9/25に10枚目となるアルバム『By Your Side』をリリースし、現在リリースツアー“By Your Side Tour”の真っ最中であるNothing's Carved In Stone。ツアー初日恵比寿LIQUIDROOMの模様は先月号でレポートしたが、同ツアーでは新たな扉を開いたかのようなステージングで魅せるVo./G.村松 拓。今月号の『続・たっきゅんのキングコングニー』では、ツアー9本目の函館公演を終え、10本目となる鹿児島公演を控えるたっきゅんにインタビューを(筆者出張中のためFaceTimeで)敢行した。
ツアーはちょうど折り返し地点くらいですが、手応えはどうですか?
いいですよ。対バンもすごく刺激になっていて、毎回バンドが更新できている感じがする。
恵比寿LIQUIDROOMのライブを観さえてもらったんですが、僕はあのライブが結構衝撃的だったんですよね。
簡単にいうと、今までと同じバンドだと思ったら大間違いだった。
あ、そうです。“動かない”という表現もすごく新鮮だったし、スピーカーの上に乗ってみんなを鼓舞するというか、引っ張っていくようなステージングだったり。あと、何よりMC。
今までMCでエモーショナルなことを言ったり、言葉で煽ったりということはあまりしてこなかったじゃないですか。
もっというと、Nothing's Carved In Stoneは“自分たちがいいと思う音楽を追求する”ということに邁進してきて、極端に言えばMCが無くてもいいくらいで。
でも「Music」みたいな曲ができて、“音楽で伝える”ということの意味や方法が今回のアルバムで大きく変わったと僕は認識していて。
メッセージとして曲が存在する、という位置付けになっていると思うんですけど、そのことにすごく直結するMCだった。ライブの後半のMC、拓さんは叫ぶように話しましたよね。
そうでしたね。でも今回のツアーで急にそうなったというわけではなく、徐々にそうなってきた感じがあって。アルバムでそういう歌詞が書けたから、そういうことがようやく胸を張って言えるようになったという感じかな。
というか、アルバムを作るときに“どういう作品にしようか?”という考えがあった上で歌詞を書くわけじゃないですか。そこに向かう気持ちみたいなものが、アルバムを作る段階であったんだと思う。
今回のアルバムのインタビューとかで「そういう作品が出来たかな」とか言ってますけど、徐々にそういう気持ちになってきたというのが正解な気がするんです。
そうですね。ライブのクオリティや、パフォーマンスの精度として、上げていきたいもののひとつがMCっていうのが、俺の中でずっとあったんですよね。
はい。それは本当に思っていることだったりするから。ライブでは不特定多数に向かって言ってますけど、1人1人の聴いてくれる人やライブに来てくれてる人に対して思っていることだから。
不特定多数ですけど、その人たち1人1人に言っていると考えたら、例え毎回同じことを言っていたとしても不思議な話ではないなと。
逆にそれでいいんだなと思えて。それを、その日にちゃんとみんなの心に伝わるようにするにはどうしたらいいかな? ということを毎回考えている感じですね。
あと、ツアー初日なのに「Music」の反応めちゃくちゃよかったですよね。
「Music」はインパクトのある楽曲だと思っていましたけど、ライブで実際に観たとき、伝わっている感じがすごくあって。
そう。だから嬉しくて。いい意味で、新曲の反応はだいたい予想通りだったんですよ。でもその中で、「Music」という楽曲が持ってる力っていうのは、ちょっと想像を超えていたかな。
もうちょっと正確にいうと、想像を超えたものにこれからなっていくんじゃないかなっていう感じかな。
「Beginning」の先にある曲というか。もちろんバンドの歴史とかこれまでの流れを知らなくても、「Music」は初見の人にも伝わる感じがする。
僕の解釈としては、ここ最近、Nothing's Carved In Stoneとお客さんの関係を“同じ感性を持った仲間”と定義付けたじゃないですか。
その上で「Music」を聴くと、“僕らが鳴らすミュージック”というのは“仲間たちのミュージック”になるんですよね。
「Music」は完全に隔離されている1人ずつとの関係性だからね。
めちゃくちゃいい。『By Your Side』に収録されている新曲の反応もそうですけど、やっぱり今回のツアーは対バンにすごく刺激をもらっていて、それを自分たちの力にできてる感じがする。ハンコで押したようなバンドがいないから。全組違っていて、話してみても全員違ってて。それをバンドでちゃんと昇華している若いバンドってすごくいいなと思って。めっちゃ刺激になってる。
どのバンドも、オリジナリティを追求している感じがありますよね。
そうですね。「日本でロックをやるんだからこうでなきゃいけない」っていうことを全然考えていない。「こういう音楽が好きだからやる」っていうのを…もちろん本人たち的にはちゃんと考えているんだろうけど…そういう音楽を追求しているんだろうなって。“バンドしてるな”って。バンドマンがバンドを始めた気持ちのままやっているんだろうなって。
そうそう。そんな気がする。いやぁ〜、もうね、まだツアー半分くらいだけど、対バンはみんなすごかった。
今考えると自分もそうだったんだろうなっていう感じだけど、みんな腹が座ってるし、全然媚びないし。礼儀もわきまえてるし、「人間力」みたいなものを持っている人たちで。そういうことにも驚くし、俺が大人になって最近気付いたようなことも、もしかしたら俺は昔からわかってなくてやっていたのかな? とか、色々考えたりする。
そうそう。色々と見ながら、そういうことを考えてる。それはバンドとは関係なくてすごく個人的な話だけど(笑)、そういうことを感じながらツアーをまわってる。中身は似たようなやつらなんだろうなって(笑)、そういう人たちと対バンできてるからよかったなと。めちゃくちゃ刺激受けてるし、おもしろいし、燃える。
負けるつもりもないし、負けないだろうけど…お客さんがなびいてるのを見るとね(笑)。
俺らが紹介しているから、そりゃあなびくだろうなとは思うけど(笑)。ライブハウスっていう場に於いて、観に来る人もいれば俺たちみたいにライブをしに来るやつもいて。ライブをするにしても色んなジャンルがあって、そういうものを垣根なく、“かっこいい”と思えるものを素直に「かっこいい」と言えた方がいいじゃないですか。
今の若い人たちはフェスとかで初めて観る方が多いだろうから、そういう土壌はあると思うけど、逆にライブハウスに来ない人も多いわけで。
だから少なからず、今ライブハウスに来てくれている人たちに対して、俺たちみたいなバンドが“かっこいいな”と思えるバンドを紹介したら、遊び場としての可能性が一気に拡がると思うんですよね。
対バン相手を下に見るとかじゃなくて、俺たちが用意した場所でやっているわけだし、逆の立場の場合もあるだろうし。そういう場所に足を運んでみると、“こういうバンドがいるんだ!”って度肝を抜かれる人もきっといるだろうし。“やっぱりこういうジャンルの方が好きだな”ってどっぷりハマっていく人もいるだろうし。対バンいいですよね。
当連載へのメッセージや感想はyamanaka@hirax.co.jpまで!!
“By Your Side Tour 2019-20”
10/02(水)恵比寿LIQUIDROOM:Newspeak
10/04(金)金沢AZ:Suspended 4th
10/06(日)高崎club FLEEZ:Tempalay
10/12(土)高松MONSTER:BBHF
10/13(日)松山W studio RED:雨のパレード
10/20(日)LIVE ROXY SHIZUOKA:teto
10/27(日)郡山HIPSHOT JAPAN:WOMCADOLE
11/03(日・祝)札幌PENNY LANE24:CVLTE
11/04(月・祝)函館club COCOA:CVLTE
11/08(金)鹿児島CAPARVO HALL:SIX LOUNGE
11/10(日)広島CLUB QUATTRO:SIX LOUNGE
11/17(日)長野CLUB JUNK BOX:teto
11/27(水)滋賀U★STONE:Age Factory
11/28(木)神戸VARIT.:Age Factory
12/10(火)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心 VJ-3:DATS
12/11(水)F.A.D YOKOHAMA:DATS
[2020年] ONE-MAN
01/09(木)Zepp Tokyo
01/11(土)Zepp Fukuoka
01/13(月・祝)仙台Rensa
01/17(金)Zepp Nagoya
01/18(土)Zepp Osaka Bayside
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