音楽メディア・フリーマガジン

脳内リフレイン

想いと熱に満ちた音が、脳内で鳴り響き続ける。

全員が22歳のメンバーからなる大阪発4ピース・ロックバンド、脳内リフレイン。2015年に結成した彼らだが、2017年2月の主催ライブでは約250人を動員してSOLD OUTを果たし、“MINAMI WHEEL”にも2年連続で出場するなど、勢いを増し続けてきている。そんな中で今回、レーベル主宰であり、様々なアーティストへの楽曲提供やプロデュースなどで活躍する猫田ヒデヲとタッグを組み、初の全国流通盤となる1stミニアルバムを完成させた。次世代を担う才能と可能性を漂わせる快作を作り上げたメンバー4人&フラっと現れた(笑)猫田ヒデヲに訊く、1stインタビュー。

 

「演奏している時も、“これは自分に歌っているんじゃないかな?”みたいな感覚になることがあって。それが伝染していって、みんなで共有できたと思えた時に“この曲が完成したな”と感じるんです」

●メンバー全員が現在22歳ということは、2015年の結成当時はまだ10代だったわけですよね。

藤原:18歳の時に結成しました。高校時代の先輩たちがオリジナル曲中心のバンドを組んでライブハウスで活動しているのを見て、自分もやりたいと思っていたんです。だから高校を卒業したタイミングで自分がメンバーを集めて、結成した感じですね。

●メンバーは高校の同級生?

藤原:いや、違いましたね。三好と僕は同じ高校だったんですけど、藤川は別の高校でした。軽音楽部の交流会で一緒になることがあったので、ライブを見たことはあって。高校ではみんなコピーバンドをやっていた中で、藤川だけはオリジナル曲をやっていたのでチェックしていたんです。

藤川:僕は当時、同じ高校の仲間と3ピースバンドを組んでいて。交流会に出た時、オリジナル曲も1〜2曲やっていたんですよ。

●お互いに存在は認識していた?

藤川:顔見知りくらいの感じでした。でも僕も“(藤原の)ベースが上手いな”と思っていたので、TwitterのDMでバンドに誘ってもらった時はめっちゃ嬉しかったですね。だから何の迷いもなく“やりましょう!”と返信して、結成に至りました。

藤原:Twitterをフォローしたらすぐリフォローしてくれたので、“一緒にバンドをやりませんか?”とDMを送ったんです。

●藤原くんの中で、何かやりたいビジョンがあったんですか?

藤原:特にそういうものはなかったんですけど、ギターロックを主体にしたいなとは思っていて。藤川はキャッチーなメロディを歌う印象があったので、それを活かしたバンドがやりたいなとは考えていました。

●三好くんは、いつ加入したんですか?

藤原:最初はもう1人のドラムと3ピース編成でオリジナル曲をやっていたんですけど、やっていることが3人では表現しきれない感じになってきて。“もう1本ギターを入れたほうが良いよね”となった時に、高校が同じだった三好を誘ったんです。

三好:元々、僕は邦楽よりも洋楽をよく聴いていて。特にインストゥルメンタルのバンドが好きで、そういう曲を個人で演奏していたんです。だから最初はバンドにあまり興味がなかったんですけど、聖樹(※藤原)に誘われて音源を聴かせてもらったら“めちゃくちゃ良いな!”と思ったので加入することにしました。

●M-6「DIVER」のイントロはテクニカルな感じがしますが、そこは三好くんのルーツから来ている?

三好:そうですね。ああいうテクニカルなものも好きなんですけど、最近ではオクターブコード一発とかのほうが気持ちも入るし、カッコ良いなと思うようになってきて。脳内リフレインに入ってから、自分の音楽性も変わってきましたね。今は藤川のメロディラインに沿って自分はこう弾いたほうが、歌詞が前に出るんじゃないかといったことを考えながらフレーズを作っています。

●なるほど。輪田くんはどういう経緯で加入したんでしょうか?

藤原:輪田は、途中から参加したんです。

輪田:元々、脳内リフレインには別のドラムがいて、その体制でわりと長く活動していたんです。2018年の1月に前のドラムが脱退したんですけど、僕も同じくらいのタイミングで別のバンドを脱退することになって。上手くタイミングが重なったこともあって、同じバイト先で働いていた藤原に誘ってもらいました。

●バイト先が同じだったんですね。

藤原:バイト先でお互いのバンドのことを話していたので、状況は知っていたんですよ。そういう中で僕と輪田は、バンドに対するモチベーションの強さが合っているなと思っていて。

輪田:2人ともバンドに対する熱量が一致していたので、心の中では“一緒にやりたいな”という気持ちがあったんです。脳内リフレインの音楽も好きだったので、そのタイミングで一緒にやらせてもらうことになりました。

●その結果、偶然にも同い年の4人が揃ったと。

藤原:本当に運命的な出会いでしたね。

●曲作りは全員でやっているんですか?

藤原:全員でセッションから作ることもあれば、藤川が持ってきた曲を元に作っていくこともあって。そのどちらかが多いですね。

藤川:メロディは基本的に全部、僕が考えています。

●輪田くんが昨年1月に加わったことで、変化が生まれた部分もあるんでしょうか?

輪田:最近になって、曲が徐々に変わってきましたね。僕は元々メロコアから始まって、海外のパンクやミクスチャーロックをよく聴いていたんです。まだ加入する前にM-2「You’re my HERO」を聴いた時にメロコア的な要素があるなと感じていたんですけど、僕が入ったことでそういう匂いがさらに増したところはあるかなと思います。

●確かに「You’re my HERO」は2ビートで、メロコア的な匂いがありますよね。

藤原:元々はギターロックを中心にやっていたんですけど、“メロコア的な2ビートもやってみたいよね”という話になって。それでセッションから作ったのが、「You’re my HERO」だったんです。すごく良いなと思ったし、そこで見えたものもあって。

藤川:輪田が入ってから、そういう部分での幅が明確に広がった感じがします。

●音楽的な幅が広がったと。「You’re my HERO」は、父親に向けて歌った曲だそうですが。

藤川:僕は父親が苦手で、元々はあまり喋ることもなかったんです。でも両親が離婚してから自分が親代わりの立場になった時に、家族を支えることの難しさを思い知って。“こんなに難しいことを親父はしていたんやな…”と気付かされたところで生まれた尊敬の念を、自分なりに言葉にして歌ったのが「You’re my HERO」ですね。

●実体験に基づいているんですね。

藤川:自分の歌詞に関しては、実体験に基づいているものが多くて。今作の収録曲も、僕の実体験がほとんどの歌詞に組み込まれているんです。特にM-3「ありもしない」の歌詞は悩みに悩んでスタジオで泣いてしまったくらい、思い入れが強くて。脳内リフレインの歌詞には、僕のリアルが出ている感じがします。

輪田:それは僕らもめちゃくちゃ感じますね。

●「ありもしない」はそういった苦悩が見える歌詞ですが、M-1「一直線」やM-4「君はまだ強くなれる」はすごくポジティブな印象があります。

藤川:どちらかと言えば、僕はネガティブな人間なんですよ。歌詞もハッピーな時には書けなくて、落ち込んでいる時に書くことが多いんです。「君はまだ強くなれる」も、自分が落ち込んでいる時に作った曲ですね。

●“君”と歌っているけれども、自分自身を励ましているような感じでしょうか?

藤川:本当にそうだと思います。それが聴いている側にも響くみたいで、ライブで聴いてくれた人からも“歌詞が良かった”と言われることが多いですね。

輪田:演奏している時も、“これは自分に歌っているんじゃないかな?”みたいな感覚になることがあって。それが伝染していって、みんなで共有できたと思えた時に“この曲が完成したな”と感じるんです。

三好:藤川も自分自身に向けて歌っているなと思いますし、曲を聴いていると“自分にもそういうところがあるな”という部分がどんどん出てきて。ライブ中にも感情が込み上げてくる瞬間があるので、それをしっかりと音に出してリスナーに届けたいという想いもあります。

●M-5「匿名希望」のイントロはちょっと民族音楽っぽいテイストですが…。

ヒデヲ:あれは僕ですかね(笑)。

●ヒデヲさんのアイデアだったんですね。ああいう表現にした理由とは?

ヒデヲ:藤川が書く歌詞は誰かに向けてのメッセージというよりは、“日記”みたいなものだと僕は思っていて。自分自身に今まで起こったことを書いて、それを誰かに知ってもらいたいということだと思うんですよ。それを言葉だけでは上手く言い表せないから、音楽というツールを使って表現しているというか。今回の制作に携わる上で、楽曲を使って歌詞の想いをできる限り上手く伝えられないかなと考えていたんです。もっと歌詞に寄り添ったアレンジにできないかなと考えた結果、ああいう形になりました。

●歌詞の内容から、あのアレンジが浮かんだ?

ヒデヲ:この曲の歌詞は、“誰かに対してこう言いたい”というものではないと思うんですよ。自分の中にもあるし、誰もが内面に持っているような部分に対する“葛藤”を歌っていて。葛藤ということはつまり“行ったり来たり”しているわけなので、それを表現するものとしてこの曲のイントロで声のギミックを入れたりしています。本人たちの想いをより明確に表現するためにああいうアレンジにしたら、上手くハマったという感じですね。

●藤川くん自身も普段は内に秘めているものを、音楽を使って表現している感覚がある?

藤川:それはすごくあると思います。元々、自分はずっと家にいて、あまり外に出ないタイプなんですよ。どちらかといえば友だちと遊びに行くよりも、1人でいたい人間だから。でもメンバーと一緒にバンドをやっていくうちに、音楽を通して自分の気持ちを出せるようになったところがあって。それをちゃんとリスナーにも届けることができたら良いなと思っています。

ヒデヲ:藤川みたいな性格の人は、たくさんいると思うんですよ。一見すごく明るい人でも、何か胸に秘めた想いがあるわけだから。藤川が内面に秘めている部分を自分で頑張って吐き出そうとしているのを、メンバーが上手くサポートしていて。それをさらに明確にして届けるために曲を作って、ライブをやっているんだと思いますね。

●“人に届けたい”という想いが強いのかなと感じます。

藤川:結成当初から、そのことはずっと言っていて。聴いている人たちにしっかり届くようにしたいというのはみんなで話していたので、そこは自分の中で一番強いと思います。

●“届ける”という部分も含めて、今回はヒデヲさんと一緒に作業したことで、自分たちの良さを引き出してもらえた部分があるのでは?

藤川:自分が伝えたいことをより増幅させて、わかりやすくしてもらえた感じがします。普通は誰かと一緒にやると、絶対にどこかでぶつかると思うんですよ。でも今回は、そういうところが本当になくて。ヒデヲさんに“こういうことをやってみようか”と言われてやってみたら、すごくハマることが多かったんです。

輪田:ヒデヲさんは僕らがやりたいことを見据えた上で一緒に作業して下さっているので、自分たちのしたいことを上手くやらせてもらえている感覚があるんです。“これとこれを合わせると、こんな混ざり方をするんや!”という驚きがあって、みんながどんどんワクワクしていくというか。そういう中で僕らのバックグラウンドにあるものを、良い具合に引き出してもらいましたね。

●初の全国流通盤ということでバンドとして第一歩を踏み出したわけですが、タイトルの『NEVER SAY NEVER』にはどんな想いを込めたんでしょうか?

藤川:タイトルは今作を作るとなった当初から考えていたんですけど、ストレートに“決して諦めないで”という意味ですね。“ここからしっかり進んでいくために頑張っていこう”という意味も込めて、このタイトルを付けました。これからも諦めずに進んでいきたいと思っているから。

●4月からは全国ツアーも予定されています。

藤原:僕らは最近、特にライブに力を入れていて。ポジティブな曲もあればネガティブな曲もあるけど、ライブは熱くてエモーショナルな感じでやっているんです。そのライブを自分たちの武器にしていく目的もあって今回は初めて全国をまわるので、もっとたくさんの人に知ってもらえるキッカケにしたいですね。

藤川:ツアーで自分たちのエモさや熱さを増して、ファイナルではパワーアップした姿をリスナーの皆さんに届けたいなと思っています。

Interview:IMAI

 

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