acariが2年ぶりの新作となるアルバム『陽がよく当たる』を、6/6にリリースする。片寄明人(Great3 / Chocolat & Akito)をプロデューサーに迎えた前作から2年の間に、さらに多様な音楽的要素を消化したであろうサウンドは広がりを見せると同時に深みも増している。
結成当初の編成と同じ3ピースに戻った彼らだが、深沼元昭(PLAGUESほか)をプロデューサーに迎えた今作では音の骨太さとバンドのグルーヴにより一層の強化がなされたようだ。
元来の魅力である三浦コウジ(Vo./G.)の繊細な歌声と甘く切ないメロディは表現力を増し、普遍的なメッセージ性を備えた楽曲は圧倒的なスケール感を身に付けた。そしてメンバーへの厚い信頼が生み出す自由度の高さは、かつてないほどの広い世界へと届いていく可能性を持ったポップアルバムの傑作へと昇華されている。今こそ、acariの音楽と出会ってほしいと願う。
●2010年に前作『プリズム』をリリースしてから2年ぶりの新作となるわけですが、今作の制作はその間にやっていたんでしょうか?
三浦:ちょうど2年前に前作を出してからずっとリリースはなかったんですけど、その間も曲作りやライブはずっとやっていたんです。だから自分たちとしては、ずっと走り続けていたという感覚があって。2年も空いたという感じが実際はあまりなくて、時間の感覚が不思議な感じですね。
●意図的にリリース期間を空けたわけではない。
三浦:本当はもっと早く出したい気持ちはありました。また新しい曲もできているので、次は早いスパンで出せたらいいなと思っています。
●今作を作ったことで、勢いが付いたところもある?
三浦:去年は東日本大震災もあって、曲を書いて歌っている人間としてすごく無力感があったんです。"音楽で何ができるのか?"とか"自分は役立たずだな"と思えてしまって。しばらくギターも弾く気分になれず部屋に置いていたんです。でもあるときに東北のファンの方から「毎日不安だけど、acariの曲を聴いて気持ちを落ち着かせています」というメールが来て、すごく救われたんですよね。自分自身も何度も音楽に救われてきたけど、自分の音楽が必要とされているということを初めて実感して。それが去年の春頃なんですけど、そこから曲がたくさん作れるようになりましたね。
●その手紙に、背中を押してもらえた。
三浦:自分の音楽で何ができるのかと悩んでいた時に、求めてくれる人がいるんだということがわかって、また曲を作ろうと思えたんですよね。
●音楽に対する意識も変わったんでしょうか?
三浦:それまで作っていた新曲に対しての意味合いや、見方が変わってきましたね。そこを境にして今の自分が本当に言いたいことや作りたい曲が自然と浮かび上がるようになってきたんです。
●今の自分が表現するべきことを曲として形にするようになった。
三浦:今回のアルバムタイトル曲のM-11「陽がよく当たる」は、まさにその手紙を頂いた後に初めてギターを持って作った曲で。メロディも歌詞も一緒にスラッと出てきたんですよ。この曲ができたことで、"ああ、まだ自分は曲を作れるな"って思えたんです。もう一生ずっと曲を書けないんじゃないかと思うくらい、曲ができなかった頃だったので。
●そこまでの状態に陥っていたんですね。
三浦:そうですね。でもこの曲がキッカケになって、どんどん新しい曲ができるようになって。この曲がなかったらきっと今回のアルバムは作れなかったんじゃないかなと思います。
●この曲は今までにないくらい言葉がシンプルで、ストレートな表現が印象に残りました。
三浦:歌詞について自分が"こうなったらいいな"とか"こういうふうに伝わればいいな"と思っているだけでは、それはなかなか伝わらないものなんだと気付いたんです。たとえ間違っていたとしても、はっきりと伝えないことには何も始まらないんじゃないかなと思って。今までの作品と比べると"曖昧な表現であってもわかってほしい"というところから、"こう伝えたい、聴いてくれ"と思えるようになったというか。だから印象が違うのかもしれません。
●曖昧な表現をせずに、言いたいことをはっきりと伝えるような歌詞に変わったと。
三浦:人に伝えるためには、曲にしっかりとしたメッセージが必要だなと思ったんです。だからまわりくどい表現じゃなくて、ストレートに言いたいことをしっかり伝えられる言葉を選んで歌詞を書きました。今回は全部の曲に何かしらのメッセージがあって、アルバム全体を通してちゃんと伝えることができるように意識しました。
●今作の収録曲はどれもその意識の変化が起きて以降に作った曲なんでしょうか?
三浦:どれも去年の春以降に作った曲になりますね。たくさん作った中から今の自分が良いと思う曲で、これがミュージシャンとして最後のアルバムになってもいいと思えるような、そんな曲だけを今回は入れたいなと思ったんです。
●それほど強い決意を持って、収録曲も選んだ。
三浦:常に後がないというか、自分の中で絶対的にベストな作品を作って、毎回それを更新していかないと先はないんじゃないかなと思っているんです。だから今作でも11曲全てが違うカラーで、言いたいことがちゃんとある曲を選びました。より自分に近付けた曲を書けているんじゃないかなと思います。
●"自分に近付けた曲"というのは、本当に思っていることや自分の内面までを表現しているということ?
三浦:そうですね。それをストレートなメッセージとして、はっきりと言葉にできたかなと。まだ僕らのことを知らない人たちや、バンドの名前だけしか知らない人たちにも、聴いてもらいたい、伝えたいという気持ちが大きかったんです。
●とりわけM-7「属性」は三浦くんの性格や考え方といった内面が、すごく率直に表れている歌詞だと感じました。
三浦:今までの作品では、なかなか書けなかった歌詞だと思いますね。自分の体にメスを入れて、人に見せつけるくらいの歌詞になってますから(笑)。最初はここまで赤裸々にしちゃった! って思ったんですけど、例えば自分を全て見せることで、リスナーの人が自分自身に置き換えて聴いてもらえたらいいなと。今作は曖昧な表現を使わないようにしている分、今までよりもかなり踏み込んだ表現になっていると思いますね。
●最後の"走れ 迷わず 走れ"という3行も自分に対して言っている気がします。
三浦:これは自分に対して言っていますね。この曲は愚痴や"こうなればいいのにな"という願望を描いているんですけど、最後にはちゃんと救いがあるというのが僕にとってのメッセージで。曲として伝えるには、愚痴だけで終わっちゃうと、ただの愚痴になっちゃうので。
●逆にM-9「ドキュメンタリー」は自分自身についてというよりも、誰かを外から見て言っているような視点を感じました。
三浦:これも割と愚痴っぽい曲ではあるんですけど、まさに自分が見ている立場で自分自身の歌ではないんです。たとえばライブハウスのステージで「寂しい」と歌っているバンドマンが、楽屋へ帰ると彼女が待っていて肩を揉んでくれるような(笑)、そんな情景というか。でもステージ上では堂々と"寂しさ"を歌っていて、お客さんもなんか騙されちゃうという、矛盾した感じを歌ってみました。
●アイロニックなことを歌いつつも、歌詞の言葉遣いは少しユーモラスな感じもします。
三浦:愚痴で始まって愚痴で終わったら、本当にただの愚痴になってしまうから(笑)。ちゃんと音楽として聴いてもらうためには、僕はユーモアが欲しいなと思っているんです。それが聴いてくれる人にもうまく伝われば嬉しいですね。
●ユーモアとは違うかもしれませんが、M-6「アイスクリーム」の"好きになれたら 水の味も変わる?"という表現がすごく面白いと思いました。
三浦:水の味って、そんなに変わらないじゃないですか。でも好きになれたら、それに味が付くくらい変わるという…歌詞のままですけど(笑)。
●そういう体験がある?
三浦:どの曲にも、自分の実体験が絶対に入っているんです。今のことだけじゃなくて昔に思ったことも含めて、何かしら自分の実体験が入っている。逆に映画を観ていて思い付いたような完全にフィクションの歌詞は、自分にはないんじゃないかなと思います。
●自分が体験したことや感じたことが歌詞には必ず入っている。
三浦:今までの人生で味わったことが、全部反映されているんだと思いますね。
●でも実体験を歌うのって、恥じらいもありません?
三浦:歌になれば、ちょうどいいこともあると思うんです。ぼかすとやっぱり伝わりにくくなると思うし、できるだけストレートな言葉で曲として伝えたかった。今回は本当に伝わるように書きたかったんですよ。
●聴いていて情景がすごく浮かんでくるのは、そういう意識があるからでしょうね。
三浦:誰かの曲を聴いた時に"これは僕のことを歌っているんじゃないか"というほどフィットする歌詞ってあるじゃないですか? そういうものって自分の深いところにまで伝わるんですよね。誰かにとって僕の曲がそうであるように、しっかりと伝わる曲にしたいという想いは強かったし、かなり心がけた部分ですね。だから聴いてくれる人が自分のことのように感情移入できる曲になっていたら、すごく嬉しいと思います。
●共感を狙うわけじゃなく、自分の中を奥深くまで掘り下げて書いた歌詞だから普遍的な言葉になっているんだと思います。
三浦:なるほど。狙って多くの人が聴いてくれる曲を書けたらいいんですけど、きっと僕にはそういう作り方はできないと思うから。自分に忠実に言葉を紡いでいくことしかできないんだと思います。
●今作からまたメンバーは3人体制になっているんですよね。
三浦:元々このバンドは今と同じメンバー3人で始まったんですけど、この2年で成長した部分もあるし、なにより演奏への意識が各自変わって、音自体もものすごく骨太な感じになってきましたね。今回はアレンジも含めて、基本的にはすべて3人でがんばりました。
●初期も3人編成だったけれど、その頃とはサウンドの太さが違っている。
三浦:1stアルバム『片想いのレッスン』(2009年)を出した頃は、サウンドも宅録に近いやり方だったり、ライブも座って聴くようなお店によく出ていたんですね。2ndアルバムとなる前作『プリズム』を出した頃から、新宿LOFTや下北沢CLUB Queといった今もメインでお世話になっている場所でやるようになって。そこからはどんどんライブハウスでやるようになったんです。
●以前のインタビューでも1stアルバムの頃は喫茶ロック的な見方をされて、カフェ的な場所でライブをやることが多かったと話されていましたね。前作以降でライブハウスを主戦場に変えたことで、3人に戻っても変わらない音の太さを身に付けたというか。
三浦:初期に3人でやっていた頃は、友達のミュージシャンにサポートとして参加してもらってたことが多かったんです。でも今はライブも3ピース編成でやっているし、レコーディングも3人でしっかりと音を作れるようになってきましたね。気持ちとしては、3ピースバンドとしてのデビューアルバムみたいな感覚がありますね。
●1stアルバムを作るような感覚で制作できた。
三浦:心機一転な感じで、今回も新鮮な気持ちで作れました。
●前作ではプロデューサーの片寄明人さん(Great3 / Chocolat & Akito)からアドバイスを受けて、音を立体的に聴くことを心がけるようになったそうですが、それは今作にも活かされている?
三浦:それによって、自分自身の音楽の聴き方が変わったんですよ。片寄さんに色んなレコードを教えてもらったりもして、前作のレコーディングの後から本当にたくさんの音楽を聴いていたんです。好きな音楽が増える分、作りたい音楽も増えていって。その中で自分の作りたい曲というのが明確になってきたのかな。そういう意味では、今回の作品にも反映していると思いますね。
●そして今作では、深沼元昭さん(PLAGUESほか)をプロデューサーに迎えたわけですが。
三浦:曲作りや選曲とか基本的なアレンジはメンバー3人でやってたんですけど、深沼さんにはレコーディングの時に、ギターをどう弾けば楽器として一番良いところを引き出せるか、良い音で鳴らせるかとか、本当にたくさんのことをアドバイスして頂けたのが大きかったです。感覚ではなく具体的に教えて頂いて。
●サウンド作りの技術面でアドバイスをもらった。
三浦:深沼さんはレコーディングのスペシャリストなので、理論的に実践してもらって「なるほど!」と納得することがメチャクチャ多かったですね。録音しながらもかなり勉強になりました。確実に、自分の血になっています(笑)。
●アレンジ面でのアドバイスもあったんでしょうか?
三浦:元々のアレンジではギターが1本だったところに、フレーズに意味を込めるというか、勢いをつけたりグッとくる感じするために、もう1本重ねたり。たくさんアドバイスをして頂きましたね。1本に聴こえるような部分も何本かギターを重ねることによって音色に意味が増したり、発見が多くてすごく楽しいレコーディングでした。
●M-2「花束」に弦楽器の音が入っているのは、深沼さんのアイデアだったりする?
三浦:「花束」の弦は深沼さんに演奏してもらいました。試してみたらすごく良くて。あのアイデアを加えたことで、今では1つの曲になったという感じがします。
●そういったスパイスになるようなアドバイスを深沼さんからもらいつつ、基本的なアレンジはメンバー3人でやっていたと。
三浦:今はライブも3ピースでやっているので、しっかりとした音を出さないと成り立たないんですよ。本当にこの2年間で各自がものすごく練習していましたし、どうすれば歌を含めてカッコ良くアレンジできるかを3人でずっと考えていたんです。
●原曲を三浦くんが作ってきて、3人でアレンジしていく感じ?
三浦:最初は僕が思い付いたままに作ったデモを持って行くんですけど、3人でセッションしながらアレンジしていくことが多かったので、元々のデモからは形が変わっているものも結構ありますね。ある程度の完成形で持って行ったものも一度は3人で解体して、メンバーから出たアイデアの良いところを組み合わせて再構築するようなパターンが多いです。
●メンバーの意見をすごく取り入れながら作っているんですね。
三浦:メンバーの意見を全部取り入れて、最終的にこの形になっていますね。2人は自分の作った曲をすごく尊重してくれるというか。1回全部受け入れてくれてから自分のアイデアをどんどん言ってくれるので、良いぶつかり合いなんですよね。色んな意見が出てくる中で最終的に3人で意見をまとめて、「これが一番良いね」と言える形にすることができました。
●お互いを尊重しているから、意見も受け入れられる。
三浦:3人とも、言いたいことがどんどん明確になってきていますからね。プレイヤーとしての技術も上がってきているから、今まではやりたくてもできなかったことが形にできるようになってきたかなと。
●今作にはバンド感もすごく出ている気がします。
三浦:この2年間で、メンバー全員の演奏や空気がより充実してきた結果かなと思います。曲を持って行きやすいんですよね。ものすごく信頼しているので、どんな曲を持って行っても絶対に変なことにはならないっていう(笑)、自信や安心感がありますね。
●だからこそ、自分が作る曲の幅も広げられるというのもあるのでは?
三浦:そうなんですよ。ちゃんとしたメロディとメッセージさえあれば、この3人でアレンジすると絶対に良いものができる予感がある。だから今は、すごく自由度が高いんですよね。
●前作のインタビューでは「作品を作るたび、若返っている」とおっしゃっていましたが。
三浦:確かに今回も3人とも若返っていると思いますね。見た目も、前作の頃より若い気がするし(笑)。
●(笑)。バンドとしての充実が外面にも出ている?
三浦:すごく充実してますね、生き生きとしています(笑)。フレッシュな気持ちでいれるし、何でもできそうな気もする。ライブもこの1年でお客さんがたくさん来てくれるようになったので、やり甲斐や手応えを感じています。
●お客さんの反応も変わったりした?
三浦:お客さんとの距離が近くなった気がしますね。以前はライブ中も客席の後ろで観ているお客さんが多かったんですけど、最近は最前列まで人がいるのでダイレクトに伝わっている感じがして嬉しいです。
●自分たちの音楽やライブに向き合う姿勢が変わったというのも大きいのでは?
三浦:自分たち自身、やっていて楽しいと思うことが大きいのかもしれませんね。楽しそうにやっている姿を見たら、お客さんも近くに寄ってきてくれるんじゃないかな。逆に難しそうな顔ばかりしていたら、遠くから見ておこうと思うだろうし。そのへんの変化はあるのかもしれないです。
●今は本当にライブを楽しめている。
三浦:最近はステージの上にいることが、本当に楽なんですよ。あまり緊張もしなくなったし、この3人でいれば演奏で何か間違ったとしてもそれはそれで、1つの面白みとして成立するんじゃないかという安心感があるんですよね。どんなふうに転がっても、良い空気が流れるんです。それはきっと以前から観てくれてるお客さんも感じてくれてるんじゃないかな。
●今年2月のレーベルイベントでは1つの目標にしていたという、渋谷CLUB QUATTROのステージにも立ったんですよね。
三浦:最近は広いステージでやる機会も増えてきて、実際に自分の目で見てみないとわからないこともあるんだなと実感しています。今まで気付けなかったことも見えてきているし、大きい会場でやることはメンバーにとってもすごく大きな自信になっていると思うんですよ。
●今作のリリース後には初のワンマンも控えています。
三浦:実は今までワンマンはやっていなかったんですよね。とても良いアルバムができたのでまだ僕らを知らない人たちにも聴いてもらって、1回でもいいからライブを観てほしいなと思って。そのためには今ここでワンマンをやるしかないと思ったんです。
●ワンマンのイメージはもう湧いている?
三浦:初めての自分たちだけのライブなのでまだ予想できないんですが、今までの作品にも良い曲があるので、心をこめてたくさん演奏したいと思っています。初めて観に来てくれる人にも、"何回も観たい"と思ってもらえるようなライブにしたいですね。
●acariの音楽に初めて接する人たちにも届くような、広がりのある作品になっているわけですからね。
三浦:そこは今回、すごく意識しましたね。どれか1曲でも、聴いてくれた人にフィットすればいいなと思います。
Interview:IMAI
Assistant:Hirase.M
・片寄明人(Great3 / Chocolat & Akito)
僕がプロデュースした前作『プリズム』から2年。格段に進化した音を聴かせてくれる新作『陽がよく当たる』が届いた。ひとつひとつの音に深い意味が込められたであろうアレンジも素晴らしく、acariのセンチメンタルな魅力がより一層ストレートに心に響いてくる。僕は彼らの成長に心から喜びを感じて止まない。acariの3人がこの新作と共に、もっと大きく羽ばたいてくれますように!
・加藤慎一(フジファブリック)
現体制になって初の音源、楽しみにしていました。音や言葉が塊となって、壊れることのないシャボン玉の様に、心地好く弾み色んな気持ちにさせてくれるのは、きっとどの曲にも陽がよく当たるからなんでしょう、そうなんでしょう。
・宮本英一(シュリスペイロフ)
僕たちのあの後悔やあの傷の話を「僕も同じさ」とうなずきながら、やさしく手を差しのべてくれる。『陽がよく当たる』、彼らがいるのはまさにそんな場所。このアルバムはその場所で見えている光だ! 輝いていてまぶしい。
・TOMO (DA PUMP)
ボーカル三浦さんの優しい声が体にすーっと入ってくる、そこに祐介のベースが響き、斎藤さんのドラムがリズムを奏でる…そのバランスが最高! 心くすぐるメロディもacariにはまってしまう、魅力のひとつですね!
・小泉徹朗(スムルース)
『陽がよく当たる』で奏でられるサウンドはどれもがあたたかい。もっと正確に言うと、どれもがどこかにあたたかさを内包している。そして、グロテスクに僕を癒やす。闇を照らす希望の灯りは、同時に、闇に隠された生々しい現実を僕たちに突きつける。いまを生きる僕たちの、グロテスクなまでにあたたかなロックがここにある。
・吉澤響(セカイイチ)
acariが紹介されるとき、枕詞みたいに「繊細な歌声」と「甘いメロディ」という文句を目にする。歌声がなぜ繊細か。メロディがなぜ甘いのか。それは僕が思うに、曲のアグレッシブな展開、ときにストレンジなアレンジ、1曲の中で心地よくつけられた緩急、それらが、繊細な歌声を、甘いメロディを、力強く押し出すからではないか。対比。コントラスト。そんな武器を持つacariの音楽は、歌声と裏腹にとても強靭だ。
・成山剛(sleepy.ab)
1曲目「観覧車」でもう確信を持ってしまう。曲を追うごとにすごいぞ三浦くん、やばいぞacariとなる。が7、8曲あたりには嫉妬に変わっている。。最後まで聴けないかもとすら思った。こんなにも素直に受け入れてしまえるメロディってすごい。切なさと優しさが自然でなんだか居心地が良いんです。陽がよく当たるこの場所をよくぞ作ってくれました。
・わたなべだいすけ(D.W.ニコルズ)
思春期のキミが何度もくりかえし聴いたりしたら大変だ。
きっと思い出がぜんぶとじこめられてしまうよ。
声も曲もすごくいいです。完成おめでとうございます。
・岡田慎二郎(ピロカルピン)
「日だまりの様なやさしい音だなぁ」。初めて聴いた時はそう思った。でも熱さがないわけじゃない。三浦氏の歌を中心としたアンサンブルは、決してもの凄い熱い音で直接的に訴えかけてくる類いのものではないけど、日だまりに降り注ぐやわらかい光は、灼熱の太陽から出ているように、バンドの内なる熱さがジワジワ伝わってきた。情景を丁寧に描いていくサウンドはとても聴きごたえあり!
・たなしん(グッドモーニングアメリカ)
初めてacariのライブを観たとき、野外のフェスやホールでライブを観ている錯覚に陥りました。「分け隔てなく人の心に届く音楽」。彼らの人間にふれてそう確信しました。
・森勇太(空中ループ)
いやはや、実はacariのVo.ミッチーさんと僕らは10年来くらいの関係で。僕らが高校生位だった時に、色々と教えてくれた京都の楽器屋のお兄さんだったわけです。そんなacariのアルバムにコメントを書かせてもらえるなんて、何だか凄く不思議で、嬉しい感覚です。
アルバム、聴かせていただきました! 陽のよく当たる日曜の昼下がりに、部屋でまったりとしている時間。そういう時に鳴ってて欲しいアルバムです。コーヒーでも飲みながら聴きたいっス。いやま、僕にそんなシャレオツな日曜は無いんですけどね(笑)。これからも仲良くして下さいね!
・樋口寛子(新宿LOFT)
acariが奏でる11編のストーリーは、芯の強さと優しさで溢れている。そして「朝が来ない 夜はないのさ」に何度も救われている私がいます。
・二位徳裕(下北沢CLUB Que)
ステージに立つ人ってすごく社交的で目立ちたがり屋!? いやそんなことはないんだよね。実はアクティブな人柄って後から生まれてくることが多いんだ。バンドが良くなって、ライブハウスや色んな人に伝わって、ますます音楽に息が吹き込まれて、曲たちは重ねるごとに成長して、より人の内面にしみこむ力を増していく。その頃それを演奏する人たちには輝きがともされて、生き生きと見えてくる。現在のacariはまさにそんな状態。彼らは東京ジャングルに優しく響く灯りをともすだろうね。