音楽メディア・フリーマガジン

ROOKiEZ is PUNK’D

4ヶ月連続連載Part.1 音楽だけではなくマインドをも受け継いだ次世代のミクスチャーロック

 2010年6月、シングル『コンプリケイション』でメジャーデビューを果たしたミクスチャーロックバンド、ROOKiEZ is PUNK'D。2005年、シーンの最前線を走り続ける先人たちの背を追ってステージに立った彼らは、熱い想いを胸に、自らの手で道を切り拓いてきた。我がJUNGLE★LIFEでは、そんな彼らのバンドとしての“核”に迫る特集を4ヶ月連続で企画。第1回目となる今回はVo./G.SHiNNOSUKEのソロインタビュー。ROOKiEZ is PUNK'Dというバンドの原動力、そしてこのバンドで彼らが成し遂げようとしていることをじっくりと訊いた。

Interview

「自分たちの周りでがんばってて、俺らが"いい"と思えるバンドをもっともっとたくさんの人に知って欲しい。そして先輩たちに恩返ししたい」

●ROOKiEZ is PUNK'Dは2005年から活動を始めたんですよね。2RASHさんがSHiNNOSUKEさんを誘ったのがきっかけで結成したとのことですが。

SHiNNOSUKE:2RASHは高校の2コ上の先輩なんですけど、俺が入学したとき、新入生歓迎会で2RASHがHi-STANDARDのコピーをやってたんです。俺はHi-STANDARDが好きだったから、話しかけてそのコピーバンドのライブを観に行ったりして仲良くなり「バンドやろうよ」となって。高校生のときはコピーバンドをやってて、その後ROOKiEZ is PUNK'Dの前身バンドを組み、2005年くらいにROOKiEZ is PUNK'Dを結成して渋谷のclub asiaでイベントを始めるようになったんです。

●聴くところによると、結成当初はUZUMAKIが主催する"ガンギマナイト"に出るのが目標だったらしいですね。

SHiNNOSUKE:めちゃくちゃ出たかったんですよ。それまでは高円寺とか新宿でライブをやってたんですけど、なかなか上手いこといかなくて。で、2005年に前身バンドからROOKiEZ is PUNK'Dになり、その当時はもう1人ギターがいて4人でやってたんですけど、club asiaでは"ガンギマナイト"が定期的に開催されていて。俺らは客としてよく遊びに行ってたんですけど、"ガンギマナイト"に出たいがためにバンドとしてclub asiaを目指すようになったんです。

●なぜ"ガンギマナイト"に出たいと思ったんですか?

SHiNNOSUKE:単純に、大好きなバンドがいっぱい出てたからです。UZUMAKIはもちろんRIZEや山嵐、ChocksleeperやROTTENGRAFTYも出てるし、海外から(hed)p.e.が来たりしていて。そんなメンツが出てるイベントがあるなら、"もうそこしか行きたいところはないぞ"っていうくらいの勢いで。

●なるほど。

SHiNNOSUKE:だからclub asiaに出ることで"ガンギマナイト"に近づけると思ったんです。で、知り合いのBACK-ONにclub asiaで当時店長をやっていた三宅さんという方を紹介してもらったんです。

●はい。

SHiNNOSUKE:で、そのうちclub asiaでライブをやれるようになって、系列のVUENOS TOKYOであえてイベントを打ったりもしていて。そういう中でしょっちゅうUZUMAKIのメンバーのところへ挨拶しに行ったりするようになり、club asiaの三宅さんにも「"ガンギマナイト"に出たいです」とずっと言い続けてて、そういった流れで"ガンギマナイト"にもなんとか出れるようになったんです。2005年くらいに初めて出させてもらい、それから毎回呼んでもらえるようになって。club asiaのビップルームに行ったら自分たちの"憧れの存在"がみんないるわけじゃないですか。そこに俺らも入って仲良くなって"ここで一緒にやっていきたい"って思ったんですけど、でもいざその局面に立ってみるとそれは違うかなと。

●というと?

SHiNNOSUKE:やっぱりあの世代の人たちは、みんなでがんばってきたからこそここまで来たんだなって。だから俺がそこ入って行ってワチャワチャやるのも何か違うなって思ったんです。先輩たちはみんなよくしてくれるんですけど、やっぱり俺らは俺らの世代で盛り上げていかないといけないんじゃないかっていう感覚になったんです。

●ああ~。

SHiNNOSUKE:当時、VUENOS TOKYOが企画した『LUV GRAFFITI』っていうミクスチャー系の若手を集めたコンピプロジェクトがあったんですけど(ROOKiEZ is PUNK'Dは2007年4月リリースの『LUV GRAFFITI 4』に参加)、そのプロジェクトが一旦終わったとき、club asiaの三宅さんに「club asiaでレギュラーパーティーをやらないか?」と言われたんです。

●おおっ!

SHiNNOSUKE:俺たちはクラブシーンの人たちとも繋がりがあって、それまでもVUENOS TOKYOでクラブ系イベントを打ったりしてたんですけど、それを見てくれてたんでしょうね。三宅さんが「2ヶ月に1回第一金曜日を空けるから、今までの延長でレギュラーパーティーをやっていこうよ」って。そこで自分たちで"BUMP ON da STYLE"っていうイベントを立ち上げて。最初は『LUV GRAFFITI』の流れから渋谷界隈のバンドを集めて始まったんですけど、少しずつ他の街で活動している人たちとかにも出てもらうようになり、名古屋とか大阪とか…例えば名古屋のHundred Percent Freeとか、大阪のMagenta BeachとかNO HIGH ROLLERを呼んで仲良くなっていったりして。

●少しずつ、でも確実に繋がりが増えていったんですね。

SHiNNOSUKE:でもそのうち、渋谷で活動していた連中がみんな同じようなイベントを打つ状況になって、何も違いがないみたいな感じになってしまったんです。で、そうこうするうちにみんなバンドを辞めていっちゃって。

●個人的な印象ですけど、UZUMAKIとか山嵐、RIZEの世代は横の繋がりがすごく強いような気がしていて。"ガンギマナイト"もそうですけど、例えば山嵐が主催する"湘南音祭"や10-FEET主催の"京都大作戦"はそういった繋がりが発展して形になったイベントですよね。一方で、その下の世代はあまりそういった繋がりが見えないというか、シーン的なものも少ないという印象があるんです。2000年前後の音楽シーンの活況とその後の不況という背景も影響しているんでしょうけど。

SHiNNOSUKE:そうですよね。おっしゃったように先輩たちは繋がってずっとやってるんですよ。でも俺らの世代は辞めていったバンドが本当に多くて。もちろん残って今もやっているバンドはいるんですけど、誰かがシーンを引っ張るような力を持たないとダメじゃないかって。

●うんうん。

SHiNNOSUKE:じゃないとみんな今の状態のまま年を取って辞めていくことになっちゃうよって。だから俺たちは「メジャーでやろう」って発想に至ったんです。そう強く意識し始めたのは2008~2009年くらいだったかな?

●ある意味、危機感のようなものを感じていた?

SHiNNOSUKE:感じましたね。

●ROOKiEZ is PUNK'Dというバンドでやりたいことの核というのは、先輩たちがやってきたように周りのシーンも含めて盛り上げるということ?

SHiNNOSUKE:そうですね。こういうこと言うと語弊があるかもしれないですけど、ミクスチャーロックと呼ばれるシーンで、さっき名前を挙げた先輩たち以降、ガーン! とシーンを引っ張り上げる力を持ったバンドは出てこなかったと思うんです。だったら俺たちがなろうよって。やっぱりミクスチャーロックが好きで、このシーンが好きでバンドをずっとやってきたわけだし、俺らも色んなことをやってますけど、なんだかんだでそこにはずっとこだわり続けてきたんです。

●それはSHiNNOSUKEさん自身のルーツでもある?

SHiNNOSUKE:そうですね。高校生のときにDragon Ashと出会ったのは大きかったし、そこでRIZEも知って本当に憧れたんです。Kjさん(Dragon Ash)やJESSEさん(RIZE)が自分の中で"カリスマ"みたいな存在だったからこそ、そういう存在に自分もなりたいと思いながらずっとバンドをやってきて。だから俺はギターボーカルを選んだんだと思うし(笑)。

●モロ影響受けてますね(笑)。

SHiNNOSUKE:俺が目指しているのは、今自分たちの周りでがんばってて俺らが"いい"と思えるバンドをもっともっとたくさんの人に知って欲しいし、先輩たちに恩返しをしたいという気持ちもあります。大げさなことじゃないんですけど、俺たちは先輩たちにフックアップされたっていう実感がすごく強いんです。ROOKiEZ is PUNK'Dの前身バンドでやっていたとき、1度スプリットアルバムを他のバンドと一緒に出すことになったんです。で、club asiaに行ったらJESSEさんが普通にウロウロしてて(笑)、知り合いでもないのに「今度スプリットを出すのでコメント下さい」ってダメもとでお願いしたんですよ。

●強引ですね(笑)。

SHiNNOSUKE:知らない奴がいきなりそんなこと言ってきてもわけわかんないじゃないですか(笑)。でもあの人はすごく熱い人だから「じゃあここに電話しろよ」って電話番号を腕にマジックで書いてくれて、俺が後で電話したら本当にコメントをくれたんです。

●ああ~、それは嬉しい。

SHiNNOSUKE:UZUMAKIだって"ガンギマナイト"に出させてもらったとき、2RASHが嬉しくて飲み過ぎちゃって、Ba.TERRYさんのベースケースにゲロ吐いたんですよ(笑)。

●えええええぇーっ!! (笑)

SHiNNOSUKE:俺としてはもう顔面蒼白ですよ。ただ、そこでTERRYさんは怒るんじゃなくて「いや、"ガンギマナイト"に出たらこれくらいやってくれないとダメだ。むしろこれくらいやってもらってありがたい」って言ってくれたんです。

●おお! すごい!

SHiNNOSUKE:ホント、そういう人たちなんですよ。ウチのドラムのUは後から入ったメンバーじゃないですか(※2011年1月加入)。こないだ神戸にライブで行ったとき、打ち上げでUZUMAKIのVo.JYUくんが酔っ払ってて、Uに向かって「お前は後から入ってきてどれだけROOKiEZ is PUNK'Dが好きなんだ?」って説教し始めて(笑)。

●ハハハ(笑)。

SHiNNOSUKE:Uが「いや、大好きです」って答えたら、今度は「じゃあ"絶対やる"って言ってみろよ!」って。で、Uが「やります!」って言ったら「敬語じゃなくて"やる!"って言ってみろよ!」って(笑)。

●アハハハハハ(爆笑)。

SHiNNOSUKE:俺はその横で爆笑してたんですけど、やっぱりそこまで言ってくれるって、すごく嬉しいことですよね。Uは完全に困ってましたけど(笑)。

●でも嬉しいですね。

SHiNNOSUKE:ChocksleeperのDr.KenKenさんとかも、ツアーの周り方とかすごく丁寧に教えてくれたり、色んな人を紹介してくれたり。最初は怖い人たちなのかな? って思ってたんですけど、みんな死ぬほど愛のある人たちだし、そういういう姿勢は一生忘れちゃいけないと思ったんです。"ガンギマナイト"に出ている先輩たちほど俺たちはコアな音楽はやってないし、もともとポップなものをやっていたんですけど、でもポップだからどうこうじゃなくて、俺たちの姿勢とかを見てフックアップしてくれた先輩たちがいっぱいいる。だからその先輩たちがやろうとしていたことは俺たちがやりたいことでもあるんです。

interview:Takeshi.Yamanaka

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