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摩天楼オペラ×GALNERYUS

メタルの血流を受け継ぐ両者の誌上共演

ヴィジュアルとメタルを融合させてシンフォニックなロックを表現する摩天楼オペラ。シーンを牽引する存在にまで成長したJ-METALの旗手・GALNERYUS。バンドとしての表現方法は違えど、“メタル”に魅せられ、それぞれ自らの音に昇華させて活動を重ねる両者の誌上共演。メタルとヴィジュアルという異なるフィールドで活動しながらも、まるで磁石のように引き寄せられる両者の想いとは何か? 摩天楼オペラよりVo.苑とG.Anzi、GALNERYUSよりG.Syuを招いて訊いた。

 

「“僕たちなりに”というところがすごく大事で、それをみんなで話して改めて突き詰めたんです。そこで気づいたのは、やっぱり僕たちにしか出せない音はバンド名が物語っているということ」(苑)

「“メタルはかっこ悪いものじゃない”ということを僕も伝えていきたいし、一方で“ヴィジュアル系というものは見かけを売りにしている音楽じゃない”ということも伝えたい」(Anzi)

「GALNERYUSのお客さんはお客さんで摩天楼オペラに対しての偏見があるだろうし、摩天楼オペラのお客さんはお客さんでGALNERYUSに対して偏見があると思うんです。そういった色んな偏見を1つ1つ潰したい」(Syu)

●摩天楼オペラの2人は以前からSyuさんのことを知っていたんですよね?

苑:はい。僕は音楽学校に通っていた頃、Dr.悠とGALNERYUSの作品を聴かせていただいて、“かっこいいな!”と。そのとき僕らはメタルバンドを組んでいたんです。

Syu:あ、そうなんですね。

苑:はい。化粧もしていなかったんですけど、“GALNERYUSみたいなかっこいいバンドが日本にも居るんだ!”とすごくびっくりして。それからずっと聴かせていただいてます。

Anzi:僕も摩天楼オペラに入る前はヘヴィメタルとかハードロックのバンドをやっていたんです。実はそのとき、某ギター専門誌のイベントで共演させていただいたんですよ。僕がまだ全然ペーペーのときだったんですけど、トリのGALNERYUSのライブを観て“うわ〜! これがプロのバンドか!”と思いました。

Syu:そんないいライブしてたっけな〜(笑)。

●両バンドの共通点として、楽曲の世界観が壮大というか荘厳というか。両バンドともに、どういう工程で楽曲を作っているのかパッと聴いただけでは想像が付かないんです。

Syu:ハハハ(笑)。

苑:確かに(笑)。

●この機会に改めて両バンドの曲の作り方を訊きたいんですが…。

Syu:歌は、基本的に弾き語りレベルで全然いいと思うんですよ。

苑:そうですね。

Syu:歌詞があってメロがあって、伴奏があればいいという。でもいま僕たちがやっているメタル…摩天楼オペラも結構メタル色が強いから同じだと思うんですけど…は、バックの飾りで如何に魅せるかということがすごく重要なんです。あと、大きな世界観をどうやって出すか。

●はい。

Syu:歌メロをしっかりと組むということが第一で、その後にバッキングでどういう風に歌メロを聴かせるか…そういうところで世界観が決定するんですよね。“壮大だな”とか“大きいな”と思わせるのはシンセとか空間系エフェクトの要素が強いと思うんです。メタルっていうものは歌よりも楽器が目立ってしまうことが結構多いのでバランスが難しいんですけど、最終的には歌をスコーンと真ん中に持ってきて、バランスを取りつつ自分をアピールしていくというか。

●摩天楼オペラはどういう感じで曲を作っているんですか?

苑:僕が曲を作ることが多いんですけど、だいたい家でお酒を飲みながらいいテンションになったらメロディが出てくるんです。ギター弾き語りの状態で携帯のボイスメモに入れて、それをメンバーに聴かせて、後は委ねるという。

Anzi:僕らは結構アナログな作り方で、コード感とメロディを最重要視しているので、苑から骨組みを貰ったらみんなでセッション的に「こういうビートがいいんじゃないか」「こういうリフが乗っかるとかっこいいんじゃないか」とやり取りしながら現場で作っちゃうんです。早ければ1時間くらいで大体1曲できるよね。

Syu:メンバーがすぐに集まれるっていいですね(笑)。僕も、昔ヴィジュアル系とメタルの両方の要素があるバンドをやっていたときはそういう感じで作っていたんです。メンバーで週2〜3回集まって作っていたんです。でもいまはドラムが大阪に住んでいて僕が東京でっていう感じだから、どっちかと言うとメールでのやり取りですよね(笑)。あとは、僕がPCで大体のアレンジまで作って、メンバーに「どうぞ」みたいな。そういう感じが多いかな。

苑:すごいっすね。

Anzi:そうそう、それでできるのがすごいなって逆に思っちゃいます(笑)。

Syu:いやいや(笑)。摩天楼オペラはヴォーカルが曲を作るっていうのがやっぱりいいなと思います。話を聞いていて、歌メロがすごく強調されていて綺麗にバックが鳴っているのは、ヴォーカリストが曲を作っていることが強く関係しているのかなと思いましたね。僕の場合はギタリストで、もちろん歌メロも作るんですけど、小野さん(Masatoshi “SHO” Ono)ってめっちゃ声が高いじゃないですか。

苑:高いですね(笑)。

Syu:めっちゃ声が高いから、どこまで出したらいいかわからないこととかもあって。自分で歌っているわけじゃないから、メロディの流れとかブレスとかがちょっと難しいところも出てくるんですよね。

苑:曲を作ってバンドに持っていったとき、「このキーは出ないよ」となったこととかあるんですか?

Syu:前のヴォーカルのときにはそういうことがありました。

苑:それでキーを変えるんですか?

Syu:いや、メロディラインを変えると曲が駄目になるから、無理矢理そのまま歌ってもらいました(笑)。

苑 & Anzi:ハハハ(笑)。

Syu:前のヴォーカルは地声で歌うタイプだったのでたくさん歌うと疲れが出てくるんですけど、Onoさんは地声とファルセットのミックスなので結構保つんですよ。結構というか、ずっと保つ。それに高いところまでスコーンと出してくれるから、もうなんでもOK。だからいまはメロディで困ることはほぼないですね。

苑:へぇ〜、すごいですね。

Syu:4枚目のアルバム『ONE FOR ALL - ALL FOR ONE』に「NEW LEGEND」という曲があるんですけど、その曲はめちゃめちゃ高いんですよ。誰も歌えない。しかもブレスがないという曲で。

苑:それ困るんですよ(笑)。他のメンバーが作った曲の場合、キーはある程度考えてくれるんですけど、ブレスがないことがあるんですよね。

Syu:ありますよね(笑)。前のヴォーカルのときは特にですけど、迷惑をかけたなって(笑)。

●SyuさんとAnziさんにお聞きしたいんですけど、ギタリストとしてのこだわりはあるんですか?

Anzi:僕はイングヴェイ・マルムスティーンがルーツなんですけど、速いフレーズに入ってくる“泣き”みたいなものがすごく好きなんです。

Syu:うんうん。

Anzi:ギターキッズって最初は速弾きに耳がいくんですよね。「速い! すげー!」って。でもそこをよりかっこよく聴かせるためには、やっぱりロングトーンを聴かせるゾーンがあるからこそだと思うんです。ずっと速いと聴き手は“速い”と感じないというか。だからそういう緩急を付けるのは自分なりのこだわりですね。それと、僕にとってはギターは女性なんです。そもそもボディの形が女性の身体を表しているし、ジャックもああいう形状だし。ステージで投げたり踏んづけたりすることも実際にあるんですけど、後でケアしてあげる…ちゃんと飴と鞭を与えるっていうこだわりがあります(笑)。

●あっ、名言出た!

一同:ハハハ(笑)。

●Syuさん的にこだわりはあるんですか?

Syu:僕のこだわり? 何やろな〜? あまり考えてなくて「曲が求めているものを弾く! 以上!」という感じなんですよ。僕もイングヴェイ・マルムスティーン、ポール・ギルバート、ザック・ワイルド、トニー・マカパイン、etc…っていうネオクラシックメタルの人たちを散々聴いてコピーしてきたんです。でも僕はなぜか、右手を思いきり弾かないと気が済まないんですよね。

Anzi:ほう。

Syu:速弾きギタリストの指の使い方だったり細いピッキングとかももちろん練習するんですけど、ライブになったらもうグワーッと弾いてしまうんです(笑)。昔、コージー・パウエルが「俺は思いきり叩かないと気が済まないんだ」と言っていたんですけど、僕もまさしくそれで、本当は弦がちぎれるくらいバキバキに弾きたいんです。思い切り弾かないと弾いた気にならないというか。チョロチョロ弾きたくない。

一同:ハハハ(笑)。

Syu:本当は繊細に弾くのがいいと思うんです。鳴り的にも。でも僕としては、精神的なものがブワーッとギターに入った方がいいんじゃないかと。もちろんレコーディングではちゃんと弾くんですけどね。レコーディングでは超細かく弾いて、ビブラートは思いっきり鳴いて、ライブでは思いきり弾く。

●なるほど。

Syu:ところで、摩天楼オペラの4thシングル『Innovational Symphonia』を聴いて思ったんですけど、Anziさんはピッキングハーモニクスが上手いですよね。

Anzi:あ、そうですか。気にしたことなかったんですけど、ありがとうございます(笑)。

Syu:揺れ方がすごくよくて、それにすごくタイトで。バンドの一員としての役割をちゃんと果たしながら自己アピールもキチンとできているし。なんというか、ギターヒーロー的な要素をすごく持っている人だと思います。

Anzi:ありがとうございます!

Syu:僕も色んなメタルに影響を受けてきたから、摩天楼オペラを聴かせてもらって「うわー!」って思いました。「うまいこと混ざってる!」って。正統派メタルをするんじゃなくて、ちゃんと自分たちの色を出していて。苑さんのヴォーカルも、ビブラートがすごく特徴があって綺麗で。“ヴィジュアル系”という枠組みではなかなか説明しづらいですよね。

苑:そうですね。僕たちは“ヴィジュアル”と“メタル”というキーワードがどうしてもついてくるんですけど、なかなかそれだけでは説明しきれなくて、最近は“摩天楼オペラ的ロック”みたいな表現をメンバー自ら発信しているんです。

Syu:よくあるヴィジュアル系の歌い方でもないし、一聴すると苑さんだということがわかるし、すごく個性的ですよね。

苑:ありがとうございます(笑)。

Anzi:Syuさんは僕が駆け出しの頃から活躍されていて、当時からプレイも観させていただいていて。テクニカル系のギタリストって弾けなくなるからギターのポジションを上げたりするんですけど、Syuさんはそういうことをせずに、見た目をかっこよくしつつも“弾けるんだぜ!”みたいな自己主張を僕は感じたんですよ。やっぱりロックスターというものは、上手いだけでは駄目で、華がなくてはいけないと思っているんですけど、そういう部分をSyuさんから感じたんです。だから“内にこもって細いことだけ練習していても駄目だ”ということに僕が気づかされたきっかけの1人なんです。

Syu:ギタリストは動けないと駄目だと思っていて、バリバリ動いて、客も煽ってこそだと思うんですよね。

Anzi:そうですよね。

Syu:今作では「Innovational Symphonia」が僕はすごく好きなんですよ。自分的なルーツも同じところにあったりするから、聴いて「ああ〜、わかるわかる(笑)」と思ったこともあったし。あと、メタル的なギターの乗せ方も、壮大で様式美的に聴こえるのかなと思いきや、尖って聴こえてもくるし。それも尖りすぎてなくていいバランスで、ちょっとエロいという。あとヴォーカルなんてもうエロエロでしょ?

苑:そんなことないです(笑)。

Syu:エロです。エロメタル。

一同:ハハハハハハ(爆笑)。

Syu:それに各曲が個性的だから覚えやすいですよね。でも散らかっていない。ちゃんと摩天楼オペラというバンドの個性を感じさせる楽曲だと思いました。

●先ほど苑さんが「“ヴィジュアル”と“メタル”というキーワードでは説明しきれない」とおっしゃっていましたが、バンドをやっていく上では“オリジナリティとは何か?”という命題がつきまとうと思うんです。摩天楼オペラが自分たちの個性を自覚したのはいつ頃なんですか?

苑:結成した当時にある程度バンドのコンセプトは決めていたんです。でも本当にしっかりと“摩天楼オペラじゃないと出せない音だね”という自信というか自覚したのは1年前くらいですね。なぜ“摩天楼オペラ”というバンド名を付けたのか? というところまで掘り下げて考えたんです。

Syu:うんうん。

苑:“摩天楼”って現代にしかないものじゃないですか。それが現在の重いロックやメタル、デジタルサウンドを表していて、“オペラ”は昔からあるピアノやシンフォニックな音を表しているんです。このバンドでは、その2つを僕たちなりに合体させようというのがコンセプトで。更に“僕たちなりに”というところがすごく大事で、それをみんなで話して改めて突き詰めたんです。そこで気づいたのは、やっぱり僕たちにしか出せない音はバンド名が物語っているということ。だから例え作曲者が違っていたとしても、先ほどSyuさんにおっしゃっていただいたように、どんな曲でも摩天楼オペラになるという自信が出てきたというか。

Syu:GALNERYUSも色々と悩むことがあったんですよ。バンド内でメンバーが色んなベクトルを向いてしまったりとかして。でも色んなことを経てまとまるようになったし、バンドに対してすごく自信を持てるようになったんです。

苑:そうだったんですね。

Syu:それは6thアルバム『RESURRECTION』(2010年6月リリース)からの変化が大きいですね。以前から“メタルをやる=あまりかっこよくない”という意識が僕の中ではちょっとあったんです。それはなぜかと言うと、別に悪く言うわけじゃないですけど、前のヴォーカルは“鋼鉄感”というか本当にメタル的な要素が強いヴォーカリストで。でも僕の解釈としては“鋼鉄感”も必要ですけど、その中に“泣き”などの要素も必要だと思っていて。だから以前はどこかで“ちょっと違うな”と感じながらやっていたんですね。でもそのままでは駄目だと思って色々と考えるようになり、更に小野さんが入ったことによってそういうモヤモヤがポーンとなくなった。それが『RESURRECTION』のタイミングですね。自分たちのやりたいことをしっかりやり、お客さんも僕らもいいと思えるものをようやく最近作れるようになった感じがあるんです。

●なるほど。

Syu:さっきAnziさんに「ギターのポジションを上げずに自己主張を感じた」と言ってもらいましたけど、僕は20歳くらいの頃はテクニカルオタクだったんですよ。ストラトタイプのギターをすごく高いポジションで弾いていたんですよ。

Anzi:え? そうなんですか?

Syu:しかも超ロン毛でメイクもバッチリして。で、あるとき、ライブのアンケートで「今日のライブの感想を教えて下さい」という質問に対して「ギターの人の弾き方がかっこ悪かった」と書かれたんです。

一同:(爆笑)。

Syu:そこでショックを受けたんですよ。僕としてはその頃、指先がちゃんとまわっているかとか、ちゃんと音を出しているかとか、そういうところばかり考えていたんです。でもそのアンケートを見た瞬間に“これは駄目だ!”と思って。僕が考えている通りにお客さんは観ていて、それがかっこいいかかっこ悪いかは普通に考えたらわかることだったと。そこでパンッと切り替えて、ギターのポジションを下げて、とりあえず動いてみようと。そしたら反応が変わったんですよね。練習は家でしっかりやって、ライブではとにかく暴れようと。

●苑さんもAnziさんも摩天楼オペラの前にメタルバンドを経験しているとのことですが、3人から見た日本のメタルシーンはどういうものですか?

Syu:うーん、渋いですね。ジャンルっていうか村ですね。メタル村です。

●あ、村ですか。

Syu:聖飢魔IIさんとかSEX MACHINEGUNSさんって、音楽だけじゃなくてコンセプトとか世界観、存在そのものがキャッチーで、そういうキャッチーな人たちがやっている音楽が実はメタルでした、という見られ方をしていたと思うんです。でもGALNERYUSはメイクをがっつりするわけではなく、素の状態で音だけで勝負するっていう超正統派メタルなバンドじゃないですか。だからすごく難しい。

●なるほど。

Syu:そんな中でよく10年も活動できているなって思います。本当に周りに感謝ですね。メタルシーンは狭いし、どこに行ってもお客さんが少ないですよ。それはなぜかというと、やっている連中がかっこよくない。ダサいんです。だから拡がらない。ヴィジュアル系ってかっこいいじゃないですか。なおかつ、摩天楼オペラみたいにちゃんと表現できる人はもっとかっこいい。お客さんはやっぱりそういうバンドを観に行くでしょ? 一方でメタルは、“メタル”という殻に閉じこもってやっている人がいまでもいっぱい居て、本人としてはそれがかっこいいと思っているんでしょうけど、魅せる要素がない。僕は1回ヴィジュアル系を通ってからメタルをやっているのでどういうものかというのもわかっているつもりだし、メンバーには“魅せる”ということを常に意識するように言ってます。

苑:メタルはやっぱり僕たちが聴いてきたジャンルですし、一緒に成長していきたいなという想いもあって、僕らは一時期メタルのバンドを探していたことがあったんです。“ヴィジュアル系”という括りばかりでライブをせずに、“ヴィジュアル系”という括りと“メタル”という括りのバンドを僕たちの主催イベントで融合できたらいいなって。

Syu:へぇ〜。

苑:それで色々と探したんですけど、なかなか居ないんですよね。だから本当にSyuさんと同じで、どんどんメタル勢が出てきたらいいなと思います。

Syu:そうですよね。でも摩天楼オペラのメタルの採り入れ方は本当にいい方法だと思いますよ。メタルをそのままやってしまうのはすごく勇気が要ることで、表現することが限られてしまうんですよ。特に日本国内はメタルに対する偏見がどうしてもあるんです。それは演者側に原因があると思っていて。ANTHEMさんとかめちゃくちゃかっこいいんです。死ぬほどかっこいい。最高にかっこいいのに、あの手のバンドが各地のライブハウスに居るか? というと絶対に居ない。僕が若い頃、地元の大阪でよく行っていたライブハウスにも居なかったです。ちょっとイングヴェイかぶれのギタリストがイングヴェイと同じギターを使い、同じポーズをして、必ず髪の毛はワシャワシャで…そういう人めっちゃ居るでしょ?

苑:はい。居ますね(笑)。

Syu:イングウェイ派閥の人か、ザック・ワイルド派閥のレスポールの人たちか。要するにルーツをそのままやっている人ばかりなんですよ。ヴィジュアル系で言うとXをそのままやる人、LUNA SEAをそのままやる人。そんなのオリジナルで充分じゃないですか。だからヴィジュアル系の人たちってすごく頭がいいと思うんです。ちゃんとルーツを採り入れつつ、ちゃんと自分たちのオリジナルを出している。その辺がメタル畑の人はなぜか下手なんですよね…さっきからメタルの悪口ばかり言ってますけど(笑)。

●そうですね(笑)。

苑 & Anzi:(苦笑)。

Syu:でもみんなが思っていることですからね(笑)。僕が代表して言いますけど、出てこない理由がちゃんとあると思うんです。だからその辺をGALNERYUSが変えていきたいと思っています。

●先ほどSyuさんがおっしゃいましたが、“メタル”という観点から考えても、摩天楼オペラはとてもいい方法で自分たちの表現をされていますよね。

Syu:本当にそう思います。

苑:僕と悠が前にやっていたバンドはゴリゴリのメタル…2人ともジャーマンメタルが大好きなんですよ。それでメタルバンドを始めたんですけど、それ以前に僕はヴィジュアル系のバンドもやっていたんです。そういう経緯を経た上で摩天楼オペラを結成したので、ヴィジュアル系とメタルの両方を採り入れてやっているんです。両方のシーンの良い部分も悪い部分も見てきて、いまは自分がいちばんやりたい音楽に辿り着いたなっていう感じですね。

Anzi:先ほどのSyuさんもおっしゃっていましたが、“メタルはかっこ悪いものじゃない”ということを僕も伝えていきたいし、一方で“ヴィジュアル系というものは見かけを売りにしている音楽じゃない”ということも伝えたいんです。ヴィジュアル系ってもともとは自分たちの音楽をよりわかりやすく表現するために装ったものだと思うんです。表現の延長として。

Syu:うんうん。

Anzi:でもいまのヴィジュアル系はそれを逆に捉えているんですよね。とりあえず見た目を作って、後から音楽を付けてっていうパターンが多くて、中身が何もないんです。このままだとヴィジュアルのシーンもどんどん衰退していっちゃうと思うし、本物のヴィジュアル系ってそういうものではなかったはずなので。最近は全体的にバンドの元気がないじゃないですか。だから“かっこいいものはかっこいいんだぞ”ということを伝えていきたいんです。

Syu:じゃあ俺も化粧しようかな〜。

●それが表現の延長であればいいんじゃないですか?

一同:ハハハハ(笑)。

●でも両バンドの深いところをお聞きして、想いがリンクしているというか、シンクロしているということがわかりました。

Syu:そうですね。摩天楼オペラは本当にすごく考えていらっしゃいますよね。こだわってこそ出てくる音だと思います。メタルに通じているということがよくわかったので、これから何か一緒にできればいいですね。それぞれのお客さんの目にどう映るのかな? っていう興味もありますし。

苑:そうですね。うちも最近“明らかにメタル好きだろ!”っていう男性のお客さんがすごく増えてきたんですよ。だからたぶん合致すると思うんですよね。

Syu:うん、話を聞いているとそう感じます。GALNERYUSのお客さんはお客さんで摩天楼オペラに対しての偏見があるだろうし、摩天楼オペラのお客さんはお客さんでGALNERYUSに対して偏見があると思うんです。そういった色んな偏見を1つ1つ潰したいですね(笑)。

苑:そうですね。

Anzi:結局は、“かっこよければいいじゃん”っていうところに落ち着きますよね。

interview:Takeshi.Yamanaka

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