優れた音楽性とシーン最強のアンサンブルを武器に目覚ましい成長を遂げ、11/2にシングル『Adventures』をリリースし、12/14にはアルバム『Existence』のリリースを控えているNothing's Carved In Stone。同バンドのVo./G.村松拓の“自らの故郷である千葉県八千代市に流れる新川を綺麗にしたい”という想いがきっかけとなってスタートした連載『たっきゅんのNEW RIVER PROJECT』。1人では新川を綺麗にすることに限界を感じ始めた今月号では、同プロジェクトの次なるビジョンを具体化するため、荒川のごみ拾い活動を続ける『荒川クリーンエイド・フォーラム』にお邪魔し、活動の背景や歴史、ごみ拾いのノウハウなどをお訊きした。
特定非営利活動法人荒川クリーンエイド・フォーラムは、1994年から荒川のごみを調べながら拾うことを通じて、自然環境の回復と荒川に集い思いを寄せる人々の交流を作り出してきたNPO法人。同法人の活動に参加した人は過去22年間で延べ18万人に達する。
荒川クリーンエイド・フォーラム オフィシャルサイト
facebook
本当はこういう形じゃなくて、まずは河川の清掃活動に参加させてもらってからのところなのに、すみません。
村松さんは今まで何度も新川のごみ拾いに行っているんですけど、1人ではそろそろ限界を感じていて。要するにキリがない状況なので、一度ごみ拾いの活動をされている先輩に相談してみようということで、今回ご連絡させていただいたんです。
過去の『たっきゅんのNEW RIVER PROJECT』の記事を拝見しましたけど、荒川と状況が似ている部分があるなと思いました。
僕も荒川クリーンエイド・フォーラムのHPにアップされている動画見て、「おっ!」と思いました。
初めて活動に参加される方とかはごみの量にびっくりされたり、“なんでこんなものが?”と思うようなごみがあったりして。先週なんかも洗濯機を拾ったりして、ありとあらゆるごみがあるんです。だから1人でやっていると“果てしないな”という感覚になるのはすごく共感しました。
そうですね。もともと「荒川クリーンエイド」と呼ばれているものは、荒川放水路の通水70周年(※)を記念して、国の主導で始まった活動なんですよ。
※荒川放水路(現在の荒川)が掘削される以前、現在の荒川を流れる水は現在の隅田川(旧荒川)を流れていた。
1994年に時は建設省、今の国土交通省が主導で、市民団体とか一般の人を集めて荒川のごみ拾いをやりましょうってスタートしたのが「荒川クリーンエイド」なんです。
そこから、国主体ではなくて民間の市民団体主体でやっていきましょうということで継続しています。
荒川クリーンエイド・フォーラムは事務局的な立場になって、NPO法が執行された1999年に法人格を持ち、そこから運営体制を整えて今に至っています。「クリーンエイド」という運動自体が、もともと多摩川の方で始まったものなんです。そのノウハウを取り入れ、今年で23年目になります。
多いですね。こういう写真をパネルにして見てもらっているんですけど…。
上記の説明ツールは荒川クリーンエイド・フォーラムのHPで見ることができる。
http://www.cleanaid.jp/acaf/publicity/kamishibai/
うわ! これはすごいな。
もともとは葦原としてあったんですけど、ごみが溜まっていることがわかったので国交省にお願いして草刈りをしてもらったんです。そしたら予想以上のごみが出てきまして。おそらく1年や2年ではなくて、十数年分のごみだと思うんですが、自分たちも「これはなんとかしないといけない!」と思いまして、今年の2月と3月に大規模なごみ拾いをして、45ℓ袋で合計700袋以上のごみを集めたんです。
1回目が50人、2回目は企業さんの協力をいただいて120人くらいでした。
素晴らしいですね。僕はそれを夢見てるんです。荒川クリーンエイド・フォーラムでは、主にHPで参加者を募っていらっしゃるんですか?
ネットではHPとfacebookで集めているんですけど、20年以上の活動の中で出会った方たちに「こういう状況なので助けていただけませんか」とお声がけをしたんです。
埋まっていますね。だからショベルとかを使って掘り出すしかないんです。
あと、みんながごみを捨てないようにすることも大事だと思うんです。僕もやりながら思ったんですけど、ごみが生まれてしまうのは仕方がないことじゃないですか。
それはまったくその通りで、ごみを出さないようにするには現実的には不可能だと思うんです。だから如何に出てしまったごみを減らしていくか、限りなくゼロに近づけていくか、あるいは出てしまったものを如何に早く回収するか。それが大切だと思うんですよね。
そうですよね。荒川クリーンエイド・フォーラムさんの活動ですごく勉強になったんですけど、ごみの種類別に数を数えていらっしゃいますよね? あのスタイルはすごいなと。
それも実は荒川クリーンエイド・フォーラムの特徴の1つなんです。我々は参加していただいた方に、ごみ拾いが終わったあとに「川ゴミ 調査カード」に記入していただいているんです。もともとは「国際海岸クリーンアップキャンペーン」という、国際的な海岸のごみ拾い活動があって、そこでこういう調査されているんですが、それを参考にさせていただいて、川版の調査カードを作ったんです。ごみの種類と数を数えながらやるっていう。
これは調査目的だけじゃなくて、参加された方のモチベーションにもなりますよね。すごく理に適っていると思って。
集計した結果は年次で報告書としてまとめていて、あとは「国際海岸クリーンアップキャンペーン」の方にも報告しています。
確かにこうやってまとめれば、広報や啓蒙活動として使えますよね。
あと、調査カードの裏に「ふりかえり」という欄がありますが、単独でごみを拾って調査するというやり方ではなくて、5人1組のチームを作って、そのうちの1人が調査係になってもらうんです。それでごみ拾いが終わった後、それぞれの感想だったり、ごみがどこから来たのか、どういう影響があるのかなどを、チームで話し合い、写真撮影して終わりという感じなんです。
当法人の活動は大きく分けると6つあるんですけど、まずは「荒川クリーンエイド」というごみ拾いの活動を中心として、外来種の除草などの生物多様性の保全、環境教育…子供たちの環境学習をやったりとか、水質調査、広報・情報発信、あとは流域や全国の交流事業をやっています。
川のごみという問題は一河川の話だけではなくて新川ももちろんそうですけど、全国的なネットワークを作ろうということで「全国川ごみネットワーク」というものを立ち上げたりしているんです。
「荒川クリーンエイド」が「クリーン」(綺麗にする)と「エイド」(助ける)という2つの言葉でできているように、私たちが主体的に「ごみを拾いましょうね」と言ってやっているだけではなくて、市民団体や自治体や企業が主体となって動く場合の支援もやっているんです。荒川の場所や時期の調整だったり、本当に事務局的な立場で動いているんです。例えば散乱ごみや粗大ごみに関しては、自治体や国交省にお願いしたり。それが全体的な仕組みですね。
素晴らしい仕組みですね。ごみ拾いをしていて思ったのが、助けてくれる人がいないっていう状況が本当に大変だと感じたんです。ガイドラインもないし。
そうですよね。だから荒川でごみ拾いをしたいという方がいれば、当法人にご連絡いただければ場所の調整やごみ袋などすべて手配させていただいてます。
新川で作ればいいよね、新川クリーンエイド・フォーラム。丸パクリだけど(笑)。
いえいえ、NPOはパクられてなんぼなんです。いいシステムや仕組みはどんどん広げていくことが大切だと思いますので。
年に1回、下流域の自治体と国の人たちが集まって「今年1年間のごみ拾いはどうでしたか?」という意見交換をする場を設けていて、来年度の目標なども立てていくんです。荒川のように、行政と市民団体の間にNPOが立っていて、その連携ができているのは全国的にもあまり例がないと思います。
がんばんなきゃいけないな。思うんですけど、ボランティアに参加される方々みたいに、ごみを出すことを意識しなくても、“ごみが落ちている”ということに気付いている人はいっぱいいると思うんです。
ごみ拾いは人の善意に頼れない部分ももちろんありますけど、でも見て見ぬふりをするつもりもなくしてしまっている人がいっぱいいると思うんです。だから荒川はすごく運がいいというか、ごみ拾いをやっている人たちがいて、ちょっと一歩踏み出せばできる環境があるというか。そういう場所を、荒川を真似てでもいいから新川に作っていくことがまずは大事かなって。今日お話を聞いて、そういうことをすごく思いました。勉強になりました! ありがとうございます!
荒川クリーンエイド・フォーラムの事務局のみなさん、藤森さん、この度は誠にありがとうございました!
当連載へのメッセージや感想はyamanaka@hirax.co.jpまで!!
Nothing’s Carved In Stone Vo./G.村松拓 連載:たっきゅんのNEW RIVER PROJECTトップページへ戻る