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【ライブレポート】 “MONOGATARI LIVE 2020” TAKUMA【何人かバンド】from 10-FEET ライブレポート

【ライブレポート】 “MONOGATARI LIVE 2020” TAKUMA【何人かバンド】from 10-FEET ライブレポート


 
 
 
 
九州の北部、福岡県直方市を流れる遠賀川。その河川敷にある直方リバーサイドパークで、コロナ期では福岡初となる野外ライブ“MONOGATARI LIVE 2020”が開催された。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で世界中が危機に立ち向かっている中で「ゆっくりでもいいから、前へすすみたい」という主催者の想いで企画された同イベントに、10-FEETのVo./G.TAKUMAがソロで2日間出演した。以前から彼がソロでライブ活動をすることはあったが、TAKUMA【何人かバンド】from 10-FEETという名義でライブに出演したのはこれが2度目。1度目はTAKUMA自身が主催する弾き語り配信ライブ“ライカライブ#1”、そして2度目がこの“MONOGATARI LIVE 2020”。そのライブを目にするため、直方リバーサイドパークを訪れた。
 
 

2020/10/24@福岡県・直方リバーサイドパーク

 青空の下、河川敷に設営された会場にはたくさんの観客が詰めかけていた。椅子が距離を保って置かれ、マスク着用や検温/消毒など入念な感染防止対策が取られており、観客はきちんとルールを守りつつ、太陽の光を浴びて音楽を楽しむ機会に自然と笑顔がほころんでいる。ちょうど夕日が沈む頃、TAKUMA【何人かバンド】from 10-FEETのメンバーがステージに登場した。
 
 

 
 

 
 

 
 
 客席にペコリと頭を下げてアコギを持ち、「TAKUMAといいます。よろしくお願いします」という合図で【何人かバンド】のメンバーが心地よいサウンドを鳴らし始める。セッションを経て始まったのは10-FEETの「ヒトリセカイ」。Key.donnyがポロポロと弾く旋律が琴線に触れ、シンプルながらも存在感が強いBa.浜田の旋律が胸に響き、Dr.komakiが叩く細やかなタッチのドラムが心地よく、G.PAHUMAの鳴らすギターは音像の奥行きを何倍にも増幅させている。いつもよりゆったりとしたテンポで歌うTAKUMAの声は温かく届き、彼自身とても気持ちよさそうだ。メンバー各々の存在感が強烈で、なおかつバンドとしてしっかりとまとまっている。目に見えない信頼感のようなものが、ステージ全体から漂っていて、それがとにかく気持ちいい。
 
 

 
 
 メンバー間の信頼関係のようなものはMCの一幕でも垣間見れ、TAKUMAの冗談に浜田がテンポよくツッコんで会場の笑いを誘い、緩くて温かい雰囲気に包まれたままライブが進行していく。オリジナル曲「何処かに(仮タイトル)」は優しくて寂しい、体温を感じる楽曲。PAHUMAの鳴らすスペーシーなギターの音色が印象的だ。
 
 

 
 
 空がだんだんと暗くなっていく中で始まった10-FEETの「シガードッグ」は前半がTAKUMAの弾き語りで魅せ、そして後半のバンドサウンドで更に魅了する。そのアンサンブルとグルーヴは、音楽の良さを存分に味わうことが出来る。
 
 

 
 

 
 
 弾き語り用に作ったという「消えてしまう(仮タイトル)」では、TAKUMAの歌がだんだんと熱を帯び、その声をバンドサウンドが優しく包み込む。彼らの鳴らすサウンドは、テクニカルながらも音のひとつひとつに人間味が溢れており、触れるだけで心が震えるような感触がある。
 ステージ上の5人はとてもリラックスした様子で、MCでたびたび笑いを誘いつつ、「僕らで作った曲」と言って「涙のキッス」(サザンオールスターズ)のカヴァーで沸かせたかと思えば、「RIVER」(10-FEET)の迫力あるサウンドでは会場の至るところから拳があがる。彼らの表現の幅はとても広く、そして柔軟だ。
 
 

 
 
 最後は最近作ったというオリジナル曲「生きていけちゃうな(仮タイトル)」。ダイレクトに心を鷲掴みする、友達や仲間を歌ったTAKUMAなりのフォークソング。陳腐な言葉になるが、この曲はとにかく衝撃的だった。何度も何度も聴きたいと思った。一度聴いただけで心の奥底に記憶が刻まれるような、強くて温かくて愛が詰まった曲だった。
 
 

 
 

 
 

 
 
 ライブの数時間後、TAKUMA【何人かバンド】from 10-FEETのインタビューを行った。ライブで受けた衝撃を彼らに伝え、その背景と経緯と想いを訊いた。音楽に対してはもちろんのこと、人間としても純粋な人たちの集まりだと知り、思わず「うんうん!」とうなづく場面が何度もあった。
 
 

 
 
 
 
 
 
 

2020/10/25@福岡県・直方リバーサイドパーク



 
 

 
 
 TAKUMAがホイッスルを吹いてメンバーと客席に向かって頭を下げ、浜田とのしゃべりから緩く始まった2日目のライブ。幕開けは「RIVER」。アッパーな始まりに観客はノリノリで、腕を振り上げて身体を揺らしながら、PAHUMAの超絶プレイやkomakiがエネルギッシュに繰り出すリズムに大興奮。青空の下でライブを存分に楽しんでいる。
 
 

 
 

 
 

 
 

 
 
 「消えてしまう(仮タイトル)」ではTAKUMAの歌とPAHUMAが鳴らすブルースハープの絶妙なハーモニーで魅了し、TAKUMAが鳴らすアコギの音色が心地よい「何処かに(仮タイトル)」ではアンサンブルが青空に美しい音像を描き出す。1曲1曲それぞれに見どころ聴きどころがたくさんあり、TAKUMAのソロではあるけれど、やはりこれは紛れもなく“バンド”だ。
 
 

 
 
 昨日は「涙のキッス」のカヴァーで沸かせたが、今日のカヴァーは「銀河鉄道999」(ゴダイゴ)。グルーヴィーなサウンドにハスキーなTAKUMAの歌が乗り、極上の時間を作り出す。
 
 

 
 
 そして5人がジャムセッションをスタート。お互いがお互いの音にのって気持ちよさそうに身体を揺らしつつ、TAKUMAのカウントから「ヒトリセカイ」へ。裏打ちのリズムが心地よく、会場からは自然に手拍子が沸き起こる。このままずっと聴いていたいと思う、贅沢な時間。PAHUMAのソロ、donnyが散りばめる音の粒、浜田のグルーヴに心を揺らし、komakiのリズムに身をのせる。その真ん中で鳴るTAKUMAの歌は、ライブでしか味わうことが出来ない体温を帯びている。
 
 

 
 

 
 
 「みんなと一緒に笑い合って生きたい。たまには自分の気持ちに素直になって、落ち込んでいたら“落ち込んでます!”っていう曲を作ればいいんじゃないかと思って、いくつか曲を作っていて。そのうちの1曲です」とTAKUMAが言い、最後は「生きていけちゃうな(仮タイトル)」。昨日初めて聴いた同曲は、昨日よりも深く強く、僕の心を鷲掴みにした。この歌を聴くために、今日ここに来たような感覚に包まれた。TAKUMAがTAKUMA【何人かバンド】from 10-FEETでやりたいと思っていること、そしてやろうとしていること…そのうちの1つがこの曲に込められていて、音楽として形になっているような気がした。
 
 

 
 

 
 

 
 

 
 
 

Text:Takeshi.Yamanaka
Photo:日吉”JP”純平

 
 
 
 
 
 
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