LIVE REPORT:2019/3/23@下北沢CLUB251
“シアンの糸ツアーファイナルは猪突猛進の生誕祭2019”
宮脇早紀 / 日乃まそら / SMOKY & THE SUGAR GLIDER / カミツキ
3/23に下北沢CLUB251で開催された、宮脇早紀の“シアンの糸ツアーファイナルは猪突猛進の生誕祭2019”。4月を目前にして再び冬の寒気が舞い戻ってきたような気候の中、場内は宮脇が放つポジティブなエナジーによって温かな熱に包まれていた。“猪突猛進のイノシシ精神”を掲げてソロ活動を展開してきた彼女だが、この日見せたのは闇雲に突進するのではなく、もう1段階進化した表現者/シンガーの姿だったように思う。
その片鱗はオープニングナンバーの「ぼくのとびら」から、既に漂っていた。“心から感謝を込めて45分、ツアーファイナル始めよう!”という呼びかけに続けてパワフルなバンドサウンドが鳴り響く中、ステージの最前線でキャッチーなメロディを丁寧に歌い上げる宮脇。勢いに任せて突っ走ることよりも、歌と言葉をきちんと届けることを重視しているのが伝わる姿だ。黒髪に黒の衣装を身にまとった姿も含めて、以前のパンキッシュなイメージとは一味違う、大人の魅力を垣間見せる。
続く「キミ、ヒカリ」では、タイトル通りのキラキラしたロックサウンドに乗せて歌う。“やっと巡り会えた小さなヒカリ”という歌詞は、苦悩や葛藤を乗り越えた先にまた新たな希望の光を見出した彼女の今を象徴しているようだ。その次に披露した「Bright Place」も収録した初の流通盤EP『シアンの糸』を、憧れの猫田ヒデヲと共に作り上げたことが現在の境地へと宮脇を至らしめたのは間違いないだろう。音源以上に明白な進化を、この日のライブは物語っていた。
「マイヒーロー」でアッパーに盛り上げた後は、「ツキキョリノコイ」で想いを込めた歌を全身全霊で表現してオーディエンスを聴き入らせる。この振り幅を見せられるのも、進化の証だろう。終盤戦を前にマイクを通さずに、支えてくれる人々への感謝を述べた宮脇。“アンコールはありません。ここに魂を置いて帰りたい”と宣言してからの「シアンの糸」「JUST LIKE YOU」は、まさに“届けたい”という想いと魂のこもった“本気の歌”だった。
“今日のことは二度と忘れません。明日からも闘っていきます!”と最後に叫んだ通り、この日はまだ彼女にとって通過点に過ぎない。笑顔で闘い続けた先に、より大きな存在となって帰ってきた宮脇早紀とまたこの場所で会える日を楽しみに待っている。
Text:IMAI / Photo:三條康貴