昨年、台風12号の影響により無念の中止を喫した清水音泉が主催の野外イベント“OTODAMA'11~音泉魂~”。
雪辱を晴らすべく、今年は “OTODAMA'11-'12~音泉魂~”と称して2デイズ開催が決定!
そこでJUNGLE☆LIFEでは2ヶ月連続で特集ページを設け“音泉魂”を大プッシュ!!
記念すべき初回の内容は、気合い十分で臨む音泉員達に“音泉魂”の魅力や裏話、マインドについて語っていただきました。(Interview:PJ Edit:森下恭子)
●"音泉魂"はどういった意図から生まれたんですか?
田口:普段、僕たちが"ライブハウス"でやっている事の「答え合わせの場を作りたい」、バンド・お客さん・主催者が年に一度集まって"同じ方向"を向いて いる事を「確かめ合いたい」という想いから"音泉魂"は生まれました。清水音泉は2004年に開湯しまして、2005年に"音泉魂"を初開催しました。そ れまで関西の夏フェスといえば"RUSH BALL"と"SUMMER SONIC"が代表でしたれど、フェスの数が少ないと出演可能なバンド数も少なくなるじゃないですか。そこで、たまたま"RUSH BALL"と同じ会場を使い回す事ができ、経費を押えつつ、普段ライブハウスでご一緒しているバンドを排出するというマインドで、なんとか初開催させて頂 きました。超手作りでインディペンデント、それが持ち味かもしれません。
野原:"フェス"がやりたいという訳じゃないんですよ。僕たちが普段関わっているバンドが一堂に集まった時、来てくださるお客さんの数がたまたま野外規模になるというだけで。
●イメージ的に、ライブハウスで下積みをしてきたバンド達が"音泉魂"をひとつの区切りとして、ステップアップしていくという印象があります。
田口:ライブハウスで活動してきた一年ごとの"答え合わせ"っていう区切りでしょうか。だからマインド的には普段のライブハウスの活動と一緒ですよ。
●田口くんが思う"ライブハウスのマインド"って?
田口:コンサートは発表会、ライブはお客さんと創り上げるものだとすれば、一番の違いは"一方通行"かどうか。出演者とお客さんの力を足して100%以上 の出来になるのがライブで、その場所がライブハウスなので、そこで一緒に創り上げようとする姿勢が"ライブハウスのマインド"だと思います。会場が大きす ぎると互いの反応が伝わりにくいので、"音泉魂"の規模がライブと呼べるギリギリのラインだと思います。泉大津フェニックスは最大で2万人ほど入るんです が、一度だけ完売した時も1万5千人で止めました。
●例え集客が臨めるとしてもストップをかけるということですね。
野原:僕は客席レイアウト担当なんですけど、2万人規模だと流石に全体が見れなくなっちゃいます。ライブハウスなら何かあってもすぐに対応できるじゃないですか。全体を把握しきれないし、こっちの意図も伝わらないんじゃないかという気持ちがありますね。
●なるほど。"音泉魂"の楽しみ方ってなんでしょう?
田口:清水・田口・野原の3人が中心になって、年間を通してライブに携わる中で、ライブが突き抜けていた人だけをキャスティングする様に心掛けています。 "365日ライブに携わっている奴らが突き抜けてると思った出演者ばかりなんや"と思って頂けたら、初めて観るバンドでもハズレがないんだなという目線で 楽しんでもらえると思います。
一年間ご一緒した中で特にライブが突き抜けていた皆さんを厳選
●普段から音泉のみなさんと接していても"ほんまにライブが好きなんや"と思います。野原くんは"この人、本当にスタッフ?"て思うくらいキャッキャと観てるから。
田口:それこそ"清水イズム"じゃないかと。ライブ中にパソコンで作業したり電話したりするのは極力避けて、ライブをしっかり観るというのは、入社当初に清水から叩き込まれました。
●清水さんの魅力ってなんだと思いますか?
野原:バンドからの絶対的な信頼じゃないでしょうか。「清水さんじゃなきゃ!」っていう声はよく耳にします。
田口:イベンターとバンドの間には契約書がないんですよ。口約束の世界なんで、ある意味契約書があるよりシビアなんですが、清水はバンドがどんな状況に なったとしても、本人達が楽器を手放すまでが担当者だという想いでいると思います。バンドが売れてほしいのはもちろんですが、それ以上に続けてほしいとい う気持ちが強いんだろうなと。
元旦に門松を捨てる罰当たりの結末…
●そういう人達が作り上げる"音泉魂"ですが、昨年は台風直撃で中止になりましたよね。日頃の行いが悪かったからじゃないですか?
田口:そうですね。清水が元旦に門松を捨てました。
●…はい?
田口:毎年"謹賀魂"という年越しイベントをやっていて、会場に門松を飾るんですよ。普通ならイベントが終わっても、正月が終わるまでは残しておくじゃな いですか。ところが清水は、昨年のイベント終了後にそのまま捨てるという暴挙に出まして。それが原因じゃないかという噂が…。しかも今年も、初詣で引いた おみくじを、その場でゴミ箱に捨てちゃったんですよ。
●ええ!? それを見てふたりはどう思いました?
野原:来年の"音泉魂"は3日開催かなと…。
一同:アハハハ!
●でも、2デイズということで面白いラインナップが決まっていますね。
田口:まずは昨年出演予定だったみなさんにお声かけさせて頂きました。毛皮のマリーズは解散しちゃったけど、志磨くんが新バンドのドレスコーズで出てくだ さる事になりました。民生さんやカエラちゃん、バックホーンやPOLYSICSなど、昨年出演予定でなかった方々も出演オファーを快諾くださりました。
●出し物的な仕掛けも多いですよね。至るところに遊びを散りばめているから、お子さんを連れて来るのもいいかも。
田口:"子ども連れでも行きやすいイベント"っていうのは大事にしていることのひとつです。清水自身も2人のお子さんがいますから。僕と野原は独身ですけど…。
●お二人とも、そろそろいい歳ですよね。ご愁傷様です。あとステージの名前が"大浴場"と"露天風呂"。"風呂場で何するんだろう?"って思う人も絶対にいそう。
野原:実際に「水着着用ですか?」って問い合わせがありました(笑)。
田口:"泉大津フェニックスに天然温泉が湧いた"って記事になったことも。埋め立て地やのに(笑)。
●アハハ(笑)。読者にはインディーで頑張っているバンドも多いですが、出演のチャンスはありますか?
田口:メジャーやインディーでの分け隔てはありません。例えば四星球は、僕たちが関与しない"SET YOU FREEテント"の常連バンドだったんですけど、去年初めて露天風呂にお声かけさせて頂きました。そういうストーリーも楽しみのひとつですね。
●"音泉魂"に出演できる基準というのは、どんなところなんでしょうか?
野原:音源や評判だけを聴いてお声かけする事はなくて、日頃のライブやイベントでご一緒させて頂いて、一緒に遊んでくださる方々にご出演頂けていると思います。"音泉魂"がゴールではなく、後の音楽活動にフィードバックしてもらえるように考えています。
田口:お客さんには"音泉魂"で良かったから、"次のワンマンライブにも足を運ぼう"と思って頂けるのが一番の願いです。
●そういう意味では、ショーケース的な場でもある?
田口:ショーケースではなく、ライブハウスをそのまま野外に持ってきましたって感じですね。
●フードやアトラクションもあるし、子ども連れもOKだし、のんびりと楽しめそうですね。
野原:いわゆる大型野外フェスのような自然に対するスキルもあまり要らないですし、簡単に入りやすいイベントじゃないかなと思います。一番の売りは、音量 制限がないことと、芝生があることなんですよ。かといって爆音な訳じゃなくて、丁度良い音を芝生で楽しめる。音はめっちゃ良いと思います。
●しかも、チケットが安いですよね。
田口:そうなんですよ。ライブハウスに行った事がない人も、気軽に来てもらいたいので。ライブハウス初心者大歓迎。ライブハウス処女&童貞の人たちのデビューのキッカケになったら嬉しいです。
野原:マインド的にはフェスではなく、気軽に参加出来るイベントだと思っています。
田口:大人が全力で作る"よくできた学園祭"。これ、清水の口癖ですから。一生思春期やってやりますよ。
※対談の日に、あろう事か前日に食べた、高級フランス産の"生牡蠣"で食あたりになった番台の清水氏は、肝心な時に残念な欠席です。