2018/10/27@東京・日比谷野外大音楽堂
“angela Live 2018 All Time Best in 日比谷野音”
10/27、東京・日比谷野外大音楽堂でangelaのライブ“angela Live 2018 All Time Best in 日比谷野音”が開催された。angelaは10/24に『angela All Time Best 2003-2009 』『angela All Time Best 2010-2017』という、デビュー15周年を記念したベストアルバム2タイトルを同時リリース。今回のライブはこのアニバーサリーイヤーとベスト盤の発表を記念して開催され、当日の野音は指定席はもちろん、立ち見エリアまで全国のangelaファン、通称“ぢぇらっ子”であふれかえった。
この日の公演は特別仕様。“この15年で出会ったスゲー怪物を集めよう”というKATSU(G./Per.)の号令のもと、当日の野音にはIKUO(Ba.)、蓮沼健介(Key.)、YOKAN(Tp.)率いるYOKAN HORNS、秋山璃帆(Tp.)、桐山絵里子(Tb.)、池田千尋(Sax.)、山内“masshoi”優(Dr.)、大串友紀(Manipulate/Per.)という腕っこきのサポートプレイヤー陣が集結した。そして定刻、その豪華メンバーとともにステージに現れたatsuko(Vo.)とKATSUはデビューシングル『明日へのbrilliant road』、アニメソングシーンに強烈なインパクトを与え、また自らの大きな転機となったとも語る2014年のシングル「シドニア」、そして底抜けに陽気な昨夏のシングル曲「全力☆Summer!」を3連投。一気呵成に“angelaの15年”を振り返ると同時に、たったの3曲で自身のディスコグラフィの多彩さをアピールしてみせた。
そして“太陽神”こと晴れ女であるatsukoが雨の予報の中、快晴に恵まれたことを“晴れたよ!”と喜び、また“出演キャンセルしようと思ったんですけど……”と時事ネタで笑わせたのち2人は、軽妙なMCと熱くテクニカルなプレイがつづら折りになったステージングを繰り広げる。原曲よりもさらに硬質な肌触りに仕上がった「Beautiful fighter」「ANGEL」を披露したかと思えば、今年5月の山梨・河口湖ステラシアターでの15周年記念ライブとこの野音公演の模様を収めたBlu-rayを“そのうちリリース”すると、ごくごくアバウトに発表。しかし直後にはIKUOのハードなスラップベースが唸る「僕じゃない」で3000人のぢぇらっ子の大合唱を煽り、哀切漂う「The end of the world」ではその客席からの万雷の拍手を集めた。
“終演後の打ち上げの席で生ビールを選ぶか? ハイボールを選ぶか? 二者択一”、“それが問題”とのatsukoのひとことから始まったのは、シリアスなロックナンバー「オルタナティヴ」(“二者択一”の意)。そのMCと楽曲のギャップで再び客席の笑いを誘うも、「蒼穹」ではmasshoiが高速ツーバスドラム、KATSUとIKUOがユニゾンプレイで魅せ、サポートミュージシャン陣と男女4人からなるダンサー陣によるインターミッション「接触」を挟み、キャバレージャズチューン「in your arms」と中川翔子への提供曲をセルフカバーしたアイドルポップ「キラキラ-go-round」ではYOKANらホーン隊を大フィーチャーしたグルーヴィなプレイとボーカルで野音中を踊らせまくっていた。
ライブ中盤はatsukoが蓮沼のピアノ1本をバックにジェントルに歌い上げる「愛すること」と、レゲエを基調としたレイドバックしたビートが印象的な楽曲「笑顔をみせて」というメロウな2曲で幕を開けるも、その後の展開は序盤と同様。ホーン隊を交えることで大胆に翻案した「未来とゆう名の答え」、ある種「全力☆Summer!」と地続きのポップチューン「蒼い春」、「シドニア」と並ぶダークトランスとマーチのマッシュアップナンバー「騎士行進曲」とバラエティ豊かな楽曲群でセットリストを構成する。さらに公式ファンクラブ会員から募集したangelaのイラストやマンガ、小説などをまとめた“薄い本”と、録りおろしMCをまとめた“トークCD”を今冬の『コミックマーケット』で頒布するかもしれないサプライズを提供したのちにも、“All Time Best”ライブながら、現在公開中の劇場アニメーション『K SEVEN STORIES』の Episode 4、『Lost Small World 〜檻の向こうに〜』のエンディング主題歌にして、新曲「Lost Small World 〜檻の向こうに〜」をライブ初披露。KATSUがアコースティックギターをワイルドにストロークする最新モードのangelaを満天下にアピールして、またもぢぇらっ子を驚かせる。そしてぢぇらっ子たちがウェーブを繰り広げた「KINGS」と、大シンガロングを巻き起こした「SURVIVE!」という正調angelaナンバー2曲をドロップして、atsukoとKATSUはライブ本編を締めくくった。
熱いアンコールに応えてステージに登場したのは、angelaとサポートメンバー、ダンサー、そして数十人に及ぶスタッフたち。一昨年の野音公演“LOVE & CARNIVAL”同様、ジャック・オー・ランタンやゾンビ、そのほか動物など、さまざまな仮装をしたバンド、スタッフ陣とハロウィンナンバー「That's Halloween」を踊りまくったatsukoとKATSUは、勢いそのままに「DEAD OR ALIVE」、さらには「Shangri-La」を連発。その「Shangri-La」ではatsukoとぢぇらっ子によるサンバホイッスルでのコール&レスポンスや、ぢぇらっ子による大サビの大合唱が展開され、野音が圧倒的な幸福感に包まれる中、atsukoは「正直、まだ歌い足りない!」とシャウト。「All Time Best」ライブが大団円を迎えたことを告げ、KATSUは「もう1回武道館に行きてえ!」と、そう外れはしないだろう16年目以降のangelaの未来予想図を高らかに叫んでみせた。
Text:成松 哲 / Photo:釘野孝宏