ヒヨリノアメというバンドがいる。平均年齢20歳、茨城県水戸出身のバンドだ。彼らは、自分や周囲の友人や元恋人の事を、惜しげも無く、包み隠さずリアルな言葉で歌う。優しさも未熟さも全て内包して、友人の演奏と共に、曝け出して歌うAKIの姿は少年の様に純粋で、美しい。2019/7/31にリリースされるデビューミニアルバム『記憶の片隅に』に収録される全曲を、AKI自身に解き明かしてもらった。手紙の様な自伝的セルフライナーノーツを、ここに記録する。
M-1.「傘とシンデレラ」
ライブでこの曲良かったですと言ってもらえることがとても多い曲。
この曲はせまい車の中で、自分でもびっくりするぐらい泣きながら書きました。
この曲が好きだと言ってもらえると恥ずかしいけど安心する。
俺、自分のこと歌ってていいんだなって。
好きっていってくれた君ときっと似てるんだろうな。
安心してよ、俺もだから。
M-2.「東京」
ヒヨリノアメは無茶をするバンドだ。
俺の性格がもろに出てしまっているバンドだ。
高2の時に結成してすぐ「このバンドで東京に出たい」って衝動的に思って高校辞めて、
ライブ以外は毎日朝から夜までバイトして。
それから1年経ってベースが抜けて。
でも俺先走っちゃってたから、2人のこと説得して。
ベースいなくて3人だけど東京に行けばなんとかなるって思ってた。
そのくらい僕にとって東京は未知の世界で最強の街だった。
でも1年以上ベーシストは見つからなかった。
そのどしようもない時期に書いた曲。
M-3.「room」
さようならをするのが苦手だ。
幼稚園の頃は好きだった。
あの時みんなで叫んださようならは
「また明日会おうね、また遊ぼうね」
っていう約束みたいなものだった。
大好きな母親がバス停で待っていて、一緒に帰るのが嬉しかった。
大人になってからのさようならは
もう二度と会えない約束みたいなものばかりだ。
さようならなんて言葉、もう好きな人の口から聞きたくない。
M-4.「ハローグッバイ」
好きなものを好きになりたかったし、
嫌いなものを嫌いになりたかった。
もし、世界が平和だったら。
今も一緒に居られたのかもしれない。
M-5.「最後には」
僕は強くない。
嘘をつかれて知らないままでいるくらいなら知って傷ついた方が全然マシだ。
陰口みたいなのも苦手で、
仲良い人がそういう話をしてると自分もこんな風に言われてるんじゃないかと怖くなる。
だから直接言われた方がほっとする。
最後に悲しくなるなら最初から悲しくていい。
もう君のこと好きだから今更嘘とかいらないよ、
どんな悪い奴でも構わないよって。
M-6.「左手」
元恋人と再会した直後に書いた曲。
その腕の傷、気づいてたけど別に心配して連絡したんじゃないよ。
時間が経ったらあんなに嫌だった事もなんか忘れられた気がして、
また笑い合える気がしたんだ。
でも今歩いてる道は確かにあの日2人ふざけ合って歩いた道だけど、
隣には君がいるけどあの頃の2人ではないんだ。
もう手は繋げないし、明日からはまた1人。
元に戻っただけなのにね。
G./Vo.AKI