“みんなの遊び場”をコンセプトに活動する9人組アイドル・グループ、GANG PARADE(略称:ギャンパレ)がニューアルバム『LAST GANG PARADE』を1/8にリリースする。カミヤサキがトレードから復帰し、月ノウサギとハルナ・バッ・チーンも加わった現体制でのお披露目となった4月のZepp DiverCity公演(“GANG 2”)から、9人で突っ走り続けてきた2018年。“再構築”を掲げた“REBUILD TOUR”のファイナルとなった9/20のZepp Tokyo公演も大成功に収める中で、グループとして見えた未来もあったようだ。その日の模様を収めたライブBlu-ray『GANG PARADE oneman live at Zepp Tokyo』には、これまでのシングル曲やアルバムリード曲などを現メンバーで再録したCDも同梱。ライブ映像と合わせて“今”の彼女たちの充実ぶりが伝わる作品を経て、いよいよ現在の9人体制で初のフルアルバムリリースを迎えた。オリコン・シングル・デイリーチャートで1位を獲得した「BREAKING THE ROAD」「GANG 2」「CAN’T STOP」というシングルの表題3曲に加えて、メンバー自らが作詞・作曲を担当した楽曲を含む全10曲収録の今作からは、既に“名作”の匂いが漂っている。2019年の幕開けをド派手に飾る、表紙&巻頭10,000字超ロングインタビュー。
「2018年にギャンパレがこのメンバーで活動していたんだという証をちゃんと世界に残せたから。ネット上にライブの映像は上がっているけれど、やっぱりモノとして残るというのはすごく素敵なことだなと思いました」
●まずは初のライブBlu-rayとして発売された9/20のZepp Tokyoでのワンマン(“REBUILD TOUR”)についてお訊きしたいのですが、ライブ後の感触はいかがでしたか?
サキ:“先の見えたライブだったな”という実感があって。4/17のZepp DiverCity TOKYO(“GANG 2”)の時はそこに向かって必死になっていたので、何よりも“やりきった感”が出ていたと思うんです。でも9月のワンマンはちゃんとメンバーそれぞれが力を出し切った上で、“次”も感じることができたライブだったのかなと思います。自分たちだけじゃなくて、周りのスタッフさんやお客さんに言って頂いた言葉からも、そういうライブができたんだなと実感しました。
●なるほど。ユアさんはどうでした?
ユア:今までのライブって“失敗してはいけない”というか、グループに危機の迫った状況が多かったと思うんです。それこそハルナと月ノが入ってきたばかりのZepp DiverCityでは“この9人での体制をしっかり見せないと、お客さんが遊び人(※ファン)じゃなくなってしまうかもしれない”という危機感があって。でも9月のZepp Tokyoはそういう感じではなくて、“GANG PARADE”というものに自信を持って挑めたライブかなって思いますね。
●ハルナさんも自分の成長を実感できたのでは?
ハルナ:そうですね。良い意味で、点数を付けられないライブでした。お客さんの顔もたくさん見られましたし、ものすごく楽しいと思えたライブだったんです。ライブBlu-rayも見たんですけど、自分のところだけは恥ずかしくて見れない…(笑)。
●恥ずかしいんだ(笑)。楽しいと思えたということは、緊張もあまりしなかった?
ハルナ:はい。本番前もワクワクしていました。Zepp Tokyoだからといって、ガチガチになる感じではなかったですね。
●月ノさんも同じような感覚がある?
月ノ:私もZepp DiverCityとは全然違う感覚で挑めました。Zepp TokyoではMCとコントもあったので自分が担う役割も多くて、そういう意味ではかなり緊張していて…。MCも当日のリハーサル前くらいまでOKが出なくて切羽詰まってはいたんですけど、ライブに対する恐怖心みたいなものはなかったですね。
●Zepp DiverCityの時は恐怖心もあった?
月ノ:Zepp DiverCityの時は“とにかくやらなきゃ!”という気持ちでいっぱいで、緊張と恐怖感が強かったんです。でもZepp Tokyoでは、自分の担っている役割への責任感やプレッシャーのほうが大きくて。それと同じくらい楽しみな気持ちを持って挑めたのは、自分の中で大きな成長だったなと思います。
●先輩のミキさんから見て、ハルナさんと月ノさんの2人はどうでしたか?
ミキ:お披露目の時とは全然違う表情を2人ともしていて、“頼もしくなったな”というのは感じました。ハルナはすごくわかりやすく成長が見えたんですけど、月ノも内面からZepp DiverCityの時とは違うものを確実に見せられたと思っていて。その相乗効果もあって、メンバー9人が1つになったワンマンをできたということがすごく大きいなと思います。今後につながるライブというものを、お客さんにもスタッフさんにもしっかり見せられたのも良かったですね。
●最初にサキさんも言っていたように、“先の見えたライブだった”という実感は全員が共有している?
ミキ:ライブ後に話した時、そういう感想がみんなから出てきましたね。
サキ:“自分は今、Zepp Tokyoに立っているぞ”ということをしっかり理解しながら、良い意味で冷静にライブができている感覚があって。終わった後も“今できることはやりきったけれど、まだ行けるな”という感覚が残っていたのは初めてだったんですよ。それがつまり“先を見ている”ということなのかなと思います。
●マイカさんもそういう感覚があった?
マイカ:本当にみんなが言ってくれたとおりですね。でも始まる前は、私はめちゃくちゃ緊張していて。今までの過程を考えると“夢みたいだな”と思っていたので、“本当に自分がZepp Tokyoに立つのかな?”っていう感覚があったんです。でもライブが終わった時には“今後も自信を持って、このメンバーでやっていけるな”という気持ちが湧いてきました。
●今後への自信が湧いてきたと。
マイカ:先が全く不安にならないというわけではないですけど、自信に満ち溢れたような感覚をライブ後に初めて味わえたんです。このメンバーでツアーもまわってきた上でのファイナルだったこともあって、“やっと9人での形が見え始めたな”という感覚はありました。
●ライブBlu-rayを見ることで、改めて当日のことを客観的に振り返ることができた部分もあったのでは?
マイカ:とりあえず夜中に1人で見たんですけど、メンバーだからこそわかる細かな面白ポイントがめちゃくちゃあって。ハルナはさっき“恥ずかしくて自分のシーンを見れない”と言っていたんですけど、私は逆にハルナがめっちゃ目に入ってきましたね(笑)。
ミキ:他の誰かがメインで歌っている時にその後ろにちょっと映っているだけでも、もうハルナにしか目が行かないような動きをしているんですよ。
ココ:“こんなことしとったんかい!”みたいな(笑)。
●ハハハ(笑)。
ミキ:流して見ている時にも、ふと“何、今の動き!?”みたいな瞬間があって。“ちょっと巻き戻して見てみよう”というところが結構ありました(笑)。
●YouTube上に公開されていた、メンバーの幼少期の写真を取り入れた特典映像も面白かったです。
ドクソン:私たち自身はすぐにわかるんですけど、意外とファンの方からは“どれが誰なのかわかりづらい”という声もあって。
サキ:ドク(※ドクソン)はわかりやすいけどね(笑)。
ユウカ:実は(各メンバーが)歌っているパートのバックに、(当人の)写真が出ているんですよ。ラスサビ以降は違うんですけど、それ以外は歌割りのとおりに写真が出ているので、そういうふうに見てもらえたらわかりやすいと思います。
●声がわかれば、どの写真が誰か判別できる。
ドクソン:…私、その件でまだ誰にも言っていないことがあって。赤ちゃんの時の写真が1人1枚ずつ使われているんですけど、実は赤ちゃんの横に写っている“膝”が私なんです。
●えっ、そうなんですか?
ドクソン:赤ちゃんの頃の弟と一緒に、私が写っている写真を渡したんですよ。でも(スタッフが)赤ちゃんのほうを私だと思ったらしくて…。
ココ:“まさかこっちじゃないだろう”と、思ったんでしょうね。
サキ:これはぜひ載せて頂きたいです(笑)。
●衝撃の初告白が(笑)。今回のライブBlu-rayには現体制で過去の楽曲を再録したCDも付いているので、そちらも聴きどころですよね。
ココ:特に「Plastic 2 Mercy」はアヤ(・エイトプリンス/現BiS)がいた時も、サキちゃんが戻ってきてからの7人体制の時も、どの体制でも必ず1回は世に出しているんです。そんな「Plastic 2 Mercy」を筆頭に、色々と入っていて。月ノとハルナはもちろんなんですけど、私たち(※元SiSのココ、ユウカ、ドクソン)も『Barely Last』(1stアルバム/2016年11月)が発売して1週間後に加入したんですよ。
●『Barely Last』以前の曲に関しては、元SiSの3人が加わったバージョンも初音原化になると。
ココ:今までライブでは聴けていたけど、音源化されていなかった曲を今回収録できたのはすごく良かったなと思います。
ユア:色んな場面のBGMでギャンパレの曲をスタッフさんがかけてくれるんですけど、これまでは月ノとハルナの声が入っていない音源ばかりで。でもこれからは9人での音源をちゃんと流せるというのは、小さなことかもしれないけど、私はすごく嬉しいです。
●ハルナさんと月ノさんはどうですか?
ハルナ:やっぱり自分の声が恥ずかしくて…。
ミキ:恥ずかしがり屋だな〜(笑)。
●やっぱり恥ずかしいんだ(笑)。
ハルナ:恥ずかしいんですけど、嬉しさも噛み締めながら聴いています。
月ノ:「FOUL」の“9 SOUL”(と歌う部分)が、やっぱり私は嬉しくて。これまでの音源では“7 SOUL”になっていたところを、“BODY & 9 SOUL”と歌っている形で出せるのがすごく嬉しかったですね。
●ちゃんと今の9人での形を残すことができた。
ココ:特典会の時にファンの方から“ココちゃんの生きた証(あかし)が残ったね”と言われた時に私は結構、グッときたんです。2018年にギャンパレがこのメンバーで活動していたんだという証をちゃんと世界に残せたから。ネット上にライブの映像は上がっているけれど、やっぱりモノとして残るというのはすごく素敵なことだなと思いました。
●このタイミングで再録音源を出すというのは、ギャンパレがこの9人で固まったということの証でもあるのかなと…。
ココ:そう信じたい(笑)。
サキ:だと良いなと思います。ここは太字で書いておいて下さい(笑)。
一同:ハハハハハ(笑)。
●そして1/8にいよいよ現体制初の新作フルアルバム『LAST GANG PARADE』をリリースするわけですが、M-7「夜暗い夢」は作曲がハルナさんという…。
ハルナ:SCRAMBLES(※GANG PARADEの楽曲製作を行っているクリエイター集団)さんから送られてきた曲に合わせて、メンバーそれぞれがメロディを付けて。その中から私の提出したものを採用して下さったんです。
月ノ:みんなが送った中で、ハルナのものが選ばれたんですよ。
ミキ:私たち以外にもSCRAMBLESの作家さんたちや(音楽スクールの)生徒さんたちも含めて、色んな人が参加して作曲コンペをやったんです。全部で100曲近く集まったらしいんですけど、その中からハルナの曲が選ばれました。
●それはすごい。
ハルナ:嬉しかったです。ちょうど今日、振り付けも作ってもらったんですけど、すごく良いものになっています。
サキ:私が振り付けを考えたんですけど、ハルナに“何点?”と訊いたら“220万点”って言われました(笑)。
●振り付けもすごく良い出来だったと(笑)。独自のメロディセンスを感じますが、他のメンバーは最初にこの曲を聴いた時どう思いましたか?
サキ:ビックリしましたね。すごく耳に残るというか…。
ココ:1回聴いたら、覚えますね。
ユウカ:1回聴いた後で口ずさんでいたら、ハルナがまた恥ずかしがっていました(笑)。
●やっぱり(笑)。でもみんな1回聴いて覚えるくらい、キャッチーな印象があったんですね。
ドクソン:しかも、クオリティがすごくて。自分で入れた仮歌って大体は字余りだったり、逆にちょっと詰まり過ぎていたりするものなんですよ。でも「夜暗い夢」は、語りの部分の文末まで完璧なタイミングで入っていたんです。
●実は、秘められた音楽センスがある…?
ハルナ:いや、あんまりないです…。
サキ:でもハルナは元々、ベースをやっていたらしいんですよ。
●あ、そうなんですね。
ココ:ハルナはレコーディング中にSCRAMBLESの方から、めちゃくちゃリズム感が良いと褒められていました。
ハルナ:そこはベースのおかげだと思います。
月ノ:音楽的なセンスが元々あるんだと思いますね。
●そのセンスを発揮したと。歌詞はユアさんとの共作ですが。
ユア:歌詞もハルナがメロディをコンペに出した段階で、“春夏秋冬 四季織々”という部分や語りの部分に関してはあって。それを元に1番はちょっとイジって、2番以降は私が書きました。
●ハルナさんの中で歌詞のイメージもあった?
ハルナ:ありました! 川が流れていて、木の家があって、地面は白い砂で、そこを女の子が歩いているような情景を思い浮かべていて。何もない江戸の町みたいな場所を女の子が歩いている姿や、その子の普段の生活を思い浮かべながら書きました。
●“夜が明けても戦国だ”というフレーズは、どういうイメージ?
ハルナ:“花魁(※おいらん)”のイメージがあって。花魁は男の人を誘惑するじゃないですか。男と女の生々しい戦いというイメージで、“戦国”という言葉を使いました。
ドクソン:吉原みたいなイメージですね。
●そういうイメージはユアさんも聞いていたんですか?
ユア:最初に花魁というイメージは聞いていたので、そこから私なりに想像をふくらませて書きました。あとは“春夏秋冬 四季織々”というフレーズがすごく印象的だったので、1番から3番にかけて季語を順番に散りばめています。
●実はそんな仕掛けもあると。M-4「HERETIC」も“飛び道具”的な感じがしたんですが、これは「来了」(※シングル『GANG 2』収録)の延長線上にある曲かなと思いました。
月ノ:「来了」の進化バージョンみたいな感じですね。
サキ:デモの段階からサウンドも松隈(ケンタ)さんの仮歌も、「来了」を連想させるところがあったんです。でも歌詞はわりと大真面目に書いて、レコーディングで飛び道具になった感じですね(笑)。
●サキさんが作詞をした段階では、飛び道具的な感じではなかった?
サキ:そういうふうになるだろうなとは思っていましたけどね。実は「来了」も、歌詞の内容自体は結構まともなんですよ。「HERETIC」に関しても歌詞まで飛び道具的な内容にしちゃうと、狙いすぎているかもなと思ったんです。
●あざとくなってしまうというか。歌詞はどういうイメージで書いたんですか?
サキ:元のオケから韓国の恋愛ドラマっぽいものが浮かんでいたので、そのイメージをしっかり出せる歌詞が良いなと思って書いていきました。そこからレコーディングの時に、松隈さんがディレクションで面白い感じにして下さったんですよ。
●「来了」では、ドクソンさんとココさんの歌い方が特に振り切っていましたよね。
ココ:でも(松隈さんから)言われていたことは、みんな同じだったんですよ。使われた場所的に目立ったのが私たちだったというか。
ドクソン:あの時にフィーリングが一番良く出せたのは私たちだったけど、いつの間にか全員ができるようになったという感じです(笑)。
●今回は全員がそういう歌い方をしている。
ココ:ここまでに「来了」を歌ったり聴いたりしてきたことが、今回は既にベースとしてありましたね。
ドクソン:「来了」の時はまだ恥じらいが感じられたんですけど、今回はみんなが一皮むけたというか、各方向に振り切れていて。それがこの曲には出せているので面白かったです。
「松隈さん自身もこの曲に対する思い入れがすごく強いし、渡辺さんもたぶん同じだと思うんですよ。そういう想いを背負って私たちはこの9人のGANG PARADEで、遊び人のみんなと一緒に成長していきたいなと思っています」
●先ほど月ノさんが言っていた“進化バージョン”というのは、そういうところなんでしょうね。
月ノ:そうですね。あと、「来了」での歌い方を、松隈さんが私の個性として受け取って下さっていて。だから今回のレコーディングでは、全曲でそういう歌い方をしているんですよ。「HERETIC」ではみんながわかりやすくそういう歌い方をしているんですけど、同じように歌っている曲が他にも何曲かあります(笑)。
●全員が恥じらいなく、そういう歌い方をできるようになったというのも大きいのかなと思います。
ココ:それは大きいですね。
マイカ:私も恥じらいはなかったです。「来了」の時はそういう変テコな歌い方に初挑戦だったというのもあって、どこまでやって良いのかわからない部分が正直あったんですよ。でも今回はもう“どこまでやっても良い”ということが「来了」でわかっていたので、ムチャクチャに歌いました(笑)。
サキ:この曲の後で「来了」を聴いたら、歌詞をめっちゃ聞き取れると思います。
●「HERETIC」に比べたら、「来了」はまだ普通に思えるくらいだと。
ココ:「来了」が普通な感じに聞こえるって、ヤバい…。みんな、もう感覚が麻痺しているんでしょうね。レコーディングをしている中で、みんな頭がおかしくなっているんだと思います(笑)。
●サキさんは真面目に歌詞を書いたということですが、音源を聴いただけでは何を言っているのかよくわからないというか…。
サキ:想像を膨らませて欲しいので、まずは歌詞カードを見ずに聴いてもらったほうが面白いだろうなと思いますね。
ココ:音で楽しんでもらいたい。
マイカ:あとで歌詞カードを見て、ビックリして欲しいです(笑)。
●意外と良いことを歌っているぞと(笑)。ミキさんが作詞したM-3「Message」は、ファンへのメッセージを込めている感じでしょうか?
ミキ:まさにそのとおりですね。でも普段からよく来てくれる人たちというよりも、最近ギャンパレを知ってくれた人や、ライブに行こうかちょっと迷っているような人に向けた歌詞になっていて。特にサビでは、“GANG PARADEはこんな感じです!”みたいなものを提示しているんです。
●GANG PARADEのライブを表現している?
ミキ:私たちのライブの前には、基本的にマネージャーがステージ上で注意事項を話してくれるんですよ。“six! 危険なことだけはやめてよ”というのも、その中で“危険行為は禁止です”と説明して下さっていることにつながっていて。この1曲の中で“GANG PARADEはこういうライブをします。こういうことはして良いし、こういうことはダメですよ”というのを伝えられたらなと思って書きました。
●“あのね深夜3時もう眠れないよ”といったAメロの部分は、どういうイメージなんでしょうか?
ミキ:Aメロの部分に関しては、ライブに来るようになったばかりのお客さん自身の心情をイメージしていて。Aメロでは毎日つまらないなと思って過ごしている人が、Bメロで“じゃあ、ギャンパレのライブに行ってみようかな”という気持ちになって、サビで実際に行った…という流れをイメージしています。
●ちゃんとストーリーの流れがあるんですね。
ミキ:一応、そういう感じにはしています。“雨が降っててもパレード”と歌っているんですけど、私たちが野外のイベントに出演する時は雨が降っている確率が高くて。だから“雨が降っていても、パレードにしよう!”という気持ちで歌っています。
●実際のライブ状況ともリンクしている。
ココ:この曲を実際に雨が降っている中で歌いたいですね。“傘をささないでパレード”という歌詞もあるんですけど、ライブ中に傘をさしていると危ないので禁止しているんですよ。
ミキ:そういうところも含めて、お客さん目線で書いています。
●“まだまだ楽しもうぜ 一緒に飛んでいこうぜ”という部分は、メンバー自身にも向けられている言葉では?
ミキ:そうですね。“その空間にいるみんなで一緒に楽しんでいこうよ”という気持ちを書いています。
●M-6「Jealousy Marionnette」はユユ(※ユウカ)さんの作詞ですが、こちらはどういうイメージで?
ユウカ:イヤミったらしくてネチネチした感じを書こうと思って。自分が抱えている“ヘイト”な部分を、歌詞になら出しても良いかなと思って書きました。
●自分の中に“ヘイト”な部分があるんですか…?
ユウカ:でも誰かに対してというわけではなく、世間に対して(思うこと)というか。自分を押し殺して大多数の意見に流されて生きている人が多いから、“そんな生き方で大丈夫?”という想いを書いたんです。
●そういうことを常日頃考えている?
ユウカ:常日頃の不満が出ていると思います(笑)。こういうことって具体的に言っちゃうと、怒られるじゃないですか。だから何とでも捉えられるように、できるだけ抽象的にしようと思って。色んな意味を込めてはいるんですけど、基本的には自分のしたいことをできない人に対して“動く前に不満を言っているだけではダメでしょ”という気持ちで書きました。
●M-8「正しい答えが見つからなくて」はドクソンさんの作詞ですが、これもメッセージ性を感じさせるタイトルですよね。
ドクソン:この歌詞に関しては“意味”というよりも、まずは“耳”で楽しんで欲しいと思っていて。だから、そんなに深いメッセージ性はないですね。私はいつもギリギリの状態の人間について歌詞を書くことが多いんですけど、今回は自分がダメになった時や身近にいる“こういうふうになったらダメだな”と思うような対象を思い浮かべて書きました。
●自分自身が生きる上でも、“正しい答えが見つからない”と感じるところはあるのでは?
ドクソン:見つからないです。でも私は元々“正しい答え”というものは、この世に存在しないと思っている派で。“正しい答え”だと思っていると自分のことを過信してしまうので、見落としてしまうことも多いんです。そういう意味で、見つからなくて良いとは思っています。
●正しい答えが見つからなくても、悩んだりはしない?
ドクソン:はい。見つからなくても良いし、失敗の上に失敗を重ねても良いけど、“助けて、助けて!”というところにまで行ってはダメですよということを書いています。
●だから“手遅れになるその前に”と歌っているんですね。ラストのM-10「BOND」はユアさんの作詞ですが、これはどんなイメージで?
ユア:これは寂しくて、冷たい雰囲気をイメージして書きました。歌詞の内容に関しては、聴いてくれた人に自由に捉えて欲しいなという気持ちがあって。色んな意味に捉えられると思うので、その人なりに解釈してもらって、この曲に対する思い入れをどんどん作って欲しいなと思っています。
●“逝かないでよ”という歌詞もあったので、大切な人が亡くなったというシチュエーションも重ねられるのかなと想像しました。
ユア:モノだったり人だったりするんですけど、大切なものがなくなってしまうという経験を誰もが一度や二度はしていると思うんですよ。そういうところに重ねて聴いて欲しいなって思います。
●…とここまで話してきましたが、今作の主題につながるのは1曲目にして名曲感の漂う「LAST」かなと。最初にこの曲を聴いた時はどう思いましたか?
ユア:初めて聴いた時は色んな感情を抱いたんですけど、完成してからは“この曲を遊び人のみんなと私たちでギャンパレのものにしていかないといけない”という気持ちがすごく強くなって。“この曲と一緒にこれから育っていきたいな”という想いが強いですね。
サキ:かなり“託されているな”というのは感じました。渡辺(淳之介/WACK代表)さんから“お前ら、これでもっと昇れよ”と言われているんだなという気持ちになったし、松隈さんも“この曲をギャンパレに託しても良い!”と言ってくれている気がして。
●自分たちに託された想いの強さを感じられている。
ユア:松隈さんは全部の曲を大切にしているんですけど、この曲は時に気合を入れて楽器も録って下さったそうなんです。それくらい松隈さん自身もこの曲に対する思い入れがすごく強いし、渡辺さんもたぶん同じだと思うんですよ。そういう想いを背負って私たちはこの9人のGANG PARADEで、遊び人のみんなと一緒に成長していきたいなと思っています。
●ハルナさんは、この曲についてどう思いましたか?
ハルナ:自分の歌っているパートが、オーディションを受ける何ヶ月か前の自分自身の感情とリンクしていることが今日わかったんです。
●それはどの部分?
ハルナ:“みてろ 倒されずに!”というところですね。オーディションを受けるという話をした時に、家族に“落ちるからやめておきな”と言われたのがすごく悔しくて。そこから私がオーディションを受けることに関して、家族同士でケンカになっちゃったんです…。
●そんな出来事があったんですね。
ハルナ:そうなったのは私がいけなかったんですけど、自分のしたいことに対してそういうふうに言われたことがすごく嫌で。今日その時のことをちょうど思い出していて、自分の中で“オーディションに受かりたい!”というスイッチが入ったのはあそこだったなと思ったんです。
●なぜ今日思い出したんでしょう?
ハルナ:散歩しながら(今作を)聴いていたりするので、そういう時に色々と考えていたんです。その中で思い出した感じですね。
●自分たち自身で書いた歌詞ではないので、何回も聴いたり歌ったりしていく中で理解が深まる面もあるのでは?
ユウカ:渡辺さんと松隈さんが書いて下さった歌詞なので、自分たちが歌っていく中で落とし込める部分がすごくあって。全てのサビに入っている“何も失わない”という言葉が、私はすごく好きなんですよ。私たちがやっていることにおいては、犠牲を犠牲とも思わないことがすごく大事だと思っているから。実際にはどんな意味を込められているのかはわからないんですけど、自分なりに理解した上でそれを胸に刻んで歌っていきたいなと思っています。
●“行動一つ一つに試され疲れてる”というのも、すごくリアルですよね。
ユウカ:本当に沁みますね。“今の私たちに向けて書いてくれていることだな”と思うことが、今までリリースしてきた曲の中でもたくさんあったから。私たちに向けてのメッセージだと思って、重く受け止めたいです。
ココ:歌詞の内容が自分たちに当てはまるというのは毎度のことなんですけど、この曲に関してはそれ以上の深みが歴史と共に出てくるんだろうなという予感があって。サビのくじけそうになる感じや“それが遠回りなんだって”というところは、グループの編成が何度も変わってきた自分たちの歴史に重なるけれど、それも全て無駄になっていないというか。そういう意味合いも歌詞に込められている感じがして、ギャンパレに一番ピッタリな曲だと思います。
●ギャンパレに一番ピッタリだし、ギャンパレだから歌える曲というか。
ココ:“今”の歌だし、私たちだから歌える曲だなって思いますね。でも“続いていく歌”という感じもします。
●最後の“きっとこの道が続くなら”という部分も、必ず続いていくという自信を持って歌えているんじゃないですか?
サキ:この曲は“何が何でも”感がすごくあるというか、そこが良いところだなと思っています。“感じないふりしたけど この道が続くなら 何度だって”という部分も、本当は心が折れている感じがしていて。それでも“何度だって”と歌うように、この曲の主人公は“もう何が何でもやってやるしかないんだよ!”と言っている気がするんです。そういう“1回折れかけた人の強さ”みたいなものを感じられる曲なのかなと思いました。
●自分たちもそういう経験をしてきたからこそ、より強い想いを込めて歌えるんでしょうね。
マイカ:本当に“今だからこそ歌える曲だな”と、噛み締めながら歌っています。
サキ:きっと新たなアンセムになるんじゃないかなと思います。語り継がれる曲にしていきたいなとはすごく思いますね。
●ギャンパレの新たな代表曲の1つというか。
サキ:「Plastic 2 Mercy」とある意味、対極にあるような印象というか。「Plastic 2 Mercy」も歴史がありますけど、「LAST」はいきなりドカンと重い印象があって。初めからパワーを持っている感じがムンムンするので、しっかりと扱っていかなきゃいけない曲だし、“自分たち次第だな”と思います。
●ここまでのお話を聞いてもわかるとおり「LAST」は“続く”という意味で使われているわけですが、『LAST GANG PARADE』というアルバムタイトルだけを見ると“これで解散しちゃうのかな?”という憶測も招きそうですよね…。
ユア:Zepp Tokyoでアルバムタイトルを発表した時も一瞬、お客さんがどよめいたんですよ。そうなるのはわかっていたんですけど、やっぱり想像していたとおりの反応でしたね。でもたとえば『Barely Last』を出した時に比べても、今はメンバーそれぞれもグループ全体の雰囲気も明るいので、(ファンからも)“いや、大丈夫でしょ”っていうポジティブな意見のほうがSNS上で多かったのがすごく印象的でした。
●今のギャンパレを見れば、そういうことではないと理解できる。
ユア:もし良くない状況だったら、もっと心配されていたと思うんです。でもそっちよりも、終演直後は“ライブが楽しかった”という声のほうが多かったから。
●そういう意味で、今回は初めて盤石の状態でリリースできるアルバムというか。
サキ:そうですね。私にとっては『Barely Last』以来のアルバムになるんですけど、あの時は本当に何も見えていなくて。とにかくリリースできることだけで、“ありがたや…”という状態だったんです(笑)。でも今は“リリースできてありがたいけど、もっと頑張っていこう!”と、ちゃんと先を見られている感じがしています。
ユア:(『Barely Last』のジャケット写真では)崖に立っていたところから、今は地上に立てている感じがしますね(笑)。
●ちゃんと地に足がついている。そんな中で新年を迎えるわけですが、最後にハルナさんから2019年の抱負を頂けますか?
ハルナ:たとえば何かをポンと出したとして、それに対して“良い”とか“悪い”とか色んな意見が出てくるじゃないですか。その悪いほうばかり見てしまうクセが私にはあるので、全部を“良い”にしたいなと思っていて。不可能なことかもしれないけど、最近そういうことを考え始めてから、全ての音楽や全てのものが素晴らしく見えてきたんですよ。だから2019年はGANG PARADEが全部、“正解”になれば良いなって思います!
一同:おお〜! パチパチパチパチ(拍手)!
Interview:IMAI