L-R
平安寺ゆうすけ
LUNKHEAD Ba.合田悟
Outside dandy Vo./G.村上達郎、G.松本翔
「愛媛を盛り上げたい」「来場者のみならず出演者にも愛媛の魅力を伝えたい」という愛媛出身の発起人の想いのもと、「全ての年代が楽しめるイベント」をコンセプトとして11/10(土)、11/11(日)と2日間に渡って初開催された都市型音楽フェス・GAINA MATSUYAMA 2018。2日間でのべ17組が出演した同イベントを振り返るため、今月号では愛媛県出身の出演者3組による対談が実現。GAINA MATSUYAMAにかける想い、故郷・愛媛に対する熱い気持ちをじっくりと訊いた。
●“GAINA MATSUYAMA 2018”お疲れ様でした!
一同:お疲れ様でしたー!
●今回の対談には実行委員の方にも入っていただいていますが、愛媛県武道館から終演後にめちゃくちゃ怒られたらしいですね(苦笑)。
実行委員:はい(汗)。基本的に武道館というのは神聖な場所で、「一歩入ったら飲食は絶対に禁止です!」とか、開催前から色んな注意点をこんこんと言われていたんです。
●はい。
実行委員:テーブル1個の位置を後から変更するのも申請が必要で。それくらい厳しい施設なんですけど、とある出演者から「ステージでみかん食べます」という話を聞いて。まあみかんくらいなら大丈夫かと思って武道館サイドに言ってなかったんですよ。他にも、松山の海で穫れるマダコにちなんでステージの上でタコをかじったり、同じく松山名物の路面電車にちなんだオブジェを使ったり…色々事前に聞いていたんですけど大丈夫かと思って武道館サイドに言わなかったら…終演後にすぐ呼び出されまして。
一同:ハハハハ(苦笑)。
実行委員:出禁になるくらい怒られました。
平安寺:イベントを盛り上げようとしてくださったんですよね! ありがとうございます!
●ハハハ(笑)。今回集まっていただいた愛媛出身の3組は、どういう流れで出演オファーがあったんですか?
合田:声をかけられたのは2年くらい前なんです。「“GAINA MATSUYAMA”っていうフェスをやりたい」と。そこから色んなアーティストが集まって、色々と繋がっていって。それが形になったのが今年の“GAINA MATSUYAMA 2018”ですね。
実行委員:合田くんに関してはほぼ実行委員みたいな感じで、ブッキングも含めて協力してもらったんです。愛媛の放送局も紹介していただいたり。
合田:最初に声をかけてもらったとき、ぜひ実現してほしいなと思ったんです。今まで愛媛でフェスって何回かあったんですけど、長続きしなかったんですよね。出身者としてはそれはとても悲しいことで。香川には“MONSTER baSH”があるように、愛媛にもあってほしいなと。だから今回実現してすごく嬉しかったです。
平安寺:僕は実行委員のみなさんが「こういうことやりたいよね」って話していたところに、たまたま居合わせたのがきっかけで。そこで「そういえばお前ミュージシャンだったね。じゃあ出るか?」みたいな。運が良かったです(笑)。
●Outside dandyはどうだったんですか?
松本:僕たちはたまたま実行委員の方たちと共通の知人が多かったんです。例えば僕の同級生が地元で料理屋さんをやっていて、“GAINA MATSUYAMA”のケータリングを担当していたり、今回出演した鳴ル銅鑼やLUNKHEADとの繋がりもあって、声をかけていただいて。LUNKHEADは直の先輩で、頭が上がらないんです。
●実際に愛媛県武道館のステージに立ってみた感想はどうでした?
合田:とにかく愛媛県武道館はすごいと思いました。僕は松山の人間じゃないので、あんな立派な建物が愛媛県にあることすら知らなかったんです。もっと活用していけば松山をもっと知ってもらえるきっかけになるのになって思いました。
実行委員:有名なアーティストは使ってるんだけどね。でも調べてみると、愛媛県って音楽イベントのチケット券売が全国的に見てもかなり良くないみたいなんですよね。
一同:へぇ〜。
平安寺:僕は2日間出演させてもらって、弾き語りとバンドセット両方演らせてもらったんですけど、音響も照明も素晴らしくて、気持ちよかったですね。他のアーティストさんを観てても、いい環境でライブを観ることが出来たのでただただ楽しかったです。
松本:実は僕らいちばん後輩でトップバッターなのに、7分も押したんです(苦笑)。気持ちが入りすぎて、MCもしゃべりすぎて。
村上:めっちゃ気持ちよかったんですよ(苦笑)。僕らはライブハウスのやり方しかわからないから、でっかい会場だったとしてもいつもどおりのことを演るしかないかなと。でも音の響き方も素晴らしいし、照明もバッキバキだし、ステージは広いし。だから気持ちよかったんですけど、実行委員の方たちの開催までの苦労も聞いていたし、自分の地元ということも含めて、やっぱり湧き上がるものがすごくあったんです。そういうことでめちゃくちゃ燃えた結果…7分押しました。
一同:アハハハハ(笑)。
合田:音や照明だけじゃなくて、ステージからの見晴らしが良くて、ライブがすごくやりやすいんですよね。だから気持ちが入るのはすごくわかる。
●他の出演者で特に誰が印象的でしたか?
合田:松崎しげるさんですね。何がすごいって、すべての出演者のライブを観ておられたんですよ。それで1人1人に声をかけてくださっていて。レジェンドって違うなと思いました。ステージもすごいんですけど、それ以外もすごい。
平安寺:リハのときからすごかったですよね。歌がスコーン! と突き抜ける感じ。
一同:そうそう!
平安寺:僕が特に印象に残っているのは石崎ひゅーいさんですね。弾き語りなのに楽器が少ないことの寂しさを感じさせない歌の素晴らしさというか。あれは本当に素晴らしいなと思いました。あと、オーイシマサヨシさんのエンターテイナーとしてのプロフェッショナリズムも観ていてすごく楽しかったです。もちろん松崎しげるさんもゴールデンボンバーさんも素晴らしかったですよね。
村上:僕も松崎しげるさんですね。歌い手としてすごいと思ったし、客席への言葉の投げ方とかが…セオリーをめちゃくちゃブラッシュアップしたような感じで。時事ネタとかもちゃんと押さえた上で、ちゃんとお客さんのことを考えているというか。歌唱だけじゃなくて、そういう部分もグッときました。ファンになりました。
平安寺:「こんばんわ。真っ黒崎こげるです」っておっしゃってましたよね(笑)。
村上:あんなステージ、誰でも楽しいですよね(笑)。すごいなって思いました。
松本:みなさん素晴らしかったですけど、僕がいちばん印象に残っているのはゴールデンボンバーさんですね。泣かされたくらい感動して。やっぱり愛媛の人たちって控えめというか、恥ずかしがり屋が多いんですよ。あまり自分から発信したがらない。そんな愛媛のお客さんたちが、ゴールデンボンバーのときには髪を振り乱して盛り上がっていて。そういう楽しんでいる姿を見ると…いろんな紆余曲折があって開催までたどり着いたことを知っているし、少なからず関わらせてもらっているし、出身地のフェスだし…泣けてきてしまって。心からよかったなと。あの光景を見て、涙が止まらなくなりました。
一同:うんうん。
●松本さんが「控えめで恥ずかしがり屋」とおっしゃっていましたが、それは愛媛の人の気質なんですか?
平安寺:県民性でしょうね。控えめだし、県外のものをなかなか受け入れることができない。
村上:僕らもそうだったのでわかるんですけど、ちょっと斜に構えちゃうんです。
平安寺:愛媛はチケット券売が難しかったり控えめな県民性なんですけど、音楽好きはいるんですよ。すごく愛のあるCDショップもあるし。そういうのがうまく繋がっていけば、もっと盛り上がるのになって思います。
実行委員:愛媛ってそういう意味ではわかりやすくて、テレビに出ているか/出ていないかではっきり反応が分かれるんですよね。
●なるほど〜。
松本:自分から新しいものを知っていこうとしない傾向があるかもしれないですね。
平安寺:でも来てくれたお客さんはすごく温かいんですよね。
松本:うん、そういうところ愛媛人ぽいですね。
実行委員:開催した後、つい先日愛媛に行ってきたんですけど、地元の反応が開催前と全然違うんです。「何かご一緒させてほしい」というありがたい声をたくさん頂いていて。開催前は全然興味を示してくれなかった人たちも、実際にやって見せてみると反応が全然変わるんです。
平安寺:実績を出せば全面的に協力してくれるのかもしれないですね。
一同:うんうん。
●僕は2日間しか愛媛にいなかったですけど、タクシーの運転手さんやお店の店員さんと話すと、内に秘めたる地元愛がすごく強いなと感じたんです。そういう人たちが味方になってくれたら強いですよね。
平安寺:地元愛はめちゃくちゃあると思います。僕の周りでも、愛媛を出ている人は全然帰ってないですけど、地元に残っている人はずっといる。僕は出た側の人間ですけど、僕の立場から見ても地元に居る人たちは愛媛に対してすごく誇りを持っているんだなって思いますし、それが愛媛のいいところだと思うんです。それを今回の“GAINA MATSUYAMA”ですごく教えてもらったし、改めて愛媛を好きになりましたね。
合田:僕は長くバンドをやっていて全国をまわってきましたけど、愛媛ほど人が温かい土地は他に知らないですね。それは誇っていいところだと思うんです。
●来年の開催はもう決まっているんですか?
実行委員:いや、まだ終わった直後で、来年の開催決定と言える段階ではないんですが、やるつもりで動いています。今の段階では、何らかの形でやろうと思っている、というところですね。
●なるほど。では最後に、今後の“GAINA MATSUYAMA”に期待することやかける想いを教えてください。
合田:愛媛を全国区にしてほしいですね。マイナーな県であることは間違いないし、愛媛といえば「みかん」とか「タオル」みたいなイメージしかないので、そこに“GAINA”という言葉が出てくるようにしてほしいし、愛媛の音楽シーンを盛り上げてほしいと思います。
平安寺:愛媛は音楽にとっては特殊な土地だと思うし、味方に付けたら強いとも思う一方で、他の県から来たら良さがすごくわかってもらえる場所だとも思うんです。なので“GAINA MATSUYAMA”はどんな形であれ続いてほしいし、「愛媛を盛り上げたい」という芯のテーマはずっと貫いていただきたいです。
村上:今回、僕らOutside Dandyは「出演させてもらった」というイメージが強いんですけど、それを今後も続けるのは違うなと思うんですよね。だから今後は同じ立場として、地元出身のアーティストとして実行委員のみなさんと一緒に盛り上げていけるようにならないといけないというのがいちばん思っていることで。だから愛媛を盛り上げるために、僕らがもっとがんばらなきゃいけないなということを再確認できましたので、すごくありがたい経験でした。
松本:ライブ中は楽しかった気持ち半分で、後の半分は悔しい気持ちだったんです。というのは、僕らにもっと力があれば、もっと多くのお客さんを“GAINA MATSUYAMA”に集めることが出来ただろうなと思ったので。これからも呼んでもらえるように力を付けてがんばっていきたいです。自分たちのバンドの原動力になる1日でした。