2019年、9人体制で新たに始動したBiSがメジャー4thシングル『Are you ready?』を3/20にリリースする。2018年はJリーグ方式を取り入れた“BiS.LEAGUE”の開催に伴い、BiS1stとBiS2ndの2組に分かれて活動してきた彼女たち。その間にリリースされた『Don't miss it!!』と『アゲンストザペイン』という2枚のシングルがいずれもセールス的に好結果を残す中でも日々、1stと2ndの座を巡ってグループ内で熾烈な競争を繰り広げてきた。そして年末の12/29にZepp Tokyoで開催された“I don't know what will happen TOUR”のツアーファイナルではBiS.LEAGUEの廃止と共に、アヤ・エイトプリンス、ネル・ネール、YUiNA EMPiRE、ムロパナコ、トリアエズ・ハナへの戦力外通告という衝撃的発表が…。元旦にはネル・ネールの脱退が発表され、9人体制で動き始めた新生BiSの第1弾シングルとなるのが、今回の『Are you ready?』だ。表題曲は3つの楽曲から構成された、11分24秒にも及ぶ超大作。しかも世界規模で人気を博するTVアニメ『遊☆戯☆王VRAINS』のエンディング曲にも選ばれ、さらなる飛躍を予感させるには十分すぎる作品となっている。リリース後には“WACK合同オーディション2019”も控え、ますます予測不能な未来に向かって一心不乱に突き進む9人の心境に迫る、表紙&10,000字超ロングインタビュー!
「サビの“行かなくちゃ何度だって胸が躍るよ”という歌詞が、すごく(自分の中に)入ってきたんです。つらかったけれど、この9人でライブができて楽しかったんですよね。“何回だって楽しいな”と思えたので、頑張ろうと思いました」
●昨年末のZepp Tokyoで“BiS.LEAGUE”の廃止が発表されて、9人体制では初インタビューになりますね。2018年はほぼ1年を通じてBiS.LEAGUEで競い合ってきたわけですが、その中で得られたものもあったんでしょうか?
ハナ:私はメンタルが強くなりました。(順位の)中間発表を毎日のようにされていたし、自分が入ってから1年間ずっとそういう環境だったので、かなりメンタルが強くなって。“もう何があってもイケる!”っていう感覚になりましたね。
●ハナさんにとっては、加入した矢先の出来事だったという…。
ハナ:BiSに入ることが決まって“ヤッタ〜!”となっていたら、BiS.LEAGUEが始まることになって“ええっ…!?”みたいな。最初に言われた時は“マジか?”っていう感じだったんですけど、今振り返ると自分にとって良い経験になったんじゃないかなと思っています。BiSじゃなかったら、経験できなかったことだから。
●今では良い経験だったと思える。
ペリ:その当時は目を背けたかったこともたくさんあったんですけど、今は1つになって頑張れているから。“今のためにBiS.LEAGUEがあったんだな”って感じられるし、今後この経験をもっと活かしていきたいですね。
ゴ・ジーラ:私は、BiS.LEAGUEというもの自体がすごくありがたいことだったなと思っていて。
●“ありがたい”というのは?
ゴ・ジーラ:新メンバーがたくさん入る前のBiSは(グループ内で)“誰にも負けない”という気持ちが足りないところに弱さがあって、そこをずっと指摘され続けていたんです。でもメンバーと一緒にやっていると、そういうことがどうしてもできなくて悩んでいる部分がずっとあったんですよね。そんな中でわかりやすく(チームを)分けることで、“こうすれば負けん気も出るでしょ?”という感じで制度化してくれたのがBiS.LEAGUEだと思っていて。
●メンバー間の競争意識を自然と促す制度だったと。
ゴ・ジーラ:BiS.LEAGUEはBiS内での闘いだから、負けん気を出さないと面白くない制度じゃないですか。そこで“ああ、こういうことだったのか”と気付けたんです。制度を作ってくれたことで目に見えてわかったし、それまで注意されていたことに対してもやっと理解ができました。
●実際にグループ内に、競争意識は生まれたんでしょうか?
ミュー:BiS.LEAGUEをやっている時は“この〜!”みたいな(張り合う)感じもあったんですけど、私は“誰かを追い越したい”とかじゃなくて、自分を良くしていった結果としてお客さんにも認めたもらえたら良いなと思っていたんです。BiS.LEAGUEが終わった時に全員が成長できたのかなと感じられたし、自分自身も成長できたので、今となっては良かったなと思います。
●YUiNAさんはどうでした?
YUiNA:私は正直言って、苦しかった…。同じBiSでも1stと2ndで違う活動をしていたし、ライバルでもあって。お互いにそれぞれの場所では成長できたけれど、“1つになりたい”と思うことはありましたね。
●苦しい想いもあったと。ムロさんは?
ムロ:良くも悪くも、楽しい1年でした。私はすごくプラス思考の人間なので、BiS2ndにいた時にどんなマイナスなことがあっても、ずっと“プラス”に考えていたのですごく楽しかったんですよ。でも悪く言えば、楽しかったから自分の中に闘争心はあまりなかったんです。今思えば、“(自分は)2ndだったのに…”というところはあって。
●闘争心が自分の中から湧いてこなかった?
ムロ:そうですね。“お客さんを楽しませる”という気持ちが一番だったから。でも今もまだ楽しいし、何をしていても楽しいです(笑)。
●まさにどんな状況でも楽しめている(笑)。アヤさんは1stと2ndを両方経験したことで、感じたこともあるのでは?
アヤ:1stと2ndでは全然、色も違っていて。どちらも体験したことで、両方の気持ちがわかるところはあると思います。でも私は目の前のことにしか向き合えないタイプだし、他のグループのことはあまり考えられなかったんです。だから“2ndの時は2ndのこと、1stの時は1stのこと”みたいな感じで、とにかく自分の今いるグループを良くしようと思っていました。あと、BiS.LEAGUEでは“BiS”というものに対して考える機会が多かったかもしれないですね。“自分はBiSで何をしたいんだろう?”とか、そういうことをすごく考える時間になりました。
●他のメンバーも、BiSのことをより考えるようになったんでしょうか?
キカ:私はずっと2ndだったんですけど、すごく負けず嫌いな性格なので悔しかったんですよ。でも最初は“BiS.LEAGUEにどういう気持ちで向かっていくか”というところや“どう闘っていくか”というところで、迷いがあって。ああでもないこうでもないと色んな考えを巡らせながら闘っていた中で、最後にやっと“これだ!”と気付けた感じでしたね。
●最後に気付けたこととは?
キカ:“悔しい”という気持ちを持つことも大事なんですけど、それだけじゃないなっていうことに気付いて。もっとBiS全体として見ることが大事なんだと気付けたんです。そこはBiS.LEAGUEをやって良かったことだなと思います。さっきムロは闘争心があまりなかったと話していたように性格は違っても、各々で気付けた部分があったと思うんですよ。
●色んなタイプの人間が集まっているので、メンバーごとに違う気付きがあるというか。パンさんはどうでしたか?
パン:全体的に見ると、成長できた部分が大きかったですね。私が2017年にBiSに入った当時はプー(・ルイ)ちゃんや(カミヤ)サキちゃんもいたので、自分の主張や態度を表にあまり出してこなかったんです。とにかく目の前のライブのことだけを自分は考えていたというか。
●当時は前面に立って、引っ張ってくれるメンバーがいたわけですよね。
パン:だから今思えば、(当時の自分は)“ただ踊って歌っていただけだな”っていうくらいの尽力しかできていなくて。そのまま2年間やってきてしまっていたので、“BiSに対して何もできていなかったな”と思うんです。それで去年のオーディション合宿にBiSの代表としてペリと一緒に参加した時に、“自分はまだまだだな”と感じたんですよね。
●去年の合宿に参加したことで、自分の至らない部分を実感した。
パン:そこから合宿をペリと2人で何とか乗り越えた先の、BiS.LEAGUEだったんです。最初の暫定BiS1stには(自分以外に)ゴ・ジーラと新メンバー2人しかいなかったので、私は危機的状況だと感じたんですよ。グループの半分も新メンバーで、“どうしたら良いんだ?”と思って。
ゴ・ジーラ:あと1人もこんなヤツだしね(笑)。
パン:いやいや、そんなことないよ(笑)。
●ハハハ(笑)。
パン:でも確かに、それまでのゴ・ジーラはおとなしくて…。
ゴ・ジーラ:当時は、誰とも喋らない感じだったんです。私も“ヤバい!”とは思っていましたね。
パン:そこからウチらも“頑張ろう!”となりました。
●暫定BiS1stがあのメンバー構成だったことで、危機感も生まれたわけですね。
パン:そこでとても変われたことで、結果的に成長できたんです。BiS.LEAGUEの開催中は1stと2ndに分かれてライブもしていたことで、やっぱり“負けたくない”という気持ちはあって。そういう新たな気持ちを知れたことで成長できた、良い期間だったなと思います。もう1回はやりたくないけど…。
●もう十分だと(笑)。
ペリ:話題にはなったし、今思い返せば“良かったな”とは思いますけどね。
パン:やっぱり後になって、“あの時もっとこうしていれば…”というものはたくさん出てきちゃうものだから。でも考えに考えて、知恵を振り絞って、頑張りたいなという気持ちもBiS.LEAGUEで再確認できたので良かったです。
●BiS.LEAGUEを通じて、グループの結束が固まった部分もあるのでは?
パン:12/29のZepp Tokyoワンマンではまた全員で活動することが発表されたり、戦力外通告だったり、本当に色んなことがあって。その次のライブが1/3に入っていたんですけど、その間にネル(・ネール)が脱退してしまったこともあって、毎日が猛練習だったんです。それまで私は(BiS.LEAGUEで同じチームに入ったことがなかった)YUiNAやミューとはあまり関わっていなかったけど、その期間で急速に近付けたというか。そういう意味で、ピンチをチャンスにできたかなって思います。
●短い期間で次のライブに備えなければいけない状況だったおかげで、メンバー間での濃い交流も生まれたわけですね。
パン:絶対にそれはあると思います。
キカ:“ヤバい!”という意識は、みんなにありましたね。10人でのフォーメーションを作っていたのに、それを練習している途中で9人になっちゃったので、歌割りも“どうする?“みたいな感じになってしまって…。みんなが“ヤバいから頑張らなきゃ”という気持ちになったことで、同じ方向を向けたのかなと思います。
●ネルさんの脱退を、1つの良いキッカケに変えることができた。
ムロ:私はネルがいなくなったことがすごく寂しかったので、その時期の記憶があまりなくて…。みんなが練習中に“頑張ろう”と言って、すごく励ましてくれたのを覚えています。
ミュー:ムロが本当につらそうだったので、私も“どうしたら良いのかな?”と思っていて。でも9人でまとまらなきゃいけないから、みんなでムロを何とか支えようとしていたことによって団結できていたのかなと思います。
●それくらいムロさんが落ち込んでしまっていた。
ミュー:やっぱり(ムロとネルは)同期だから…。
ハナ:他のみんなも寂しくないわけじゃないんですけど、ムロは特に感情が表に出やすいから。それをみんなで引っ張ろうとしていました。
キカ:もちろんみんなも寂しかったんですけど、BiSのことを考えたら悲しんでいる暇がないという部分も正直あって。それはムロにも私から直接“BiSのことを考えるんだったら、今は悲しんでいる場合じゃないよね?”と伝えたんです。
ムロ:みんなもそういうことを言ってくれたんですけど、本当に何も耳に入ってこなかった…。
●そこからどうやって立ち直ったんですか?
ムロ:1/3の“WACKなりの甲子園”で「アゲンストザペイン」をやったんですけど、最初のほうで私とペリとパンちゃんが近付くところがあって。そこでパンちゃんが“大丈夫、やれる!”と叫んだんです。あれで我に返ったところはありますね。
パン:もう(不安が)顔に出ちゃっていたから…。しかも後半の曲でもあったので、とっさに声が出ましたね。衝動的というか、反射神経的な感じでした。
●1/3のライブを乗り越えた後で、心境の変化はありましたか?
ムロ:ありました。1/3のライブを迎えるまでは、“もうダメだ”と思っていたんですよ。“この先どんなに楽しいことがあっても、この悲しい気持ちは消えないだろうな”と思っていたくらい悲しすぎて…。その日のライブで「BiSBiS」を3連発でやったんですけど、3回目のAメロでペリが“素敵なお話があるんだよ〜!”って叫んだのが耳に入ってきた時に“確かに!”と思ったんです。
●というのは?
ムロ:“どんどん変わっていっても、何回だって新しい素敵なお話が始まるんだ”と思えて。サビの“行かなくちゃ何度だって胸が躍るよ”という歌詞が、すごく(自分の中に)入ってきたんです。つらかったけれど、この9人でライブができて楽しかったんですよね。“何回だって楽しいな”と思えたので、頑張ろうと思いました。1/3のライブだけで、すごく変わりましたね。
●他のメンバーにとって、1/3のライブはどうでしたか?
ペリ:私は元々、ワクワクしていたんです。(1stと2ndを)合体したいと思っていたので、みんなで練習できるのも嬉しかったですね。その場にいっぱい人がいるという事実自体が嬉しかった。
アヤ:私も1/3のライブは“みんないる〜!”みたいな感じで、すごく嬉しかったです。1stも2ndも両方合わせて、“この9人で最高なグループをこれから作っていこう”と思った日でした。
●そういう気持ちになりつつも、年末のZepp Tokyoでは“戦力外通告”もあったりして…。
ゴ・ジーラ:“ポカーン…”ですよね。リハーサルとは全然違う言葉を渡辺(淳之介/WACK代表)さんが話していたので、“え…?”みたいな感じで。メンバーみんなが口を開いている姿が、会場のモニターにも映っていましたね(笑)。
ペリ:誰1人、(話に)ついていけていなかったです。
●急な展開すぎて(笑)。
ゴ・ジーラ:“戦力外通告”という言葉の意味はわかるんですけど、“BiSに対する戦力外通告とはいったい何なのか?”ということがその場ではすぐ理解できなくて。“何を言っているんだろう…? どうしよう…?”みたいな感じでした。
●実際に戦力外通告を受けたメンバーはショックだったのでは?
ムロ:私は戦力外通告を受けたんですけど、今はもうワクワクしています。“戦力外通告”っていうだけで注目されるじゃないですか。注目されるっていうことは、チャンスだと思うから。
アヤ:私も最近までちょっと落ち込んじゃっていたんですけど、“落ち込んでいてもしょうがないや”と思って。なるようにしかならないし、とにかく合宿で頑張って、この9人のBiSを確立させようと思ったんです。“合宿後もこの9人で行けるように頑張るしかないな”と考えられるようになりましたね。
●戦力外通告を受けたメンバーは3月のオーディション合宿にも参加するので、そこに向けて前向きにならないといけないわけですよね。
ハナ:合宿はBiSだけ4人も行けちゃうので、みんなに4倍BiSのことを好きになってもらえるチャンスだなと思っていて。オーディションを受けに来た子たちの背中も押してあげたいし、BiSのことを好きになってもらえるように頑張りたいなと思います。
「実際、私たちはハッピーなことだらけじゃないから。色んなことを(渡辺さんに)起こしてもらっているんですけど、それに振りまわされながらも頑張っているのがBiSというイメージがあって」
●さて、そんな色んなことがあった上でニューシングル『Are you ready?』を今回リリースするわけですが、表題曲は3つの楽曲から構成された全11分24秒もある超大作という…。
ゴ・ジーラ:いや〜、狂っていますよね(笑)。
ペリ:最高です。“(これぞ)BiS”って感じ。
●BiSならではのシングル曲というか。しかもこの曲は、TVアニメ『遊☆戯☆王VRAINS』のエンディング曲にもなっているんですよね。
キカ:11分24秒ある曲をアニメサイズの1分半にしなくちゃいけないので、(実際の放送では)途中から始まります。でもそれは色んな曲調がある中の一部分にすぎないので、『遊☆戯☆王VRAINS』で“この曲、良い!”と思って下さった人がCDを聴いたら“マジかよ!?”と思ってもらえるんじゃないかなって(笑)。
ペリ:まず歌い出しから違うので、“本当にこの曲かな?”ってなると思います。(アニメのエンディングでは)Bメロから始まるんですよ。
ゴ・ジーラ:“これじゃなかった”と思って、途中で止められるかもしれない(笑)。
●ハハハ(笑)。人気アニメのエンディング曲ということで、今までBiSのことを知らなかった人にも届くキッカケになりそうですね。
ゴ・ジーラ:届くと良いですね。
ペリ:子どもに届いて、その親にも届いて、親子でライブに来てもらえたらお客さんが2倍になるっていうことですからね。
●長く続いている作品なので色んな世代に支持されているというところも、良い影響につながるのかなと思います。
ハナ:子どもだけじゃなくて、大人も見ているアニメですからね。
ペリ:子どもや大人というところだけじゃなく、海外にも進出できるキッカケになれば良いなと思います。
●世界的にもファンが多いアニメですからね。
ペリ:聴いてもらえたら、色んな層の人に“おっ!”と思ってもらえる曲だと思うんですよ。
キカ:この曲にはQUEENや色んな音楽へのリスペクトが盛り込まれているので、音楽好きな方にも届いたら良いなって思います。
ムロ:(他にも)マキシマム ザ ホルモンみたいな部分やMy Chemical Romanceみたいな部分もあるんですよ。
●特に今回はQUEENへのオマージュが、たくさん盛り込まれているそうですが。
ペリ:11分24秒という楽曲の尺も、QUEENのフレディ・マーキュリーの命日(※11月24日)につながっているんですよ。QUEENのファンの方なら、そこも“おっ!”と思ってもらえるんじゃないかな。
キカ:そういうところからこの曲を聴いてもらって、BiSの他の曲にも興味を持って頂けたらなって思います。
●BiSでは今までも色んなオマージュをしてきましたが、そういう流れも踏まえているわけですよね。
キカ:そうですね。振り付けに関してもペリが要所要所に、過去のBiSの曲の振り付けを取り入れてくれているんです。
ペリ:“BiSの歴史”みたいな感じになっています。せっかく1つになった今だからできることみたいな感じで、「BiSBiS」から始まって「Don't miss it!!」までの振り付けをパートごとに取り入れてみました。
●9人体制になった今のタイミングだからこそという想いも込められている。
ペリ:はい。本当のことを言うと、曲の尺が長すぎて(振り付けを)思い付かなかったというのもあるんですけどね(笑)。でも色んな曲の振り付けを取り入れたことで良い感じになったし、エモさも出たんじゃないかな。あと、最後の部分の振り付けはムロが考えてくれたんですよ。
ムロ:最初の“パパ”というところのポーズも、私が考えました。そこはQUEENのファンは絶対にわかると思うし、誰でも見覚えがあるような形になっています。
●ムロさんのアイデアも取り入れられていると。
キカ:元々この曲を頂く前に、ムロが急にQUEENにハマり始めて…。『ボヘミアン・ラプソディ』の映画を1人で何回も観に行ったりしていたんですよ。
●あ、『ボヘミアン・ラプソディ』がキッカケでハマったわけではないんですね?
ムロ:そうじゃないんです。たまたま「We Will Rock You」を聴いて、“この曲を歌っているのは誰なんだろう?”と思って調べたらQUEENで。そこから「Bicycle Race」とかも聴いて、めっちゃハマりました。それがちょうど『ボヘミアン・ラプソディ』が公開されている時期で、そんなところにちょうどこの曲が来た…という感じで。
キカ:運命だよね。
●ちょうど世の中的に『ボヘミアン・ラプソディ』が流行っている時期と重なったと。
ムロ:渡辺さんは実際に映画を観に行った時に“これ良いじゃん”と思って、その日に松隈(ケンタ)さんに電話したそうです。私も映画のことは渡辺さんから教えてもらって、観に行ったんですよ。
●なるほど。QUEENへのオマージュを感じる部分も大いにありつつ、“ねぇパパ 殺していいですかい?”という歌詞も強烈な印象を残しますが…。
YUiNA:“パパ”は完全に渡辺さんのことですね(笑)。
ペリ:実際、私たちはハッピーなことだらけじゃないから。色んなことを(渡辺さんに)起こしてもらっているんですけど、それに振りまわされながらも頑張っているのがBiSというイメージがあって。その状況を渡辺さんが、私たち目線で書いてくれたのかなって思います。
●メンバーの想いを代弁するような歌詞になっている。
ペリ:私たちの想いを汲み取って、歌詞にしてくれたんだろうなっていう感じがしますね。
●そういう歌詞だから、気持ちも込めやすいというか。
キカ:私はラスサビの後の“死にたい”というところを歌わせてもらっているので、歌詞のとおりの気持ちで歌っています。
ペリ:その最後の部分が、私もすごく好きですね。“〜したい”という欲求を歌った歌詞なので、素直に自分の気持ちを出していて。人間らしさが出ているというか。
ハナ:自然に気持ちが入っちゃう。
ゴ・ジーラ:ライブになると感情が変わるから、歌詞も変わるかもしれないです。
●“死にたい”という言葉は、“生きたい”からこそ発するものだと思うんですよ。軸には“これからも前に進んでいく”という気持ちがある曲なのかなと感じました。
ゴ・ジーラ:“生きる”の中に“死ぬ”がありますからね。
ムロ:確かに…! 意味がよくわかっていないですけど、そうだと思います(笑)。
●何となく共感した(笑)。
ゴ・ジーラ:そもそも生きていないと、死ぬこともできないから。だから“死にたい”ということは、“生きたい”ということなんですよね。
ムロ:なるほど…。
●そうやって歌詞に対する解釈も9人それぞれで違うから歌にも色んな感情が乗って、面白いものになるんでしょうね。
YUiNA:歌割りに関しても、ちゃんとそれぞれの個性に合った部分が選ばれているなと思って。本当にこの9人だから表現できる歌を頂けたなって思います。
ゴ・ジーラ:私は、YUiNAの“And now you do what they told ya”のところが好きなんですよ。“ナゲット割って父ちゃん”って聞こえるんですけど、“絶対にそんなこと言っていないだろ?”ってなる歌詞ですね。
ペリ:(歌詞カードを)二度見しちゃうと思う。
キカ:これも元ネタがあって(※Rage Against the Machine「Killing in the Name」)、『タモリ倶楽部』(テレビ朝日)の空耳アワーで取り上げられた部分をそのまま引用して使っているんです。
ハナ:みんなでその『タモリ倶楽部』の映像を見てから、レコーディングしたんです(笑)。
●意図的に“ナゲット割って父ちゃん”と聞こえる歌い方に近付けている。
YUiNA:そうですね。でも歌詞を見ながら聴いたら、たぶん気付かないかもしれない。歌詞を見ながら聴いてみるのも面白いと思います。
●本当に色んな仕掛けがありますね…。
ムロ:しかも今回はパンちゃんが作曲した部分もあるんですよ。
●えっ、そうなんですか?
パン:“鳴り止まない頭の数だけ〜”のところなんですけど、最初はまさに「We Will Rock You」のメロディそのままだったんですよ。それはちょっと著作権的にまずいということになって…。
●それはそうでしょうね(笑)。
パン:レコーディングブースに入ってそのパートを歌うとなった時に、松隈さんに“このままじゃまずいけん。パン、その場で作曲して歌って”と言われて。
キカ:一発録りでこのメロディに変わったという。横で聴いていたんですけど、一発録りなのにすごく良いものができて。“めっちゃ良いや〜ん!”ってなりました。
●即興で作ったものがすごく良かったので、そのまま採用されている。
パン:自分でも“絶対にこれだ!”と思いましたね。作曲料として500円もらえるんです(笑)。
●500円なんだ(笑)。でも自分で作った部分があるという意味でも、曲への思い入れが深まったのでは?
パン:そんなに“作曲するぞ!”という意識はなかったんですけど、参加した感はちょっとあって。初めてやったことだから、面白かったです。
●今後はメンバーが作曲したりも…?
パン:やりたいですね! ギャンパレ(※GANG PARADE)もやっているので、BiSもやりたいです。これだけ人数がいたら、面白いものが絶対に出てくると思うんですよ。色んなタイプの曲ができると思うので、挑戦してみたいです。
●そういう意味でも1つのキッカケになる曲かもしれないですね。そしてカップリングの「BiSBiS」は今、この9人で再録することに大きな意味を感じました。
ハナ:さっきムロも話していた“行かなくちゃ何度だって胸が躍るよ”という歌詞に関しても、この9人になったタイミングだからこそ、より感情を込めて歌うことができたと思います。
ミュー:本当に「BiSBiS」は、“始まりの歌”だなっていう感じがしました。
YUiNA:私も“この9人でまた始まるぞ”って思いました。
パン:それぞれの合宿で歌っているから、みんなにとって思い入れの深い曲なんですよ。
ペリ:みんなの“始まりの歌”だよね。
●今のBiSにとって“始まりの歌”だという共通認識がある。
ゴ・ジーラ:前のBiSもそうだったんですけど、再始動してからのBiSでもメンバーが抜けたり入ったりして、その都度で形を変えながらここまで続いてきたグループなんですよ。その度に「BiSBiS」を歌って、新たに始めてきたんです。そういう意味でも、この曲を歌うと毎回“始まり”っていう感じがします。
ペリ:最初はプーちゃん1人だったんですけど、本当に初期からずっと歌い続けてきた曲なんです。
パン:『Brand-new idol Society 2』(アルバム/2016年11月発売)の時の「BiSBiS」とは、メンバーも今とは全然違うじゃないですか。色んな体制があったんですけど、その中でずっと歌い継がれてきた「BiSBiS」をこの9人でまた再録できたということがとても嬉しいです。
●歌い継がれてきた大事な曲を今の9人で、新たな形で生まれ変わらせたというか。
ペリ:歌割りがすごく変わったんですよ。私は前に歌っていたところと同じ箇所が1つもなくて、“自分自身も前とは違うんだな”と思いました。前とは違うパートを任されるようになったということで、改めて“ここまで来たか”ということをすごく感じられて。
●自分自身の成長や進化も感じられる。
ペリ:「BiSBiS」は“始まりの歌”だとみんなも言っていましたけど、今の9人で再録したということは“ここから始まる”ということだと思うんです。だから、すごく大事に歌っていきたいですね。あと、最後にアヤの“イェーイ!”という声が入っていて、そこも変わったところですね。
アヤ:「レリビ」を再録した時にも、最後の“オオオオオ〜”のコーラス部分を旧BiSの時とは違うアレンジにしようと松隈さんが言って下さって。今回の「BiSBiS」もまたそういう感じにしてもらったんです。本当に今「BiSBiS」を再録するということの意味はすごく大きいと思うので、この9人でまたしっかりスタートしていきたいと思いました。
●『Are you ready?』というタイトルはファンだけでなく、メンバー自身にも向けられている言葉なのかなと。ここから9人で新たにスタートしていく準備はできている?
ゴ・ジーラ:できています…怖いですけど。
●怖い?
ゴ・ジーラ:“合宿で何があるのかな…?”っていう(笑)。そういう気持ちもありますけど、“何も起こさせないぞ!”っていう気持ちで今はいます。何が起こっても動じはしないし、ここからみんなで固まって動いていけるように頑張るしかないなと思っていて。全ては自分の招いた結果として3月に訪れると思うので、そこを意識しながら頑張ろうと思っています。
●今作のリリースツアーは合宿後なので、その時のBiSが果たしてどういう形になっているのかという…?
ペリ:合宿が終わってからのツアーなので、本当に怖い…! でも頑張ります。
ゴ・ジーラ:大丈夫。諦めなければ、何とかなると思うから。“戦力外通告”という事柄も含めて、諦めなければ希望はあるはず。だから、大丈夫です!
Interview:IMAI