今年3/28-29に予定していたバンド史上最大規模の野外ワンマンライブ・『ヤバイTシャツ屋さん “スペインのひみつ解明 ONE-MAN SHOW” in 志摩スペイン村』が新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となったヤバイTシャツ屋さん。緊急事態宣言やイベント自粛要請などでライブ活動が出来ていなかった期間にいっぱい睡眠を取り、どうやってもっとみんなに楽しんでもらえるかを考え、英気を養い、彼らは更にパワーアップして4枚目のフルアルバムを完成させた。リリース後は年をまたいでの全国ツアーも決定。今回はジャスコ久御山店、中村さんや警察官、ICOCA、アミューズメント施設『モーリーファンタジー』、珪藻土マット、そして音楽やタンクトップ、バンドやライブハウスへの想いなど、彼らの熱い気持ちがいっぱい詰まったアルバム『You need the Tank-top』についてじっくりと訊いた。
「いやいや、そんなことないでしょ? パンクロック必要でしょ? タンクトップ必要でしょ?」
●新型コロナウイルス感染症拡大の影響でライブが延期になったりしていましたが、自粛期間中はどう過ごされていたんですか?
もりもと:僕は一生分寝ていました。
●すくすくと?
もりもと:はい(笑)、すくすくと寝ましたね。そんなに忙しくなかったです。まさに文字通りステイホームしてました。時々ラジオにリモートで出たり、自宅で個人練習したり。基本的にメジャーデビューしてからは忙しくさせてもらっていたんですけど、緊急事態宣言以降はずっと家に居て。最近はリリースが近くなって色々と動き出したので、取り戻すかのようにがんばっています。
●しばたさんはどうでしたか?
しばた:あんなに家に居ることはなかったので、結構ズーンと気持ちが落ちてしまいましたね。“家に居なくちゃいけないとき”と“好きで家に居るとき”では全然感覚が違うんです。
●確かに全然違いますよね。
しばた:「いつになったら動けるんだろう?」という不安とモヤモヤがずっとあって、でも世の中みんな同じ状況だったじゃないですか。だから“どうやったらみんなに少しでもヤバイTシャツ屋さんを楽しいと思ってもらえるか?”ということを考えたり、モヤモヤしたり…その繰り返しでした。
●こやまさんはどうですか?
こやま:うーん、手も足も出ないというか。そもそも僕らは、今年の3月末に志摩スペイン村でライブ(“スペインのひみつ解明 ONE-MAN SHOW” in 志摩スペイン村)をするはずだったので、そこに向けて動いていたんです。ライブの本数を減らしたり、きちんとプランを立てて活動していたんですけど、そういう予定が無くなった途端、トピックも無くなってしまうし、3月の時点で活動していない期間もあったのに、志摩スペイン村でのライブも出来なくなったら本当に活動していないバンドになってしまう。それがヤバイと思いましたね。
●うんうん。
こやま:なので「何かしなくちゃ」と思って、インターネット上で楽曲トーナメントをやってみたり、映像を募集して家の中だけで作ることが出来るMVを作ったり…出来る限りのことをしなくちゃいけないと思っていました。
●とりあえず行動しようと。
こやま:はい。気持ちが落ちることはなかったんですけど、何かしなくちゃと。本当は志摩スペイン村のライブのときに今後のトピックを色々と発表が出来たはずだったんですけどそれが出来ないので、それはピンチだなと思いました。でもコロナ禍以前から、アルバムを出すことは決まっていたんです。
●結構早い段階で決まっていたんですか?
こやま:そうですね。当初の予定から発売日がずれたりしましたけど、アルバムを出すことは決まっていたから、アルバムのリリースを楽しみに待ってもらうために何かをやらないといけないなと思いましたね。
●アルバムはいつ頃から作っていたんですか?
こやま:結構前から作っていました。志摩スペイン村で発表するくらいのスケジュールで進めていたので。
●なるほど。ヤバイTシャツ屋さんのアルバムには毎回タンクトップを冠した曲があって、今回はM-1「Give me the Tank-top」がその曲にあたりますが、この曲はかなり赤裸々に今のバンドの気持ちというか、今のみんなの気持ちを表現している楽曲になっていると感じたんです。要するにこの曲はコロナ禍で作ったということなんでしょうか?
こやま:そうですね。こういう状況で出すアルバムだからどうしようかなと考えたんです。聴いて元気を出して欲しいし、悲しくなるようなアルバムにはしたくないとずっと思っていて。アルバムのタイトルを考えていた時に、不安があったんですよね。
●不安というと?
こやま:みんな色々と自粛するようなこの生活に慣れてしまって、「別に音楽がなくても生活できているし、ライブがなくても生きていける」と思っているかもしれないなと。でも実際そうなんですよね。ライブがなくても死にはしないし、「音楽いらないやん、パンクロック必要ないやん、ヤバイTシャツ屋さん聴かなくても生きていけるやん」と思っている人がいたら嫌だなと。
●うんうん。
こやま:いやいや、そんなことないでしょ? パンクロック必要でしょ? と。
●うんうん。
こやま:タンクトップ必要でしょ? と。
●タンクトップ必要ですね〜(笑)。
こやま:だからこのアルバムで「君たちにヤバイTシャツ屋さんは必要でしょ?」と押し付けたかったので『You need the Tank-top』という押し付けがましいタイトルになったんです。そこで“1曲目どうしようか?”と考えて、いつも僕らは“パンクロック”を“タンクトップ”に言い換えて歌ってきたんですけど、それだけにとどまらずに“もっとライブハウスやヤバイTシャツ屋さんを欲してくれよ”という気持ちを込めて「Give me the Tank-top」というタイトルにしました。
●まずタイトルから決めたんですか?
こやま:歌詞を作って、そこからタイトルを決めました。
●なるほど。この曲を聴いて思い出すのは、特に最近ライブのMCでこやまさんが言う「音楽が持つ力を信じている」という言葉。それがこの曲に込められているというか、さっきもおっしゃっていた「音楽は必要なんだ」ということを体現する曲でもあるし、アルバム全体からそういう想いを受け取ったんです。
こやま:はい。
●歌詞は相変わらずちょっとふざけてよくわからない歌詞も多いですけど(笑)、歌詞の突き抜け感とサウンドのクオリティの高さで、今作は聴いたら元気になれるんですよね。ライブハウスに行きたくなるし、気持ちを動かすような曲が多いというか。今作はバンドとしての矜持というか、意地みたいなものが炸裂しているのかなと。
こやま:“聴いたら元気になれる”ということはしていましたね。エンタメをやっている身として、“元気を出させなきゃいけない。ライブハウスに連れ戻さなきゃいけない”というのは考えていました。
●そういう気持ちは曲調とかアレンジにも影響が出るんでしょうか?
こやま:そうですね。だから今回、M-4「珪藻土マットが僕に教えてくれたこと」以外はすごくテンポが速いんですよね。
●確かに。それに今作はめちゃくちゃ早口ですよね。
こやま:はい(笑)。「珪藻土マットが僕に教えてくれたこと」もまあまあ速いですけど(笑)、普通アルバムというのはもう少し緩急を付けると思うんです。
●ですよね。バラードとかミドルナンバーを途中で入れたり。
こやま:でも今回はそれが出来なくて突っ走るしかなかった。このアルバムに収録しなかった曲もあるんですけど、候補曲の中から選んだ結果、この13曲になってすごくうるさいアルバムになりました。
●うるさいけど(笑)、ずっと聴いていられるアルバムですよね。「珪藻土マットが僕に教えてくれたこと」は曲調こそミドルですけど、リスナーを置いてけぼりにして突っ走る系というか。特にこの曲のAメロとか、歌の表現力が上がっていると感じたんです。
こやま:アハハ(笑)。
もりもと:僕も客観的に聴いていて、2人とも歌の表現力が上がっていると思いました。
●そうそう。どの曲のヴォーカルも、曲の世界観に入り込んでいる気がする。
しばた:もりもとはレコーディングのときずっと褒めてくれていたんですよ。
もりもと:単純に表現が上手くなったというのもあると思うんですけど、やっぱりライブが無くて喉が元気だったというのもある(笑)。
●なるほど(笑)。
もりもと:以前はツアーの合間に録っていたことも多かったので。今回はすごく伸びが良かった。
しばた:前はレコーディング中に喉の休憩をして別のパートを録ることも多かったもんね。
こやま:だから今後は、レコーディング前に3~4ヶ月の休みが欲しいかもしれない。
しばた:それやっていいの30周年からだから(笑)。
●ふふふ(笑)。
もりもと:ライブが出来ない期間はすごく悔しかったですけど、そこだけピックアップすれば良かった点ですね。
●各楽器も、今まで以上に曲に合った音作りをしていると感じたんですが、全体的にアレンジはガッツリ詰めたんですか?
こやま:今回特別なことをやったというわけではなくいつも通りでしたけど、それぞれの経験が培われている部分もあると思うし、先輩のアンプを使わせてもらっていることの影響もあると思います(笑)。
●ハハハ(笑)。先輩って10-FEETでしょ(笑)。
こやま:お借りしますと連絡しました。いい音で録らせていただきました。
しばた:「珪藻土マットが僕に教えてくれたこと」のこの曲調でエレキで、その上にアコギが乗っかっているのは新しいアレンジだなと思いました。
●うんうん。新しいアレンジといえばM-8「NO MONEY DANCE」は鍵盤が入っていますよね。これはどういう経緯ですか?
こやま:元々ピアノを入れずに全部録っていたんですけど、最後イントロだけにピアノを入れたいなと思って、試しに入れてみたんです。そしたら曲の全編に入れてもいいなとなったんです。それで、「We love Tank-top」(1stフルアルバム『We love Tank-top』収録)のミュージカルのアレンジをしてくれた人に弾いてもらって完成しました。後入れですね。
●そうだったんですね。
しばた:試しに入れてみたらすごく良くなった。
もりもと:うまいことやってくれましたね。
こやま:イントロのところは曲作りの段階から頭の中で流れていたんですけど、あまりピアノの知識がないので自分でもよくわからなかった。
●あ、でもTwitterで鍵盤弾いてる動画アップしてませんでしたっけ?
こやま:最近練習してます。
しばた:全然「NO MONEY DANCE」を作った後ですね。
●伏線なのかと思っていました。
しばた:逆なんですよ(笑)。
こやま:自分で弾けるようになろうと思って(笑)。みんな自粛期間に新しく楽器を始めたりするじゃないですか。僕は8月から始めました(笑)。人より4ヶ月遅い(笑)。
「この曲はジャスコ久御山店に捧げているといっても過言ではないです」
●今回の歌詞もこやまさんの実体験シリーズがいっぱいですよね。M-3「J.U.S.C.O.」の歌詞で知ったんですが、もう世の中にジャスコは無いんですね。
こやま:だいぶ前から無いですね。
もりもと:ジャスコ知ってます?
●もちろん。子供のころは休日にダイエーかジャスコに買い物に連れて行ってもらうのが楽しみでした。
もりもと:さすが!
こやま:関東のインタビュアーの人はジャスコ知らないんですよ。
●え!
しばた:みなさんシティーボーイ&シティーガールだから馴染みが無いんですって。「知ってはいるけど、そんなに行くところ?」みたいな反応でした。
●え〜! 関西の子供たちにとっては「休みの日の遊園地」みたいな場所でしたよね。
こやま:そうそう。テーマパークですよ。
●ということは、こやまさんは想い出のジャスコがあったんですか?
こやま:ジャスコ久御山店です。この曲はジャスコ久御山店に捧げているといっても過言ではないですね。
●ふふふ(笑)。こやまさんの場合、そういう子供の頃の想い出が曲の種になることが多いんですかね。
こやま:そうですね。ジャスコと言ったらみんな何十年か前の想い出が蘇ると思うんですよ。魔法の言葉ですね。
●僕の田舎はダイエーとジャスコが隣接していて、僕はドムドムが好きだったのでダイエー派だった…という想い出が蘇りました。
こやま:ドムドムハンバーガー(笑)。今度はドムドムの曲もいいな。
●いいですね〜。あともう1曲、想い出が蘇ったといえばM-5「原付 ~法定速度の範囲で~」。めちゃくちゃいい曲だと思います。
もりもと:あっ、関東の人は原付にも想い出が無いらしんですよ。
●え! まじですか!
もりもと:関東の人は電車とバスが多いみたいですね。
しばた:駐輪場もあまり無いし。
こやま:このアルバム、都会っ子からの支持少ないかもな…。
●自信なくしてる!
もりもと:曲は褒めてくれるんですけど、共感はされないですね。
●「原付 ~法定速度の範囲で~」を聴いたとき、郷愁というか泣きそうになりましたもん。歌詞に“ヘルメットくれた中村さん”というような具体的な言葉が出てきますけど、こういうのって誰にでもある“青春あるある”というか。
こやま:中村さんは僕の同期ですね。
しばた:私がいちばん仲良かった先輩です。
こやま:原付買ったからヘルメットをくれたんですけど、歌詞にあるように原付ごと盗まれたんです。
しばた:「盗まれた」って聞いたときはびっくりしたよな。あんなボロいのに。
もりもと:「誰が盗むん?」と思った。
●ハハハ(笑)。3人とも原付には想い出があるんですか?
もりもと:3人とも乗っていました。
こやま:盗まれたから警察に届けるじゃないですか。その頃はバンドで忙しかったので、盗まれてから届けるまで結構時間が経っていたんですよ。そしたら「なんでこんな遅くなったん?」と警察に怒られたんですよ。「バンドをやっていて、あまりこっちにいないんですよ」と説明したら「サイン書いて!」と頼まれて。警察の人にサイン書きました。
●何に書いたんですか?
こやま:メモ帳みたいな。あのときの警察の人に「あの原付、歌にしましたよ」と言いたいですね。
●なんかいい話(笑)。それと今回も早口の曲が多いと言いましたけど、早口の極みみたいな曲がM-9「げんきもりもり!モーリーファンタジー」とM-10「日本の首都、そこは東京」で。
こやま:「げんきもりもり!モーリーファンタジー」はもりもとのキャラソンですね。
もりもと:「作って」って僕からお願いしたわけじゃないですけど。
●どういうきっかけで出来た曲なんですか?
こやま:『モーリーファンタジー』というのは、イオンのお店に入っているアミューズメント施設の名前なんですよね。
●あっ、実際にあるんですね。
しばた:きっと見たらわかると思います。店舗数がすごく多いので。
こやま:『モーリーファンタジー』は森をイメージしていて、クレーンゲームとかがあるんです。そこのコラボ曲みたいな感じで依頼が来たので作りました。
●あ、そうなんですね。これはタイアップの曲なんですね。
こやま:それで普通にモーリーファンタジーの曲を作っても普通になってしまうから、もりもとのキャラソンにしようと思ったんです。
もりもと:“コラボ曲なのに『モーリーファンタジー』より『もりもと』の方が前に出てない?”とちょっと思ったんですけど(笑)。
●だからてっきり、もりもとさんが生きているファンタジーな世界についての曲なのかと。
もりもと:そこのつなぎ目がこやまさんは上手いんですよね。ちびっこ向けの施設なので、ヤバイTシャツ屋さんの得意分野でもある子ども向けソングに仕上がっている。この曲は情報が多いですよね。
●たしかに情報多い(笑)。
もりもと:コラボだし、もりもとだし、台詞もあるし、サビもすごいじゃないですか。
●サビがものすごく早口ですよね。噛まないんですか?
こやま:たぶんよく聴いたら歌えてないと思います。
しばた:楽器の音を無くして聴いたら歌えてないと思います。
こやま:ギリ歌えてないですね。
●ギリ歌えてないのか(笑)。
こやま:レコーディングでは“こんなにも歌えないのか”と思いました。
●もりもとさん、自分の曲が出来てどうですか?
もりもと:嬉しいですけど、戸惑いと、切なさと…。
こやま:心強さと、愛しさと、切なさと。
もりもと:繰り返すな。
しばた:一生終わらない(笑)。
もりもと:でも音源化していないしばたのキャラソンもあるんですよ。
●あ、そうなんですか。
こやま:「バタバタしばたさん」という、しばたが一生懸命バイトをしているという曲で、2017年のツアーでしか演ったことがないんです。なので実は「タンクトップくんのキャラソン」(7thシングル『とってもうれしいたけ』収録)も入れると、「げんきもりもり!モーリーファンタジー」はヤバイTシャツ屋さん3つ目のキャラソンなんです。
もりもと:この曲、バンドサウンドもかっこいいよね。
●あともうひとつの早口の曲、「日本の首都、そこは東京」は作詞作曲編曲すべてしばたさんということですが。
しばた:ヤバイTシャツ屋さん風EDM、という感じですかね。
●頭の中でそういう音が鳴っていたんですか?
しばた:そうですね。この曲、いちばん最初は本当にEDMだったんですよ。この曲は全部打ち込みで楽器は一切弾いていないんですけど、この曲を作っているときに、アルバムに入れる曲は何曲か出来ていて。その曲たちと合わせて聴いてみたら、アルバムに合わないなと。なのでアルバムに合うような音に変えていって完成させました。
●なぜ東京のことを歌おうと?
しばた:やっぱり地方出身のバンドは東京を歌わないといけないなと思いまして。
●ああ〜、確かにどのバンドもそういう時期ありますよね。
しばた:2~3年住んだら地元が恋しくなるものだから(笑)。
●東京という場所にはもう慣れました? 関西の人って東京に対して敵対心があるじゃないですか。そういう気持ちはこれだけ東京が身近な感じだと薄れました?
しばた:私の場合は常にICOCAを持ち歩くことによって、東京に逆らっていますね。
●ふふふ(笑)。
しばた:「Suicaちゃうし! ICOCAやし!」みたいな(笑)。別に東京のことが嫌いなわけじゃないんですよ。いろいろなところを見て結構いいところだなと思うこともあるし。でもやっぱり長年住んでいた大阪には敵わないですね。
「曲にしていいのかな? と思っていたんですけど、するしかなかったんです。曲にしないと気が収まらなかった」
●いつも話していますが、アルバムの中には結構ストレートなことを歌った曲が1~2曲あって、それを聴くのが毎回楽しみなんです。今回は「Give me the Tank-top」とM-13「寿命で死ぬまで」がそういう曲にあたると思うんです。
こやま:はい。
●「Give me the Tank-top」については最初に伺いましたが、「寿命で死ぬまで」もめちゃくちゃストレートですよね。
こやま:そうですね。たぶんこれライブで演ったら泣きますね(笑)。
しばた:この曲は慣れない気がする。
●慣れない?
しばた:はい。何回ライブで演っても、その度に気持ちが持っていかれるというか、入っちゃうというか。そういう意味で、きっといつまでも慣れないです。
●ああ〜。なぜこういう曲が生まれたんですか?
こやま:アルバムの中で最後に作った曲なんですけど、去年僕のおばあちゃんが行方不明になって亡くなっちゃったんです。
●やばい泣きそう。
こやま:曲にしていいのかな? と思っていたんですけど、するしかなかったんです。曲にしないと気が収まらなかった。聴いている人には伝わらない表現もあるかもしれないけど、ストレートに自分の言葉でそのまま書いた感じの曲ですね。
●「自分の言葉でそのまま書いた」のは、今までにもあるんですか?
こやま:無いですね。やっぱりどこかで照れて、“パンクロック”を“タンクトップ”にしたりとか。でも「寿命で死ぬまで」はなんか、本当にこういう言葉でしか歌えなかった。出来上がって聴いたときにはやっぱりグッときましたね。
●「Give me the Tank-top」に“笑いながら泣いた日よ”という歌詞がありますが、ライブというのは笑いながら泣いているというか、泣きながら笑っているというか、そういう感覚になれる空間だと思うんです。この「寿命で死ぬまで」もそういう曲なのかなと。…なんかしんみりしちゃいましたね(苦笑)。
しばた:だいたいインタビューは曲順で話すので、今作の取材はしんみりして終わっちゃうんですよ(笑)。最初は珪藻土マットの話とかしていたのに(笑)。
●ライブのMCもストレートになってきているじゃないですか。そういう変化というか成長の延長線上で「寿命で死ぬまで」のような表現が出来たのは、バンドにとってすごく大きなことですよね。
こやま:そうですね。1stアルバムのときにこの曲が入っていたら「え?」となっていたと思いますけど、4枚目のリリースというかここまで活動してきた積み重ねがあるから問題なく出せたのかなと思います。
●今回のアルバムは満足度が高いんじゃないですか?
こやま:そうですね。
もりもと:いいのが出来たな〜。
こやま:4枚目だから結構芯が無くなるのかなと思っていたんですけど、逆に芯がありすぎる作品になった。ブレていない感じがしていいなと思います。
●それはすごくバンドっぽいですよね。状況的にはコロナでピンチかもしれないですけど、ピンチを力に変えるのがバンドの真骨頂だと思うんです。このアルバムが9/30にリリースで、リリース後のツアーも発表になりましたが…。
こやま:事務所の先輩である10-FEETが先にツアーを発表しましたが、僕らもやります。しかもちゃんと。
もりもと:本来のアルバムのツアーのサイズ感、半年くらいかけて。そして最後にはZepp Tokyoで5デイズ。
●5デイズ!!
こやま:コロナ前からそう決めていたんです。本当はパンパンでやりたかったんですけど、今の状況だとどうなるかわからないですけど、出来る限りのことを出来る範囲でやろうと思っています。やらないわけにはいかないですから。
●コロナ禍でみんなが何かを待っていると思うんです。コロナが終息するのを待っていたり、日本政府がなんとかしてくれるのを待っていたり。でもその中で、ヤバイTシャツ屋さんは自分たちで判断して行動する。すごくかっこいいと思います。全力で応援しながらツアー楽しみにしてます!
3人:ありがとうございます!