音楽メディア・フリーマガジン

FREEDOMライブレポート

7,000人が謳歌した唯一無二の無料ロックフェス

FREEDOM NAGOYA '2011
7/24(日)
名古屋大高緑地公園特設ステージ

出演:FAT PROP / Smash up / 太陽族 / THE SKIPPERS / MISSPRAY / LOOSELY / EACH OF THE DAYS / BACK LIFT / PipeCut Wedding / THREE LIGHTS DOWN KINGS / this morning day / 2mile / Chitala Branchi / CROSSFAITH / EDDY / FEELFLIP / LOST / banbi / 04 Limited Sazabys / Dirty Old Men / ASTRALMESS / LASTGASP / ARU / SECRET 7 LINE / Yum!Yum!ORANGE / UZUMAKI / THE GELUGUGU / SKULL CANDY / SiM / a Soulless Pain / I-RabBits / HOT SQUALL / SPIDER CABINETS / SCUSI / ソライアオ / RADICAL ARTS / グッドモーニングアメリカ / ポタリ / MISTY / serial TV drama / カフカ / RUN AWAY FROM HEAVEN / HEY-SMITH / THE STRIKE HOME / ENTH / PIT'S / FORM NOT FLAG / CLUTCHO / EGG BRAIN / SHANK / THE BOOGIE JACK / THE NOVELS / 2side1BRAIN

Review

灼熱の太陽が照りつける7月24日の名古屋大高緑地公園は、早朝から色とりどりのバンドTシャツに身を包んだロックキッズ達が集結し、会場は異様な雰囲気に包まれていた。総勢50以上のアーティストが出演し、昨年に続き2回目の名古屋初の無料野外ロックフェスティバル、FREEDOM。朝9時から演奏スタートという健康的なフェスも珍しいと思うが、何よりもFREEDOMの特筆すべき点は、全てが手作りだというところだろう。アーティストのブッキングはもちろん、会場の段取りや屋台の出店までほとんど全てをSAKAE R.A.Dのスタッフが運営しており、まさにDIYないい雰囲気が会場のあちらこちらから感じることができた。
午前9時、1番大きなメインステージである“RAD STAGE”では04Limited Sazabysが地元バンドとして元気よく登場しFREEDOMのトップバッターとしての大役を務める。全4ステージでは止まる事の無い音のシャワーを浴びながら、思い思いに踊り、暴れるキッズ達の姿が見て取れる。SHANKのライブでは決して媚びる事の無い姿勢に胸を打たれたキッズ達が、グルグルと大きな円を描き、高速サークルモッシュが完成した。この時点で午前10時過ぎ。この日を待ちわびていてオーディエンスにとって、時間なんて関係ないのだ。
ほぼ変わらない時間、NCAステージではARUが心地好いサウンドを届けてくれた。澄み渡る空に溶け込んでしまいそうになる浮遊間は、彼等の大きな武器だ。Vo./Gt.Yu-ichiの「TRUST RECORDSに誇りを感じます」という言葉は、所属レーベルが主催のイベントだからこそ背負ってきたものを想像させる、説得力のある言葉だった。ARUのステージが終わるとダッシュして行き着いた先はグッドモーニングアメリカ。Ba./Cho.たなしんは、上半身ハダカで“FREEDOMファイヤー!!”と訳の分からない呪文を唱えフロアを加速させていた。続くSMASH UPが持ち前の爆発力でオーディエンスを温めると、続く太陽族へバトンを渡す。

お日様が真上に来た頃、NCA STAGEではYum! Yum! ORANGEが元気に登場。アクシデントももろともしない貫禄のステージを見せてくれた。この先もTHE GELUGUGU、SKUL CANDY、とスカバンドラッシュで、見渡す限りスカダンス! 彼等の合間にaz.on STAGEに登場したソライアオが素晴らしい演奏を魅せてくれた。「俺たちは名前を覚えてもらいに来たんじゃない! 名古屋の音楽シーンを盛り上げるためにここに来たんだ!」という言葉に胸を打たれた。県外バンドも県内バンドも、みな想いはひとつなのだ。この日、中盤のハイライトはSiMだった。ダブとパンクを見事に昇華させたサウンドでオーディエンスの熱をぐんぐん上昇させる。客席を真っ二つに別けてのwall of deathからの、Vo.MAHによるダイブに大いに盛り上がった。
休憩する暇は全く無い。2side 1Brain、UZUMAKI、MISSPRAYという流れで汗を拭く間も与えてくれないこのイベントに恨みさえこみ上げて来た。そんな中颯爽と心地好い風を拭かせてくれたのが、ニューアルバム『アステリズム』が好調のEDDYだった。日常の世界を日本語でエモーショナルに歌い上げる彼等の世界観は、時に切なく胸に突き刺さってくるのだ。EGGBRAINでは大シンガロングが巻き起こり会場がひとつになると、豊橋の雄LOOSELYが夢を追い続ける事の大切さを説いてくれる。BACK LIFTは若さ溢れるパフォーマンスと楽曲で、名古屋を背負って行くバンドとしてしっかりとその姿を目に焼き付けさせてくれた。
メインステージのタイムテーブルが押し気味で進行する中、本来オオトリを務める予定であったTHE BOOGIE JACKがNCA STAGEに登場。4年振りにメインストリームに返り咲いた彼等を地元のファンは温かく迎え入れる。Vo./G.ヒライシュンタはこの日来ていた我が子の為に新曲「プリンセス! オー! プリンセス!」を披露。名古屋のバンドシーンを牽引してきた彼等の復活劇に、オーディエンスは大きな拍手は止む事はなかった。時間が若干前後するも、FREEDOM 2011のラストを飾ったのはHEY-SMITH。Vo./G.猪狩の「長いこと待ったわー! やりたいことやってるかー!?」というかけ声とともに、オーディエンスは残る体力を全て出し切るかの如く暴れるまくる。アルバムのリリースツアー真っ最中の、最高に脂ののったパフォーマンスの爆発力は凄まじく、砂埃でステージが見えなくなる程の盛り上がりを見せた。
50組以上のアーティストが、名古屋の音楽シーンを集結し、昨年以上の盛り上がりを見せてくれたFREEDOM NAGOYA 2011。来場者数も当初主催者が目標としていた5,000人を大きく越え7,000人の来場者があり大きな2歩目を踏み出したと言える。DIYだからとはいえ、ロックフェスとしてまだまだ成長途中のイベントだけに、来年にさらなる期待を胸に閉じ込めながら家路についた。

TEXT:上田雄一朗

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