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LAST ALLIANCE

芸術性と荒々しさを兼ね備えたLAST ALLIANCE初の映像作品 様々な障害を乗り越え、4人が突き進んだ10年で見出した光

今年1月、Complete Single Collection『c.s.c20022011』をリリースした誇り高き孤高の存在、LAST ALLIANCE。同作ツアー後、春に開催された“C.L.C TOUR 2012”ファイナル@代官山UNITのライブ映像とツアードキュメンタリー、そして過去のPV作品を詰め込んだバンド初のDVD『Welcome to the Alliance』がリリースされる。10年間続けてきた彼らでしか生み出せないライブの爆発力、高い芸術性で生み出される楽曲の世界観、現場で培ったタフネスと人間臭さが詰まった同作についてANZAIに訊いた。

 

 

LAST ALLIANCE ANZAI INTERVIEW#1
「最近名付けたんですけど、僕らの中ではそういう症状を“バンドドランカー”と呼んでいるんです」

●今回初のDVD『Welcome to the Alliance』がリリースとなるわけですが、このDVDに収録されている映像は、今年1月にリリースしたComplete Single Collection『c.s.c20022011』のレコ発ツアー“c.s.c. TOUR 2012”の後に行われた、“C.L.C TOUR 2012 〜ガチセットだヨ!全員集合〜”がメインになるわけですよね?

ANZAI:はい。

●“C.L.C TOUR 2012”は当初からやることを決めていたんですか?

ANZAI:いや、決めてなかったです。“c.s.c. TOUR 2012”は全国4ヶ所をまわったんですけど、もともとは「東名阪3ヶ所でシンプルにやろうよ」っていうつもりだったんですよ。でも震災で仙台MACANAが一度閉まっちゃって、移転して新店舗でオープンして。あそこは僕らの仲間が居るライブハウスなので「これは絶対に行こう」ということで東名阪に加えて仙台を入れたツアーにしたんです。

●はい。

ANZAI:その後、バンドの今後の活動を計画していく中で「ライブDVDを初めて出さないか?」というアイディアが出たんですよ。「じゃあそのDVDに収めるライブをやろう」ということになって。

●あ、なるほど。DVDの企画ありきで。

ANZAI:去年の年末、アルバム『Keep on smashing blue,』(2010年2月)とアルバム『for staying real BLUE.』(2011年6月)の曲をできる限り多くやろうという自主企画ライブ(2011/12/27@代官山UNIT“BLUEだよ全員集合〜Keep on smashing blue, for staying real BLUE.〜”)をやったんです。あのライブは初めてVJをお願いしたんですけど、それが僕らもすごく楽しくて、来てくれたお客さんもすごく喜んでくれて。

●はい。

ANZAI:だから「ああいうライブをもう1度やろう」と。要するに、もう1度VJを絡めたライブをやって、それをDVDに収録しようと思ったんです。でもそのために1回だけライブをやるのもなんかイヤだったので、ツアー形式にしてファイナルを映像にした方がバンドとしてはいいじゃないですか。

●そうですね。ライブバンドはツアーを1本やるだけで何かが変わりますから。

ANZAI:そうそう。だからツアーにしたんです。

●なるほど。

ANZAI:でもツアーといっても何かリリースとかに絡むわけではないので、だったら“c.s.c. TOUR 2012”の続編的な感じにして、“c.s.c. TOUR 2012”では行けなかった地方都市に行こうということで。

●今まで映像作品を出していなかったわけですが、それは何か理由があるんですか?

ANZAI:最近の若いバンドとかだったら身近な発想だと思うんですけど、僕らの世代からしたらライブ映像をリリースするというのはちょっと特別な感じがあるんですよ。

●ああ〜。

ANZAI:ライブ映像を1作品として出すバンドっていうのはちょっと“神”みたいな(笑)。要するに現実離れしていたんですよね。だからピンと来なかったんです。「ライブ映像作品? ああ〜、最近はみんな出してるけど、あれって誰でも簡単に出していいの?」みたいな。

●自分たちが表現する作品として“映像”というものが選択肢になかった?

ANZAI:なかったですね。モヤっとはありますけど、「映像作品に向けてクリエイティブにやろうよ!」みたいな感覚はなかったです。

●それが、昨年末のVJを絡めた自主企画ライブでヒントを得たと。

ANZAI:そうですね。やっていくうちに今作のヒントが生まれていった感じです。

●その“C.L.C TOUR 2012”ですが、映像になっているツアーファイナル、代官山UNITのワンマンはお客さんから演奏希望曲のリクエストを公募し、それを参考にしてセットリストを組んだんですよね?

ANZAI:そうですね。リクエストを元にセットリストを組んで。

●そのセットリストで印象的だったのは、1stアルバム『TEARS LIBRARY』(2003年7月)や2ndアルバム『UNDERGROUND BLUE』(2004年12月)からの選曲も多かったことで。

ANZAI:それは僕らもおもしろかったんですよ。1stはまあ予想していたんですけど、2ndの曲を今回結構やったんです。それですごくおもしろいライブになったと思ったんですけど、お客さんからのリクエストも2ndの曲が結構多かったんです。例えばリクエストでいちばん多かったのも、2nd収録の「CLONE」なんですよ。

●あ、「CLONE」がいちばん多かったんですか。

ANZAI:そうなんですよ。僕らはもう本当にびっくりして。びっくりしたんだけど“みんなはこの曲が聴きたいんだ”と思って。自分たちでも久々に…7年ぶりくらいに演奏して。

●そんなに久しぶりだったんですね。

ANZAI:そうですよ。7年ぶりってすごいですよね(笑)。

●7年間もやっていなかったのは何か理由があったんですか?

ANZAI:いや、特にこの4人からやろうという意見が出なかっただけで。で、実際にやってみたら自分たちも“この曲おもしれえな”って。

●お客さんもすごく盛り上がってましたし。

ANZAI:盛り上がるし、かっこいいし。“今までなんでやらなかったんだろうな?”って思うくらい。

●ハハハハ(笑)。

ANZAI:おもしろいですよね(笑)。そういうことをお客さんから教えてもらった感じなんですよ。リクエスト2位も2nd収録の「夢想時代」だったんですけど、それも俺は意外で。というか、正直“これでいいのかな?”と。

●というと?

ANZAI:やっぱり1位とか2位には「片膝の汚れ」みたいな最近のライブ定番曲が来ると思っていたんですよ。でもフタを開けたら「渋っ!」みたいな(笑)。

●でもリクエストだからこそ、普段聴けないような曲を求めるんじゃないですか?

ANZAI:まあそうだと思うんですけどね。

●LAST ALLIANCEは作り込んだ世界観の美しさと、ライブバンドとしてのダイナミックさ、その2つの魅力が同居しているバンドだと思うんですけど、DVDになっているライブはその両方の魅力が伝わるものですよね。だからLAST ALLIANCEを理解するには最適な映像作品だし、セットリストだと思ったんです。

ANZAI:そうですね。セットリストはいつも結構練っているんですけど、今回はリクエストを募ったということで、まずはそのリクエストを基準に組み立てていって。更に、ブロックに曲を入れるときに前後のストーリー性とかも考えて、リクエストの上位ではない曲を組み込んだりして、リクエスト上位楽曲が映えるように考えたりしたんです。

●ひとつ印象的な場面があったんですけど、MCでANZAIさんが「喉ぶっ壊れました」と言ってましたよね。

ANZAI:はい(笑)。あれ、自分でも理由はわかんないんですよ。

●え?

ANZAI:あの前のブロックで喉が潰れたみたいになって。これはやべぇぞと。

●ハハハ(笑)。

ANZAI:自分でも原因がわかんないんですよね(笑)。喉が炎症を起こして高い声が出にくくなることは今までもあったんですけど、あんな感じになったのは初めてなんですよ。おばさんがカラオケに行って「歌い過ぎちゃったわよ」って喉が潰れたりしていることとかあるじゃないですか。

●どんな例えですか(笑)。

ANZAI:あれと同じ状態でした。

●VJを絡めたライブはこれで2回目となりますが、新たなライブの表現として掴むものがあったんでしょうか?

ANZAI:そうですね。僕らが演奏するだけじゃなくて、VJの映像とかも含めた演出は自分たち自身もすごくおもしろかったんです。ライブが終わった後、いちばん最後に「HEKIREKI 〜Acoustic ver.〜」をかけて映像ではエンドロールが流れるような演出とか。

●感動的でしたね。お客さんが一緒に歌っていて。

ANZAI:そうそう、あれ感動的でしたよね。裏で“うわー!”って思いながら聴いてました。だから手応えはありましたね。

●あと、ツアードキュメンタリーの映像も新鮮でした。UNITの本番前、4人が円陣を組んでANZAIさんが声をかけているところとか。ああいう姿は普段見れないので、意外というか新鮮というか。

ANZAI:メンバー4人で輪になって声をかけるのはいつもライブ前にやっているんですけど、あそこで言うことは、まあ注意事項ですね。「ゆっくり落ち着いてやろう」とか「展開を確認しながらやろう」とか。というのは、HIROSHIがね、すぐ忘れちゃうので(笑)。

●そうだったのか(笑)。

ANZAI:「セットリストを忘れないように」と言っているとき、俺はだいたいHIROSHIに言ってますから(笑)。

●同じくドキュメンタリーの中で、毎回機材車に乗る前にみんなでジャンケンしているところが映ってましたけど、あれは何なんですか?

ANZAI:あれは、僕ら機材車に乗るときに毎回席順をジャンケンで決めるんです。運転席も含めて。

●勝った順に選ぶということ?

ANZAI:そうです。でも今回のドキュメンタリーには何回かジャンケンをして車に乗り込んでいるところが映ってますけど、俺はだいたい負け組の席に座ってて。

●要するに今回のツアーはジャンケンに負けまくっていたと(笑)。

ANZAI:そうです(笑)。

●ああいうオフショットはおもしろいですね。バンドの素の姿を知ることができる。

ANZAI:そうですね。本当にね、みんなLAST ALLIANCEの本性を見るとびっくりしますよ。俺も含めてマジでバカすぎて。

●バカすぎてって(笑)。

ANZAI:特に最近ヤバいんですよ。今日もこの取材の前にリハーサルをやっていたんですけど、まっちゃん(MATSUMURA)とか時間を間違えて、1時間遅刻したんです。まあ1回くらいだったら別によくある話じゃないですか。

●はい。

ANZAI:実は前回も1時間間違えて来ましたからね。で、「あっ、集合時間間違えてごめんな」って言ってた次のリハーサルが今日だったんです。

●ハハハ(笑)。

ANZAI:で、今日Sanoさんはギターを忘れました。

●ハハハハハ(笑)。あの方はギタリストですよね(笑)。

ANZAI:ギタリストのはずです(笑)。更にHIROSHIは、打ち合わせはほとんど忘れます。99%忘れます。

●すごいな。

ANZAI:それを僕らは最近名付けたんですけど、僕らの中ではそういう症状を“バンドドランカー”と呼んでいるんです。

●ボクシングの“パンチドランカー”と同じだと(笑)。

ANZAI:そうそう。ものすごく前向きというかバカなんですよ。「ボクサーがパンチドランカーになるのと一緒だよ。俺たちバンドやりすぎてるんだよ」って。「だって頭の中はビートばかり流れてるもんな。そりゃあ忘れちゃうよ」って。

●相当ヤバいですね(笑)。

ANZAI:ヤバいです。このドキュメンタリーを観ると、メンバーの中でいちばんバカなのは俺みたいになっちゃってますけど(笑)。

●ライブの本数を数え間違えたままMCで言うという。

ANZAI:そうそう(笑)。そういう姿を見せるのも最初はちょっと迷ったんですよ。でも振り切って出しちゃえばいいかなって。そこで変

にかっこつけるのも逆におかしいし。

LAST ALLIANCE ANZAI INTERVIEW#2
「そこでは色んなことがあったけど、結局そこに光を見出しているからまだまだ走ることができる」

●今作には今までのPVもすべて収録されていますよね。

ANZAI:そうですね。これもみんなで話し合って、せっかくのDVDだからボリューム感満載にしたいなということで、2枚組にして今までのPVを全部入れちゃおうぜって。

●ちなみに、PVを作るときはバンド側からアイディアを出すんですか?

ANZAI:だいたいそうですね。場合によっては監督にお任せするときもあります。「疾走」なんかは演奏シーンだけだし、監督にお任せで作りました。「SPIRAL WORLD」も、映像がグルグルまわるアイディアは監督が出してくれて、そのままやったらすごくよかったという。

●なるほど。

ANZAI:自分たちでアイディアを出したのは「片膝の汚れ」とかかな。

●あっ、そうなんですね。「片膝の汚れ」のPVにはスキンヘッドで目つきの鋭い男の人が出てきますよね。ひたすらコンクリートの壁を殴っているという。

ANZAI:そうですね。あれは役者さんなんですけど、あの辺のアイディアは監督さんですね。でも「役者を立てて」というのは僕らから出たアイディアで。

●ああ〜、なるほど。場合によって、イメージ的なアイディアを出すと。

ANZAI:そうですね。「Proud of Scar」の、ギターとか色んなものをぶっ壊すのは僕が言ったアイディアですね。ギターぶっ壊すのかっこいいじゃんって。

●ロックの象徴みたいなものですからね。

ANZAI:そうですね。だから1回はやりたかったんですよ(笑)。

●いちばん印象的だったのは「Change by 1」のPVなんですよね。最初から最後まで、自転車の前輪と地面しか映っていないという。

ANZAI:これですか(苦笑)。

●いや、これはこれでアリだと思ったんですが。

ANZAI:アッハッハ(笑)。今だったらアリですね。昔はナシだと思ってたんですけど(笑)。

●ナシだと思っていたのか(笑)。

ANZAI:いや、今だったら全然アリだと思います(笑)。

●このPVは歌詞からインスパイアされた世界観だと思うんですが。

ANZAI:でも「Change by 1」のPVはバンドメンバーが一切出てこないし、演奏シーンも当然ないし。誰も出てこないから「メンバーの写真を地面に転がそうよ」と言って。なぜそうしたかというと、それには理由があるんですよ。このとき、HIROSHIが入院していたんです。

●あっ! そうか! あのときでしたか。

ANZAI:そうそう。だから映像が撮れなくて。「どうしよう?」と悩んだ末に、こういうPVになったんです(笑)。

●これはこれでおもしろかったですけどね。他のPVともテイストが全然違うし。

ANZAI:確かにそうですね。

●個人的に想い入れの強いPVはありますか?

ANZAI:「HEKIREKI」とか想い入れが強いですね。これはいま観てもおもしろい映像だと思うし、よくできてると思います。個人的なお気に入りは「SPIRAL WORLD」ですかね。シンプルかつかっこいい映像だと思うし、あとは「a burning bullet」のロケーションとかもすごく好きで。前から一度やってみたいなと思っていた映像ですね。

●なるほど。

ANZAI:「スロースターター」は違う意味で印象的ですね(笑)。意味不明っていうか、メンバーが縛られてるんですよ。

●そうですね。鎖とかビニールパイプでメンバーが縛られてましたね。

ANZAI:そうそう(笑)。意味がさっぱりわかんなくて、監督に「やって」と言われた通りやったらああいうPVになったんです。

●最後はトンネルで4人が並んで歩いて行くという。

ANZAI:ハハハハハ(笑)。おもしろいですよね。なかなかシュールだと思う。“なんだろうこれ”みたいな(笑)。

●今後はどういうPVを作ってみたいですか?

ANZAI:シンプルで、画面がまったく動かずに1カットの中でどれだけできるか? みたいなことはずっと前からやりたいと思っているんですよ。

●ほう。

ANZAI:PVって割と色んな景色が出てきたり、場面の展開があるじゃないですか。ストーリー展開というか。

●歌詞のある音楽と合わせるわけですから、どうしてもそういう感じが多くなりますよね。

ANZAI:そういうのじゃなくて、1つの画角の中で色んなことが起こるっていうか。そういうことはずっと前からやってみたいと思っているんです。

●映像の表現として成立させるのは難しいというか工夫が必要かもしれないですけど、おもしろいアイディアですね。

ANZAI:結局僕らは歌詞とかメロディを伝えたい部分が多いわけじゃないですか。それがLAST ALLIANCEの持ち味だとも思っているし。だからPVも、目から入ってくる情報をシンプルにして、耳から入ってくるメロディや歌詞のインパクトを際立たせたらどうなるだろうな? って。

●“音楽で伝える”という観点で考えたとき、映像で誤魔化したくないと。

ANZAI:そんな感じです。まあ「誤魔化したくない」とまでは思わないですけど、映像の展開やストーリー性に頼らずに、どこまでメロディと歌詞がモニターの向こう側に届くのかなって。

●なるほど。

ANZAI:歌詞もかっこいい、曲もかっこいい、メロディもかっこいい、映像もおもしろかった…となるひとつのやり方がそれだという気がしていて。1画面の中で色んなものが動いて、微妙な変化があったり、すごい驚きがあったりする中で、LAST ALLIANCEのメロディと聴感で歌詞が伝わるような。それってすごく楽しそうだと思うんです。

●それはきっと“曲を作る”ということの延長線上に映像があるような感覚なのかもしれないですね。

ANZAI:かもしれないです。もちろん他のやり方もあるのかもしれないですけどね。例えば、最近はまっちゃんが歌詞を映像に出すことを好むんですが。

●「Everything is evanescent」とかそうですよね。UNITのVJもそうだし。

ANZAI:そうそう。今作に入ってる「Everything is evanescent」 のPVはまっちゃんのアイディアなんです。僕らは歌詞を伝えたい部分も大きいから、こういうのもアリだと思うし。これからも色々とおもしろいPVを作りたいですね。

●楽しみにしています。このDVDのリリース後はライブがありつつ、どのように考えているんですか?

ANZAI:実は、次の7枚目となるアルバム制作にそろそろ着手し始めているんです。

●おっ。次のアルバムはどういう作品になりそうですか?

ANZAI:現時点のみんなのコンセプトを集約すると、さっきのPVの話とリンクするんですけど、歌詞とかメロディに特化していく方向になるような気がしています。そこは自分たちの武器だと思っているんですけど、もう一度前に出していこうと思っていて。まあもちろん、それ以外のエッセンスも加えるつもりですけど。

●なぜ歌とメロディに焦点を当てようと思ったんでしょうか?

ANZAI:うーん、なんだろう? 具体的な理由やきっかけがあったわけじゃなくて、感覚的なのかもしれないですけど「次はこういうことをやってみようよ」という感じですね。LAST ALLIANCEにはラウドな要素や2ビート、パンク的な側面もありますけど、次作はもっと歌詞やメロディを出していこうと。

●「歌詞やメロディを出していく」ということから想像すると、何か伝えたいメッセージや想いがあるということなんでしょうか?

ANZAI:俺の場合ですけど、次は“フレンドシップ”に焦点を当てたいと思っていて。

●フレンドシップ?

ANZAI:LAST ALLIANCEの4人は今までずーっと友達の延長線でやってきていて。その友達が同じ狭い世界の中にずっといると、やっぱり色んなぶつかりがあるんですよ。ぶつかりたくないぶつかりが。

●その話は今までもよく聞いていました。JUNGLE☆LIFEではお馴染みになりつつある話題ですよね。

ANZAI:そうそう、お馴染みの(笑)。それを消化した僕らが今みんなに伝えられることは、その“フレンドシップ”や“絆”みたいなものを書くことかなと思っていて。

●ああ〜。

ANZAI:そういうことは、いいことばかり書いても仕方がないじゃないですか。「俺たち友達だから楽しいんだぜ! 友達は大切にしようぜ!」とかで終わってたら僕らの居る意味がないし。

●そうですね。

ANZAI:そこでは色んなことがあったけど、結局そこに光を見出しているからまだまだ走ることができる…僕自身、次のアルバムはそういうところを意識しているかな。

●そういう視点はここ最近のANZAIさんのモードでもありますし、今作のタイトルやバンド名にも共通するテーマですね。

ANZAI:そうですね。そこをポジティブなものとして表現したいんです。中学のときからずーっと一緒で、毎日会って。遊ぶだけならいいけど仕事としてやるようになると、やっぱり昔のままの感覚では無理じゃないですか。そこで見つけたものを歌詞に書くことができたらいいなって。

●なるほど。いいですね。

ANZAI:“今の僕らが持っているものでみんなに響かせられるものは何かな?”と思い返したときに、それぐらいしか残ってないかなって(笑)。

●LAST ALLIANCEの宝物だと。

ANZAI:そうですね。そういうことを若い人たちにも伝えたいと思うし、もちろん同世代の人たちにも。最近の若いヤツらって、僕らが「新人類」と言われたみたいに、よくひと括りで言われることも多いじゃないですか。「感情がない」とか「ゆとり世代」とか「短絡的」とか色々言われていますけど、なんかそいつらが「友情って一体なんだよ?」と思っている感じ。『ワンピース』とか見て感動している人たちも、ああいうのは夢というか別世界の出来事として捉えているというか。現実の世界で“友情”みたいなものを得てないんじゃないか? と思うことがたまにあるんです。

●なるほど。

ANZAI:「友達? なにそれ?」っていう感覚の世代も出てきていると思うんです。そういう人たちにも「このおじさんたちが歌っていることはなんか響く」みたいな感じになったらいいなと思うんです。

●ああ〜、いいですね。

ANZAI:バンドやっている若いヤツらとかもう、頭なでなでしたいもん。友達と寄り添って、ひとつの目標に向かって、みんなで音を奏でている…それってすげぇ健全だと思うんですよ。でも「そんなのよくわかんねぇ」とか言って、例えば1人で部屋にこもってネットばっかやってるヤツとか、友達と遊ぶのもおっくうなヤツとか。

●はいはい。

ANZAI:それってきっとその人だけのせいじゃなくて、大人の責任であり社会全体の責任だと思う。自分のことしか考えられなくなってしまっているような人たちに向けてっていうか。やっぱりカルチャーってそういうものだと思うんですよ。その人の価値観を変えるもののひとつが音楽だと思うし。

●そういうことを考えているんですね。

ANZAI:考えますね。本当にね、笑えない状況になってきていると思うんですよ。最近だといじめとかニュースになったりしていますけど、本当に笑えない。

●日本全体が笑えない状況になってきていますよね。

ANZAI:本当にそうですよ。全部大人が悪いんだ。本当にそう思います。僕らもいい年ですからね(笑)。

interview:Takeshi.Yamanaka

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