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Half-Life × pegmap

pegmap × Half-Life:PLAYMATE TALK SESSION 山本章人(Vo./G.) × 上里洋志(Vo./G.)

 4年振りの音源となる『COME BACK e.p.』でシーンの最前線に帰還したpegmapと、今年9月に1stミニアルバム『drama』を発売したばかりのHalf-Life。一緒にツアーをまわったり、イベントでも数々共演している両者は共に渋谷CYCLONE内のObrien labelでのレーベルメイトでもある。同世代でもあり、お互いの紆余曲折や進化を身近な場所で見続けてきた両者。そんな関係だからこそわかる両バンドの近況と魅力に、同じVo./G.というパートで共にメインソングライターも務める山本章人と上里洋志との対談から迫った。

Interview

「"カッコ良い"だけで終わらないのが良いんでしょうね。そういう曲は世の中にたくさんあるから。カッコ良いだけじゃなくて、そこにちゃんと芯があることも感じられるのが良い」

●両バンドはレーベルメイトなわけですが、知り合ったのはいつ頃?

上里:僕らはまだレーベルに入る前だったんですけど、「ツアーをしたい」ということでレーベルオーナーの三浦さん(渋谷CYCLONE店長)に相談したんです。その時に「ちょうどpegmapもツアーに行くから、一緒に行ってきたら」と言われたのが最初の出会いでしたね。それが3年くらい前のことで、レンタカー1台に総勢7人で乗って行ったんですよ。

山本:面白かったよね(笑)。特に洋志は打ち解けてくれて。

上里:逆にそっちは"話しけるな"オーラが出てたけどね(笑)。本人にそんなつもりはないと思うんだけど、見た目的に…。

山本:こっちも「知らない人、怖い!」みたいな感じだったよ。でも話してみたら気さくな人たちだったので、良かったなって。何を話したんだっけ?

上里:最初に「好きなボーカリストは誰か?」って訊かれて。僕が「スティーブン・タイラー(エアロスミス)」って言ったら、山本さんが「俺もだ」って(笑)。

●スティーブン・タイラーでつながったと。

上里:それが仲良くなるキッカケになりましたね。

山本:僕はバンドマンが相手だと最初はそういう当り障りのない会話から始めて、あんまり盛り上がらずに終わるのがいつものパターンなんですけどね(笑)。そこはやっぱり洋志の人柄が良かったからだと思います。

上里:でも、その時はまだお互いを探っていた感じだったよね。

山本:俺は有くん(Dr.福島)が怖いと思っていたからね。顔もシュッとしているし、プレイも凛としているから、下手なことを言ったらキレられるんじゃないかと思って(笑)。

●ツアーでお互いのライブを観た印象は?

山本:歌が上手いなっていうのと、きれいな曲だなとは思いました。"モテそう"って感じ(笑)。

上里:今のライブで基本になっているような曲は、ほとんどやっていなかったと思います。今よりももう少しダークな感じでしたね。pegmapはその当時からライブでも圧倒的で、ボーカリストとしてもバンドとしても当時の僕らが持っていなかった空気感があって、ただただすごいなと思いました。

●そこから仲がより深まったのはいつ頃?

上里:山本さんが彼女と別れて1人になった時期に、しょっちゅう僕の家に来て一晩中ゲームをやっていて。それが1~2ヶ月くらいは続いたんですよ。最初は先輩だし年上だから言葉遣いも気を付けていたんだけど、今となってはもうノー・ボーダーな感じです(笑)。

山本:俺は最初から気にしてなかったよ。

上里:「なんでお前はそんなに後輩気質なの?」って言われたりもしていました(笑)。バンドやボーカリストとしては今でも尊敬していますけど、先輩・後輩というよりは友だちって感じですね。

山本:俺は先輩も後輩もなく、同じだと思ってるからね。でも歌は本当に上手いと思う。カラオケで野狐禅とか歌わせると、すごいんですよ(笑)。

上里:カラオケはしょっちゅう2人で行ってますね。

●他のメンバー同士も仲が良かったりする?

上里:健人(Ba./Vo.岡村)は河村(Dr.)さんと仲良くて、有くんは冨田(Ba.)さんと仲が良いんですよ。よく「富ちゃん、富ちゃん」って言って、連れ回していて。

山本:それは富田が何も言わないからだろ(笑)。

上里:あと、有くんはデンキくんをよくイジっていますね。デンキくんの顔が「水川あさみに似てる」って言い出して、有くん1人だけ「あさみ」って呼んでるんです(笑)。

山本:他は誰も言ってないけどね(笑)。

●(笑)。お互いのバンドとしての変化も見てきたのでは?

山本:すごく変わってきたのは見ていてわかるし、洋志も最近は落ち着いてきましたよね。

上里:大人になったところもありますからね(笑)。今回の1stミニアルバム『drama』を作っている時期に僕はすごく落ち込んでいて、山本さんに相談したりもしたんですよ。ちょうど一緒にツアーしている時期だったし、ツアー先でも2人で食事に行ったりして相談に乗ってもらいました。「それはお前が悪い」とか言われたりしましたけど(笑)。

山本:ウチもそうだけど、メンバーがずっと身近にいすぎると変な壁を作っちゃって言いたいことも言いづらくなったりするんだよね。自分は第三者だから客観的に見えるので、「あいつらはこう思っているんじゃない?」みたいなことを言いましたね。洋志はちゃんと他人の話を聞く人だから、そういう話もできるんです。

●逆に山本くんが相談することもある?

山本:ありますよ。相談っていうよりは、「もうヤダ!」っていう感じの愚痴ですけどね(笑)。

上里:いきなり夜中に電話がかかってきて、「もうダメだ~。無理!」とか言うんですよ(笑)。pegmapが経験していないことを逆に僕らは通っていたりするので、そういう経験談みたいなことを話しますね。お互いに曲の根っことなるものを作っている立場なので、同じ悩みや抱えている責任の重さみたいなところで意気投合できるんです。

山本:お互いの気持ちはわかるよね。でも俺は歌っている時は闇っぽいけど、普段は全然違うから。洋志は抱え込むタイプだから、闇が渦巻いている感じだよね(笑)。「なんでそんなにめんどくさい生き方をしてるんだろう?」ってよく思う。

上里:それは確かにある。山本さんは物事をハッキリと言える人なんですよ。でも僕は気を遣いすぎちゃって、なかなか言えない。

山本:優しいんだよね。

上里:この前のツアーでは僕の精神状況が良くなかったので、お互いのリズム隊同士が集まって愚痴を言い合っていたりしたんじゃないかな(笑)。

●メンバーに愚痴を言ったりはしない?

上里:"そこで言ったら負けだ"みたいな部分もあって、弱音をメンバーに聞かせたくないんですよ。だから一番近い人間の山本さんにポロッと言っちゃう…"彼女か!?"って感じですよね(笑)。

山本:2人で物事の捉え方が全然違うんですよ。僕は色々考えるのがめんどくさくなっちゃうんですけど、洋志は背景とか心の奥にまで迫っていく。共通点があって仲が良いわけじゃなくて、タイプが全然違うから良いんですよね。たとえば僕はバーッと言っちゃうけど、洋志は優しくてなかなか言えないところに人間的な魅力を感じているから。俺が女だったら付き合いたいと思いますもん。

上里:イヤだよ! (笑)。友だちだったらいいけど、彼氏にするとめんどくさそう…。

●(笑)。最近の音源もお互いに聴いていますか?

上里:今までにpegmapが出してきた音源も持っているし、新しいのが出る度に「やっぱりすげぇな」って思い知らされますね。一緒にツアーしていたりもするし、ライブを観る機会はお互いに多くて。

山本:ライブはよく観ているんですけど、音源は全然聴いていないですね(笑)。僕は音楽がそんなに好きじゃないので、元々あんまり聴かないんですよ。俺は歌うことが好きなだけで、音楽が趣味ではないんです。

●曲作りについて相談したりはしない?

山本:よくお互いの歌詞を見せ合っていますね。「ここがわかりづらい」とか指摘し合ったりはします。

上里:一度、俺が作ったアコギのフレーズとメロディを元に共作したこともあるよね。パソコンでアレンジしたりもして。

山本:すごくカッコ良いものができたんですよ。ぜひお聴かせしたい(笑)。

上里:お互いに違うバンドをやっているわけだから、切り口も違ったりするのが新鮮でしたね。

山本:洋志はアコギと歌メロだけで持ってくるんですけど、俺はその周りを作るのが好きなんですよ。そこもタイプが全然違うから、噛み合うんでしょうね。

●pegmapは新作を制作中ですが、その様子も見ているのでは?

上里:悩んだりもしているみたいですね。でも新しい曲を聴かせてもらったら、"こういう発想があるんだ"ってやっぱり驚かされる。この前の『COME BACK e.p.』を聴かせてもらった時は、昔の作品と比べてクールになったなと思いました。

山本:前と印象は違うだろうね。最近はそんなにギャーギャー叫んでいないし(笑)。音楽を自分のはけ口に使っていない。"ちゃんと作品としてパッケージしたものを聴いてもらいたい"っていうことを考えて、今は作っているから。昔の感じが好きな人にとっては面白くないのかもしれないけど、自分たちはそういうことがやりたかったし、それを1つの形にできているので後は結果を待つだけという感じですね。

上里:もちろんクールになったというのも悪い意味じゃないし、今のpegmapがやっていることに対して純粋にカッコ良いなと思うんです。でも"カッコ良い"だけで終わらないのが良いんでしょうね。そういう曲は世の中にたくさんあるから。カッコ良いだけじゃなくて、そこにちゃんと芯があることも感じられるのが良い。

●そこは両バンドとも共通していると思います。

上里:『COME BACK e.p.』に入っているM-3「土曜日」が、ウチのメンバーは全員好きなんですよ。ただ好きなようにやっていた頃のpegmapとは全然違う曲だし、聴き手のことをちゃんと考えて作ってあるから。それを見て、僕らもちゃんと聴いている人たちに応えられるような楽曲を作っていかなきゃいけないなと思った。僕は今、自分が個人的にやりたいことよりも、Half-Lifeというバンドとして求められているものを一番やりたいんですよ。

山本:そういう曲を作っておきながら俺は逆に、メンバーが一番ノビノビやれるような活動スタンスがいいんじゃないかって今は思うんだよね。今回の制作では"ちゃんと作品としてパッケージしたものを作る"っていう方法を俺が推し進めた分、他のメンバーには我慢させてしまった部分もあったんです。ウチは音楽が本当に好きなバンドマンらしいメンバーが集まっているから、1つのやり方を押し付けるべきじゃないなと。それもちゃんと腹を割って話したからわかったし、俺もあいつらの考え方を受け入れられた。だから今はすごく4人の仲が良いし、今後が面白くなっていきそうです。特にリリース後のツアーは絶対に面白いものになると思うので、今から楽しみでしょうがないですね。

Interview:IMAI

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