フルカワユタカが12/5に、ニューシングル『クジャクとドラゴン / インサイドアウトとアップサイドダウン』をリリースする。前作シングル『ドナルドとウォルター』での原昌和(the band apart)に引き続き、今回は安野勇太(HAWAIIAN6)とハヤシヒロユキ(POLYSICS)とのコラボレーションが実現。さらにボーナストラックでは9/26に下北沢440で開催したアコースティックライブ“僕はこう弾き語った”の音源を11曲も収録するなど、シングルとは思えないほどの充実した内容だ。同日のライブにもゲスト出演していた岸本亮(fox capture plan)を迎えて贈る、新譜リリース記念スペシャル・トークセッション!
●まずはフルカワさんと岸本さんの出会いからお聞きしたいのですが。
フルカワ:下北沢SHELTERだっけ?
岸本:そうです。去年の5月でしたね。
フルカワ:まだ出会って、1年半くらいなんだ…。レーベルの担当ディレクターがブッキングしたイベントがSHELTERであって、そこで対バンしたのが最初でしたね(※2017年5月15日のSHELTER × Niw! Records presents “EARLY SUMMER DIG”)。
●元々、お互いのことは知っていたんですか?
フルカワ:fox capture planについては“今、勢いのあるバンドがいる”ということで名前は聞いていましたけど、実際に会うのは初めてでした。
岸本:僕もDOPING PANDA時代から存じ上げていて、ツアー中の車でもよく『And I'm a Rock Star』(ソロ2ndアルバム/2017年)をリピートして聴いていたんです。
●影響された部分もあったりする?
岸本:実は結構ありますね。DOPING PANDAに触発されて、ダンスミュージックっぽい曲を書いたこともあって。
フルカワ:そういう曲があるという話は、僕も本人から聞きましたね。
岸本:楽器から何から自分とは違う部分も多いですけど、やっぱり新しいところを切り開いたパイオニアということでリスペクトはしています。
●初めて対バンした時の印象はどうでしたか?
フルカワ:話には聴いていたけど、やっぱり“上手いな”と思いました。曲もすごくオリジナリティがあるし、何よりもメルテン(※岸本)の印象が…。打ち上げの時に、このトボケた感じを知って(笑)。“すごく面白いヤツだな”と感じたことが、その後で自分のライブに(ゲストで)呼ぶことにもつながってくるんです。
岸本:思っていた印象とは全然違いましたね。もっと気難しい人なのかなと思っていたんですけど、意外とフランクに話しかけてくれるお兄さんだなと(笑)。
●フルカワさんが、岸本さんに興味を持ったわけですね。
フルカワ:すごく変なヤツだと思って、興味が湧いちゃって。打ち上げ会場には他のバンドのメンバーもいた中で、僕はメルテンに集中攻撃したんです(笑)。喋り始めても上手く着地できないし、“普通じゃない”感じがするというか…。その時に“一緒にやろう”という約束をしたくらいですね。
●キャラクターが大きかったと。
フルカワ:もちろんピアノもメチャクチャ上手くて。他にも良い鍵盤プレイヤーはたくさん知っていますけど、スキルの部分でいうとメルテンはその中でも頭1つ抜けていたから。自分はテクニックやスキルやグルーヴといった部分を“一丁目一番地”みたいにとらえているところがあるので、そこにシンパシーを感じたんですよ。だから、純粋にプレイヤーとして一緒にやってみたいなと思いました。
岸本:僕もフルカワさんのライブを拝見した時に、同じようにスキルフルだなと思いましたね。最近のバンドセットではサイドギターを入れない(ギターが1本の)編成でライブをされているんですけど、それでも十分成立している感じがあって。音楽においてテクニックはその人の人間性を表しているところがあると思っていて、フルカワさんの演奏からもそういう“人間性”を感じられたんです。
●プレイヤーとしてシンパシーを感じられる。
岸本:フルカワさんもfox capture planもどちらも作る楽曲に関して、アグレッシブな間奏のソロとかとのマッチングが良いのかなと思うんですよ。そういう部分で、自然とテクニカルな要素が出てくるのかなと思います。
フルカワ:そういうプレイに対して“これ見よがしだ”とか言う人もいるんだけど、そうじゃなくて。自分の中では、パンクバンドのボーカルが“シャウト”しているのと一緒なんですよね。
●感情がそういう形で演奏に出ているというか。
フルカワ:それをたまたま音数(の多さ)で出しているのが、僕やメルテンなんです。だから一括りに“速く弾けるよね”とか“テクニカルだよね”と言われることには抵抗があって。本当は、“叫んでいる”だけなんですよ。
岸本:“エモーション”を表現する上で、音数が1つの要素にはなっていますね。そのへんの見解は一緒な気がします。
●そういった共通点もあるので、一緒にやりたいと思ったんでしょうね。
フルカワ:最初に出会って半年後くらいにSHELTERで3days(※2018年11月28日〜30日“フルカワユタカ SHELTER 3days”)をやったんですけど、その中日がアコースティックセットで(※“フルカワユタカはこう弾き語った”)。そこでメルテンと、あの日の約束を果たすべく共演したんです。
岸本:意外と(実現するのが)早かったですね。
●出会って半年後に初めて一緒に演奏したと。
フルカワ:その日のライブが、僕の周りでもすごく好評だったんです。もちろんメルテンのピアノが良いというのもあるんですけど、上手くハマったというか。僕の声とメルテンの鍵盤の音との相性も良かったし、意外な発見も多くて。そこで“これはもっとやりたいな”と思って、今年に入ってからのツアーにつながるんですよ(※2018年7月からのアコースティックツアー「僕はこう弾き語った」)。そう考えたら、半年おきくらいに声をかけて一緒にやっているんですよね…。
●でも意外と出会ってからの時間は経っていないという。
フルカワ:もう出会ったのが2〜3年くらい前だと思っていましたね(笑)。
●そのくらい距離感を感じさせない人間性なのでは?
フルカワ:最初から全く距離感はなかったですね。
岸本:そんなに何度も会っているわけではないんですけど、昔から知り合いだったような感覚があって。
フルカワ:波長だろうね。もちろん僕のことがダメな人もいるだろうし、メルテンのこの感じがダメな人もいると思うんですよ(笑)。そこはもう波長が合うとしか言えないというか、理屈じゃないところがあると思います。
●だから、一緒にツアーで演奏していても楽しいんでしょうね。
フルカワ:ツアーをまわっている時は、“一緒に遊んでいる”ような感覚でしたね。基本的に毎回、インプロ(※インプロヴィゼーション)なんですよ。ソロもリードも決まったことをやるわけじゃないし、“音符通りにどれだけ弾けるか”みたいなことはお互い気にしていなくて。そういうところが一緒にやっていて、面白いところかなと思います。
岸本:むしろソロの内容に関して、あらかじめ決まっているものを弾くくらい難しいことはないんですよ。弾き語りって、基本的には1人でも成立するじゃないですか。そこで、どういうふうに自分が弾くべきかということを自分は考えましたね。
●単なるバッキングを弾いているわけではない。
フルカワ:一緒にまわったツアーでも、バッキングという感じではなかったですね。オブリガートをすぐ入れてくるし、バッキングを弾くにしてもパターンが違っていて。
岸本:そういうアプローチをしていかないと、自分のいる意味がないと思うんですよ。さっきも話したように、基本的には1人でも成立しちゃうものだから。
フルカワ:そういう主張の強さみたいなものはあって良いし、むしろそこが好きなんですよね。
●12/5にリリースされるフルカワさんのニューシングル『クジャクとドラゴン / インサイドアウトとアップサイドダウン』にはボーナストラックとして、お2人が一緒に演奏した9/26の下北沢440でのアコースティックライブの音源を収録しているわけですが、すごく楽しそうな雰囲気が伝わってきます。
岸本:特にツアーファイナルのその日は、そういう感じでした。ツアー中は僕かPer.神林(翔太)くんのどちらかとフルカワさんの2人でまわっていることが多くて、ファイナルでようやく3人が揃ったんです。神林くんのパーカッションもあったので、そこに自分は“こう乗っかれば良いだけだ”という感じで、すごくノッた状態で演奏ができましたね。
フルカワ:ツアーはずっと良かったんですよ。それぞれと一緒に5本ずつまわって、ファイナルは3人でやったんですけど、11本全てがとても良かった気がします。本当に楽しかったですし、MCも含めて成長したような感覚もありますね。
岸本:いや〜、面白かったですね。
フルカワ:ありがとう。おまえも頑張れよ(笑)。
●ハハハ(笑)。フルカワさんのMCを見て、学ぶところもあったのでは?
岸本:そうですね。でも自分と何か似たところがあって…。
フルカワ:似てねぇっつーの(笑)!
一同:ハハハハハ(笑)。
岸本:わりと楽屋で喋っていた内容をステージ上でも話したりして、良い意味でのお客さんとの近さみたいなものは感じました。
フルカワ:この感じのまま、ステージでも喋っていましたね。
●一緒にいる時の空気感が良いのかなと思います。
フルカワ:良いと思います。別に何かユニットを組んで、一緒にやろうとは思わないんですよ。こうやって何ヶ月かに1回くらい“今度、ライブを手伝ってよ”というくらいがちょうど良い相手だと思いますし、この先もそうしようと思っています。
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Interview:IMAI