AIR SWELL、BLUE ENCOUNT、MY FIRST STORY、SWANKY DANK…それぞれ違う場所、違う動機、違う音楽、違うストーリーで活動を始めたこの4バンドが、シーンの波の中で出会い、その音楽と存在に衝撃を受け、互いに惹かれ合っていったのは偶然ではなかった。2013年11月、次世代を担う4者が運命的な邂逅を遂げ、4バンドスプリットアルバム『BONEDS』を完成させた。今作のために書き下ろされ、4者のプライドとオリジナリティとマインドが詰め込まれた8曲は、バンドの可能性を拡げると共に、今の音楽シーンに様々なきっかけを与えてくれるに違いない。1月からは4バンドによる全国ツアー“BONEDS TOUR”も決定。我々は今、新たな流れが生まれる瞬間に立ち会っている。
「SWANKY DANKは、兄弟でやっていて歌がめちゃくちゃいいんですよ。コーラスワークとかもめちゃくちゃかっこいいし、発音もすげぇかっこいい」(AIR SWELL G./Vo.hamaken)
「やっぱりこの3人は歌が上手いと本当に思うんです。それぞれの個性もあるし、ヴォーカリストとして尊敬できる」(SWANKY DANK Vo./Ba.KOJI)
「双子みたいな感覚でバチバチしていたいヴォーカリストとなんですよね。それに、お客さんが抱くヴォーカリスト像を見事に打ち壊していたのがHiroだった」(BLUE ENCOUNT Vo./G.田邊駿一)
●4バンドスプリットアルバム『BONEDS』がリリースとなるわけですが、当然この4バンドはそれぞれ面識があるわけですよね。
Hiro:俺らとAIR SWELLは全バンドに面識があって。
田邊:ウチとSWANKY DANKは初対面だったんですよ。今回の『BONEDS』のアーティスト写真の撮影のときに初めてお会いして、その後にAIR SWELLのツアーの名古屋大阪編で初めて対バンして。
●このスプリットはそもそもどういうきっかけだったんですか?
田邊:声をかけたのはJMS(ジャパンミュージックシステム / AIR SWELL、MY FIRST STORY、SWANKY DANKのCDを取り扱っている流通会社 / サーキットイベント“REDLINE TOUR”も主催)のプロデューサーのスズキさんなんです。今年の最初くらい、構想段階からお話をいただいて「是非参加させてほしいです!」って。実現する日をずっと待っていた感じですね。“どんな曲にしようかな?”とずーっと考えてきたし、お互いがどういう曲を作ってくるのか探り合いもあった(笑)。
●構想段階も入れると壮大なプロジェクトなんですね。では、たまたま同席しているスズキさんにこのプロジェクトを始めようと思ったきっかけを伺いましょう。
スズキ:この4バンドだったら何かを変えることができる気がしたんです。4バンドともライブの力もすごくあるし、SWANKY DANKとBLUE ENCOUNTは初対面だったかもしれないですけど、バンド同士の繋がりも強かった。やっている音楽は違うかもしれないですけど、向かっている方向性は近いと感じたので、絶対にこの4バンドでスプリットを作りたいなと。
4人:そうだったのか〜。
●さっき駿一くんが言ってましたけど、お互いがどういう曲を作ってくるのかは当然気になるところでしょうね。
Hiro:そうですね。やっぱり最初は“どうくるかな?”と考えました。でも最終的には関係ないかなって。ウチ以外の3バンドも各々考えているだろうし、そこを探り合ったところで答えが出ないし。だったらMY FIRST STORYっぽさを俺らは出した方がいいのかなって。それに加えて、せっかくのスプリットなのでおもしろさというか、今まで俺たちがやったことのないようなことだったり、新たな挑戦も含めてやっていけたらなと思ったんです。
●いいチャンスが来たと。
Hiro:だから今回のレコーディングも、結構今までにないようなことにチャレンジしてみて、結果的に2曲とも満足できる仕上がりになったので、すごくいい経験になりました。
hamaken:今の子たちって配信とかで、曲単位で買ったりするじゃん。でも俺のようにCDを買っていた時代の人間は1曲を聴くというよりアルバムを通して聴くんだよね。そういう意味で、“全員バラード持ってきたらどうしよう?”とは考えた。
一同:ハハハハ(笑)。
hamaken:もし全員バラードを1曲入れてきたら、アルバムとしてはすごいことになるなって。だから今回はバラードをやらないでおこうと。誰かがやるだろうと思っていたんですけど、フタを開けたら誰もバラードやってないっていう(笑)。
Hiro:まさかのね(笑)。
田邊:僕は最初、それぞれのバンドの色を自分の中で解釈して、その隙間を狙っていこうと思っていたんです。聴き手の立場で考えたら、ずっと同じようなものが続いたら聴き流されることもあるんじゃないかなって。だからすっごく考えて、隙間も考えて、それぞれのバンドのYouTubeすっげぇ観ましたし。
一同:アハハハハ(笑)。
田邊:“どうしよう?”と思ったんですけど、色々と考えすぎて面倒くさくなっちゃったんですよ。で、最終的にはHiroと一緒で、やりたいことやここでしかできないことをやっちゃえばいいじゃんっていう。それを振りきってやれば、逆に作品としてもおもしろくなるんじゃないかなって。
hamaken:たぶんね、他のバンドを気にして作っても、気にせずにやりたいことをやっても、どっちにしてもBLUE ENCOUNTになるしSWANKY DANKになるしMY FIRST STORYになるしAIR SWELLになるんだろうね。最初は考えてみたけど、得意なことをやればいいやんって。
Hiro:そうだね。
KOJI:俺らはスプリットに参加すること自体が初だったからさ、スプリットのための2曲を書かないといけないわけじゃん? アルバムとかシングルという作品を通しての曲じゃなくて、スプリットのためだけの曲なんですよね。だからすっげぇ模索して、俺もめちゃくちゃ考えて、めちゃくちゃ3バンドのYouTube観て、“こいつらどんな感じでくんのかな?”って。本当に駿一と同じで。でもあまり考えすぎると曲が出てこなかったんですよ。曲を作る前にレコーディング日が決まっていたんですけど、M-4「Remember me」は4日前にやっと完成したんだよね。
田邊:へぇ〜。
KOJI:考え過ぎて全然曲ができなくて、「やばい! やばい!」ってなってギリギリに完成したという。考え過ぎたらろくなことねぇなって(笑)。
hamaken:「Remember me」めっちゃかっこよかった。
KOJI:ほんと? よかった〜。
Hiro:感覚的にはシングルと近かったかも。
hamaken:あ、そうかもね。近いね。
Hiro:うん。バラードでもいいけど、でも各々に充てられたのは2曲だから、その2曲で自分たちっぽさも出しつつ、コンピレーションなのでやっぱりバラードも違うかな? と。M-8「START OVER」はセミバラードっぽいけど、あまりにもバラード色が強すぎるのはどうかなと。
3人:うんうん。
●スプリットだから別のバンドの曲が前後に並ぶわけですけど、自然に聴き比べるからこそ、それぞれのバンドの個性が浮き出てくるんですよね。“こういうバンドだったのか”って、改めてわかった感じがあった。
Hiro:きっかけはスズキさんに声をかけてもらったことですけど、それぞれ仲のいいバンドであり、本当にかっこいいバンドが集まったと思っているので、いい作品にしたいという想いはめちゃめちゃ強くて。極論を言えば、違う組み合わせだったら俺はやってなかったかも。
●ああ〜。
Hiro:この4組、この4人だからこそ楽しかったりもするし、同世代だからこそお互いを高め合うことができる作品になったと思っていて。それが本当に何の繋がりもなくて大人が決めただけのスプリットだったら、クソ適当にやってるでしょうね。
一同:アハハハハハハハ(爆笑)。
Hiro:俺はこの3バンドをすごく知っているし、仲もいいから、その4バンドでお互いバチバチでやりたいなと思っていて。俺たちのM-2「What's my name??」と「START OVER」という2曲はすごく自信のある曲になったし、発売前の現時点でもお客さんの反応がすごく怖くもあり楽しみでもあるという。
田邊:それはすごく気になる。本当に。
hamaken:そうやな〜。
Hiro:実際にみんなの曲が集まって聴いたら、どのバンドの曲もすっげぇかっこよかったんですよね。“うわっ!”と思って。これがどういう受け取られ方をするのかな? って、今でもちょっと怖いもんね(笑)。でも絶対に負けたくないっていう気持ちも強い。
田邊:共有できている層のお客さんもいるんだけど、そのバンドしか知らない人たちもいるもんね。だから怖い。その子たちが僕たち以外の曲を聴いてどういう反応をするのかなって。
Hiro:それに、4バンドとも名前だけなんとなく知っているという人も買うと思うんですよね。そういう人はどういう印象を受けるのかなっていうのも気になるし、怖いなって(笑)。
●さっきHiroくんが「お互いを高め合うことができる作品になった」と言いましたけど、音からそのマインドがビシビシと伝わってくるんです。それぞれのバンドが、自分たちにしかできないことを120%やっているというか。闘っているのがいいなと。
Hiro:知らないバンドじゃないだけに、より想いは強くなりますよね。“負けたくない”っていう気持ちはすごくある。この4バンドは4バンドとも負けん気がかなり強いし、だからそういう想いはかなり強く入っていると思います。
hamaken:なんかさ、天下一武道会みたいな感じ。
3人:ああ〜。
Hiro:わかる!
hamaken:悟空もベジータもピッコロも天津飯もクリリンも仲間やけど、“絶対に俺勝ちたい!”みたいな。
Hiro:そうそう。ガチでやるっていうね。
hamaken:そういうイメージがすごくある。やっぱりステージにいるとき以外は普通に遊びに行ったり一緒に飲みに行ったりする仲間だけど、ステージに上がったときは“ちょっと譲れない”みたいな。
●そういう意味では、対バンするときの気持ちに近い?
hamaken:そうですね。対バンも、この3バンドと一緒になるときは、仲がいいからこそ“絶対に負けたくない”って思うし、どういうステージをやるのか気になるし。仲間だけどライバルっていうか、すごくいい関係だと思います。仲良しこよしだけじゃないっていう。
●歌詞についてなんですけど、偶然にも4バンドに共通するものを感じたんです。それは“生きていく上で必要な強さを求めている”という視点というか。特にそれぞれの1曲目…AIR SWELLのM-1「No going back」、MY FIRST STORYの「What's my name??」、BLUE ENCOUNTのM-3「JOIN」、SWANKY DANKの「Remember me」…でそう感じたんですけど。
4人:ああ〜。
hamaken:確かに。
Hiro:特に歌うテーマを事前に話したとかはなかったんです。俺らもレコーディング直前に曲ができたということもあって、かなりカツカツの中で歌詞を書いたんです。でも今回は割とすんなり書けたんです。たぶん、考えすぎてウワーッとなっていない分、素が出たんでしょうね。歌詞の部分でも、力が入り過ぎずにできたかなって。
田邊:実は「JOIN」の歌詞は今回のスプリットをちょっとだけ意識したんです。だから歌詞にも意味を込めていて。
3人:ふむふむ。
田邊:サビに“手を取って淀んだ世界をかなぐり捨てよう”という歌詞がありますけど、この4バンドでツアーもやるし、せっかくの機会だと思ったから、音源でもライブでも何かを変えることができたらなっていうことを考えて。この曲が最初にできたんですけど、この機会に対する想いをかなり込めましたね。
KOJI:ウチの場合は、歌詞はVo./G.YUICHIが書いているんですけど、基本的なバンドのテーマとして、自分の殻を破っていくっていうのがあるんです。自分の殻をどれだけ破って次の新たな自分を作っていけるか、っていうことを歌っている曲が多いんです。だから今作だけのテーマとして限定して書いたというわけじゃなくて、偶然それが共通したのかもしれないです。
●AIR SWELLはどうだったんですか?
hamaken:「No going back」は“AIR SWELL節”というか、熱いものを叩きつけようと思って。せっかく自分たちを新たに知ってもらう機会を得たので、“AIR SWELLっていうのはこういうバンドだ”というものをぶつけようと。もう1曲の「ゴブリンズ スケルツォ」は、日本語を英語っぽく聴かせるっていうことがAIR SWELLの持つ1つの色になっているので、そういうものにしようかなと。
●4バンドのヴォーカリストが集まっているせっかくの機会なので、他の3人のリスペクトしているところを教えていただきたいんですが。
田邊:恥ずかしいね(笑)。
Hiro:アハハハハ(笑)。
hamaken:SWANKY DANKは、兄弟でやっていて歌がめちゃくちゃいいんですよ。コーラスワークとかもめちゃくちゃかっこいいし、発音もすげぇかっこいい。実は、俺はKOJIの好きなシンガーとタイプがすごく近いんですよね。俺はR&Bとか大好きなんですけど、KOJIともそういう話をしたことがあって。
KOJI:そうだね。
hamaken:で、「ロックの中にそういう自分の好きなニュアンスを採り入れた歌を歌いたい」と言ったら「それ、俺がやろうとしてたことじゃん」みたいな感じで。だから俺にとってはすげぇ目障りなんですよ(笑)。
一同:アハハハハハハ(笑)。
KOJI:やろうとしたのは俺が先だからね(笑)。
hamaken:感性が似ているんですよね。SWANKY DANKはSWANKY DANKのオリジナリティがあって、ウチにはウチのオリジナリティがあると思うんですけど、すげぇかっこいいと思っているんです。
●なるほど。
hamaken:駿一については、曲ももちろん好きなんですけど、ちゃんと客を見てライブをするんです。MCとかも“うわ! それ言われたら嬉しくなるわ”みたいな。
●ツボを得ていると。
Hiro:ずる賢いんです。
田邊:「クレバー」とか「スマート」って言えよ(笑)。
hamaken:俺、“クレバー”って言葉、こないだ駿一に打ち上げで教えてもらったんだけど。「“クレバー”って言葉、知ってます?」って。
一同:アハハハハハハハ(爆笑)。
hamaken:MY FIRST STORYは、俺はこいつらがCDをリリースする前からずっと観ているんです。そこで思ったのは、バンドってこんな短期間でこんなに良くなるんだなっていう。それに俺はG.Shoくんの曲がめちゃくちゃツボなんです。一緒に飲んだりするんですけど、そこで色々と作曲論とかを話したり。なんというか、どこまで突き進んでいくのかがすごく楽しみなバンドなんですよね。
●駿一くんはどうですか?
田邊:SWANKY DANKとは今回が初対面だったと言いましたけど、音源はそれまでも聴いていたんです。で、実際にはどんなバンドなのかな? っていうのが想像つかなくて。YouTubeでPVとかを観て、強烈な印象を受けて、実体がわからなかったんですよ。それで実際に会って対バンしたら、熱いことも温かいことも言うし、なによりミドルレンジの声のセクシーさがたまんない。
hamaken:うんうん。
田邊:それがもうすごーく良くて。最初に音源やPVから受けた印象は“洋楽のアーティストだな”という感じだったんですけど、実際にその通りだったんです。でも、人柄的にもめちゃくちゃ入り込み易いっていうか。数回しか会ってないのに、これだけ入り込めるってすごいなと。
Hiro:バカだからね。
KOJI:お前、それは言うなって!
一同:アハハハハハ(笑)。
hamaken:俺も初めてSWANKY DANKを聴いたときは“New Found Gloryか!”と思ったもんね。
田邊:そうそう! そうなんですよ。アメリカの人の歌い方やセクシーさが出てて。
hamaken:アホのくせにね。
Hiro:ほんとだよ。
KOJI:俺はそれしかできないだよね。俺には音楽しかない。
3人:うるせーよ!
●ハハハハ(笑)。
田邊:AIR SWELLは、最初に会ったのが今年1月のMY FIRST STORY企画のイベントに出たときなんですけど、実はAIR SWELLの1stアルバム『RIMFIRE』(2012年8月)が出たとき、池袋のタワーレコードで試聴したんですよ。そこで“なんだこれ!”と衝撃を受けて。ジャケットを見てもバンドの情報とかは全然わかんなくて、“これはヤバい! 脅かされる!”と危険を感じたんです。
hamaken:ハハハ(笑)。
田邊:で、1月に対バンしてライブを観たときに、“うわ! ライブもヤバい! とにかくヤバい!”となって。これが年下だったら今のうちに全力で潰しとかなきゃ駄目だと思ったんです。
●ハハハハ(笑)。
田邊:でも話したら年上ということが判明して「俺、ついて行きます!」って。
hamaken:いやいや(笑)。
田邊:だからAIR SWELLのレコ発に誘われたときもすぐに「出ます!」って言って出させてもらったし。事あるごとに言ってるんですけど、hamakenさんにはマイクについてもしょっちゅう訊いてるんです。
hamaken:そんなこと話しても細かすぎてわからんやろ(笑)。
田邊:「どんなマイク使ってるんですか?」とか「足もとどんな感じなんですか?」って。僕はあまり人に訊いたりしないんですけど、hamakenさんにはめっちゃ訊いてます。というのは、AIR SWELLのレコ発に出させてもらったとき、アンコールで呼ばれてステージで一緒に歌わせてもらったんですけど、そのときに中音を聴いたら、もうめちゃくちゃ歌い易くて。それからめっちゃ訊くようになったんです。会うたびにマイクのこと訊いてると思う。
hamaken:確かに。
田邊:それくらい、ヴォーカリストとしてすごく興味があります。歌の通り方もすごいし。最初はいちファンとしてCDを聴いていたから、こうやってスプリットで一緒になってライバルになったときに、負けられない闘いのスイッチを押してくれたのはhamakenさんなんですよね。
3人:へぇ〜。
田邊:だから本当に、僕たち全国をまわってきましたけど、「どのバンドがいちばんかっこいい?」って訊かれたら真っ先にAIR SWELLの名前を揚げますよ。
●おお〜。
田邊:MY FIRST STORYは…僕、実はHiroとは高校生のときに出会ってるんです。共通の知り合いのバンドのイベントに僕らが出ていて、そのときはHiroはお客さんとして観に来ていて。そのときからの知り合いなんですけど、いざバンドをやったらもう飛ぶ鳥を落とすくらいの勢いで、初めて対バンしたときに、お客さんを牽引しているステージを観て衝撃を受けて。年齢的に言うと、AIR SWELLの場合はお兄さんなんですけど、Hiroの場合は同じ世代というか、双子みたいな感覚でバチバチしていたいヴォーカリストなんですよね。それに、お客さんが抱くヴォーカリスト像を見事に打ち壊していたのがHiroだったんです。
●なるほど。
田邊:それが毎回対バンするたびに違ったりしたので、このぶち壊し方はすげぇいいなと。若さでしかできないMCというか、気持ちよく言いたいことを言えてるなって思うし。そういうHiroを見て、僕もいろんなベクトルで発信できるということに気づいたんです。だから3人のヴォーカリストが3人とも、なにか1つがすごいんです。今、「お互いリスペクトしているところは?」と訊かれてスタートした話ではなくて、1つ1つ出会ったときに違う衝撃を覚えたんです。
hamaken:それすげぇわかる。
田邊:だから本当にこの4バンドって…このメンツを言われたときに「あ、来ましたか」ってなったんですよ。「え? この4バンドっすか?」ではなかったんです。「なるほどな」って。
KOJI:うんうん。
田邊:これで1バンドでも違う名前が入っていたら、なんか違和感があったと思うんですよね。だからきっかけはスズキさんのひと言だったかもしれないけど、ちゃんと僕たちの繋がりやお互いの空気感なんかを感じて4バンドに声をかけてくれたんだなって。それくらい、今回のスプリットは僕にとってすごいメンツなんです。
●KOJIくんは3バンドのどういうところをリスペクトしていますか?
KOJI:駿一もさっき言ってたけど、BLUE ENCOUNTは全国でたくさんライブをしてきたっていうのがステージから見えるんですよね。それがすごくかっこいい。hamakenの場合は、こいつの生き方自体がすげぇかっこいいんです。俺、出会う前からAIR SWELLのファンだったんですよ。ある日、AIR SWELLのライブがあったから俺は観に行って、hamakenのファンだから出てくるの待ってたんです。で、出てきたから「hamaken! 俺SWANKY DANKっていうバンドやってるんでよろしく!」って言って声をかけて。hamakenは「お、おお…」って。その2日後には2人で飲みに行きました。
●すごいな(笑)。
hamaken:同い年っていうのも大きいかったかもな。
KOJI:あと、やっぱりこの3人は歌が上手いと本当に思うんです。それぞれの個性もあるし、ヴォーカリストとして尊敬できる。俺たちもたくさんライブをやってきましたけど、ヴォーカリストとしてすごいなって思うのはやっぱりこの3人なんですよね。こういうヴォーカリストが集まるスプリットに参加させてもらって幸せです。
●Hiroくんはこの3人に対してどう思っていますか?
Hiro:俺は小さいころから歌に触れていて、歌がメインの環境で育ってきているということもあって、やっぱり人一倍“歌”というものに対してのこだわりがかなりあるんです。レコーディングだったりライブだったり、見ていてすごく思うこともあるし。だからその分、あまりヴォーカリストを見て“この人、歌が上手いな”って思わないんですよ。
3人:ああ〜。
Hiro:“歌が上手い”って色々あると思うし、そもそも難しい話なんですよ。ピッチが合ってるからといって上手い歌だとは限らないし、ブレスの位置がいいから上手いというわけでもないし、声質とかもそうだし。そういう意味で、すごく難しいものなんです。
KOJI:うんうん。
Hiro:そういうことを一切抜きにして、バンドがレコーディングした音源を聴いて“上手いな”と思うことは本当になかったんです。でもこの3人は、音源もライブもそうなんですけど、声もかっこいいし、声質に合った歌い方をしているし、その中に自分が出せる個性も出している。SWANKY DANKは最初は音源じゃなくてライブから知ったんですけど、hamakenも言っていたようにコーラスワークがすごくて、“うわ!”って。めちゃめちゃコーラス綺麗だし、KOJIの声もすごくいいし。hamakenはレンジがすごく広くてかっこいいし、駿一は駿一で日本人らしいヴォーカルの中に自分の個性を出してるし。3人が3人ともすごくかっこいいと思えるんですよね。だからこのスプリットが決まったとき、“歌”に対するこだわりが強いからこそ、余計に怖い部分があったんですよね。他のバンドだったらこんなこと思わないです。
3人:おお〜。
田邊:だから今作はヴォーカリストしての想い入れが強いよね。楽曲については、探るという意味では最初に迷いましたけど、腹を括ってからは迷いはなくて。それぞれ使っている楽器も違うから、音の面で言うと違って当然なんですよね。そうなったとき、いちばん差がハッキリするのはヴォーカルじゃないですか。
Hiro:そうそう。普通の人がいちばん最初に耳に入ってくるのはヴォーカルだよね。音源は音源なりのかっこよさ、ライブはライブなりのかっこよさがあると思うんですけど、ヴォーカリストは目立たなきゃいけないし、バンドだったら他の4人なり3人なり2人をまとめて1つの表現にしなきゃいけないし、それがヴォーカリストの仕事だし。それにプラス、お客さんに発信していく存在だと思うんです。それが強いヴォーカリストだと思うんですけど、そういう感覚が通じ合っていると思うんですよね。だからこのスプリットを3人と一緒にできて、本当に嬉しいです。
Interview:Takeshi.Yamanaka