“みんなの遊び場”をコンセプトに活動する10人組アイドル、GANG PARADE(通称ギャンパレ)がメジャー1stフルアルバム『LOVE PARADE』を完成させた。今年4月にワーナーミュージック・ジャパン内新レーベル“FUELED BY MENTAIKO”よりシングル『ブランニューパレード』でメジャーデビュー。5月には大阪城野外音楽堂と日比谷野外大音楽堂をまわる東阪での野音ツアー“CHALLENGE the LIMIT TOUR”も成功させたように、次々とその限界を突き抜けていっている。日比谷野音公演からは、新メンバーにナルハワールドを加えた10人体制も始動。8月からは根本宗子が作・演出を手がけるミュージカル「プレイハウス」にメンバー全員で主演するなど、その活躍はまさにとどまるところを知らない。そんな上昇気流に乗った状態で放たれるのが、今回の『LOVE PARADE』だ。道なき道を突き進みながら遊び人(=ギャンパレ・ファン)の輪を確実に広げてきた彼女たちが歌う、まっすぐな言葉は今だからこそ多くの人の胸に突き刺さるものだろう。もう一段階上のステージへと駆け上がる寸前とも言える今の心境に迫るべく、ヤママチミキ、テラシマユウカ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギの4人にたっぷり話を聞いた、表紙&巻頭1万字超ロングインタビュー!
「“終わりのステージ”というよりも、“始まりに向けた終わりのステージ”にできたなと思っています」(月ノ)
●“CHALLENGE the LIMIT TOUR”では5/19に9人体制最後となる大阪城野外音楽堂(以下、大阪城野音)公演、その1週間後の5/26に10人体制初となる日比谷野外大音楽堂(以下、日比谷野音)公演を行われましたよね。どちらも節目となるライブでしたが、どんな気持ちで臨まれたのでしょうか?
テラシマ:大阪城野音に関しては9人体制最後ということを意識して取り組んだというよりも、次の10人体制での日比谷野音につながるライブという意識がみんなの中では強くて。“9人体制が終わるので寂しい”という気持ちは、大阪公演ではあまりなかったですね。
●次を見据えて、前向きな気持ちで臨んだと。
テラシマ:はい、前向きな気持ちでした。
ミキ:私もユユ(※テラシマ)と同じというか、たぶんメンバーみんなが本当にそう思っていて。月ノとハルナ(・バッ・チーン)が入る前の7人体制最後の時は“この7人でできるのはこれで最後なんだ…”という寂しさみたいなものもちょっとあったんですけど、今回は本当にそれがなかったんです。私たち自身も“その先”をちゃんと見据えられるようになってきたからこそ、“寂しさ”というよりも、次につながる“楽しみ”という気持ちのほうが強かったんじゃないかなと思います。ライブ中もずっと、そんな感覚でしたね。
ドクソン:私は、聖火リレーをしている気持ちでした。
●聖火リレーというのは…?
ドクソン:“CHALLENGE the LIMIT TOUR”は2ヶ所だけだったんですけど、どちらもメチャクチャ重要だというところで、私の中ではオリンピックの開会式と閉会式みたいな感覚があったんです。どっちも“お祭り”というか。大阪公演が“閉会式”なんですけど、お祭りが終わっちゃう寂しさもありつつ、次へのエキシビジョンみたいなものもある感じというか。
●大阪公演で1つのお祭りが終わるけれども、1週間後に控えた次のお祭りに向けた楽しみも湧いてきていた。
ドクソン:だから大阪での公演中に、もう次のワクワクが始まっていて。次に控えているものへの楽しみな気持ちの高まりを感じてもらえるようなものにしたいなと思いながら、やっていました。
●なるほど。月ノさんはどうでしたか?
月ノ:私は他のみんなと違って、グループの体制が変わるというのは初めての経験だったので、大阪でのライブ中に寂しさは感じていました。でもちゃんと前向きな気持ちもありつつ、“ちょっと寂しいな…”という気持ちもありましたね。あと、“大阪城野外音楽堂”という場所自体にも思い入れがあって。私とハルナの合格発表の場でもあったから。9人が初めて出会った場所で、9人を終えられるということに運命を感じていたので、すごく特別な1日だったなと思います。
●月ノさんとハルナさんにとっては、より特別な思い入れのある会場だったんですね。
月ノ:でもやっぱり、みんなの気持ちとしては日比谷野音に向いていたというか。ここで9人体制は終わるけど、1週間後の10人体制初ライブに向けたものにしようという気持ちがあったので、決して後ろ向きではなくて。“終わりのステージ”というよりも、“始まりに向けた終わりのステージ”にできたなと思っています。
●そこから日比谷野音までの1週間は、どんな時間だったんでしょうか?
テラシマ:緊張感はありましたね。大阪公演の翌日が日比谷野音のゲネリハだったのもあって、結構ピリピリしていました。10人体制のフォーメーションになることで歌割りも変わったりして、精神的な焦りもあったから。特にナルハ(ワールド)は、リハの時からド緊張していて…。ギャンパレのメンバーとして初めてのステージが日比谷野音ということで、とてつもないプレッシャーがあったと思うんです。
●それはそうですよね。
テラシマ:私たちもワクワクというよりは、“やらなきゃ…!”という感じで。ギリギリの気持ちもあったんですけど、その中でも“ナルハが入って、どうなるかな?”という楽しみも結構ありました。
●ナルハさんが加わることへの期待感もあった。
テラシマ:ナルハには、可能性が秘められているなと思っていて。あまり自分から喋るタイプでもないし、そんなに何かを表に出している子じゃなかったんですよ。だからこそ、そういう(見せていない)部分がどんどん出てきたら、もっと良くなるんじゃないかという楽しみがありました。
月ノ:10人体制でゲネリハをやった時に、純粋に人数が増えたことでの新鮮さにワクワクして。たとえば歌割りもナルハが入ることで変わって、”こんな感じになるんだ!”という新鮮な感覚があったんです。もちろんフォーメーションも変わったりしてピリピリしているところもあったんですけど、その時に感じたワクワク感を大事にしようと思いながら私は日比谷野音に臨みました。
●不安よりも、ナルハさんが加わることでどう変わるのかというワクワク感が勝っていたと。
ヤママチ:ナルハはすごくできる子で、練習の段階からフォーメーションや振り付けも完璧に覚えていたので、そこに対する心配は全然なかったです。10人が集まった時にグループとしてどう見えるのかというところでは不安も一瞬よぎりましたけど、ゲネをやった限りではそこにも不安は感じなかったですね。
●実際に日比谷野音でのナルハさんを見て、どう感じましたか?
テラシマ:本当に堂々としていましたね。ナルハ自身は「コントが終わって、(顔にかぶった)パンストを脱いだ瞬間に緊張がほぐれた」と言っていたんですけど、それは私たちもみんな感じていて。パンストを脱いだと同時に、一皮むけた感じがちょっとありました。
ドクソン:わかる、わかる(笑)。
●コントでのパンストのくだりが、重要なターニングポイントだったんですね(笑)。
テラシマ:何かが変わったんですよ。それまでは(ナルハは)たぶんめちゃくちゃ不安だったと思うんです。実際、1曲目の「ブランニューパレード」をやっている時にちらっと見たら、ちょっと不安そうな顔をしていて。でも後半からは堂々としていて、すごく楽しそうでしたね。
「今までのGANG PARADEを強化したものを出すこともできると思うんですよ。それこそ“新しい武器を手に入れた”という気持ちですね」(ヤママチ)
●メンバーから見て、実際のナルハさんはどういう状態だったんでしょうか?
ドクソン:日比谷野音の開演前が、ナルハは本当にヤバくて。私は楽屋で隣の椅子だったんですけど、ふと見てみたら(ナルハは)鏡に映った自分をずっと真顔で見つめていたんです。私も緊張するほうなので、ちょっとでもほぐせたらと本能的に思って、根拠もなく「ナルハ、大丈夫! 大丈夫!」みたいに言っていたんですよ。その時はナルハも「めっちゃ緊張します…」みたいに答えていたんですけど、あとでわかったことがあって…。
●というのは?
ドクソン:Live Blu-ray『CHALLENGE the LIMIT TOUR at 日比谷野外大音楽堂』の初回生産限定盤の付属のブックレットに、メンバー1人ずつのインタビューが載っていて。それを見て発覚したんですけど、私が「大丈夫! 大丈夫!」と言っていた間、ナルハはずっと“大丈夫じゃない!”と思っていたらしいんです。
一同:ハハハハハ(笑)。
●内心では、大丈夫じゃなかった(笑)。
ドクソン:私も、それはそうやなと思って。
テラシマ:ナルハは“緊張しい”なところがあるから。
●実は緊張している。
ドクソン:でもそれが顔にあまり出ないのがすごいなと思います。ポーカーフェイスだから。
テラシマ:パフォーマンスにもあまり出ないんですよ。
●だから、堂々としているように見えるんでしょうね。
ドクソン:私たちですら“不安なんだろうな”というのが(外から見ても)わかるくらいだったから、お客さんからしたら“この子(ナルハ)はすごく度胸があるな”というふうに見えただろうなと思いますね。
テラシマ:自分の初お披露目の時を思い出したら、ナルハのほうがパフォーマンスのレベルが高すぎて…。“自分はとんでもないものをやっていたな…”と思って、2年半前のことを反省するっていう(笑)。
●それくらいナルハさんのパフォーマンスのレベルは高かった。
テラシマ:振り付けに関しては、本当にすごいなと思いました。1人で覚える作業って、すごく大変なんですよ。私たちが入った時は同期がいたので一緒に覚えられたんですけど、ナルハは1人で全部それを成し遂げたのは本当にすごいと思います。
●ナルハさんはただ1人、新メンバーとして加入したから同期がいないわけですよね。
月ノ:私にもハルナという存在がいたから頑張れた部分もあったので、1人でやりきったナルハは本当にすごいなと思います。私としても寄り添えるところは寄り添ってあげようと思ったし、それによって自分自身の気持ちも引き締まったというか。初めて“後輩”というものができて、引っ張ってあげないといけないと思ったから。日比谷野音の時は自分も緊張していたんですけど、ナルハがもっとガチガチだったので“ここで私が緊張していてどうするんだ?”という気持ちになりましたね。
●そんなナルハさんが加わった10人体制のお披露目を日比谷野音で終えたわけですが、そこからまた新しいスタートを切ったという感覚でしょうか?
ヤママチ:新しいスタートを切ったというよりも、ずっと続いているものにプラスアルファとしてナルハが加入してくれて、さらに力をつけたGANG PARADEになったというイメージのほうが近いですね。今まで体制が変わるごとに“またここから始めます”みたいなことをずっと言い続けてきたんですけど、今回はそういう感じではないと個人的には思っていて。今まで9人で作り上げてきたものにナルハが新たに加入したことでまた違った面を出すこともできるし、今までのGANG PARADEを強化したものを出すこともできると思うんですよ。それこそ“新しい武器を手に入れた”という気持ちですね。
●グループとして、より強化されたことを実感した公演だったと。
ドクソン:日比谷野音は体制が変わったということもあったんですけど、場所の力がすごいなと思いました。今までステージに立ったことがあるアーティストの人たちも「野音はすごい」とおっしゃられていたんですけど、野音が持つ不思議なパワーみたいなものを感じたんです。日比谷野音には有名な神様が5人くらい住んでいるんじゃないかと思うくらい、会場自体がパワーに満ち溢れていて…。
●有名な神様が5人住んでいるんだ…(笑)。
ドクソン:そういうものも感じながら、自分は幸福を感じてしまって。ギャンパレは今まで色んな道を辿ってきましたけど、その中でも日比谷と大阪での野音ツアーをできたということの意味が自分の中ではめちゃくちゃ大きかったんです。終わってから、特にそれを噛み締めましたね。
月ノ:私は、個人的に“日比谷野外大音楽堂”という場所が憧れの聖地で。ワンマンライブが終わりに向かっていく時って寂しさを感じることもあれば、逆に“あっという間に終わっちゃった”と感じる時もあったりして、その時によって違うんです。でも日比谷の時は“まだ終わりたくない!”と思ったんですよね。“私はまだここに立っていたい!”と思ったのは、後にも先にも“日比谷野外大音楽堂”だけかもしれないと思っています。
●日比谷野音が終わった時は、やはり達成感もあったのでしょうか?
テラシマ:実際に終わった時には、“終わった~!”みたいな感じがあまりなくて。最近、Live Blu-rayの上映会があったんですけど、それを見た時に幕を閉じた感覚がありました。日比谷野音を終えた瞬間は胸いっぱいという感じで、まだ自分の中で処理しきれていなかったというか。1つ1つ(の出来事)を噛み砕いて、どうだったかという分析にまでは至っていなかったんですけど、そこから時間をかけて振り返ったり、動画を見返したりして。そして上映会でみんなと一緒に見たことによって、やっと“良いライブだったな”っていう感想が出てきましたね。
●時間をかけて、やっと整理できたと。ヤママチさんはどうでしたか?
ヤママチ:う~ん…単純に“楽しかったな”という記憶だけはあります。“ここがすごく良かった”とか、“ここで自分はすごく感情が高まった”という記憶があまりなくて。ただ、すごく楽しかったし、今までにないお客さんとの一体感を感じられたし…という結構ざっくりとした感覚でした。それは今も同じですね。
ドクソン:すごすぎて、記憶が飛んでいるんじゃない?
一同:ハハハ(笑)。
ヤママチ:いや、具体的な感情がないというか。本当に抽象的なものしか浮かばない…それはたぶん良い意味でだと思うんですけど。
●普通のライブではないものができたということですよね。
ヤママチ:それこそが“野音”という場所の持つ力なのかなと思いました。
「“大丈夫なの?”みたいなことを言ってくれる人もいるんですけど、そういう方はぜひ「Like a virgin」のMVを1回見て頂ければ」(ドクソン)
●そしていよいよ11/13にメジャー1stフルアルバム『LOVE PARADE』をリリースされるわけですが、いつ頃から制作に入られたのでしょうか?
テラシマ:制作が始まったのは、夏前くらいだったと思います。まず最初は作曲コンペから始まって、作詞をして…みたいな感じでした。
ヤママチ:M-11「LOVE COMMUNICATION」はハワイでのMV撮影というのが決まっていたので、この曲だけはちょっと早めに制作が始まっていて。マネージャーが作詞しているのもあって、早い段階から歌詞を頂いていましたね。
●「LOVE COMMUNICATION」はヨウタ颱風(ハリケーン)こと、マネージャーの辻山さんが作詞に関わっているんですよね。あの名曲「とろいくらうに食べたい」(※シングル『BREAKING THE ROAD』収録)もそうでしたが…。
ドクソン:あと、「Like a virgin」もそうですよ!
●ドクソンさんのソロデビュー曲ですよね。あれも強烈でしたが…。
ドクソン:はい、鬼才なんです。
●「LOVE COMMUNICATION」もよく見ると、歌詞がド下ネタという(笑)。最初に歌詞を見た時、メンバーはどう思ったんですか?
ヤママチ:実は仮歌のほうがもっとすごくて。最初に松隈さんが入れてくださった仮歌を聴いた時に、“ナルハとハルナは歌っちゃいけない”と思いました(笑)。
月ノ:“ナルハに意味がわかるかな…?”と思うくらいの結構イッてる内容でした。
テラシマ:モロでした(笑)。
●仮歌はもっとヤバい内容だったんですね…。
ヤママチ:それを上手くヨウタ颱風さんが調整してくださって…。
テラシマ:だから私たちは、少し柔らかくなったという印象なんです。
ドクソン:MVが発表された時に聴いてくださったファンの方たちの中には、“下ネタやん!”っていうことで衝撃を受けている人もいたんですよ。ただ、私は“デカティン”の歌(=「Like a virgin」)を歌っているから…。
一同:ハハハハハ(笑)。
●もっとヒドいことを歌わされている(笑)。
ドクソン:“デカティン”の歌を歌っている身としては、“何を今さらビックリしているんだ…?”っていう。
テラシマ:ヨウタ颱風としては、だいぶマイルドですね。
ドクソン:逆に、さわやかな風すら感じる…。
●MVもハワイの空気感だけはさわやかでしたが…。
テラシマ:ちょいちょい“あれっ?”っていう感じのものが入るんですよね(笑)。
●何か別のものをイメージさせるような動きが差し込まれていましたね(笑)。
ドクソン:だから、心配してくれる声もちょっとあったりして。“大丈夫なの?”みたいなことを言ってくれる人もいるんですけど、そういう方はぜひ「Like a virgin」のMVを1回見て頂ければと…。
●ハハハ(笑)。YouTubeのコメント欄にも“こうやってナルハも汚れていくのか…”と書かれていましたが。
ドクソン:でも1つ言ってもいいですか? 確かにナルハはめちゃくちゃピュアですし、ビジュアル的にも純粋無垢で真っ白が似合う女の子なんですけど、意外と腹黒なんですよ。
●えっ、そうなんですか?
ドクソン:これはまだ公に発信していないことなんですけど、自分でもそう言っていて。“ナルハは自分で自分のことをどう思う?”と訊いた時に、“私ですか? …腹黒”と言ったんですよ。
●自覚もあるんだ…。
ドクソン:おとなしい感じにも見えますけど、接している中で“ブレない強さ”みたいなものも見えていて。“自分”というものがちゃんとある子なんですよ。それで、腹も黒いっていう…。たぶん“ブラック・ナルハ”を心の中に住まわせているタイプだと思います。
テラシマ:そういう腹黒そうなところをちょっとつつくと、出てくるのが面白いんですよ。まだギャンパレ内でとどまっているんですけど、そこの面白さを早くみんなにお届けしたいです(笑)。
●楽しみにしています(笑)。
テラシマ:だからちょっとナルハがそういうふうになると(※下ネタ的なことを歌うと)、“ギャンパレに染まってる”とか言われるんですけど、実は違うんです。ポテンシャルとして持っているというか。だから、私たちが汚したわけじゃない(笑)。
ヤママチ:WACKにいる時点でもう…。
月ノ:確かに。WACKに来た時点でもう…。
●…まだ世に見せていない、ナルハさんの魅力を今後引き出していけたらということですよね?
ドクソン:やっぱり魅力いっぱいの子だから。どうしても1人で新たに加入したというのもあって、自分からは言い出しにくかったりすると思うんですよ。他のメンバーをかき分けて、なかなか前には行けない状態で。だからこそ私たちが根掘り葉掘り訊いて、ナルハの色を引き出していきたいんですよね。
●話を戻して(笑)、「LOVE COMMUNICATION」のハワイ撮影はどうだったんですか?
ヤママチ:めっちゃ楽しかったです。MV撮影という名目でハワイに行ったんですけど、撮影しているという感覚が全然なかったというか…。
テラシマ:ただ、遊ばせてもらっていた感じです(笑)。ギャンパレには、あまり夏を満喫するようなメンバーがいないんですよ。ココ(・パーティン・ココ)だけは“夏、イェーイ!”っていう感じなんですけど、他はそんなにアクティブなことをしない子が多いので“どうなるのかな?”と思っていて。でも意外とみんな、ハワイに染まっていましたね。
●メンバー全員がハワイを満喫していたと。
月ノ:みんな、朝から夜まで外を出歩いていて。
テラシマ:本当に毎日2時間睡眠とかでした。
ヤママチ:ドク(※ドクソン)は朝ずっと寝ていましたけどね。私と部屋が一緒だったんですけど、私が朝ごはんに出かける時も爆睡していたし、帰ってきてもまだ寝ているっていう(笑)。
ドクソン:私はインドアなタイプなんです。でもハワイはめっちゃ楽しくて。特に1日目は自由時間を頂けて、めっちゃ楽しかったですね。ハワイでの過ごし方にも性格が出ると思うんですけど、観光名所や景色を楽しめる場所に行く子もいれば、私やユユやココ、(キャン・GP・)マイカやハルナはショッピングモールに行って買い物をずっとしていました。
●撮影以外にも色んなことを楽しめた。
月ノ:1日目で私利私欲を満たして、残りの2~3日目でMV撮影をして。そのMV撮影の内容もグループ分けをして、動物園に行った人たちと海へ釣りに行った人たちがいたり、他にもバーベキューのシーンも用意して頂いたりして、MV撮影と言いつつ何だかんだでハワイを満喫したっていう感じで、全部楽しかったです。
ドクソン:イベントで私たちにハワイ行きの権利を与えてくれた遊び人(※ギャンパレのファン)のみんなと、色々と手配してくださったスタッフのみなさんに感謝ですね。
「この歌詞を読むと、ナルハの言葉に刺された気持ちになります。本当にすごいなって」(テラシマ)
●M-3「Wake up Beat!」はメンバー全員が主演したミュージカル「プレイハウス」のために演出家の根本宗子さんが作詞して、書き下ろされた楽曲なわけですが。
ヤママチ:台本ができる前に根本さんから歌詞を頂いていたので、(その時点では)どういう話なのかが全くわからない状態で。その前に資料を送って頂いていて“何となくこんな感じ”というのは知っていたんですけど、それでもまだよくわかっていなかったんです。でもようやく台本と照らし合わせて、「Wake up Beat!」がここで歌われるとわかった時に全部が合致して…その時の衝撃がすごかったですね。“根本さんは本当にどこからどこまでをどう考えていたんだろう…?”っていう感じでした。
●全てがつながっていたと。
テラシマ:“マジヤバい、この人…!”って思いました。これ以外にも私たちの曲を舞台で使ってくださっていて。元から歌詞のあるものにストーリーを組み合わせるって、普通に台本を書くよりも難しいと思うんですよ。でも“このタイミングでこの曲が来るのか!“っていう、ハマりが本当に良すぎましたね。
●既発曲も、舞台に上手くハマっていたんですね。
テラシマ:私の作詞した曲も舞台で使って頂いたんですけど、自分が書く時に思っていた意味とは全く違う意味で捉えてくださった上で、台本に当てはめて頂いていて。そのハマりが良すぎて、自分の書いた歌詞のはずなのに解釈が変わっちゃったくらいです。ライブのパフォーマンスの幅も、これから広がっていくんだろうなって思いました。
●ライブにも影響を与えるほどだったと。M-5「Youthful Hero」はユユさんの作詞ですが、これは曲からイメージして書かれたんでしょうか?
テラシマ:そうですね。「Dreamer」(シングル『ブランニューパレード』収録)や「Jealousy Marionnette」(アルバム『LAST GANG PARADE』収録)もそうなんですけど、最近は曲を聴いてからその曲調に合わせて歌詞を書いていて。昔は“自分は今こう思っているから、こういうことが書きたいな”というものが曲を聴く前からあったんですけど、最近は曲を聴いている中で浮かんできたものから連想ゲームみたいに広げていって歌詞を書いているんです。
●昔とは歌詞の書き方も変わったんですね。
テラシマ:ここ最近の作品では自分が世の中に対して思っていること…たとえば“みんな自分の思っていることをやれば良いのに、なぜできないんだ!?”みたいな怒りや鬱憤をぶつけている歌詞が多かったんです。でも今回の「Youthful Hero」は、そういうものではなくて。自分のそういう黒い部分を取り除いて、“自分にもまっすぐな気持ちの時があったよね”というのを思い出しながら書きました。
●そうなった理由とは?
テラシマ:これを書く前にナルハによるM-10「Wonderful World」の歌詞が上がってきていて、それを見た時に私の中ですごく衝撃的だったんですよ。“こんなまっすぐな歌詞を書ける子がいるんだ!”と思って。仮歌にはナルハの声でこの歌詞が入っていたんですけど、それを聴いた時に“自分の心はどれだけ汚れているんだ”と思って、ハッとさせられたんです。だから「Youthful Hero」は、そういうものにちょっと感化されたところがありますね。
●「Wonderful World」によって、気付かされたところもある。
テラシマ:自分がこれまでに書いてきた歌詞を思い出してみて、どんどん汚れていっているなと思って(笑)。「WINTER SONG」(シングル『Plastic 2 Mercy』収録)は私がギャンパレに入って初めて書いた歌詞なんですけど、その頃のほうが自分はまっすぐだったのかもしれないと思い出しながら書きましたね。あと、今回のM-1「らびゅ」を聴いた時にも思ったんですけど、まっすぐな歌詞が意外と新鮮に感じられて。ありそうでなかったなと思ったんですよ。だから今回は、アルバム全体的に新鮮な感じになっているんじゃないかなと思います。
●「Wonderful World」がそういう影響を与えるキッカケになったという意味でも、ナルハさんが加入した意味がちゃんと表れているのかなと思います。
月ノ:今のナルハだから書ける歌詞というか。新メンバーとして入ったばかりのナルハが書いたからこその説得力が言葉にあるなというのは、すごく感じています。
テラシマ:この歌詞を読むと、ナルハの言葉に刺された気持ちになります。本当にすごいなって。
ヤママチ:これを他のメンバーが書いたら、絶対に“嘘だ!”って思われる気がしていて(笑)。
●ハハハ(笑)。
テラシマ:自分たちも少なからずこういう気持ちを持ってはいるんですけど、私たちがこれを出すのと、ナルハがこれを出すのとでは全然違うなと思って。ナルハが出すからこそ伝わるものがめちゃくちゃあるなと思います。
ドクソン:歌割りも松隈さんが上手くやってくださっていて。たとえば1番の歌詞はナルハが歌った後にハルナが歌っているんですけど、歌詞の意味をより強く伝えられるメンバーを配置してくださっている感じがするんです。全てにおいて心が洗われる感じになっているというか…。この曲を聴くと、浄化されますね。
「“楽しい時間にしたい”とはずっと思っているし、それはありきなんですけど、それよりもう1段階上のものにしたい」(ドクソン)
●先ほど「らびゅ」の話も出ましたが、この曲はまさに今のグループの心境を表しているように感じました。
ヤママチ:渡辺(淳之介/WACK代表)さんがギャンパレに書いてくださる歌詞って自分たちの決意を表しているようなものが今まで多かったんですけど、この曲は私たちの周りにいてくださる全ての方に向けての歌詞だと思うんですよね。そういうものを今改めて書いてくださることがすごく嬉しいですし、だからこそ伝えられるものがあると思っていて。
●周りにいる人たちへの想いが込められている。
ドクソン:今までは周りから頂くものばかりで、自分たちはずっともらい続けているような感覚だったんですよ。“返したい”と思ってはいても、周りからもらえるものが大きすぎて“果たして本当に返せているのかな?”と思っていたというか。でもこの曲を歌うことによって、本当に自分たちが届けたいものをちゃんと伝えることができる状態にしてもらったと私は感じていて。今まで思っていたことが確実に伝わるような曲を頂いたので、この『LOVE PARADE』というアルバムを通して、それをちゃんと伝えたいんです。
●“それ”というのは?
ドクソン:“愛”というか…。単純にお客さんや応援してくれる人への愛とか、関係してくれる全ての人への感謝の気持ちとか、そういうものを歌としてパフォーマンスとして返せる機会をもらったと思っています。
●今まで周りからもらってきたものをこれからは返していくという意志が「らびゅ」や『LOVE PARADE』というタイトルに表れているのかなと。
ヤママチ:本当にそのとおりだと思います。最近そういうことをみんなで話していて。今までもらってきたものが大きすぎるけど、それ以上のものを返していかないと私たちはこれから先もっと上には進めないと思うから。それこそ「らびゅ」で伝えていけたら良いなと思いますし、ちゃんと「らびゅ」を歌うのにふさわしい人間にならないとなということはすごく思いました。
●アルバムタイトルの『LOVE PARADE』については、どう思いましたか?
月ノ:こんなにまっすぐなタイトルが来ることは今までなかったので、逆にビックリしました。“こんなにストレートなタイトルが来たか!”と思って。
●実際にアルバムを聴いた印象としても、これまで以上にストレートに響く楽曲が多いように感じました。
ヤママチ:まあ、前回のアルバム(『LAST GANG PARADE』)には色んなものが詰め込まれていたので、そことのコントラストという意味でも良いのかなと思っていて。最近ギャンパレを知った方が前作を聴いたら、本当におもちゃ箱みたいな作品だなと感じると思うんですよ。でも今回の『LOVE PARADE』を聴くと、“こんなにきれいな曲やまっすぐな曲を歌える子たちなんだ”と思ってもらえるものになっていると思うんです。そういう部分でも楽しんでもらえるのかなと思いますね。
●「Wonderful World」できれいに終わると見せかけて、最後は下ネタの「LOVE COMMUNICATION」が控えているわけですが…(笑)。
ヤママチ:最後にすごいのが…(笑)。
テラシマ:今作の中にも“ラブ”をテーマにしている曲がいくつかあるけど、“ラブ”にも種類があるなと思って。「らびゅ」や「LOVE COMMUNICATION」みたいな曲もあれば、M-4「ALONE」みたいなちょっと歪(いびつ)な愛をテーマにした曲もあって、愛の中でも色んな種類があって面白いなと思います。
●メジャー1stフルアルバムとして、ここから先へと進んでいく力になるような良い作品ができたのでは?
ヤママチ:はい、めちゃくちゃ良い作品になったと思います。
●現在は既に“PARADE GOES ON TOUR”をまわっている最中なわけですが、11/4には中野サンプラザでのツアーファイナルも控えています。野音とはまた違う環境ですが、思い入れがあったりする?
ドクソン:マイカは特に思い入れがありますね。マイカはハロープロジェクト(以下ハロプロ)が大好きで、ハロプロと言えば中野サンプラザというイメージがあるので、(自分たちがそこでライブできることに)めっちゃ喜んでいて。
●野音とはまた違う、1つの聖地というか。
月ノ:聖地ですよね。それはすごく思います。あと、私たちはホールというものをあまり経験したことがなくて。でもこれからもっと規模が大きくなって、もっと大きな会場でやらせて頂けることになったら、きっとホールがやる機会も増えると思うんですよ。そういう意味で、また上の世界への第一歩を踏み出せるなという気持ちはあります。
●では最後にドクソンさんから、中野サンプラザ公演に向けた意気込みをお願いします。
ドクソン:初日と2日目を終えて確実になった気持ちなんですけど、やっぱり私たちは“愛”を伝えたいんです。好きなら“好きです”と伝えないとわからないし、やっぱり愛をもらっているわけだから。恥ずかしいし、滅多に言わないですけど、私たちも“愛しています”と言わないと…いや、“愛しています”はちょっと違うな…?
●違うんだ(笑)。
ドクソン:スターがファンに向かって“愛しています”と言うのとは、また違うというか。喜んでもらうために言う言葉ではなくて、“愛”を感じてもらえるようなものをライブに込めてツアーをしたいと思っていて。いつももらってばかりなんですけど、今回は私たちのそういう想いが人の救いになれば良いなと思っています。
●人の救いになりたいんですね。
ドクソン:“楽しい時間にしたい”とはずっと思っているし、それはありきなんですけど、それよりもう1段階上のものにしたいというか。たとえるなら私たちは羽毛布団じゃなくて、毛布になりたくて。
●毛布…?
ドクソン:会場の規模が大きくなるにつれて物理的な距離はどんどん広がるものですけど、それでも歌と私たち10人で見せるパフォーマンスで1人1人との距離をもっと近くに感じてもらえるようになりたいんです。羽毛布団ではなく、中毛布になりたいと思います!
Interview:IMAI
リリース情報 Major 1st Full Album 『LOVE PARADE』 【初回生産限定盤(2CD+Blu-ray)】 (100P写真集ブックレット+スペシャルBOX仕様) WARNER MUSIC JAPAN FUELED BY MENTAIKO WPZL-31666/8 ¥12,000+税 2019/11/13 Release 【通常盤(CD)】 WARNER MUSIC JAPAN FUELED BY MENTAIKO WPCL-13110 ¥3,000+税 2019/11/13 Release Live Blu-ray 『CHALLENGE the LIMIT TOUR at 日比谷野外大音楽堂』 初回生産限定盤(2Blu-ray)】 (100P写真集ブックレット+スリーブケース付トールサイズ・デジパック仕様) WARNER MUSIC JAPAN FUELED BY MENTAIKO WPXL-90204~90205 ¥15,800+税 【通常盤(Blu-ray)】 WPXL-90206 ¥7,000+税 NOW ON SALE |
“PARADE GOES ON TOUR” 10/12(土) 宮城 仙台Rensa 10/20(日) 新潟 NEXS NIIGATA 11/04(月祝) 東京 中野サンプラザ more info→ https://www.gangparade.com/ |