2012年はGacharic Spinにとって、激動の1年だったと言えるだろう。ツアー中の3月にボーカルが脱退するというアクシデントの中、交流のあるサポートボーカリストたちを招き入れた臨時編成でツアーを最後までやりきった。さらにはその中で出会ったLIGHT BRINGERのFukiをボーカルに迎えて、別プロジェクト・DOLL$BOXXでも昨年12月にアルバムを発表。その前の6月には、はな(Vo./Dr.)と新たに正式メンバーとなったオレオレオナ(Vo./Key.)によるツインボーカル体制で4thシングル『ヌーディリズム』をリリースと、決して止まることなく活動を続けてきたのだ。まさにピンチをチャンスに変えて進化を遂げた彼女たちが、待望の1stフルアルバムをリリース。その発売を記念して3/15に町田The Play Houseで開催された“祝!! Delicious発売記念!! Gacharic Spinトーク&LIVE”の模様をスペシャルレポートとして掲載する。2人のガチャガチャダンサーズも加わり、6人編成となった新生Gacharic Spinの“2013style”とは? どこまでも自由な、だがどこまでもストイックな活動スタンスで各地に旋風を巻き起こし続けるGacharic Spinから今年も目が離せない!!
●昨年はメンバーの脱退にDOLL$BOXXでの活動まで激動の年だったと思いますが、みなさんにとってはどんな1年でしたか?
KOGA:どんな年だった、TOMO-ZO?
TOMO-ZO:ええ〜! いきなり振られた…(笑)。えっと、去年は…キュートな年でした。
一同:(笑)。
はな:ザックリだな…。
KOGA:2012年を“キュートな年”でまとめるのは、わりとマズいと思うよ(笑)。オレオは?
オレオ:セクシーな1年でした〜。
●全員、ひとこと!? (笑)。じゃあ、はなさんは?
はな:どうだったかな…?
オレオ:(小声で)バブリー?
はな:バブリーではないよ! (笑)。
KOGA:とにかく去年は本当に色々ありすぎて、そのぶん色んな人に助けられた1年だったなと思います。
はな:私もそう思います!
●乗っかった! (笑)。周りに支えられた1年だったと。
KOGA:バンドをやっていて良かったなと、改めて思う瞬間がたくさんありましたね。ツアーでは色んなサポートボーカルの人が助けてくれて、その中でFuki(LIGHT BRINGER)と出会ってDOLL$BOXXというサイドプロジェクトも始まって。ツアーのタイトル自体(“ガチャピンチ”ツアー)もそういう意味だったんですけど、本当にピンチをチャンスに変えられた1年だったんじゃないかなと思います。
一同:パチパチパチ(拍手)。
●ピンチを糧に成長できた部分もあったのでは?
KOGA:それはかなりありましたね! 人って究極のピンチになると、すごい力を発揮するんだなって思いました。4人だけのライブを初めてのフランスツアーでやったんですけど、それもすごく勉強になって。
はな:フランスで一致団結しましたね。
●フランスで何があったんですか?
KOGA:フランスで1回、大反省会をして。みんな泣きながら…あ、泣いてたのはオレオだけだった。
はな:オレオ様、怒られて大泣きしちゃったんだよね。
KOGA:怒ったのは私なんですけどね(笑)。でも色んな人に支えられながら4人で固まっていって、それが今の“2013style”につながったのかなと思います。
●新しいボーカルを入れずに、この4人で活動していくことにしたんですよね。
KOGA:新しいボーカルも探してはみたんですけど、はなとオレオのツインボーカルを上回るボーカリストに出会えなかったというのもあって。「よく考えたら、この2人の歌がいいよね」という話になったんです。
TOMO-ZO:私も一応、ボーカリスト…。
●おっと、TOMO-ZOさんからのアピールが…!
KOGA:今回のアルバムでは一応、TOMO-ZOも歌っているんですけど…。
TOMO-ZO:一応…? バリバリ歌っているよ!
一同:(笑)。
KOGA:確かにバリバリ歌っているけどさ(笑)。とにかく、2012年は強くなった1年でしたね。
●オレオ様が加入したのも大きかったのでは?
オレオ:そうね〜(おもむろに立ち上がる)。こんな偉そうな顔してますけど、まだ1年も経っていないんですよ!
KOGA:立つな〜!(笑)。でも色々あった2012年を経てオレオが加入して、それが今の“2013style”につながったというのはありますね。
●その間にドル箱(DOLL$BOXX)をやりながら、今回のアルバムも作っていたんですよね?
KOGA:ドル箱もガチャピンも両方フルアルバムだったので正直、死にましたね…(笑)。ドル箱の歌詞はFukiが書いているけど、曲は全部ガチャピンの4人が作っているから。もちろん今回のアルバムでは歌詞も曲も全部4人で書いているので、やることがもっと多かったんです。大変だったけど、“2013style”の私たちを示せる作品が作れたかなと思います。
●どんなアルバムにしたいというイメージはあった?
KOGA:色々やりたいことがあったんですけど、…みんな起きてる?
はな:うん。真面目な話になると目が泳ぐっていうクセがついてきたかも…(笑)。でも、ドル箱との差は出したいと考えながら作っていたかな。
●ドル箱との対比を考えていたと。
KOGA:4thシングル『ヌーディリズム』からドル箱のアルバムと来て、次のガチャピンのアルバムはかなりハードなものになるだろうなとみんなが予想していたと思うんですよ。そういう意味では拍子抜けした人もいるんじゃないかな? …だって、TOMO-ZOが歌ってるんですよ! しかも「メロメロファンタジー」(M-9)って(笑)。
オレオ:激しい部分もあるんだけど、TOMO-ZOが歌っちゃったからね…。
はな:何かの間違いだったんじゃない?
TOMO-ZO:いやいや、大正解だから!
一同:(爆笑)。
●あと、METALLIC SPINのNoseさんをフィーチャリングした曲もありますが…。
はな:そうなんですよ。いつか予定が合えばライブでも一緒に歌ってもらえると、うれしいんですけどね。なにせ遠くに住んでいる方なので…。
オレオ:どこでしたっけ?
はな:えっと…、ルーマニア。でも今はブルガリアに住んでる。遠くだから時間もかかるしね。
KOGA:めんどくさい設定だな〜(笑)。「好きな人、だけど...」(M-8)で入ってもらったんですけど、ああいう感じのバラードも初めてでしたね。ガチャピンって攻めのイメージが強いと思うんですけど、意外に「バラードがいい」と言ってもらえることも多くて。その中でも私のベース・プレイに関しては、ガチャピンのほうがドル箱よりも攻めているんですよ。今回のアルバムはポップな曲が多いけど、自分のプレイに関しては攻めた感じのスラップが入っていたり、結構動いていたりもするんです。
●そういう部分でもドル箱との差別化ができている。
はな:私はドル箱ではかぶりものができないので、こっちでは色んな案を練っていこうかなと思っています。
KOGA:かぶりものの?
はな:うん。みんなにもまだ言っていなかったりするけど、かぶりものについても色々と考えているんだよ(笑)。オレオはどうなの?
オレオ:私はドル箱では、セクシーを封印していたっていうのがあって。それを今回の『Delicious』では好きなだけ「あは〜ん」だの何だの言えるわけですよ!
KOGA:はい、じゃあ次にTOMO-ZOは?
●ぶった切りましたね(笑)。
TOMO-ZO:ドル箱ではちょっと大人の“永遠の15歳”だったんですけど、ガチャピンではまた“永遠の14歳”に戻りました。
KOGA:ガチャガチャダンサーズの2人が入った時に、真剣な顔で私に「やっぱり、かわいいキャラでいくのはもう厳しいですかね?」って訊いてきたけどね(笑)。
TOMO-ZO:それを言うのはまずいよ〜(笑)。でもバンド内で私が一番年下っていうのは変わっていない…よね?
一同:(笑)。
●TOMO-ZOさんはどんなアルバムにしようと?
TOMO-ZO:今回のアルバムでは、ガチャガチャした感じを出したかったんです。だからA〜B〜サビという構成だけじゃなくて、“ここにこう来ちゃう!?”みたいな転調をいっぱい入れながら作った思い出があります。
はな:思い出って…、すごい昔の話みたいな(笑)。
KOGA:確かに転調は多いかもしれないけど、そのぶん歌詞がポップだったり、みんなが共感できるような内容のものが今回は多いと思うんですよ。だからすんなり聴けるし、色んな曲があるので色んな感情の時に聴けるんじゃないかな。「今日は攻めの曲が聴きたい」とか「今日はゆっくり寝たい」とか、その時のモードに合わせて聴けるアルバムかなって思います。
●TPOに合わせた聴き方ができる。
KOGA:あと、メンバーそれぞれの個性や曲の振り幅も見えるアルバムなので、ガチャピンのワンマンライブを1枚の作品にまとめたような感じがすごくありますね。ダンサーが2人いるということを意識して、「今のウチらに何ができるのか」「どんな曲が必要か」ということを考えて作っていったんです。普通はギターソロを入れるような部分でも「ここはダンサーソロを入れよう」ということであえて楽器のアンサンブルだけにしたりとか、そういう色んな案が飛び交ってできた1枚ですね。
●ダンサーが加入したというのも、“2013style”の特徴ですよね。
KOGA:2人のダンサーが入ったというのは、かなりデカいですね。その上で、ウチらはお客さんにどれだけ楽しんでもらえるかというのを考えるっていう。…というところで、新たに加入した2人のダンサーを紹介したいと思います。ガチャガチャダンサーズのマイとアリサです!
(マイとアリサがステージに登場)
マイ:マイです! ガチャリックスピンに入って、これから頑張っていこうと思うのでよろしくお願いします!
アリサ:アリサです! ガチャリックスピンに入って、みんなを盛り上げたいと思うので見ていて下さい!
はな:はなで〜す! ガチャリックスピンに入って、みんなを惑わせたいと思いま〜す。
KOGA:大丈夫、もう十分、惑わせてるから!
一同:(爆笑)。
●ガチャガチャダンサーズも加わった6人で、新たなスタートを切ったと。
KOGA:「2013年の私たちはこの6人で攻めていくぞ」っていう想いを表したのが、今回の『Delicious』っていうアルバムなんです。「この6人がそのまま1枚のアルバムになってます」っていう感じですね。新曲はみんなで踊れるような曲になっているので、フリについても今すごく考えていて。みんなでもっともっと一緒に楽しい空間で1つになれるようなものを意識して、ダンサーと夜な夜なリハーサルに入っています(笑)。
●『Delicious』というタイトル通り、美味しいアルバムになっているのでは?
はな:うまいですね〜。その通り!
KOGA:何かすごく贅沢な感じがするアルバムだと思うんです。振り幅が広がったし、ダンサーも2人増えて、「本当に美味しい1枚だぜ!」という想いを込めて『Delicious』と付けました。
●そのレコ発ツアーが既に始まっているわけですが。
KOGA:3/10の新潟を皮切りにツアーがもう始まっていて、全国をまわってきた後にツアーファイナルが7/15の渋谷O-EASTであるんですよ。メンバーそれぞれに今までもバンドをやってきたけど、O-EASTという広い会場でワンマンをやったことは誰1人ないんです。今の私たちにとっては挑戦の場所なので、ツアーでいっぱい成長して7/15につなげていきたいですね。「こんなバンド、本当にいない!」って言われるようなモンスターバンドになりたいと思っています。
一同:パチパチパチ(拍手)。
Interview:IMAI
1stフルアルバム『Delicious』の発売を記念して急遽、開催が決定した今回のGacharic Spinトーク&LIVE。平日の夜にもかかわらず、町田The Play Houseのフロアを埋めた大観衆の表情はライブへの期待感に満ち溢れていた。公開インタビューとメンバーによるグッズ紹介が終了し、いよいよライブ本編の開演が近付く。既にWebでも公開されていた「今を生きてる 〜2013年 春〜」のPVに続けて、「NEXT STAGE」の新作PVがステージ上のスクリーンに映し出されたことでさらに湧き上がる会場内のテンション。それがもう待ちきれないくらいに高まったところで、ガチャガチャダンサーズも含めた6人のメンバーが勢いよく登場する。
いきなりアゲアゲなイントロが気分を高揚させる「NEXT STAGE」で、ライブがスタート! スピード感のあるサビのメロディに合わせて、6人がそれぞれ弾けるように躍動する。演奏陣4人のプレイもダンサーズの軽快な動きに負けないくらい激しく、しなやかだ。続く「爆弾娘(ボンバーガール)」で、さらに激しさを増していくパフォーマンス。新作のオープニングと同じ曲順で一気に会場の温度をブチ上げると、今度は定番の「JUICY BEATS」でフロアをダンスホールと化す。続いてはライブで初披露となる「perception」とのっけから見どころだらけのセットリストに、観客の視線はもうステージ上に釘づけとなった。
はな(Vo./Dr.)とオレオレオナ(Vo./Key.)によるツインボーカルスタイルを確立した「ヌーディリズム」も、もはや新生Gacharic Spinのライブでは定番のキラーチューンだ。タイプの違う2人のボーカリストが共に自らの楽器も全力で演奏しながらメロディを歌い上げていく姿は、ガチャピンにしかできない強烈な個性として輝いている。メンバー脱退など様々な困難を乗り越え、かつそれを糧にして進化を遂げてきた彼女たち。そんな強い想いが込められた「今を生きてる 〜2013年 春〜」は、先ほど会場内で流されたPVとはまた違う、ライブでしか絶対に味わえない熱量を放っていた。これこそが数多くのファンを引きつけてやまない、ガチャピンの大きな魅力の1つだろう。
本編11曲に続いてのアンコールでは、まず新作から「GS★PLANET」を披露。フロントに出てきたオレオ様がダンサーズの背負ったキーボードを弾くというパフォーマンスで盛り上げた後は、ワンマンでは定番の「マンピンのP☆SPOT」でオーディエンスを絶頂へと至らしめた。ライブ冒頭でF チョッパー KOGA(Ba.)が宣言したとおり、ワンマン並みのボリュームとスペシャルなセットリスト。TOMO-ZO(G.)のメインボーカルが聴ける「メロメロファンタジー」の披露は次回以降に持ち越されたが(笑)、集まったオーディエンスは大満足だっただろう。そして、さらに高まった期待感。それはきっとファイナルの7/15@渋谷O-EASTで、想像以上の形で応えられるはずだ。ツアーを経ることでさらに進化した彼女たちの“2013style”を体感できる日を、今から楽しみに待ちたい。
TEXT:IMAI