YOKOHAMA F.A.Dを拠点に全国で活動するSTOMPIN' BIRD。
その背中を見てバンドを始め、やがて同じステージに立つようになったNUBO。地元横浜を愛し、熱く激しく人間くさいライブで魅了する彼らがずっと大切にしてきたこととは? RADIOTSとのスプリットCD『RADIO STOMP DRIVE』をリリースしたばかりのSTOMPIN' BIRD・TOMと、10/19に2ndアルバム『Warmth』のリリースを控えているNUBO・tommyによるスペシャルトークセッション。
「学生時代にコピーバンドをやっていたころから観てましたけど、その後バンドを本気でやろうとなった瞬間から、背中で教えてもらっているような感覚があるんです」(tommy)
「NUBOはすごくNUBOらしい歌詞とメロディがあるからいいと思うよ。曲調はだんだん激しくなってきているような気がするけど(笑)」(TOM)
●STOMPIN' BIRDがライブハウスでライブをやるようになったのは97年ごろということですが、tommyはいつくらいからSTOMPIN' BIRDを知っていたんですか?
tommy:NUBOを結成したのが2002年なんですけど、その前から…高校生のときくらいから知っていて。高校に入ったころに"AIR JAM"が始まってHi-STANDARDを知って。で、横浜にもかっこいいメロコアのバンドがいると聞いて、詳しいクラスメイトとかがSTOMPIN' BIRDのCDを持ってたんですよ。それが最初に知ったきっかけですね。
TOM:そうだったんだ。
tommy:"地元にもこんなバンドがいるんだ、すごいな"って驚いたんですけど、CDを出している人たちなんて、当時の僕たちからしたら雲の上の存在で。高校の先輩でSTOMPIN' BIRDをコピーしている人とかいましたもん。
TOM:NUBO世代のバンドは、意外とコピーしてくれてた人が多いみたいだね。全然実感はないけど(笑)。
tommy:高校3年生くらいになって、ちょこちょこF.A.D YOKOHAMAにも遊びに行ってたんですよ。そこでSTOMPIN' BIRDのライブを観てました。
●バンドとしての絡みは?
tommy:それから結構時間が経ちますね。F.A.Dは毎年年末に横浜のバンドが集まって"爆裂"というイベントを開催しているんですけど、当時はSTOMPIN' BIRDとBeehiveとChocksleeper、その3バンドの中の誰かがイベントを仕切ってやっていたんです。それでBeehiveが仕切る年に初めて呼んでもらったんですよ。F.A.Dのブッキングに出てるバンドにとって、"爆裂"に出るのはすごいステータスだったんですよ。そこで初めてSTOMPIN' BIRDと対バンさせてもらって。NUBOを結成して2~3年経ったくらいだったと思いますけど。
TOM:その前から俺はF.A.Dで働いていたから、それまでもNUBOのライブは何度も観たことがあって。
●TOMさんたちから見てNUBOはひとつ下の世代という感じなんですか?
TOM:そうですね。でも横浜って、あまり上下関係が厳しくないんですよ。だからあまり年齢とかバンド歴で考えたことがないんですよね。もしかしたらそういう上下関係の流れを止めちゃったのは俺らの世代かもしれないんだけど(笑)、ライブをやってかっこいいかかっこよくないか、それ以外は自分の中ではどうでもよくて。年が下とか上とかあまり関係ないんですよ。
tommy:ああ~。
TOM:そういう気持ちでやってきたから、自分より若いバンドに「こうやれよ」って強制したことは一度もないし。そもそもバンドに先輩も後輩もないじゃないですか。それぞれがそれぞれの意志でやっている集合体なだけで。もちろん経験の差はあるから、何か訊いてくれば答えたりもしますけど、あまり上下関係を意識したことはないんです。
tommy:頭ごなしに何か言われたことが本当になくて。でも学生時代にコピーバンドをやっていたころから観てましたけど、その後バンドを本気でやろうとなった瞬間から、背中で教えてもらっているような感覚があるんです。STOMPIN' BIRDがやっていることを見て自分たちで改めて考える、みたいな。そこにどういう意図があるかを訊いたわけじゃないですけど、いつもすごく大きなきっかけを与えてくれる存在というか。
TOM:いい感じに勘違いしてくれてる(笑)。
tommy:アハハハハハハ(笑)。
●TOMさんはNUBOを知った当初、どういう印象を持ったんですか?
TOM:NUBOは昔からメロディックと呼ばれる人たちの中でミクスチャー的な音楽をやっていて。そういうスタンスでやってるバンドは他にあまりいなかったんですよね。ミクスチャー的なバンドの数も少なくなっていて。でもNUBOはそんな中でも関係なくやってるんだなって興味を持って観ていたんです。自分たちのスタイルがあるのに、自分たちのスタイルと似たところとやるバンドではない、っていう。逆に似たところとあまりやってないよね(笑)。
tommy:そうですね(笑)。
TOM:テンポの速いバンドとばっかやってるなっていう印象がある。だからと言って浮いてるかというとそんなこともない。その辺も横浜のバンドっぽいんですけどね。
tommy:ウチはF.A.Dでライブを観てバンドを始めようと思ったメンバーばかりだから、自然とそういう感じになっていったような気がします。最初からジャンルという概念があまりなかったというか、F.A.Dでライブをやるバンドになりたかったし、F.A.Dでやっている先輩たちの仲間になりたかったと思っていたし。
●STOMPIN' BIRDのライブは伝わってくるものがビシビシあってめちゃくちゃかっこいいと思うんですけど、NUBOはどういう影響を受けていると思います?
TOM:ウチからはあまり影響受けない方がいいと思うけど(笑)。
tommy:いや~、真似したくてもできないですよ(笑)。でもジャンルとか関係なく、ライブに対する姿勢というかステージでの気迫がすさまじいと思うんです。「今日はこういうところがよかった」というのが絶対に毎回あって、しかも毎回ちょっとずつ違うんですよね。だから"そこを見逃したらヤバい"っていう気持ちになるんです。
●前から訊いてみたかったんですけど、TOMさんはライブ中、どういうことを考えているんですか?
TOM:うーん…いちばんいいというか、気持よくライブを終えたときっていうのは何も考えてないときなんですよ。
tommy:ああ~。
TOM:ライブでは、口で説明できないような状況になるんです。"向こう側"みたいな(笑)。そのときに何を考えているのかを後から振り返っても、記憶すら曖昧なんです。そういうときって演奏面はひどいかもしれないですけど(笑)、その辺のバランスは長くやっていると次第に取れるようになってくるんですよね。グチャグチャッとしたライブをやって「やってやったぜ!」では終わらないし、キチッとしたライブをやったとしてもメンバー間やお客さんとのグルーヴが生まれなかったら「もっとやれたんじゃないか」と思うし。余計なことを考えたときがいちばん後悔するライブになりますね。
tommy:STOMPIN' BIRDのライブは本当に伝わってくるものがすごいんですよね。こうやって話したりできる距離にかっこいいバンドがいてくれるのがありがたいです。
TOM:ありがとうございます!(笑)
tommy:ところで歌詞は全部TOMさんが書いてるんですか?
TOM:最近のはほとんど。昔はYASUと半々で書いてたんだけど。
tommy:「Brave Song」(6thアルバム『Birds Attack!』収録)の歌詞とかすごくよかったんですよ。昨日もPV観てたんですけど。
TOM:どんどんシンプルになってる気がする。曲の構成にしても、歌詞の内容にしても。
tommy:日常的なところを切り取ったような歌詞が多いですよね。
TOM:嘘がつけないから(笑)。たまにはデカいことを言ってみたりするんだけど、日常のことを歌詞にすることの方が多いね。歌詞を書くのがいちばん悩むんだけどね(笑)。内容に関して悩むことはそんなにないんだけど、英語に変換して乗せるときにどうしようかって。曲が先にできることの方が多いんだけど、普段俺はネクラだから歌詞を先に作るとものすごく暗くなるんだよね(笑)。
tommy:そうなんですか(笑)。僕も歌詞はいつも苦労するんですよ。
TOM:特に日本語って、俺らからしてみるとすごく難しくて。俺らの場合は言いたいことがストレートすぎるから、英語に変換することで丸くしてるっていうか。日本語ってすごくわざとらしく聴こえちゃったりするからそれを避けるために難しい言葉を使って難解になってしまう場合もあると思うんだけど、その辺のバランスがNUBOは上手いよね。
tommy:やっと最近になって、日本語で、更に自分の言葉で言いたいことを表現できるようになってきた気はするんです。でもすごく難しいです。
TOM:NUBOはすごくNUBOらしい歌詞とメロディがあるからいいと思うよ。曲調はだんだん激しくなってきているような気がするけど(笑)。
tommy:そうですね(笑)。最近は"ライブで武器になる曲を"っていうのが曲を作る上で結構大きなテーマだったりするんです。
TOM:NUBOは一緒にやってるバンドからの影響みたいなものを…わかりやすく「このリフを貰ったぜ」みたいな影響じゃなくて…メンタルとか姿勢みたいなものからの影響を受けてるよね。"今までこういうバンドとやってきました"みたいなものがわかる気がする。
tommy:ああ~。
TOM:そういうのって自然にやるのは難しいと思うんだよね。"モッシュが起きるような曲を作りました"みたいな安易さを全然感じなくて。それは目に見えない外からの影響だと思う。俺らも、一緒にやっているバンドからの影響の方が、聴いている音楽からの影響よりも大きいバンドだから。
tommy:それは気づかなかったですけど、確かにそうですね。そう言ってもらえて嬉しいです(笑)。
interview:Takeshi.Yamanaka