2013/6/9@なんばHatch
入浴:SAKANAMON / ハルカトミユキ / THE STARBEMS / SUNDAYS / パスピエ / 爆弾ジョニー / 四星球 / キュウソネコカミ
清水音泉とは、大阪に拠点をもつ弱小イベンターである。ミュージシャンを愛し、ライブハウスを愛する、音泉(おとのいずみ)よりの使者として、毎年、大阪泉大津市にあるフェニックスにて、数万人規模の野外イベント“OTODAMA”を開催している。なんと総勢3名の運営担当者と、少数の美(微?)人スタッフで構成される、熱き、気の狂ったライブイベント集団なのだ!!
そのOTODAMA’13に先駆けて9//7に大阪なんばHatchにて開催されたのがOTODAMA’13〜ヤングライオン編〜。ライオンの親は、子供の成長のために、敢えて子供を谷につきおとすと言うがまさに“千尋の谷”を地で行く、清水音泉の音泉魂を、この日見た気がした。
オープニングは清水音泉のミドルライオン“野原ライオン”のサイコロトークでスタートを切る。iPhoneを駆使しての絶妙なる司会っぷりに否応なしに会場は盛り上がってくる。そこに「お肉大好SAKANAMON!!」でトップバッターのSAKANAMON登場。メジャー1stフルアルバム『na』が好調なセールスを続け、予測不能で自由奔放なライブを展開する3ピースは、何処にでもいそうな、何処にでもいるキャラクター。しかし、その突き刺す、音、詩にはシュールな表情が見え隠れしている。
ピアノ音より始まり、叙情的なオーラを放つ新生フォーク・ロックユニット、ハルカトミユキ。静かな中にも、剥き出しにされる感情。ハルカ(Vo./G.)とミユキ(Key./Cho.)の出会うべくして出会った、運命の唄声。絶妙なる職人技のアレンジで、曲を更に昇華させるミュージシャン。1曲終わるたびに聞こえる観客の息使いと、心臓の鼓動。「ノリにくい曲ばかりですいません」とハルカ。会場は、このリアルでゾクゾクする詩人の叫びに吸い込まれていった。
バンド転換の時間には、最近何かと話題の四星球・北島康雄が、出演者や関係者のサインボールで会場を沸かせていく。そして序盤戦の大きな山場を迎え、早くもTHE STARBEMS登場。BEAT CRUSADERS散開後も数々のプロジェクト、ソロ活動を続けてきた日高央を中心に、セッションを重ねながらたどり着いたサウンドは、パワーPOPなメロディとメロディックパンクやハードコアをも飲み込んで、独自にPOP処理されたこのバンドにしか表現できない特別な感覚。激しいライブにもかかわらず、優しと温かみのあるロックに仕上がっている。自然発生的にできあがるダイブも、浪間に漂うボードのように軽やかに浮かんでいる。個性豊かなメンバーの集合体だが、きっちりバンドしている希少な存在として心に焼きついた。
↑THE HIGH-LOWS↓の代表曲「日曜日よりの使者」がSEとして流れる中、SUNDAYSが飛び出して来た。「終わらない旅」「バンドマンの友達が言うには」「Bigになりたい」と分かりやすいタイトルの曲を熱唱。「先日まで暗い地下のライブハウスで客ひとりなんてライブもありました。今日は1500人もの人の前でやれて幸せです」と言うのは、長身でスレンダーなふーちゃん(Vo.)。その素直な表情はとてもキュートな印象だ。当然のごとくオーディエンスは手拍子で応え、それぞれが思い思いのステップを踏み出している。
続いては、複雑怪奇、変則リズムに、独特のヴォーカルセンスを持つ大胡田なつきを擁するパスピエ。それぞれの楽器パートがこれほど際立つステージを演出するバンドも、そうはいないのではないか? 卓越したテクニックは、数倍も楽曲を輝かせて魅せる。なつきのリアクション、「3、2、1、キュー」にも会場は素直に応えていた。「the band apartとのツーマンライブもsold outしました」というパスピエの将来を暗示するようなMCの後、「電波ジャック」で盛大に締め括った。
さあ、終盤戦に突入だ!! 爆弾ジョニーの幕開けは、70年代サイケデリックの再来を思わせる演出だが、2曲目はもろブルースだ!! ジョン・レノン、ボ・ガンボスのどんとをも想起させる、歌とギターのりょーめーは圧倒的な存在感を放ち、その声は説得力を持つ。フロアには徐々に火が付き、客が溢れだしてくる。会場にクラッカーをバラマキ、RCサクセションの名曲「雨上がりの夜空に」をさりげなく入れ込んだメドレーにHatchは、完全にダンスホールと化してしまった。爆弾ジョニーは確実にロックしている。
十分に熱を帯びた会場に、ランドセルを背負った女子小学生姿で四星球の康雄が現れ、メンバーのセッティング中にも関わらずMCを始める。一旦、袖にはけるも、再び天使の羽を付け登場。「レッドブルを飲んだら羽根が生えました。四国から来た四星球です!!」という挨拶に会場は一気に一体感を増し、2階席まで笑いと感動の渦へと巻き込んで行く。自らを“コミックバンド”と呼び活動を続ける潔さと、誰にでも共感を得る詩の世界観は、確実に次のステージへと向かっている実感を得たライブだった。「僕は元々芸人になりたかったんです。同年代の芸人がやっているのを見て“俺のほうが面白いん違うかな?”とも思うし、とにかく俺らはバンドで売れたいんです」と、康雄は柄にもなく真剣な眼差しでオーディエンスに訴えかける。惜しみなく、温かい拍手が鳴りやまない。新曲「フューちゃん」で泣かせ、「我ら吉野川同盟」で会場を一つにした四星球。感動の渦を巻き起こした、今年一番のライブとなった。
トリは、要注目! 要注意! キュウソネコカミ。「俺たちがトリはおかしいぞ清水音泉!! “OTODAMA”には出ない。“RUSH BALL”に出るキュウソネコカミです」とのヤマサキセイヤ(Vo./G.)。タイトでパワフルなリズムセクション。艶っぽく、色気さえ感じるセイヤのヴォイス。日本人に宿る、体内リズムの躍動感に祭りの興奮がMIXされたサウンドアプローチ。どれをとってもザ・オリジナル。またひとつ、目の離せないバンドが登場した!!
キュウソネコカミのアンコールまでの約8時間。ほとんど帰る人のないイベントとなり、ライブが更に好きになるほど、質の高いアーティストが揃った1日だった。10周年記念イベントも、残すは“OTODAMA’13〜音泉魂〜”のみ! バンドの礎となり、豊かなミュージック・ライフを提供する、清水音泉の“本気”をぜひとも見せてほしい!!
追伸:キ〇〇イ扱いしてゴメンなさい。
JUNGLE☆LIFE PJ