音楽メディア・フリーマガジン

NoGoD

ハードロックの熱狂とダイナミズムを凝縮した『神髄』2作連続リリース企画第2弾シングル

NoGoDNoGoDが2作連続リリース企画の第2弾シングル『神髄 -THE POWER-』を、9/18にリリースする。第1弾の『神髄 -FRONTIER-』では、自分たちのルーツにあるヘヴィメタルの要素を容赦ないまでに解放した彼ら。今回の作品ではもう1つのルーツと言える、ハードロック色を前面に押し出した楽曲を解き放っている。暑苦しいほどの熱気を放つエネルギッシュなサウンドと、ダサさ寸前のギリギリを行く絶妙なメロディと歌詞。80年代〜90年代という自身が育ってきた時代の音楽をこの2作で追求し、モノにした彼らの次作以降がさらに楽しみになってきた。

 

 

「ハードロックは“エブリバディ、セイ!”みたいにこっちから投げかける感じというか(笑)。今回の3曲に関しては全部、オーディエンスと一緒に歌うというのが大前提にありますね」

●前作『神髄 -FRONTIER-』はヘヴィメタル色の強い作品だったわけですが、今回はもう1曲目から笑っちゃうくらいのハードロックだなと(笑)。

団長:笑っちゃいますよね(笑)。正直、俺の中では『神髄 -FRONTIER-』のほうがよっぽどJ-POPだと思います。

●意識的にハードロック寄りな作品にした?

Kyrie:自分の意気込みとしては、(前作のタイトル曲)「FRONTIER」よりも古く…というか。あの曲は90s〜2000年前後のサウンドをイメージしたんですけど、(今回のタイトル曲)M-1「THE POWER」に関しては完全に80sを追求した感じで。“誰が聴いても”というところを目指すと、こうなりましたね。

●こういう80年代のハードロック的な要素は、メンバー全員がルーツとして持っているんですか?

団長:たぶん、これは…Kyrieさんしか持っていない気がします。

Kyrie:ハハハ(笑)。

●1人だけしかその道は通っていない(笑)。

団長:少なくとも、俺は通っていないですね。海外のハードロックはあまり聴いてこなかったんですよ。でもSHOW-YAとか浜田麻里さん、カブキロックスみたいな80年代のジャパニーズ・ハードロックは通っていて。そういうところからイメージはできたので、やりやすかったと言えばやりやすかったです。

●「THE POWER」は、まさにそういう80sハードロックの匂いがプンプンします。

Kyrie:80s感を追求しました。他の曲に関してもハードロックという分類にはありつつ、サウンドの時代感はわりと新しかったりするんです。でもこの曲ではとにかく、いかに80s感を出すかということを考えましたね。

●80sのハードロックを通っている人ならニヤリとするようなフレーズや匂いもありますよね。

Kyrie:言ってしまえば、これも様式美なんですよ。こういうやり方をしてきた人がたくさんいて、“ハードロックっぽさ”を感じさせる何らかの様式が必ずあるわけで。この曲には、そういったものをできる限り詰め込んでやろうという感じでしたね。

●サビの“we got the power!”の男クサいコーラスなんてもう…(笑)。

Kyrie:あれは完全に、デフ・レパードですね(笑)。デモの段階では“we got the power!”っていう歌の部分しかなかったんですけど、そこから「どうやったらデフ・レパード感が出るかな?」と考えていって。団長に何度も歌ってもらって、それを重ねていきました。

●歌をすごく重ねている。

Kyrie:普段はギターを使って、歌の隙間とかにアプローチしていくんです。でもこの曲はギターでやったら、クサいハードロックにはならないなと。そこで自分が求めるものにするには、ギターじゃなくて声だなと思ったんですよ。だからいつもなら何十本もギターを重ねるんですけど、今回はほとんどなくて。その代わり、声のトラックは莫大な数になりましたね。

●コーラスは全て団長の声を重ねているんですか?

Kyrie:そこはゲストボーカル的な人を呼んだりもしています。団長の声よりもっとストロングな声を持っている人だったり、その場面場面に適した声を入れていく作業でしたね。

団長:俺の声にはドスがないので、そういうのを持っている人にやってもらったんです。

●メンバー以外の声も入っているんですね。

Kyrie:うちのメンバーには、そういう声質の人がいないんですよ。

団長:あとは「ライブでみんなが歌ってくれたものが完成形だ」という思いもあって。色んな人の声が入っている今回の音源は、そのお手本みたいな感じですね。ライブでメンバー自身が歌うものは自分たちでコーラスを入れていますけど、お客さんも一緒に歌ってほしいものに関してはメンバー以外のコーラスも入れるっていうのが基本なんです。

●ライブではM-5「敬虔(live version)」のようなオーディエンスとの一体感が生まれるのかなと。

団長:やっぱりコール&レスポンスは良いですよね。より一体感が生まれるから。

●今作のライブ音源では団長が客席に「TOKYO!」っていう呼び掛けをしていたりしますが、“どこの外タレだよ?”っていう(笑)。

団長:好きなんですよ(笑)。俺はそういうものを見て、育ってきたから。90年代に自分の中での礎ができてしまっているので、それが一番シックリくるというか。ロックにしてもポップスにしても、暑苦しいほどの熱さというものが90年代にはあったと思うんです。そういうものを自分たちもずっと続けていきたいなという気持ちはありますね。

●そもそも「POWER」というタイトル自体も、暑苦しいわけですが(笑)。

団長:最初から「FIRE」か「POWER」にしたかったんですよ。ハードロック的なイメージの象徴というか、クサすぎて反吐が出るくらいなんだけど(笑)、今の時代には足りない言葉だと思うんです。…今の日本のヴォーカリストは、こういう歌詞をあまり書かないかもしれない。

●書かないでしょうね。

団長:俺も恥ずかしいですもん(笑)。でも、だからこそやるべきなのかなと思っちゃったりもして。

●“この世の終わりを見てきた”とか“だけど俺たちは走り続けた”なんて、まるで海外のハードロックの歌詞を邦訳したような…。

団長:そういうのがやりかったんです(笑)。ああいう人たちの歌詞みたいに、言い切る感じにしたかったんですよ。精神からハードロックでいたかったというか。

●こういった80年代的なものって、今ではダサいと思われる傾向がありますよね?

団長:“暗黒時代”的な捉えられ方で、音楽史から消されてしまっていますからね。80年代は「音楽が商業化して、商業ロックばかりになった時代」みたいによく言われるんですけど、俺は「売れるって良いことじゃん」と思うんです。それだけの人が音楽を求めていたわけだし、世の中に音楽が一番普及した時代なわけで。それを俺は別に否定する気もない。90年代や2000年代の音楽があるのは、80年代の音楽があったからこそだと思うんですよ。そういう意味で俺は、消したくない炎だなと思っていますね。

●その時代の音楽もきちんと継承していく。

Kyrie:これを聴いて「ボン・ジョヴィだ!」と思う人には懐かしんで楽しんでもらうも良し、逆に「これって何だろう?」と思った人にはボン・ジョヴィやデフ・レパードを聴いてもらって「こういう音楽もあるんだ」と感じてもらえたら良いなと。

●自分たちの音楽を通じて、リスナーが過去の音楽をさかのぼるキッカケになるというか。

Kyrie:そういうものでありたいというのが、『神髄』シリーズの本質だと思っていて。今作を聴いて「素敵だな」と思ってくれた人が「この音楽のルーツになっているものは何だろう?」というところから一歩踏み込んでもらえたら、もっと新しい世界が開けるんじゃないかな。

団長:でも言ってしまえば、さかのぼらなくても別に良くて。「こういう音楽があるんだ」ということを俺らで知ったという人にとっては、我々がこういう音楽のパイオニアになるわけで。たとえば10年後や20年後にこういう音楽をやった人が誰かに「NoGoDみたいだね」と言われたら、それはそれでアリだなと。その人の中で残ってくれたら、音楽は消えないわけだから。

●そういうものの象徴が「THE POWER」なわけですよね。ちなみに、最初にこれの原曲を聴いた時の印象はどうだったんですか?

団長:「うわっ!? これは…」と思いました(笑)。

●あ、ビックリしたんですね。

団長:でも逆に、「うわっ!?」となることが良いなと思ったんですよ。たとえば自分が好きなアーティストの新作を聴いた時に「ああ〜、またこういう感じね」というのはよくあることで、それが続くと新鮮味もなくなってくる。確かに「俺たちにはこれしかできない」っていうカッコ良さもあるんですけど、俺はそうなるのがイヤで。曲出しの時も「また、こういう感じの曲か」となるよりも、「うわっ!?」と思えるほうが衝撃的だから。バンド内にいる人間ですらそう思うということは、外にいる人間はもっと「うわっーー!?」となるはずじゃないですか。

●確かに。

団長:それって、すごい爪痕だと思うから。そういうのがロックの本質だと思うんですよね。俺たちですらヤバいと思うものをお客さんが聴いたらもっとヤバいと思うはずだっていう感覚があるので、そういう曲が来ても「良いんじゃない」って言える。「すごいところを突いてきたね!」という驚きって、やっぱりリスナーに届けるべきものだと思うんですよ。そして、まずは俺たちがその驚きを喜んでやらなきゃいけない。

●Kyrieさんが曲を作る時にも、メンバーの予想を裏切って驚かせてやろうという意識がある?

Kyrie:ないです、ないです。そんな「うわっ!?」とか思われたくもない(笑)。

●そんなものを作っているつもりはないと(笑)。

Kyrie:でも結果的に、どんどんやり過ぎな方向に行くのが楽しいといえば楽しいですね。レコーディング中なんかはもう悪ノリの嵐ですよ。「これをやったら、次はこうしよう」みたいな感じで、どんどん追求していこうとするというか。

●自分たちがやりたいことを思い切って追求したのが今回の『神髄』シリーズなわけですよね。カップリングの新曲2曲も「THE POWER」と同様に、80年代ハードロックを意識しているんでしょうか?

Kyrie:その2曲もハードロックではあるけど、80s感はそこまで意識しなかったですね。

●確かにM-2「Carnival」はサウンド的に、もう少し新しい質感があります。

Kyrie:僕の中で、サウンド的には「エンター・サンドマン」(メタリカ)とかのイメージが近いですね。メタリカ自体はスラッシュメタルバンドと言われていますけど、あの頃(90年代初頭)は純然としたロックバンドだったと思うんです。その時代の音楽に近いのかな。

団長:俺は、アリス・イン・チェインズっぽいと思いましたね。

●サウンド的には、そういう90年代的な匂いがすると。M-3「浮世ROCKS」は?

団長:これはもう完全にパーティーロックですね。自分の中では80sっぽい感じもあれば、2000年代っぽいところもあって。そういう意味で、普遍的なパーティーロックという感じがします。

●どれもオーディエンスの合唱が目に浮かぶ、ライブですごく盛り上がりそうな3曲になっています。

団長:俺の中でハードロックというものは、ライブでやってナンボなんですよ。とにかくコール&レスポンスを執拗に求めて、オーディエンスと一体になろうとする。メタルのコール&レスポンスは“ウォーウォー”みたいな感じだけど、ハードロックは“エブリバディ、セイ!”みたいにこっちから投げかける感じというか(笑)。今回の3曲に関しては全部、オーディエンスと一緒に歌うというのが大前提にありますね。

●9月後半からのワンマンツアーが楽しみですね。

団長:今の若いお客さんたちは、こういう音楽の楽しみ方を知らない人も多いんじゃないかなって。でも、こういう音楽でも十分に今の若い子たちを盛り上げられるんだっていうことを見せてやりますよ。…もしかしたらお客さんが聴いた瞬間、「うわっーー!?」って言うかもしれないですけどね(笑)。

一同:ハハハハハ(爆笑)。

Interview:IMAI

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj