音楽メディア・フリーマガジン

25市(ニーゴーイチ)

もっと見ていたいと願った真夏の競演。

CLUB251 25th ANV. EVENT
“25市(ニーゴーイチ)〜25日の革命〜”
2018/8/25@下北沢CLUB251
Act:No Name 101 / ムノーノ=モーゼス / 奮酉 / 脳内リフレイン /
MAY BEE REACH / ANABANTFULLS / icelandblue

 

今秋で25周年を迎える下北沢CLUB251がアニバーサリー企画の一貫として、ニューカマーを中心としたショウケースイベント“25市(ニーゴーイチ)〜25日の革命〜”を6月より5ヶ月連続で開催。その第3弾が8/25に開催された。

 

先陣を切って登場したのは、No Name 101。冒頭から英語で煽り立てたのに続けて、海外のポップパンクを思わせるサウンドでガンガン押してくる。伸びやかな歌声で英詞を聴かせるボーカルに加え、軽妙なビートとメロディで決して飽きさせない。YouTubeで事前にチェックはしていたのだが、ライブでは“バンド感”がより強い印象があった。時折挟まれるテクニカルなギタープレイも、良いアクセントになっていたように思う。

 

 

2番手は神戸からやってきた、ムノーノ=モーゼスだ。夏のビーチ的な空気感も漂ってくるような彼らのグッドミュージックは、今の季節にこそふさわしいと言えるだろう。古き良き時代の音楽をルーツに潜ませつつ、フレッシュなアレンジでオリジナリティ溢れる楽曲に昇華している。一癖も二癖もある歌詞の世界観からは、クサさや気恥ずかしさを感じさせない。関西人らしい距離感の近いMCもあって、自然と聴き入る姿勢になっていた。

 

 

続いてVo./G./Syn.高田蒔とVo./Dr./Syn.河西愛紗による2ピース・ツインボーカルバンド、奮酉(ふるとり)がステージに現れる。ギターとドラムをメインに、それぞれがルーパーやシンセも演奏。打ち込みではなく、あえてリアルタイムで生演奏するところにこだわりを感じた。女性ボーカル2人の可愛らしい掛け合いに、東京らしい“シティ”感もある個性的なミュージック。その中にしっかりとキャッチーさも併せ持った彼女たちの今後が楽しみだ。

 

 

ガッツリ歪んだ弦楽器の音で空間をビリビリと揺らしてきたのは、大阪発ギターロックバンド、脳内リフレイン。“これぞ大阪!”という印象的なリフに、4つ打ちのビートが重なれば、身体が動き出さずにはいられない。弾きまくるギターも、胸を熱くする。途中ではVo./G. Shingoがステージから降り、フロアで歌いながらオーディエンスを煽る一幕も。観る者の心に力強く響く歌と楽器隊の演奏で、確かな爪痕を残していった。

 

 

続いてステージに現れたMAY BEE REACHは、会場のヴォルテージをさらに上昇させていく。Pf./Vo.狩野 美保-miho-が前線に立ち、ハンドクラップなども駆使して積極的に観客を巻き込んでいった。1曲目からフルスロットルの演奏で盛り上げ、フロアからはたくさんの手が上がる。単体でも光る美しいメロディを、さらに引き立てるコーラスワークも大きな魅力だろう。誰もが一緒に楽しめるライブパフォーマンスは、大きな可能性を感じさせる。

 

 

トリ前に登場したのは、ライブ本数の多さで有名なグルーヴィーロックバンド、ANABANTFULLS。とにかく1音目からバカでかい轟音と極太のグルーヴで、一気に距離を詰めてくる。そして決して独りよがりではない歌詞が、聴く者の背中を押してくれるのだ。中でもラストに演奏された「乾杯!」は数々のライブを経験してきた彼らだからこその苦痛や希望が泥臭く、カッコ悪く表現されているキラーチューンだと思う。ぜひ生で一度、体感して欲しい。

 

 

この日のトリを務めたのは、icelandblueだ。エモ〜オルタナの匂いを漂わせるサウンドに、独自の感覚で描かれた歌詞が乗る楽曲はセンスの鋭さを感じさせる。Vo./G.久下淳史の透明感ある繊細な歌声も、その音楽に説得力を増す1つの要因となっているようだ。最後を締め括った「こんな夜に」からは、これまで重ねてきたバンド活動への想いも詰まっているように感じた。“もっと見ていたい”と願わずにはいられないライブパフォーマンスは、彼らだけでなく本イベントに出演した全バンドに共通して言えることだろう。

Text:有馬ゴウジュン / Photo:優瞳

 

 

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