優れた音楽性とシーン最強のアンサンブルを武器に目覚ましい成長を遂げ、11/2にシングル『Adventures』をリリースし、12/14にはアルバム『Existence』のリリースを控えているNothing's Carved In Stone。同バンドのVo./G.村松拓の“自らの故郷である千葉県八千代市に流れる新川を綺麗にしたい”という想いがきっかけとなってスタートした連載『たっきゅんのNEW RIVER PROJECT』。1人では新川を綺麗にすることに限界を感じ、『荒川クリーンエイド・フォーラム』で勉強してきたことを教訓にし、今月号では仲間と共に新川のごみ拾いを敢行した。仲間と共に行ったごみ拾いに、たっきゅんは何を想ったのか。参加したたっきゅんの仲間たちは、何を感じたのだろうか。
ごみ拾いが終わった後、今回集まってもらったゆかいな仲間たちにお願いして、たっきゅんとの関係や今回来てもらった経緯、ごみ拾いの感想などをお訊きしました。
まず最初にみなさんのことを訊きたいんですが、山川さんはなぜ今回参加いただいたんですか?
僕は最初、Twitterで流れてきてこの連載を知って、こういうことって今の時代なかなかやってるようでやってないなと。それを村松くんがやっているということが興味深いと思って読んでいたんです。
それに加えて、前の連載やYoutubeもおもしろいなと思って見ていたんですけど、今回の連載は全然切り口が違うなと思って、村松くんにLINEで「何かあればやるよ」と声をかけたのがきっかけです。
僕も“拓がごみを拾ってるんだ”と思ってこの連載を見ていて、別に僕がいいことをしようとかじゃなくて、なんでそんなことやってるのに俺に知らせねえんだっていう。
はい。ただ「やるよ」と。何かを変えようとか、この社会で何をしようとか大それたことを考えていたわけではまったくなくて、拓がやってるんだったらやるよって。
やっぱり近くでやってるのに知らなかったら悲しいじゃないですか。出身もこの近くだし、昔から新川でよく釣りをしていたんです。
そうそう、だから僕らもごみを拾いながら心が痛くて。根掛かりしたら気にせずプチン! と糸を切ってたし、河原に布団とか落ちてたのも知ってましたし。見て見ぬふりをしていたので、実際にそれを拾ってみるとなると、なかなか考えるところはありましたね。
そうです。木村に「拓が新川でごみ拾いをやるから、来ない?」と誘われて。え? 拓? 拓くんが? と思って。もともと知ってはいたんですけど、今回のごみ拾いの話と拓くんが、申し訳ないですけど全く結びつかなかったんです。
でも新川はよく通るし、木村からも拓くんの話はよく聞いていたから「行くよ」と。
正直なことを言うと、ポイ捨てもしたことあったし、ごみ拾いしてると気まずい空気になっちゃったんですよね。ごみ拾いしたいなんて1回も思ったことがなかったし、拓がやってるからという理由だけでやってみたら、もう捨てらんねぇなと思いました。
今はポイ捨てしているわけじゃないですけど、でも絶対にできないなと。
結局土に埋まってても無くならなくて、ずっと残っちゃうし。ビニール系のごみが多かったのはびっくりしたな。
でも、ああやって綺麗になれば、みんな捨て辛くなると思うんです。だから常に綺麗にしておくっていうのが大事ですよね。
さっきもごみ拾いしながら話してたんですけど、ブロークン・ウィンドウ理論(軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする環境犯罪学上の理論/Wikipedia参照)というか、きっかけさえ作らないようにすれば大丈夫なのかなって。
汚い状態だとみんなが「捨てちゃっていいや」となるんでしょうけど、綺麗になっていれば捨て辛くなるよね。
それと、捨てる場所がないっていう部分もあると思うんです。今日、電池とかいっぱい落ちてましたけど、電池は確かに家でも捨てるときに困るじゃないですか。そういうことが明確になっていれば、川に捨てに来ることは無くなるんじゃないかな。
ごみ箱が少ないからっていう部分もあるのかなと思いました。近隣の家庭ごみを持ってくる人が居るからということで、公園からごみ箱が無くなったじゃないですか。だから新川も、綺麗にする仕組み自体をしっかりと作った上でごみ箱を設置すれば、自然とごみが減っていくんじゃないかなと思いました。
これは僕の個人的な活動だから、それにまず賛同してもらえると思ってなかったんですよ。今までは1人で「こんなに土に還らないんだ」とか「こんなに俺たちはごみを捨ててるんだ」と感じてたんだけど、それをみんなで分散できるっていう。それでごみを拾っているウチに、みんなが「このままじゃダメだ」ってどこかで思ってるのがなんとなく伝わってきて、来てもらって本当に良かったなと思いました。
僕らからしても感謝ですよ。きっかけをもらわないとできないことじゃないですか。1人でやろうと思ってもできないことだし、きっかけをもらっただけでも良かったです。
この連載はゴールを決めているわけでもないですし、1年で終わるつもりも全然ないんですけど、今後どうしていけばいいと思います?
うん。難しいからこそ、回数を重ねてやっていくウチに何か気づくことが出てくると思うんです。今日1回ごみ拾いしただけで、僕たちはいろんなことを思ったし、もっと回数を重ねれば今思いつかないような発想も浮かぶんじゃないかと思いますね。
でもさっきね、僕と木村と加藤の3人で「稲毛海岸のごみ拾いしようか」という話をしたんですよ。
僕たちは稲毛海岸にもよく行くんですけど、あそこも結構ごみがあって、ボランティアの人たちが定期的にごみ拾いをしているみたいなんですよ。だから僕らもやろうかと。
そう。拓がきっかけを作ってくれたからこそ、拓が考えられないところは僕たちが考えようと。そうしたら、もしかしたらそれに賛同してくれた人が稲毛海岸のごみ拾いをしてくれるかもしれないし。
そのきっかけをくれたのは拓くんだから「今度は俺たちも、俺たちでやろう」と。それこそ1人だったら挫けちゃうだろうし、何から始めたらいいかわかんないし。でも今回きっかけをくれたから、僕らなりにやってみようかなって思うよね。
続けることが大事なんだろうね。長くやって、いろんな人と関わって。
僕ら今日、長靴を買ってきたんですけど、正直に告白すると「終わったら長靴捨てよう」と思っていたんです。でもごみ拾いをやっていくウチに「次のごみ拾いのためにちゃんと置いとかないと」と思って。たった数時間でそこまで気持ちが変わりましたからね。
今後、どうですか? また新川でごみ拾いするとき、お声をかけてもいいんでしょうか?
僕は今51歳なんですけど、半世紀も生きていると、社会貢献ってやっぱり考えるようになるんです。50年間自分だけで生きてきたというわけじゃなくて、生かされてもきたんだから、世の中に還元していかなくちゃいけないんですよね。「社会貢献」と言うとすごく大げさに聞こえますけど、でも正直なところ東日本大震災のときに何ができたか? と自問すれば何もできていないんです。この前の熊本の震災のときも何も行動を起こせてないんです。ただ単に“大変だな”と思ったくらいで、何もできていない自分がいて。
そこで何ができるかと考えたとき、献血に行ったんです。僕の中では、献血も小さな社会貢献かなと。だからまず自分ができることからやろうと思って、献血は定期的に行くようにしているんです。今回のごみ拾いも誘われて、まさにこれも社会貢献だなと。みんながそれぞれ“なんとかしたい”と思っているだろうから、きっかけだけだと思うんです。
阿部さんはこの話を会社でしてくれたんですけど、普段こういう話は特にしないんですよ。じゃあなんでこういう話を聞かせてくれたかというと、拓のごみ拾いに誘ったことがきっかけなんです。拓が知らないところでそういう話になって、じゃあ今度は僕が献血に行くかもしれないし。
そうするときっかけがどんどん拡がっていくと思うんです。そうなっていったらいいよね。そんなに難しいことじゃないと思う。
そうですよね。今日実感しました。俺、誘うのが結構怖かったんですよ。
サシで飲んだときに「なんで言わねぇんだよ」と言われて(笑)。
当連載へのメッセージや感想はyamanaka@hirax.co.jpまで!!
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