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Large House Satisfaction

全てを圧倒する気高き本物のロックが今、ここに鳴り響く

内に秘めた衝動を全てブチまけるかのように吐き出される、轟音のバンドサウンドと強靭なグルーヴ。その上をリズムに合わせて小気味良くまくし立てられるリリックは一聴、英語かと思ってしまうほどだ。だが時折、耳に突き刺さってくるトガったワードは確かに日本語で歌われていることを示している。この圧巻の音を鳴らすバンドの名は、Large House Satisfaction。彼らがGARURU RECORDSに移籍後、初となるフルアルバム『HIGH VOLTEX』をリリースする。誰にもへりくだることなく誰しもを魅了する気高き本物のロックが今、ここに鳴り響く。

「トガった言葉をtwitterやブログでちまちま書いていても面白くないと思うんです。歌詞にしちゃえば色んな人に聴いてもらえるのが楽しいし、それが快感でもあって」

●賢司くんと要司くんは兄弟なわけですが、昔から一緒にバンドをやったりしていたんですか?

賢司:俺は初めて組んだバンドがDr.田中との2人組だったんですけど、なかなか他のメンバーが決まらなくて。要司は中学生の頃からギターを弾いていて上手かったので、“じゃあ入れようかな”という感じでした。…何でも言うことを聞くし(笑)。

●弟だけに(笑)。

賢司:同い年の友だちには言いにくいようなことも、弟なら普段から言っているわけですからね。今はもう全然そんなことはなくて、要司のやることに俺は全部「最高です」と言っていますけど…。

要司:それはウソですね。昔とあまり変わっていません。

一同(笑)。

●バンド内に兄弟がいることで、良い面もある?

要司:やっぱり兄弟なのでお互いに何を考えているかはわかるから、やりやすいところはあるかな。

賢司:音楽の嗜好も似ている部分があるので、曲作りでもあまり対立することなくスムーズですね。

●音楽的なルーツも近い?

賢司:歳を取るごとにお互いの自我が出てくるので違うものも聴くようになったりはしているんですけど、最初の出発地点は同じかな。

●その出発地点になっている音楽とは?

賢司:一番最初は、AC/DCですね。まず60年代〜70年代前半くらいの洋楽を聴くようになって。そこからTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTやBLANKEY JET CITY、ゆらゆら帝国とか日本のロックも聴き始めて、色々と広がっていった感じです。それぞれに音楽的嗜好は少しずつ違うんですけど、好きなものなら何でも聴きますね。田中はJ-POPがすごく好きなんですよ。

●音楽的にもそこが反映されていたりする?

田中:僕は中学生の頃からJ-POPをずっと聴いてきたんですけど、やっぱりメロディが良いんですよね。そのあたりは、メロディを作る時とかに出ているかな。僕は元から60〜70年代のロックを聴いていたわけではなくて、このバンドを組んでから聴くようになったんです。

賢司:それも16〜17歳くらいの時だから、もう10年くらいは聴いているんだけどね(笑)。

田中:そうだね(笑)。

●歌や歌詞からは、ヒップホップの影響も感じます。

要司:ヒップホップも好きで、特に降神には影響を受けています。昔から聴いていたわけじゃないけど、どこかで初めて降神を聴いた時に言葉遊びがすごいなと思ったんです。そこから聴くようになりましたね。

●Large House Satisfaction(以下、LHS)の歌詞も言葉遊び的な感じがあって、ちょっと聴いただけでは日本語なのか英語なのかわからない。

要司:それを狙ってはいないんですけど、リズムに乗せて歌うのがすごく楽しくて。以前は基本的に英詞だったので、全編で日本語詞を取り入れたのは今作が初めてなんですよ。そこでバンドサウンド自体のノリをなくさないためには、言葉のリズムがすごく大事だなと。

●早口で聞き取りにくいにも関わらず耳に突き刺さってくるような、すごくトガった言葉が多いですよね。

要司:意識はしていないですが、自然とそういう言葉が出てきますね。

賢司:性格が悪いんですよ。すぐ悪口を言うんです(笑)。

●ハハハ(笑)。

要司:別にケンカっ早いわけじゃなくて、ちょっと言葉遣いが汚ないだけで…。元から自分は柔らかい言葉が言えない人間なので、自然と出てくる言葉が多いのかな。あまり他人に歩み寄れないというか、歩み寄るつもりもない。共感してもらおうとも全く思っていないし、ただ聴いた時に衝撃があればいいだけだから。自分が中高生の時に初めてTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTを聴いた時みたいな衝撃が欲しかったんです。

●歌詞もサウンドもすごく“衝動”感があるというか、溜まったものを一気にブチまけている感じがします。

要司:それはすごくあると思います。曲はやっぱり“ガーンッ!”とやりたい気持ちがあるので、衝動的な感じで。悪口じゃないけど、トガった言葉をtwitterやブログでちまちま書いていても面白くないと思うんです。こうやって歌詞にしちゃえば色んな人に聴いてもらえるのが楽しいなと思うし、それが快感でもあって。

●そういうトガった言葉も曲に乗せればカッコ良く聴こえるのが、ロックの魅力でもある。

要司:確かにそうかもしれない。共感して欲しいとは思わないけど、“やっぱり言いたい!”っていうものが“衝動”だと思うから。理論的には説明できないモヤモヤした気持ちとかを乗せられるので、ロックというのは良いツールだなと思います。そういうことが今回のアルバムで初めて、ちゃんとできたかなと思うんです。やっぱり日本語が良いですね。

●日本語詞を書き始めたのは今作がキッカケ?

要司:アルバムリリースが決まる以前に、曲作りをしている段階からですね。英語でやっている時も「カッコ良い」と言ってくれる人はたくさんいたんですけど、メンバー内でもそんなに盛り上がる感覚がなくて…。

賢司:英詞でやっていた頃は実際のライブでも何を歌っているのか、お客さんはわからなかったと思うんですよ。でも日本語だったら、“こういうふうに歌っているのかな?”と勝手に想像はできるから。歌詞が日本語になってから、お客さんの反応も変わってきた気がします。

●英詞だと最初から聞き取るのを諦めてしまう人も、日本語だと何を歌っているのか気になりますよね。

要司:英語で歌っていると、お客さんも“これは英語なんだな”っていう耳で聴いちゃうから。それよりは“え、これ英語なの? 日本語なの? 何を言っているんだろう?”と思ってもらえたほうが、歌詞を聴く気になるかなって。

賢司:俺らのライブにより入り込んでくれて、グッと前に来てくれるようになった感覚はありましたね。

●今作で最初に日本語詞を取り入れた曲は?

要司:今年3月にシングルとしてもリリースしたM-3「Traffic」が初めてでした。前から日本語の曲はあったんですけど、そういうものとは違うものになっていて。「Traffic」から言葉遊びをするようになって、その流れで今回の全曲を一気に書けた感じがします。

●「Traffic」が今作のキーになっている。

要司:こういう激しい曲やスピード感のある曲に、日本語詞を乗せることがずっとできなくて。そこで英詞に頼るんじゃなくてどうにかやってみようと思って、…すげぇ酔っ払ったら書けました。

●酒の力に頼った(笑)。

要司:酔っ払うと、シラフの時よりも色んなことに対してムカついちゃうんですよね。そういう怒りが酒を飲むとどんどん加速していって、その状態で書いたらポンポンと言葉が出てきて、結果的に良い感じの言葉遊びになったんです。

賢司:「Traffic」で1つ掴んだことで、今回のアルバムでは歌詞がすんなり書けている曲が多かったですね。

●「Traffic」を通じて、歌詞を書く感覚を掴んだ。

要司:この歌詞が仕上がるまでに、実は何度かボツになったりもしているんです。でもそうやって歌詞をたくさん書いてきたから、これが書けたという部分もあるのかもしれないですね。「Traffic」の歌詞が書けた時にこのスタイルが自分にも合っているし、良いなと思って。それが今回のアルバム制作で、自分にとって一番大きかったことかもしれない。

●今までの作品とは違うものになった感覚もある?

賢司:やっていることはずっと変わらないので、自分たちでは“変わった”という感覚はなくて。もちろん技術的な部分や楽曲の質は、結成した当初より上がっているんですけど。初めて自分たちで作ったアルバムと今作を比べてみても、英詞から日本語詞になったというのはありつつ、やっていることの根本は変わっていないから。

●バンドとしての核にあるものは変わらない。

賢司:それが良いのか悪いのか自分たちではわからないけど、そこは絶対に変わらないのかな。今回のアルバムができた時も、変にいやらしくなくて良いなと思ったんですよ。そのままの自分たちが出せているし、次の作品や曲に対してのヒントもたくさん得られた。単純にすごくカッコ良いし、そこには満足しています。

●日本語詞になったからといってポップに寄ったわけじゃなく、逆によりトガった気もします。

要司:それはたぶんそうですね。やっと自分自身の気持ちというか、衝動的な部分が出せたのかなと。サウンドや曲はそんなに変わっていないし、僕の歌詞がやっとバンドのスタイルに追いついてきたという感じかな。自分のスタイルがちょっとずつできてきた感覚もあります。変わっていないけど、ある意味では変わったのかもしれないですね。

賢司:どっちだよ…?

一同(笑)。

●要司くんの中での変化はあったんでしょうね。今作を作り終えて、得たものも大きかったのでは?

賢司:“やればできるな”とは思いましたね。ちょっと頑張ってこれくらいのものができたから、次はもっと頑張ろうという気持ちにもなれた。もちろん今回も全力だったけど、作り終えた時に“余力はまだあるな”と思えたんですよ。今回の制作で色々わかったこともあるし、自信を持てるようになったというか。“やっぱり俺たち、カッコ良いじゃん”って確信できるものが作れたかな。

田中:僕も自信は付きましたね。M-1「Phantom」や「Traffic」は、今回のアルバムリリースが決まる前からできていて。自分たちでは“すごい曲ができたな”と思いながらも、その頃はまだあまりお客さんがいない中でライブをやっていたんです。だから自信を持てずにいたんですけど、GARURU RECORDSからのリリースが決まって新曲をどんどん作っていく中で“やればできるんだな”とわかった。…もっと若い時からちゃんとやっておけば良かったと思いました(笑)。

●逆に後悔したんだ(笑)。

田中:22〜23歳くらいの時なんて、ほぼ遊びに近かったから。その頃から自分たちがカッコ良いという自信はありましたけど、勘違い的な部分もあったのかなって。今回のアルバムをたくさんの人に聴いてもらって、「カッコ良い」と言われて…もてはやされたいですね。

一同(笑)。

●自信を持って世に送り出せる作品になった。

要司:僕らのことを今作で初めて知る人もたくさんいるだろうけど、自分たちの基本的な部分は出せたかなと思います。キャッチーな曲もありつつ、ちょっとひねくれたところも出せていて、その両極端が散在しているアルバムだから。初めて僕らを聴く人はまずキャッチーな部分にやられつつ、ひねくれた部分もスルメみたいに味わいながらたくさん聴いてもらえば、核心に近付いていけるんじゃないかな。

Interview:IMAI

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