
N∀OKI:そうですね。俺の原点は誠さんとKYONOさんですね。TRACYとTHE MAD CAPSULE MARKETSです。どっちもファンクラブに入っていました。
●あと初期の頃はN∀OKIくんがフライヤーとか作っていましたよね?
N∀OKI:そうですね。デモテープのデザインも俺の周りのデザイナーと一緒に作っていたんです。歌詞カードとかに次の曲名のタイトルになるワードを散りばめていたりとか、フライヤーのROTTENGRAFFTYという文字の下に“GRIND VIBES”と書いたりしていて。今はやってないですけど、伏線みたいなものを張りまくっていたんです。そういうのがファン心理をくすぐるものだと思っていて。
●音楽をカルチャーとして捉えて、自身もそれを楽しんでいた。
N∀OKI:それに加えて俺はロックだけじゃなくてアートも好きなんです。自分の中でごちゃ混ぜになっているものをアウトプットしているというか。いいものは盗んでいきたいなと思っています。アンダーグラウンドにはまだまだ最高のものがあるんです。そういう所にヒントがあると思いますね。
●N∀OKIくんはラップの修行もしていたじゃないですか。あれはいつくらいですか?
N∀OKI:2006年くらいですかね。もともとはパンクとかミクスチャーが好きだったんですけど、ROTTENGRAFFTYをやる少し前にレゲエのダンスとかを観に行ったり、当時のDJ周りから「THA BLUE HERBがヤバい」と言われて聴いてみたりしてました。遠藤ミチロウさんからの影響は大きいですね。あの人の言葉やセンスはすごいなと思います。中上健次さんとかもそうですね。
●ROTTENGRAFFTYを始めた頃くらいから、ヴォーカルスタイルが徐々に今のような形になっていったんですか?
N∀OKI:そうですね。ラップは「切り札」が初めてですね。今聴くとラップじゃないんですけど、もう見よう見まねで(笑)。
●ハハハハハ(笑)。
N∀OKI:当時のミクスチャーシーンには山嵐が居たり、Dragon Ashが居たんですよ。降谷建志にしてもミクスチャーラップの先駆者みたいな存在じゃないですか。それがすごく嫌だったんです。
●嫌だった?
N∀OKI:聴いたら絶対に影響を受けてしまいそうだったので、Dragon Ashを聴かないようにしていたんです。「陽はまたのぼりくりかえす」を聴いたとき“すごいな”と思ったけど、これを俺がやったらダメだなと。
●なるほど。
N∀OKI:自分の言葉に自信はあったから、それが早く伝わるところはどこだろうと考えたとときにラップバトルだと思ったんです。『e for 20』(2004年2月リリース)を出した頃くらいに、“即興性は大事だな”と思ったんです。今日しか降りてこない言葉がすごく大事だなと。ラップバトルを流行らせたのは、韻踏合組合とMSCだと思うんですけど、実際にそういう場に足を運んでみて、アンダーグラウンドでこんなに盛り上がっているんだとびっくりした。そこで、自分が飛び込むべき場所はUMB(ULTIMATE MC BATTLE)だなと思って、UMBの京都大会があったので2006年に飛び込んでいきました。
●それってROTTENGRAFFTYの名前を出さず、裸一貫で飛び込んだんですよね? どうでした?
N∀OKI:準々決勝くらいまでいきましたよ。友達も呼ばず一人で参加したんです。
●2006年はもうメジャーデビューしていましたよね?
N∀OKI:でももう暗黒時代突入してました(笑)。
●あ、そうだったのか(苦笑)。
N∀OKI:あの頃は自分の説得力が欲しかったんですよね。ROTTENGRAFFTYの看板を降ろしたときに、どこまで自分が通用するのかが知りたかった。『えきさぴこ』(2005年3月リリース)のレコーディングの最後にナレーションを録りに行って、そのときに10-FEETのTAKUMAから電話があったんですよ。「西麻布のSpace Lab Yellowにフリースタイルでヤバいやつが出るらしいよ」と誘われて。誰か聞いたらラッパーの漢だった。初対面だけどガンガン話しかけてました(笑)。
●そういう人との繋がりが今のROTTENGRAFFTYの音楽に出ているんですね。
N∀OKI:ライブでの即興感やセッションみたいな要素が“今日ライブ来てよかったな”と思ってもらえるスパイスだと思うんです。だから修行ですね。自分の自信にもなるし。
●そういう現場に飛び込むのはワクワクするんですか?
N∀OKI:ワクワクしますけど、緊張もしますよ。
●フリースタイルって何も言葉が出てこなかったら終わりですよね?
N∀OKI:そうですよ。でも死ぬほどライブでやってきているので、とにかく声量だけは負けないぞと(笑)。
●そういった経験は、確実に今のN∀OKIくんのヴォーカルスタイルに繋がっていますね。
N∀OKI:繋がってますね。もっと修行したいくらいです。
●さっき「アートも好き」とか「アンダーグラウンドには最高のものがある」という発言がありましたが、N∀OKIくんの情報源はどこにあるんですか?
N∀OKI:信頼している友達ですかね。
●ほう。
N∀OKI:あとは雑誌の切り端やフライヤーとか、噂とか。特に積極的に情報を集めているわけじゃないですけど、友達に会ったり現場に行ったりしていると、自然と目や耳に入ってきますね。
「痛みも喜びも楽しさもある。喜怒哀楽が詰まったバンドだと思うんです。2005年から2010年の間によく解体しなかったなと思うし、まさに人生の縮図」
●ベスト盤の話に戻しますが、「切り札」以外に想い入れが強い曲は?
N∀OKI:「Walk」が入っていないのは切なかったな…。すごく好きなんですよね。「マンダーラ」の続編みたいな歌詞も好きなんです。あとはやっぱり「暴イズDE∀D」ですかね。この曲ができた頃はもう“ポルノ超特急”は始まっていたんですよ。ちょうど『RADICAL PEACE×RADICAL GENOCIDE』を出したくらいですね。
●2001年頃ですね。「暴イズDE∀D」は今のROTTENGRAFFTYに繋がる要素が入っている曲ですよね。
N∀OKI:そうですね。ナヲ(マキシマム ザ ホルモン)に「いいじゃん!」と言われた記憶があって、割とバンド仲間に好かれている曲ですね。ここ最近はそんなにライブで演っているわけじゃないですけど、僕らを支えてくれた曲ですね。
●うんうん。
N∀OKI:このベスト盤を聴いてもらったら、今のROTTENGRAFFTYのライブは楽しめると思います。そこからまた掘り下げてもらいたいですね。サブスクよりやっぱり作品を持っていてもらいたい。アルバムは特にそうですね。俺、携帯で音楽聴かないんですよ。いまだにiPodです。
●そういうこだわりがあるんですか?
N∀OKI:いや、曲入れすぎて携帯の充電減るのが嫌なので(笑)。まだiPhone7だし(笑)。
●ハハハ(笑)。ベスト盤の話を通してざっと20年間を振り返ってもらいましたが、ROTTENGRAFFTYでの20年間は充実していましたか?
N∀OKI:うーん、半々かな。考えられないくらいしんどかったときもある。会社員の人たちに「楽しそうでいいね」と言われますけど、楽しいことも悲しいことも2倍なんです。
●ああ〜。
N∀OKI:僕は悪いこともいいことも、どちらの引きも強いんですよ。
●引きが強い?
N∀OKI:人間関係とかね、直感でわかったりしちゃうこともあるし。バンドマンって人と会っていく仕事ですし、新しい出会いも増えていくんですよ。そしてその分減っていく。だから“嫌だな”と思うことのほうが多いかもしれないです。でも、まだ自分の中で隠し持っていることがたくさんあるんですけど、それを解放していきたいですね。
●自分を追求していく作業をずっとやっている。
N∀OKI:そうです。ROTTENGRAFFTYは痛みも喜びも楽しさもある。喜怒哀楽が詰まったバンドだと思うんです。2005年から2010年の間によく解体しなかったなと思うし、まさに人生の縮図みたいですね。
●苦しいことも悲しいこともたくさんありましたね。
N∀OKI:それでたまに光がある。それがステージで輝くんです。
●うんうん。
N∀OKI:長く続けば続くほどいいなんて思っていないんです。継続がいちばん難しいことなのはみんなわかっていると思う。これからも追求し続けたいですね。
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「“ポルノ超特急2019”の2日目はもう満身創痍でした(笑)。ステージで今にもぶっ倒れそうな感じだった」
●最近のトピックスを少し振り返りたいんですが、“ポルノ超特急2019”はどうでしたか?
KAZUOMI:20周年の締め括りでもあり、“ポルノ超特急”がパルスプラザで開催される事になってからは6年目でしたね。色んな別れもあったり、重なったものが多かったですね。
●いつもの“ポルノ超特急”よりも色々なものが重なっていた?
KAZUOMI:はい。昨年のツアーからそうなんですけど、“ポルノ超特急”はほぼ親しいバンドに集まってもらえたんです。
●ブッキングもそういう意図を含めてたんですか?
KAZUOMI:もともとそういう風に考えていた部分と、偶然そうなった部分がありますね。フェスは出てもらう人のスケジュールによって変わりますし、最初に考えていた意図通りになったわけではないですが。
●“ポルノ超特急2019”でいちばん印象的だったのは、1日目の金閣で、ヤバいくらいにテンションが振り切れて鬼気迫るようなライブになっていたことで。ライブの終盤に差し掛かるころに演った「マンダーラ」でなにかスイッチが入ったような気がしたんですが。
KAZUOMI:銀閣ステージの1組目にカタカナ表記の“ロットングラフティー”としてやらせてもらったんですけど、2days開催のフェスで、主催者は必ず1本目のステージは“いいライブができた”と本人たちは思えないという傾向があって。そういうジンクスというか(笑)。
●はい(笑)。
KAZUOMI:自分たちもお客さんたちも“いいライブだった”と思えることがいちばん幸せだと思うんです。でもパルスプラザになってから、だいたい1本目がいいライブではなくて、“これじゃあ駄目だ”と思って2日目に挑む感じだったんです。
●なるほど。
KAZUOMI:そういう中で、昨年の“ポルノ超特急”は銀閣ステージということで緊張がほぐれていたのか、僕ら的には意図していたことができなかった部分があったんですよ。そこからの金閣ステージは2本目だから(笑)。
●だからあんなにテンションが振り切れていたと(笑)。
KAZUOMI:でもギリギリまで「マンダーラ」をやるか迷っていたんですよね。やっぱり20周年での“ポルノ超特急”だから、想い入れの強い楽曲をお客さんに観てもらいたかったし。
●1日目の金閣ステージでのライブは、ぐっと入り込めた?
KAZUOMI:入り込めましたね。
●かなり緊張感がありましたよね。ヤバいときのROTTENGRAFFTYが出ていた。
KAZUOMI:銀閣ステージでロットングラフティーをやるという経緯に至ったのも、出演予定だったマキシマム ザ ホルモンが出ることができなくなってしまって。自分たちだけじゃなくて他人への心配もあったんです。その中でナヲちゃんやダイちゃん(ダイスケはん)が当日来てくれて、ロットングラフティーのステージにも(「RATMAN」)、ROTTENGRAFFTYのステージにも(「ROLLING1000tOON」)出てくれた。マキシマム ザ ホルモンとしては出ることができないのに、僕らのステージに出てくれるところにすごく気持ちを感じましたね。
●そうですね。
KAZUOMI:マキシマム ザ ホルモンも同世代のバンドで、ツアーに誘ってもらったり出てもらったりしている仲のいいバンドなんです。だからマキシマム ザ ホルモンが一時的に活動休止になるのは、当然のことながら僕らも心配だったんです。でもその中で、あの2人が顔を出してくれて元気な姿を見せてもらえると、僕らも力をもらえるんです。
●仲間っていいですね。対して2日目のライブはピースな感じというか、温かい一体感があった。
KAZUOMI:でも“ポルノ超特急2019”の2日目はもう満身創痍でした(笑)。ステージで今にもぶっ倒れそうな感じだった。
●え? そうだったんですか?
KAZUOMI:1日目の打ち上げのせいかな(笑)。あとは、寝れていない状態が続いていたので、足元がフラフラでしたね。2日目のライブはあまり覚えていないかな。1日目は自分もバンドも意識がはっきりしていたライブだったけど、2日目はあまり覚えていない。トリビュートアルバムがシングルと一緒に発売されたので、四星球の康雄に出てもらったりして。ああいうこともやりたかったし、楽しかったという記憶はすごく残っているんですが。
●そういえば“ポルノ超特急”の当日、KAZUOMIくんは急遽サイン会をやりましたよね。お客さんの声に直接触れる機会があったわけじゃないですか。
KAZUOMI:限られた時間の中で一生懸命作って発売した作品を、サイン会でもなんでもいいんですけど何かのきっかけで知ってくれればいいなと思ったんです。とにかくたくさんの人に聴いてもらいたいという一心で、急遽でしたけどタワーレコードのブースでサイン会をさせてもらうことにしたんです。
●自分がいいと信じて、命を削って全力で作ったものをどう聴いてもらえたか、KAZUOMIくんはすごく気になると言ってましたよね。
KAZUOMI:めちゃくちゃ気になります(笑)。それで、サイン会では色々と感想を言っていただいて、嬉しい気持ちになって、ホクホクした気持ちで2日目のライブをしていました(笑)。
●ふふふ(笑)。
KAZUOMI:それに「ハレルヤ」に関してはリリース前に20周年ツアーの後半戦で披露できていたので、まずライブでの反応は確かめることができたんですよ。音源とはまた違う印象があると思うので、新曲を初めて聴くのがライブだということは、いい出会い方をしてもらっているなと思います。発売前に新曲を演奏できるようにするということを僕は目標に置いていたので、それも嬉しかったことの1つですね。
●あと去年のトピックスでいうと、“ポルノ超特急”の1週間前に東寺でのライブがありましたよね。
KAZUOMI:東寺で演ったということがすごいなと自分でも思いますね。僕ら自身も“ライブとはこうだろう”ということを、あそこでできるはずが無かったなと後から気づいたりもした(笑)。色々なことがあった。
●色々なこと?
KAZUOMI:NOBUYAが当日になんでもないところで転んで怪我したり(笑)。“こいつ持ってるな”と思ったり(笑)。
●京都を拠点に活動してきたROTTENGRAFFTYならではの記念日ですね。
KAZUOMI:本来ならば東寺は12月頭で紅葉の時期は終わっちゃうらしくて、同時にライトアップは消されるんですけど、僕たちのライブの日まで消さないでいてくれていたんです。
●嬉しいですね。
KAZUOMI:本堂に色んな色の照明が当てられて、それがすごく綺麗で。こんなところでライブできているのがすごく嬉しいと思ったのを覚えていますね。
「今はベスト盤を買わなくても、自分でプレイリストを作ることができるじゃないですか。だからそこに何かをプラスアルファしたかったし、意味をもっと持たせたかった」
●そしてこのたびAll Time Best Album『You are ROTTENGRAFFTY』がリリースとなりますが、これは20周年の締め括りという位置づけなんでしょうか?
KAZUOMI:このベストアルバムに関しては20周年は関係なくて、20周年を経た僕らのベストアルバムを作りたかったんです。
●いつくらいに出たアイディアなんですか?
KAZUOMI:武道館が終わった辺りかな? 前のベストアルバムを出したのが約10年前なんですよね(※2011年リリースのSingle&Best Album『SILVER』・『GOLD』)。あの作品はカタカナの“ロットングラフティー”のベストアルバムなんです。簡易的にロットングラフティーのことを知ってもらいたかったという想いがあって。
●なるほど。
KAZUOMI:2010年にリリースしたアルバム『This World』からバンド名表記を“ROTTENGRAFFTY”に変えて、そこからたくさんの作品をリリースできたので、今回は“今のROTTENGRAFFTY”を知ってもらって「これから出会う方に向けて」という意味もあるんです。
●はい。
KAZUOMI:あとはファンリクエスト(Disc1:ファンリクエスト・ディスク)で、お客さんにも作品に参加してもらいたかった。作品タイトルがまさにそうなんですけど、今回は参加型のベストアルバムでもあるんです。Disc1の曲順は投票順位そのままなんですよ。トップ10をそのまま入れました。なんの裏工作も無しです(笑)。
●この順位は想像していましたか?
KAZUOMI:うーん、だいたい想像通りかな…。でも「Familiarize」とか「I Believe」が入っているのにはちょっと驚きましたね。しかも順位が高い。
●楽曲に込めたメッセージも含めて聴いてもらえているんでしょうね。
KAZUOMI:そうですね。でも既発曲をただ並べるのは違うなと思ったし、ミックスし直したいなというのがあったので、その2曲はミックスし直したんです。
●Disc2:メンバーセレクト・ディスクの方は、「暴イズDE∀D」をリテイクされていますよね。
KAZUOMI:「暴イズDE∀D」は僕たちの1stシングル(2001年3月リリース)になった曲なので、今回どうしても入れたかったんですよ。当時の僕たちの色んな扉を開いてくれた曲でもあったし、20年前の曲を録り直して収録することによって、今作の価値が上がると思ったんです。今作のバージョンでは一箇所アレンジを変えている部分があって…アレンジというか付け足したというか。そこも楽しみにしてもらいたいですね。それにNew Mixはそれまでの楽曲と全然違う聴こえ方になると思うので、New Mixした部分もこのベストアルバムを聴いてもらえる価値になるかな。
●New Mixした楽曲はどういう基準で選んだんですか?
KAZUOMI:素材は当時録音している音源を使っているんですけど、どうしてもミックスをやり直したいと思っていたのが「Familiarize」、「I Believe」、「響く都」、「盲目の街」だったんです。本当はリテイクできたらよかったんですけど時間がなかったので(笑)。昨年のツアー中も制作していたんです(笑)。
●なかなかですね(笑)。
KAZUOMI:今はベスト盤を買わなくても、自分でプレイリストを作ることができるじゃないですか。だからそこに何かをプラスアルファしたかったし、意味をもっと持たせたかった。あとは「日進月歩」が入っているというのもポイントだと思います。
●「日進月歩」が入っているのはびっくりしました。
KAZUOMI:ROTTENGRAFFTYとしてのいちばん最初の曲なんです。作ったのは1stデモテープの頃ですよ。そこまで入れて初めて「All Time Best」と言えるかなと思って。
●音源はそのデモテープのものですか?
KAZUOMI:いや、「日進月歩」は一度購入者特典で出しているんです。4thアルバム『FAMILIARIZE』のときに(購入者特典として店舗違いで「CHAOS in terminal」「南口」「日進月歩」のCDを付加)。そのときのデータをミックスし直しました。ただ、演奏自体は当時のものですね。
●「日進月歩」を作ったときのことは覚えていますか?
KAZUOMI:僕が当時持っていたMTRで録ったんです。8チャンネルしかなかった(笑)。
●この曲を聴いて感じたことですけど、当時からROTTENGRAFFTYらしさがあったんですね。
KAZUOMI:作ったときのことはあまり正確には覚えていないけど、あの頃は時間がすごくあったし、スタジオに行くことがバンド活動だったんですよ。
●メンバーみんなでアレンジを詰めたんですか?
KAZUOMI:そうですね。初期の頃はほとんどそういう作り方でした。
●あと驚いたのがDisc3:ボーナス・ディスクなんですが、トリビュート作品に参加した楽曲を集めたという。
KAZUOMI:これおもしろいですよね(笑)。
●よくこんなの集まりましたね。
KAZUOMI:これを全部コンプリートしている人は居ないんじゃないかな。僕も持ってないもん(笑)。データはあるけど盤としては無い。
●なぜこの企画が出たんですか?
KAZUOMI:この案はNOBUYAが出したんです。
●このDisc3でROTTENGRAFFTYのキャタクターの幅を感じることができますね。
KAZUOMI:「マジンガーZ」とかもうわけわかんないですよね(笑)。アレンジもアニメソングの感じには寄せずに、真逆でいこうと思って。他はたいだい原曲に寄せて、バンドサウンドを付け足した感じなんですけど、「マジンガーZ」は原型を留めていないですからね(笑)。本当にDisc3も聴いて欲しい。すごくおもしろいから。
●そもそも「マジンガーZ」はどういうきっかけでカバーに至ったんですか?
KAZUOMI:漫画『マジンガーZ』の原作者である永井豪さんのコンピレーションアルバムがあったんですよ(2005年リリース『GO ! GO ! NAGAI Tribute to the 永井豪』)。他のアーティストの楽曲もおもしろかった。Disc3は完全生産限定盤なんですけど、是非こっちを買っていただきたい。その方が得です(笑)。
●ハハハ(笑)。
KAZUOMI:なんならDisc2と入れ替えてもよかったかもしれない(笑)。そのくらい聴いてもらいたいです(笑)。
「考えることもすごく大事だし自分の行動を見つめ直すことも大事だけど、それで止まっていたら意味が無い。意外と勢いが正解になることもある」
●KAZUOMIくんは曲作りの中心に居るわけですが、曲作りの方法もだんだん変わってきたんですね。
KAZUOMI:そうですね。例えば「日進月歩」を作った当時はN∀OKIが元ネタやアイディアを持ってくることも多かったんです。それで僕がMTRを持ってN∀OKIの家に行って録ったりしていました。
●昨年のインタビューでKAZUOMIくんは曲作りや制作について「アルバムを作るとか音源を作るだけじゃなくて、それと共にストーリーの終着点をどこに置くか。“次はなんだろうか?”ということを頭に置くようになった」とおっしゃっていましたよね。現時点で、今後のことはどういう風に考えているんですか?
KAZUOMI:それはずっと考えているんですけど、現時点ではまだまとまった時間を取れていなくて(笑)。去年はツアーに必死になって、シングル『ハレルヤ』を生み出すのに必死になって、東寺でのライブや“ポルノ超特急”に必死になっていた。それが終わったらすぐ制作に入ろうと思っていたんですけど、今回のベストアルバムもただ寄せ集めるだけなのは違うなと思って、リテイクを1曲入れて、楽曲選びも意味のあるものなので時間をかけて、ミックスもエンジニアさんと時間が許す限りずっとやりとりしていて。
●ということは、今後のストーリーはこれから具体的にしていく?
KAZUOMI:はい。現時点でも頭の中にはおぼろげにあるんですが、それを形にしていくのはこれからかな。21年目以降に描くストーリーとしては、「ハレルヤ」によって一歩踏み出せたと思っていて。
●「ハレルヤ」は腹を括ったような心境が描かれていますよね。
KAZUOMI:あの楽曲に込めた勢いは、自分で信じたものだと思うんです。去年松原が死んで“これからも思い切りぶっ飛んでやろう”と思っていたときも、ずっと頭の中でいろいろと考えている自分が居たんです。そういったものを取っ払って“もうこれでいいんだ”と思えてできたのが「ハレルヤ」。ROTTENGRAFFTYというバンドにとっては、曲の作り手である僕がその気持ちになるかどうかがすごく大きくて。
●そうですね。最初の一歩を踏み出せるかどうか。
KAZUOMI:そこで見たビジョンに向かって動くしかないんです。『ハレルヤ』のツアーのMCでも言わせてもらっていたんですけど、「考えることもすごく大事だし自分の行動を見つめ直すことも大事だけど、それで止まっていたら意味が無い。意外と勢いが正解になることもある」ということで。やっぱり間違っていても前に進むことが大事だなと思いますね。
●「ハレルヤ」で歌っていることですね。
KAZUOMI:そうです。“俺たちドリームビリーバー”と歌詞にありますけど、僕たちは夢を見る者なんです。アホだと思われようが別に構わない。そういう覚悟でやってますね。じゃないと20年もやれないし(笑)。そういう瞬間がROTTENGRAFFTYのメンバーだけじゃなくて、僕らの世代も若い人たちも、上の世代の人たちにもあればいいなって。
●若い頃はなぜか、未来は誰かが決めてくれるものだと思っていたし、夢は向こうから来るものだと思っていた。
KAZUOMI:そうですよね。10代の頃なんて、40代になったらもうゴールしているものだと思っていたし。
●うんうん。
KAZUOMI:でも、何歳になっても迷うんですよね。答えなんか出ないから前に一歩進むことでいいし、もし夢を持っている人だったら、夢に近づけると思う。夢を持っていない人だったら、夢を見るきっかけになると思う。他にも言いたいことはたくさんありますけど、僕はそういうことを音楽を通じて言いたい。
●はい。
KAZUOMI:ROTTENGRAFFTYの音楽を作るときにはそういうことを考えてますね。一方で「相殺微量サイレンス」(シングル『ハレルヤ』収録)に関しては感情をそのまま書いていますけど、そういう風に思ったことをどんどん形にして、自分にも言い聞かせているというか。そういうことがいちばん伝わるんじゃないかなと。
●「21年目のROTTENGRAFFTYは?」という問いの答えの1つは、『ハレルヤ』に詰まっているし、KAZUOMIくんの中に道が見えている。
KAZUOMI:そうですね。
●KAZUOMIくんにはインタビューのたびに聞いていますが、お客さんの存在はどう感じていますか?
KAZUOMI:前から言っていることですけど、ステージ上の僕たちが主役じゃないライブをしたいですね。観てくれる人にとっても、ROTTENGRAFFTYはそういう存在であって欲しい。
●はい。
KAZUOMI:それはライブだけじゃなくて作品にも言えることで。今回のベストアルバムも最初は『We are ROTTENGRAFFTY』というタイトルにしようと思っていたんです。
●あ、そうだったんですか。
KAZUOMI:昨年の20周年ツアーにも“We are ROTTENGRAFFTY"というサブタイトルを付けていて。でも「このアルバムを手にとって触れてくれた人がROTTENGRAFFTYだ」という方がよりいいなと思って『You are ROTTENGRAFFTY』にしたんです。まさに僕のライブに対する概念とか、このバンド活動で感じていることに近いタイトルになりました。
●ROTTENGRAFFTYのお客さんは、ライブで自分の歌のように歌いますもんね(笑)。
KAZUOMI:もっと細かいところまで歌って欲しい(笑)。
●ハハハ(笑)。
KAZUOMI:というのは僕の勝手な気持ちですけど(笑)、聴き手が全てなんですよね。強要するんじゃなくて聴き手に委ねている。でも伝えられることは言いたくなってしまうんです(笑)。だってそもそも『You are ROTTENGRAFFTY』というタイトルってあつかましいでしょ(笑)。
●確かに(笑)。
KAZUOMI:あつかましいけど、でも僕たちはいつでも寄っていく覚悟ですという意味を込めました。一緒に曲を作っているわけじゃないけど、一緒にライブを作っている…本当に僕はそう思っていて。だからもっと近い存在になりたい。ライブもそうだし、楽曲にももっと何かを見出してくれたら嬉しいなと。だから僕は近寄っているつもりです。
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「どう思って、どう感謝して、どう返していくのか、どうやって自分たちが変わっていくのか…そういうことを考えさせられた1年だった」
●20周年イヤーは忙しかったですか?
侑威地:忙しかったですね。ライブも多かったし、稼働も多かった。ツアーも前半戦と後半戦があったし。それと去年は今まででいちばん多く夏フェスに出させてもらった年だったんですよ。20周年のタイミングでそんなに多く出させてもらって、嬉しいですよね。“RUSH BALL”とか出たことが無いフェスにも出させてもらったし。20年目にして初めての経験があったので、僕らにとってすごくいい1年だったと思います。
●“ポルノ超特急2019”はどうでした?
侑威地:2日間バタバタでした。全バンドが愛に溢れすぎていて、それをひたすら受けてボロボロになった(笑)。特に2回ライブを演った1日目は本当にしんどかった。トップバッターとトリなんて、この年でやったらダメですね(笑)。
●ふふふ(笑)。
侑威地:本当に疲れました。いつもは1日目の打ち上げも深夜1〜2時くらいまでみんなと飲んでいるんですけど、身体が動かなくて次の日に響きそうだったので、12時まわる前にホテルに戻ったんです。そのくらい疲れていたみたいですね。まあ早く帰ったおかげで次の日はちゃんとできたので、自分で自分を褒めたいです(笑)。
●1日に2ステージやったのがキツかったんですか?
侑威地:うん、それ以外考えられないです。他のバンドへの乱入とか送り出しも毎年欠かさずやっているので、2ステージ以外は例年と違うようなことはしてないんですよ。
●3回のライブは、それぞれROTTENGRAFFTYらしさが出ていたと思うんですが。
侑威地:自分たちでそうやろうと思っていたわけじゃないんですけど、色々な物が重なって上手くまとまった感じはしますね。やっぱりマキシマム ザ ホルモンのことが大きいと思います。マキシマム ザ ホルモンが出られなくなって、“僕らにできることはなんだろう?”と考えた結果が、ロットングラフティーでもあるし、マキシマム ザ ホルモンの曲を1曲演ったり。それが自分たちの中では正解だと思っているんですけど、それが結構大変でした。
●なにが大変だったんですか?
侑威地:俺、チョッパーとかやったことないし(笑)。なのでちょっと恨みましたね。「上原~!」って(笑)。
●ハハハ(笑)。
侑威地:でもそういうことがあったから、結果的にいい空気になったような気がします。意図していてもできるものじゃないし。みんながみんなを支え合って仲間を想った結果があの2日間になったと思います。
●昨年のアニバーサリーイヤーはどんな1年でしたか?
侑威地:怒涛の1年でしたね。ひと言ではまとめられないです。それまで20周年に向けて動いていたし、自分たちが思い描いていたでき以上のことができたと思う。いいこともあったし悪いこともあった。でもそれが人生なんだろうなと思いました。それをどう思って、どう感謝して、どう返していくのか、どうやって自分たちが変わっていくのか…そういうことを考えさせられた1年だった。
●なるほど。
侑威地:何事も突然なんですよね。松原社長の死も。当時やりたいと思っていたけど、まさかできるとは思っていなかったこともできた。みんなが僕たちを助けてくれるという、愛がどこにでもあったんです。だからそれを返していかないといけないなと思います。
●侑威地くんは「みんなに支えられている」という発言が多いですよね。
侑威地:本当にそう思っているし、年々強くなりますね。友達のバンドに対してもそうだし、新しい出会いもそう。年々僕ら5人だけじゃライブができない規模になってきている。お客さんも、ワンマンライブだけをやっているROTTENGRAFFTYが観たいわけじゃなくて、誰かに支えられているROTTENGRAFFTYを求められている気がするんです。
●はい。
侑威地:ワンマンライブだったら自分たちのことだけ考えていればいいじゃないですか。もちろんそういうことも大切だけど、色々な人とイベントやライブをやっていかないと今のバンドシーンはおもしろくならないと思うんです。そのためには周りに支えてもらわないと、僕らだけじゃできないんですよね。なので支えてもらっている分、返していけるようなバンドにならないといけないなと常に考えています。
●1つのことを20年続けたらベテランと言ってもいいと思うんですが、ROTTENGRAFFTYはベテラン面しないですよね。
侑威地:ふんぞり返るのはもうしないですね。僕らは最初の頃にふんぞり返ってたから(笑)。それで無くしたものもあったので。もうあの頃に戻りたくない。二度とあんなかっこ悪い生き方はしたくないですね。
●昨年1年間の“新しい出会い”で印象に残っている人は居ますか?
侑威地:20周年は今までの濃い仲間とまた濃い関係を作ろうとやってきた1年でもあったから、新しい出会いは…あ、氣志團ですね。“氣志團万博”に初めて出させてもらったんです。翔やん(綾小路翔)とヒカルくん(早乙女光)は昔から飲みの場で一緒になる機会が多かったんですけど、後の3人は本当に初めましてだったんです。20周年のツアーで満を持して一緒に演って、打ち上げもして。そしたらランマ(星 グランマニエ)とマツ(白鳥 松竹梅)が同い年だったことがわかって。話していると本当におもしろくて、なんで今まで話さなかったんだろうと(笑)。
●この歳になってそういうことがあるのは素晴らしいことですね。
侑威地:めっちゃ嬉しかったですね。氣志團に対する愛がより深くなりました。
「馬場さんには“バンドのバランスを取るのがベーシストだ”と言われました。今となっては本当にその通りだと思います」
●今回リリースとなるAll Time Best Album『You are ROTTENGRAFFTY』ですが、Disc1のファンリクエストで決まった10曲についてはどう思いました?
侑威地:めっちゃ意外でした。絶対1位は「金色グラフティー」だと思ってました。
●「THIS WORLD」は意外だった?
侑威地:もちろん順位には入っているとは思ってたけど、まさか1位だとは(笑)。だからすごく嬉しかったです。僕らが特に大切にしている曲なので、それが1位になるとは誇らしいですね。よくわかってくれているなと。
●この曲の背景やROTTENGRAFFTYの想いが伝わっているんでしょうね。
侑威地:そうですね。「THIS WORLD」ではNOBUYAが客席に突入するので(笑)。
●ハハハ(笑)。でもROTTENGRAFFTYの代表曲と言われればまず「金色グラフティー」が出てきますもんね。
侑威地:そうですよね。もしくは「D.A.N.C.E.」や「響く都」とか。というか、「響く都」入っていないんですよね。びっくりしました。
●これなぜでしょうね?
侑威地:わからないです(笑)。
●ライブであんなに盛り上がるのに。
侑威地:「響く都、響都から来た~」とずっと言ってるのに(笑)。「夕映え雨アガレ」が入っていたのも意外でしたね。武道館のときに4曲目にやっているんですよ。その影響かなとメンバーでは話しています。「アイオイ」もそうだよね。「I Believe」もなんでだろうな?
●「なんでだろう」ばかりですね(笑)。侑威地くんとしては、このランキングは全体的に意外だった?
侑威地:意外でしたね。
●Disc2はメンバーセレクトの曲が入っていますが、侑威地くん的には何か希望があったんですか?
侑威地:僕はシングルのカップリング曲を入れたかったんですけど、綺麗に却下されました(笑)。今回は「これを聴いたら闘えます」という作品にしたかったんですよ。ファンリクエストの方が少し偏っているので、僕らが選ぶ方はこういう感じにまとまって、「ハレルヤ」に関してはビクターから「入れて欲しい」と言われた。リリースしたばかりなのに。嬉しいですよね。
●「暴イズDE∀D」はリテイクということですが。
侑威地:昔の音源を聴きながらやったので、レコーディングは結構かかりましたね。6時間くらい。昔の自分がどうやって弾いていたか覚えてないし、よくわからないアレンジをしているので、腹立ちましたよ(笑)。
●今の侑威地くんから見て、当時のアレンジはどうなんですか?
侑威地:もっとシンプルにやればいいのに、よくわからないことをやっている(笑)。なんか気持ち悪かったです(笑)。
●人とは違うところを見せたかったんでしょうか?
侑威地:うーん、どうなんですかね。あまりそこまで考えていなかったと思います。このときは音楽に対してもそこまで必死じゃなかったし(笑)。楽器とちゃんと向き合おうとしたのは3rdミニアルバム『SYNCHRONICITIZM』(2003年3月リリース)のときからですね。この頃から馬場さんに教えてもらって、考え方が変わりました。
●馬場さんに教わったことが大きい?
侑威地:大きいですね。「ベース1つでこんなに音が違うんだぞ。アンプにせよ、シールド1本にせよ違う。聴いてみて」って。最初は色々と言われるのが辛かったですけど(笑)、段々ためになりましたね。
●馬場さんに教えてもらったことで印象的だったのは?
侑威地:“ベーシストたるもの、バンドの真ん中に居ろ”ということですね。馬場さんには「バンドのバランスを取るのがベーシストだ」と言われました。今となっては本当にその通りだと思います。そうじゃないベーシストも居ますけど、個性的なベーシストは別にして、だいたいカッコいいバンドはベーシストが影で支えている。
●今の侑威地くんのスタンスは、それが元になっているんですね。
侑威地:果たして今の自分がそうなれているのかはわからないですけど、そこを目指してきました。
●四星球の康雄くんが提唱している「ROTTENGRAFFTYのキーマンは侑威地説」ですね(笑)。
侑威地:結構みんなそう言ってくれます。嬉しいです。
●このベスト盤に収録されている楽曲について、印象に残っている出来事はありますか?
侑威地:Disc3ですね。僕もこれ欲しいです。これをやってくれたビクターに本当に感謝です。今の時代だからこそ、これはアツいですね。YouTubeとかにもほとんどないですから。
●確かに。
侑威地:「マジンガーZ」はヤバいですよね(笑)。「RAT FINK」や「HOLD IN LOVE [赤い雨につつまれて]」も、GELUGUGUとニューロティカに本当に世話になっていた時期なんです。
●GELUGUGUやニューロティカは、2000年代前半のバンドシーンを象徴するような存在ですよね。
侑威地:そうですよね。いちばん最初にバンドだけで食べていこうとしていた人たちじゃないですか。大人に頼らず自分たちでライブハウスに電話してツアーを組んだりして。そういう人たちの背中を見て俺らもやってました。なのでこの2曲も想い入れがいっぱいです。
●あと、「日進月歩」もレアですよね。
侑威地:僕らが最初に出したデモテープに収録していた曲なので。“ロットンの日”でも演ったし、“ポルノ超特急”のロットングラフティーのライブでも演りました。なので音源に入るのはレアですけど、僕らはレア曲だとはあまり思っていないんです。そういう曲も入っているので、今作を聴いていたら今のROTTENGRAFFTYをすぐ解ってもらえると思いますね。リテイクした「暴イズDE∀D」もこれからのライブでかっこよく聴かせたいから、リテイクしたこのバージョンで聴いてもらいたい。きっと印象も変わると思います。
●うんうん。
侑威地:今は『ハレルヤ』のツアー中なんですけど、すごく調子がいいんです。
●調子がいい?
侑威地:毎回お客さんの反応がどんどんよくなってる。「ハレルヤ」はリリースの前からライブで演ってますけど、浸透するスピードが「PLAYBACK」や「So...Start」に比べても速いですね。今まででいちばんかな。
●いいですね。
侑威地:最近のライブはえぐいですよ(笑)。「相殺微量サイレンス」と「ぼくたちの失敗」もこのツアーではやっているので。
●「相殺微量サイレンス」はわかるとして、「ぼくたちの失敗」をROTTENGRAFFTYのライブにどうやって組み込むのか…ちょっと想像が付かないですね。そういう経験は今後に繋がるんじゃないですか?
侑威地:かもしれないですね。「アイオイ」みたいなバラードっぽい聴かせる曲もありますけど、「ぼくたちの失敗」はバラードでもないし、そもそもカバーだし。カバーといえば「今夜はブギー・バック nice vocal」は今までやってきてライブでの表現は掴んでいて、その感じで「ぼくたちの失敗」も掴んできた感じはありますね。
●シングル『ハレルヤ』で得たものは大きいですね。
侑威地:大きいですね。「相殺微量サイレンス」もライブですごくいい感じになってきた。
●やってて気持ちが入るのはどういう曲ですか?
侑威地:基本的には全部気持ちが入りますよ。「零戦SOUNDSYSTEM」のときのKAZUOMIの声を聴いているだけでも気持ちは入ります。そこはお客さんと一緒ですね。「金色グラフティー」もそうだし、「THIS WORLD」も「NOBUYAどこ行くねん」と思いながら見ていておもしろい。あ、でも「アイオイ」とか「マンダーラ」はあまり演りたくないですけど。
●気持ちが入り過ぎるから?
侑威地:そうそう(笑)。
●「マンダーラ」もですか?
侑威地:はい(笑)。『ROTTENGRAFFTY Tribute Album ~MOUSE TRAP~』のDragon Ashの「マンダーラ」の影響が大きいですね。嬉しいし最高なんですけど、気持ちが持っていかれてしまう(笑)。
「21年目だろうが22年目だろうが、その気持ちは変わらないと思います。若くてかっこいいバンドはいっぱい居るけど、負けたくない(笑)」
●ROTTENGRAFFTYの20年は、侑威地くんにとってどんな20年でしたか?
侑威地:自分を作ってもらった20年かな。自分がこうしたい、ああしたいというのは今も昔もあるんだけど、それ以上にいっぱいもらっている気がするんです。メンバーやお客さんを含めて。失敗したときに怒ってくれる人が居て、そういう人たちに感謝できるように自分を変えていった20年。それで今の俺が出来上がっていると思います。自分1人の20年ではなかったです。
●20年前の侑威地くんはどんな感じだったんですか?
侑威地:人生をナメてた(笑)。最初はバンドをやるのも“モテたい”という理由だったし(笑)。“絶対売れるだろう”と漠然と思っていましたね。
●若いなりの無知というか。
侑威地:そうです。人のことを人だと思っていなかった(笑)。
●侑威地くんの第一印象はそういう感じでしたけど(笑)、長く付き合ってきていろんな話を訊いてるうちに“感謝の人”という印象になりました。
侑威地:そうなりましたね。なりたくてなったわけではなくて、ならざるを得なかった。ちゃんと返したかったんです。俺が仲間だと思っている人には最大限のできることをしたい。
●それは“ミュージシャン”というより“バンドマン”ですね。
侑威地:俺はきっとミュージシャンに向いていないんですよ。クリエイティブじゃないですもん(笑)。でもバンドが好きだし、バンドマンが好きだし、バンドに関わっている人たちが好き。バンドっておもしろいですよね。同じバンドは無いし、みんなややこしい。でもややこしいからこそおもしろい。刺激的な毎日です。疲れますけど(笑)。
●ふふふ(笑)。ROTTENGRAFFTYの21年目は始まっているわけですが、今後に対して侑威地くんはどう考えていますか?
侑威地:もっと届けたいし、もっと間口を広げたいし、もっと売れたいです。そこは大前提ですね。そのためにやるべき事を毎秒考えてやるだけです。
●毎秒。
侑威地:だから休みは無いと思っています。「最低でも50歳までは」と打ち上げとかでKAZUOMIと話していて。もっとおもしろいことをしていきたいですね。
●休みはないけど充実はしている。
侑威地:充実してますね。今日は移動日でオフなんですけど、今からSUPER BEAVERの上杉研太と飲みに行きます(笑)。
●いいですね。そういえば侑威地くんは常に人と会ってますよね?
侑威地:会うのが僕の仕事だし、常に人から何かもらっている。だから会えるときは会おうと思っていて。それはメンバーも解ってくれていると思います。もちろん僕も他のメンバーのことは解っているつもりだし、支えていかなければいけないと思っていて。
●そう考えると、ROTTENGRAFFTYはそれぞれのキャラクターが本当にバラバラですね(笑)。
侑威地:ですね(笑)。その整理をちゃんとできれば、ROTTENGRAFFTYはもっと強くなるんじゃないかなと思ってるんです。凸凹な俺たちが一瞬でもガチッとなるからバンドはおもしろいんですよね。そういうところの精度を上げて、「ROTTENGRAFFTYが最強」と言われたいですね。そこまでは休めないし、終われない。21年目だろうが22年目だろうが、その気持ちは変わらないと思います。若くてかっこいいバンドはいっぱい居るけど、負けたくない(笑)。
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「すごく愛を感じましたね。去年の“ポルノ超特急”は、僕らが普段からお世話になっているバンドを中心に出てもらっていたので、より一層愛を感じました」
●20周年イヤーだった去年は色々ありましたが、何が印象に残っていますか?
HIROSHI:去年は出会いと別れと再会の1年だった気がしますね。初めて対バンした人もいれば、久しぶりに会った人もいるし、大切な仲間や松原みたいにいなくなった人もいた。
●はい。
HIROSHI:例えば出会いや再会でいうと、去年は“氣志團万博”に初めて出させてもらったんです。かなり前にボーリング大会があったんですけど、そのときに翔くん(綾小路翔)たちがいて、“おもしろい人たちだな”という印象で。そこではあまり話はしなかったんですけど、その日ぶりに“氣志團万博”で再会して。そこでより仲良くなって、僕たちの20周年のツアーに出てもらったんです。
●うんうん。
HIROSHI:久しぶりにGELUGUGUと対バンしたのも印象的でしたね。昔めちゃくちゃお世話になっていて、当時はよく一緒にライブをしていて。僕、初めてGELUGUGUに出会ったとき、ご挨拶してGENさん(Vo.)にROTTENGRAFFTYのサンプル音源を渡したんですけど、ケースが無かったから人差し指をCDの穴に挿して持っていったんですよ(笑)。
●失礼な後輩(笑)。
HIROSHI:あと去年は“RUSH BALL”にも初めて出演させてもらいましたね。確か、ROTTENGRAFFTYを結成して初めてメンバーで観に行ったフェスが“RUSH BALL”なんです。そのときにDragon Ashとか出ていて、「俺らも絶対に出たい」と思って観てました。マキシマム ザ ホルモンのツアーにも久しぶりに呼んでもらいましたし、“REDLINE”も久しぶりに出演させてもらった。20周年のツアーで初めて対バンしたバンドもいますし。
●色々な出会いと別れと再会があった1年だったんですね。東寺でのワンマンはどうでした?
HIROSHI:友達から「すごい!」と連絡が来たりして。ステージからの景色はすごかったんです。ドラムを叩きながら見ていると、東寺でライブをしている自覚がどんどん出てきて、すごくよかったですね。お客さんの楽しそうな顔もステージから見えていましたし。
●その次の週の“ポルノ超特急2019”はどうでした?
HIROSHI:初めて銀閣でライブをしたんですけど、熱かったです(笑)。温度だけじゃなくて、熱気もすごかった。
●銀閣は熱気と湿度がすごかったですよね。
HIROSHI:しかもあのライブはカタカナの“ロットングラフティー”でスーツを着ていたから大変だった(笑)。でもライブハウス感がすごくありましたよね。
●うんうん。
HIROSHI:でも、もしまた「やってくれ」と言われたら「1日1ステージならいいけど、1日2ステージは嫌だ」と言います(笑)。
●ふふふ(笑)。やっぱり1日2ステージはキツかったですか?
HIROSHI:キツかったですね。2ステージとも長時間のライブは初めてだったので、かなりしんどかった(笑)。
●金閣ステージでのライブはどうでした?
HIROSHI:金閣では2日ともアンコールは「Bubble Bobble Bowl」でしたけど、1日目はKatsuma(coldrain)、2日目はリブちゃん(Spear Rib / MAN WITH A MISSION)に叩いてもらって。
●そうでしたね。
HIROSHI:Katsumaにはツアーで叩いてもらったことがあるんですけど、“ポルノ超特急”では初めてだったかな。リブちゃんはこういうことをしてもらうのが本当に初めてだった。それが“ポルノ超特急”だったのですごく喜んでくれていましたね。
●「Bubble Bobble Bowl」で締め括るのは、多幸感に包まれますよね。
HIROSHI:そうですね。2日目は更に色んなバンドマンが出てくれましたし。
●先日coldrainにインタビューしたとき、メンバーが「“ポルノ超特急”のときのROTTENGRAFFTYメンバーはずっと動いていて、常に他の出演者の送り出しやライブを観ていて、バケモノだ」と言っていたんですけど(笑)、HIROSHIくんは他の出演者のライブのとき、ほとんどステージ袖で観ていたらしいですね。
HIROSHI:そうですね、ほとんど観ていました。楽屋にはほぼ居なくて、ご飯も急いで食べてライブを観に行ってました(笑)。
●出てくれた人たちのライブも、みんな熱かったですね。
HIROSHI:すごく愛を感じましたね。去年の“ポルノ超特急”は、僕らが普段からお世話になっているバンドを中心に出てもらっていたので、より一層愛を感じました。TOTALFATも3人になってから初めて観たんですけどすごくよかったし、Hump Backは初めましてでしたし、Fear, and Loathing in Las Vegasも帰ってきてくれたし、dustboxもやっと出てもらえたし。
●dustboxは初の出演でしたっけ?
HIROSHI:初です。あとはやっぱりDragon Ashですよね。ウルっと来てしまった(笑)。
●あのライブを観たらみんなそうなりますよ(笑)。
HIROSHI:僕はライブを観てもあまり泣かないんですけど、あの日は泣きながらDragon Ashのメンバーを出迎えて。サクちゃん(櫻井誠)が「おっ! HIROSHIやっと泣いたか!」ってハグしてくれました(笑)。
●いい話(笑)。
HIROSHI:サクちゃんも感極まって全然叩けなかったらしくて。ライブはもちろんですが、ウルウルしているサクちゃんの姿にも感動しましたね。
●『ROTTENGRAFFTY Tribute Album ~MOUSE TRAP~』に「マンダーラ」で参加してくれたDragon Ashも愛情しかないですよね。
HIROSHI:本当にそうですよね。あと、あのトリビュートアルバムでいうと四星球ですよね。初めて聴いたときはおもしろくて笑いましたけど、聴くのは1回でいい(笑)。長い(笑)。やりたい放題(笑)。
●ハハハ(笑)。
HIROSHI:でもみんなにまた恩返ししたいです。
「うまくいくと感極まって、ローディーの人とアイコンタクトで喜び合う。“やった! うまくいった!”って。それでメンバーに怒られてます(笑)」
●今回リリースとなるAll Time Best Album 『You are ROTTENGRAFFTY』のDisc1:ファンリクエスト・ディスクですが、入るだろうと思っていて入らなかった曲はありました?
HIROSHI:「So...Start」とか「世界の終わり」が入っていないのは驚きました。「STAY REAL」とかも入ると思っていたな。その代わりに「I Believe」が入っていたりとか。この順位にはちょっとびっくりしましたね。
●HIROSHIくんにとって想い入れのある曲はどれですか?
HIROSHI:うーん、どれだろう…「マンダーラ」かな。「マンダーラ」のMVには、僕の子供が登場しているんですよ。2歳のとき。
●お、なるほど。
HIROSHI:みんなで飲んでいるところも映像に入っていて、アットホームな感じのMVにしたいという話になって、僕の子供も出ているんです。
●「マンダーラ」ができたときのことは覚えていますか?
HIROSHI:確か、KAZUOMIがデモを作ってきて、初めて聴いたときに衝撃を受けました。N∀OKIがラップを歌って、NOBUYAがメロディを歌う…そこがすごいと思って。
●自分のバンドなのに衝撃を受けた(笑)。
HIROSHI:そう(笑)。自分が辛いことがあっても「マンダーラ」を叩くときは気持ちが上がるんです。だから背中を押してくれる曲ですね。
●「マンダーラ」はバンドが辛い状況のときにできた曲ですが、色々な思い出が曲と重なるんでしょうか?
HIROSHI:そうですね。レコーディングしたときに自分でもしっくり来たんですよ。自分の好きなフレーズなので、叩くときも気持ちいい。そしてやっぱり当時の衝撃が今もずっと残っていますね。
●なるほど。
HIROSHI:あとは想い入れが強い曲といえば、今回録り直した「暴イズDE∀D」ですかね。この曲をレコーディングした当時はすごく若かったから、無茶な叩き方をしているところもあって(笑)。今回録る前にKAZUOMIの家で「ここどうやって叩いてたっけな? 強引すぎるな…」と色々悩みました(笑)。当時のフレーズ、僕自身も全然覚えていないので(笑)。
●強引なフレーズ?
HIROSHI:身体的に、無理をしないと叩けないような感じなんです。昔の曲はだいたいそうなんですけど、無茶苦茶なんですよね。“今だったらこうは叩かないな”と思います。昔の作り方は、KAZUOMIからデモをもらって、自分なりにそれに近づけて叩くんですけど…以前のインタビューでも一度言いましたけど…手が8本ないとできないようなところもあって(笑)。「暴イズDE∀D」もそれに近づけようとして強引になっちゃったのかもしれません(笑)。
●ドラマーとしてのHIROSHIくんは、この20年間でどう変わってきたんですか?
HIROSHI:今だからこそ真剣にできるというか、気持ちに余裕ができた。
●メンタルの変化というか成長がいちばん大きいということ?
HIROSHI:はい。僕、ドラムはメンタルだと思うんですよ。ドラマー同士で話したりするんですけど、今までできていたことが急にできなくなることがあるんです。例えばライブで曲を叩いていて、前に間違えたことがある箇所がもうすぐ来ると思うと、やっぱり間違えてしまう。
●ああ、なるほど。
HIROSHI:なのであまり考えないようにしています。できなくなったところを練習で1回だけできたら、もう止めるようにして。練習で何回もやると結局ライブで間違えるんですよね。気持ち的に強張ってしまうというか。気持ちを楽にして、アツい中でも魅せることができるドラムが叩けるようになってきたのかなと思います。
●そういうメンタルを準備するために、HIROSHIくんがいつもやっていることはあるんですか?
HIROSHI:特別なことはしていなくて、練習するのみですね。クリックとかシーケンスの音のデータがiPodに入っているんですけど、例えばライブの日はそれに合わせてその日に演る曲を叩いてます。でも、キャリアを重ねれば重ねるほど、KAZUOMIが作ってくる曲が難しくなってきているんですよ(笑)。もちろんギターもベースも難しくなっていて。KAZUOMIが言うには「いっぱい曲を作っているから、ちょっと変わったことをしようとするとそうなる(笑)!」だそうです(笑)。だから昔よりも練習しないと追いつかないというか。
●ハハハ(笑)。「マンダーラ」は背中を押してくれる曲とおっしゃっていましたが、演奏していて気持ちよかったり楽しい曲はあるんですか?
HIROSHI:「盲目の街」は好きですね。間奏部分にちょっと速いフィルがあるんですけど、ライブ中にその部分に近づくと、ローディーの人と目が合うんです。うまくいくと感極まって、ローディーの人とアイコンタクトで喜び合う。「やった! うまくいった!」って。それでメンバーに怒られてます(笑)。
●うまくいったのに怒られるんですか?
HIROSHI:「HIROSHI、ライブ中に横見過ぎ!」って(笑)。
●ハハハ(笑)。
HIROSHI:coldrainのKatsuma(Dr.)も「ROTTENGRAFFTYのドラムは難しい」とよく言っていますね。coldrainの曲のドラムも難しいんですけど。去年の20周年ツアーで北海道を一緒にまわったとき、Katsumaが「PLAYBACK」を叩いてくれたんです。
●それは急遽決めたんですか?
HIROSHI:そうですね。確か、Katsumaが侑威地に「「PLAYBACK」が好き」と伝えたら「じゃあ叩く?」という話になって。それでリハで何回か合わせた。
●え? そんな急にできるんですか?
HIROSHI:あいつはできるんですよ。音源通りじゃないですけど、あいつなりに叩いてた。すごいです。
「世の中には色々なドラマーが居て、きっとその数だけグルーヴがあると思っていて。だからその人との違いを見て、その人の話を聞く。そこから気づく部分が多い」
●現時点のバンドに対してのHIROSHIくんのモチベーションはどういう感じですか?
HIROSHI:モチベーションは高いですね。1回1回のライブを100%にしたいと思っていて。そのためにはどうするべきか考えて、日々努力しています。
●HIROSHIくんが考える理想のライブはどういうものですか?
HIROSHI:お客さんと僕らの一体感があることは前提で、例えば僕だったらしっかりグルーヴを出せているかどうか。そこはまだまだ課題ですね。
●その課題をクリアするために、日々努力をしている?
HIROSHI:はい。シングル『ハレルヤ』のリリース前から「ハレルヤ」はライブで演っていますけど、最近やっと自分の身体に入ってきていて、いい感じのグルーヴが出せるようになったんです。でもカップリングの「相殺微量サイレンス」は今回のツアーからやっていて、あの曲はあの曲で難しいんですよ。なので今は「相殺微量サイレンス」をコンプリートして、楽曲を自分のものにしたいです。
●いいライブをするには、曲を自分のものにする。
HIROSHI:はい。それでいいグルーヴを作る。
●でもグルーヴって、曲によって出し方が全然違うと思うんですが。
HIROSHI:そうなんですよ。たぶん100%というのは不可能なんですよね。でも、だからこそ楽しい。もちろん100%を出せる人もいると思うんですが。
●ふむふむ。
HIROSHI:ROTTENGRAFFTYはフロントの4人が濃いじゃないですか。だから僕も濃くならないといけない。それに加えて、ちゃんとグルーヴを出したい。
●濃くならないといけないという意識があるんですね。
HIROSHI:そのためには、アツいけど常に冷静でいなきゃいけない。それはよくKAZUOMIにも言われることなんですが(笑)。
●冷静なだけだと埋もれちゃうけど、アツすぎるとリズムやグルーヴが崩れる。
HIROSHI:そうなんです。だからROTTENGRAFFTYはみんなの不器用なところがステージに出ているというか。
●ROTTENGRAFFTYがライブで生きるか死ぬかくらいのテンションなのは、HIROSHIくんが思っている“他の4人が濃いから自分も濃くならないといけない”ということを、全員が思っているからなんじゃないですか?
HIROSHI:そうかもしれないですね(笑)。
●先程おっしゃっていた「日々の努力」とは具体的にどんなことなんですか?
HIROSHI:やっぱり練習ですね。スタジオに個人練習で入ったり、家にエレドラがあるので確認したりとか。あとは最近は昔の曲を演ることがたまにあるので、それに対応できるようにしています。
●毎日ドラムのことを考えている。
HIROSHI:そうですね。メンバーにアドバイスや指摘をもらったら、ちゃんと落ち着いて考えて。テンポを落として1つ1つのパターンを確認して、徐々にテンポを速くしていって身体に入れるというか。
●そういうことなら、ゴールはないですね。
HIROSHI:そうですね。バンドのグルーヴにも対応しなくちゃいけないから、本当にドラムは難しいなと思います(笑)。
●複数の人が集まってやることなので時期によって変わっていくとも思うし、曲によっても違うし。
HIROSHI:クリックがある曲はクリックに合わせればいいんですけど、クリックがない曲は「Aメロで走って、Bメロでテンポを落とす」と言われたらそういう風にしないといけない。だから日々の積み重ねが必要なんです。
●この20年で自分が変わったと思う部分はありますか?
HIROSHI:オールナイトができなくなりましたね(笑)。
●衰えじゃないですか(笑)。
HIROSHI:ハハハ(笑)。成長した部分でいうと、いちばん大きなところはドラムに向き合う姿勢が変わりましたね。若いときはあまり考えていなかったんです。グルーヴとかもあまりわかっていなかったですし。
●どうやったらドラムの上達に繋がるんですか?
HIROSHI:日々の練習はもちろんですけど、人のライブを観たり、先輩や友達と話をすることですかね。今ドラムで悩んでいることを先輩に相談したらアドバイスをもらえたりもしますし。そういう意味で、人のライブを観るのはすごくヒントになりますね。その人のグルーヴの出し方を知ることができるというか。
●それは、人のやり方をそのまま採り入れるわけではなく、その人なりのアプローチを知って参考にするということですよね?
HIROSHI:はい。僕以外の人がROTTENGRAFFTYの曲を叩いても、全然違うグルーヴになるんです。世の中には色々なドラマーが居て、きっとその数だけグルーヴがあると思っていて。だからその人との違いを見て、その人の話を聞く。そこから気づく部分が多いですね。
interview:Takeshi.Yamanaka
assistant:Yuina.Hiramoto
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New Single 『ハレルヤ』 KAZUOMI Interview Special Talk Session #1 NOBUYA・N∀OKI × TAKESHI UEDA(AA=)Special Talk Session #2 NOBUYA・N∀OKI × 北島康雄(四星球)
ROTTENGRAFFTY 20th Anniversary Interview響く都のROTTENGRAFFTY、20年目の全メンバーソロインタビュー
2018年2月に6th アルバム『PLAY』をリリースし、全国47都道府県をまわる"PLAY ALL AROUND JAPAN TOUR 2018"のファイナルでは日本武道館でのワンマンを大成功させた響く都のドブネズミ・ROTTENGRAFFTY。京都パルスプラザでの開催は5回目となった主催フェス"ポルノ超特急2018"を経て、今年彼らは結成20周年を迎え、1月にはLIVE ...