PLAY ALL AROUND JAPAN TOUR 2018 in 日本武道館
2018/10/3(水)@日本武道館
今年3/24の神戸・太陽と虎からスタートした“PLAY ALL AROUND JAPAN TOUR 2018”。半年以上に渡るツアーでタフな経験を積み上げてきた古都のドブネズミ・ROTTENGRAFFTYが、いよいよ日本武道館のステージに立つ。会場には期待に胸を膨らませて頬を紅潮させたオーディエンスが続々と詰めかけている。ROTTENGRAFFTY初の日本武道館ワンマン公演を祝福する気持ちは全員同じ。待ちに待ったこの日、やることはただ1つ。思い切り楽しむしかない。
客電が落ちて幻想的な映像がビジョンに流れ、「ROTTENGRAFFTY 日本武道館」の文字が映し出されると大きな歓声が会場に沸き起こる。メンバーが1人1人登場し、5人が揃ったところでライブスタート。武道館の大きな空間が興奮で埋め尽くされる。
1曲目はKAZUOMI(G./Programming.)のアルペジオから始まった「寂寞 -sekibaku-」。押し寄せる爆音に呼応して、堰を切ったように感情を溢れさせて飛び跳ねるオーディエンス。ステージからビシビシと伝わってくる5人の気合いとテンションはとにかく凄まじく、ものすごい迫力の演奏と歌に圧倒される。
イントロから観客の興奮が爆発した「PLAYBACK」でアリーナを揺らし、「SHRED」で更にその興奮を加速させ、一切音を途切れさせないままN∀OKI(Vo.)がコール&レスポンス。侑威地(Ba.)とKAZUOMIがステージ最前で身を乗り出して客を煽り、怒涛の流れで「夕映え⾬アガレ」。N∀OKIが「目の前を壁を壊せ!」と叫べば、NOBUYA(Vo.)が「遂に来たぞ武道館!」と吠える。1秒も立ち止まることのない全身全霊の全力疾走。彼ららしい強烈に前のめりな姿を目の当たりにして、興奮で胸がぶるぶると打ち震える。そう、これこそがROTTENGRAFFTYだ。
HIROSHI(Dr.)と侑威地が繰り出すリズムにKAZUOMIのソリッドなギターが重なり、NOBUYAとN∀OKIの掛け合いでアリーナにサークルを作り出した「So...Start」、ステージ後方で炎の柱が吹き上がって度肝を抜く景色を見せてくれた「世界の終わり」。一瞬一瞬が濃密で濃厚な時間。N∀OKIが叫んだ「瞬間を生き延びろ」という言葉そのままの有言実行。
何よりも、ライブハウスで何度も聴いてきたROTTENGRAFFTYの楽曲を武道館で聴けるということがなんとも感慨深い。きっと観客も同じ気持ちなのだろう、曲が始まる毎に大きな歓声が沸き起こり、まるで自分の歌のようにそれぞれが全力で歌っている。そんな観客に応えるように、右肩上がりの会場の熱を「THIS WORLD」で更に上げ、NOBUYAが「武道館ありがとう!」と叫ぶ。居合わせた全員のいろんな想いが溢れ出しているライブ空間は最高でしかない。
胸を掻きむしるような歌とサウンドが印象的だった『「70cm四⽅の窓辺」』では、ビジョンにメンバーそれぞれの顔がアップで映し出される。汗まみれの5人は最高の表情で音を鳴らし、歌を歌い、笑顔で客席を眺めている。きっと我々は今日、こういう景色を見たくてここに来たのだろう。
「響く都」では会場全員で歌い、全員で飛び跳ね、全員で叫んで大きな一体感が会場を包み込む。かと思えば「零戦SOUND SYSTEM」では一転してヒリヒリするほどの緊張感でオーディエンスを突き放す。KAZUOMIが「ここにいるお前ら全員、音で殺す! これが俺らの生き様や!」と叫び、魂をえぐるほどの鋭利な音が襲いかかってくる。一瞬も油断できない。多幸感と狂気を併せ持つROTTENGRAFFTYの真髄を見る。
5人がそれぞれの言葉で感謝の気持ちを告げたMCも、やはり武道館ならではだった。会場に来ていたバンドマンたちに向けて「俺らに出来て君らに出来ないことはない。次はお前らの番や!」と言ったN∀OKI。「もう1回武道館でやってみたい」と言ったNOBUYA。「みんな本当にありがとう」と頭を深々と下げたHIROSHI。「これからも一生ROTTENGRAFFTYをよろしくお願いします」と言った侑威地。「こんな1日があればどんなに苦しくてもやってこれる」と想いを溢れさせたKAZUOMI。さっき「零戦SOUND SYSTEM」で「全員殺す!」と叫んで襲いかかってきたバンドと同じ人たちは思えない、人間味溢れる言葉のひとつひとつに胸がいっぱいになる。とてつもなく人間くさい5人だからこそ、こんなにも人の心を揺さぶるライブが出来るのだろう。
様々な想いや感情を爆発させた「アイオイ」、音と光で武道館を幻想的な空間に作り変えた「悪巧み~Merry Christmas Mr.Lawrence」、全員を踊り狂わせた「D.A.N.C.E.」と続け、ライブは佳境に入っていく。キラーチューン「金⾊グラフティー」で思い切り暴れさせ、KAZUOMIがライブの景色を思い浮かべながら書いたという「Rainy」でシンガロングを巻き起こし、そして本編最後は「Error...」でまた暴れさせる。アンコールではN∀OKIが「俺たちが何度も支えられた歌を聴いてくれ。歌ってくれ」と、残る体力を振り絞るように「マンダーラ」を全力で鳴らし、最後の最後は「切り札」でもうひと暴れして終演。
全曲がハイライトで、全曲が全力で、どこがピークとかではなく、最初から最後まで全編120%濃密なピークの連続で、ROTTENGRAFFTYの魅力すべてを味わえた“PLAY ALL AROUND JAPAN TOUR 2018 in 日本武道館”。キラキラと輝くような5人の笑顔をまた観たい、心からそう思える素晴らしいライブだった。
TEXT:Takeshi.Yamanaka
PHOTO:Yukihide “JON…” Takimoto、かわどう、HayachiN