東京都豊島区池袋付近から彗星の如く現れた5人組エンターテイメント・ロックバンド、ザ・スパイシー(ex.スパイシーコウヤドウフ)。2018年4月には純烈をスペシャルゲストに迎えて、渋谷CLUB QUATTROにて企画ライブ“飛びだせ、スパイシー!!”を成功させた彼らが、改名を経て10/29に再び同会場で新たなライブに挑む。今回のスペシャルゲストに選ばれたのは、各種TV番組で活躍するほか「森のくまさん」でも話題を呼んだお笑いタレント、パーマ大佐だ。ジャンルを超えた共演がどんな化学反応を起こすのか、予測不能なイベント開催を前にスペシャル対談が実現した。
対談参加者:
スパイシーナカーノ(Vo./ザ・スパイシー)
スパイシーコウバヤシ(Key./ザ・スパイシー)
パーマ大佐
「“何が起こるかわからない”というワクワク感が、お客さんにも伝われば良いなと。どんなことが待ち受けているのか自分自身もわからない状態でステージに上がるので、そういうところも含めてお客さんと一緒に楽しみたいですね」(パーマ大佐)
●まずザ・スパイシーは今年6月に“スパイシーコウヤドウフ”から改名したわけですが、これは心機一転の意味合いもあったんでしょうか?
ナカーノ:元々の“スパイシーコウヤドウフ”は18歳くらいの時、メンバーも今とは違う段階で付けた名前で、正直、当時はフィーリングで決めたところもあったんです。でも(Key.スパイシー)コウバヤシくんが去年加入したことで、バンドとしての方向性を先鋭化させたので、心機一転して“ここで名前を変えてみよう”ということになりました。
●コウバヤシさんが加入したことがキッカケの1つになった。
ナカーノ:キーボードが入るとバンドのアンサンブルも変わってくるし、彼はギターもパーカッションもできる。色んな部分が厚くなることで、曲自体の可能性も広がるんですよ。そういう面では変化のキーになったと思いますね。
コウバヤシ:自分が参加した頃から曲の雰囲気やニュアンスだったり、色々と変わりつつあって。バンド全体として“新しく前に進んでいこう”という段階だったので、バンド名を変えようという話になったんです。
●そこで“コウヤドウフ”を外して、ザ・スパイシーというシンプルな名前になったと。
コウバヤシ:“スパイシー”は残したほうが良いと思って。“コウヤドウフ”を取ったのは、やはり心機一転のようなところもありますね。
ナカーノ:以前からお客さんには“スパイシー”と略して呼んでくれる方も多かったので、それだったらもう“ザ・スパイシー”で良いんじゃないかと(笑)。
パーマ大佐:ファンの人からしても、“ザ・スパイシー”のほうが言いやすいですよね。友だちに好きなバンドを訊かれた時に“コウヤドウフが好き”と言ったら、“えっ!?”ってなりますもんね(笑)。
●確かに(笑)。
ナカーノ:あと、“スパイシー”って日本では“辛い”という意味で使われることが多いんですけど、他にも“活発な”や“元気な”という意味もあったり、“spice up”で“盛り上げる”という意味もあったりする。僕らは“エンターテイメント・ロック”というジャンルでやっているので、ロックバンドの刺激的な部分に加えて、みんなに楽しんでもらいたいという“ショー”的な部分の2つがある。それが“スパイシー”という言葉にも通じる気がして、この名前が良いんじゃないかなと思いました。
●そういう意味も込められている。
パーマ大佐:自分たちの中で、“コウヤドウフ”に未練はないんですか?
ナカーノ:元々“和洋折衷”的な部分が、このバンドにはあって。日本語ロックというもの自体も和洋折衷ですし、歌謡曲的な要素もあったり、みんなのルーツも色んなものが混ざっていたりする。“スパイシーコウヤドウフ”という名前には、“ミクスチャー”的なニュアンスも込められていたので、そこは今後も大事にしていきたいなと思っています。
●パーマ大佐さんが最初に知った時は、まだ“スパイシーコウヤドウフ”だったわけですよね?
パーマ大佐:今回のイベントへのゲスト出演のお話を頂いた時も、“スパイシーコウヤドウフ”という名前で聞いていて。でも事務所のスケジュール管理用のカレンダーを見てみたら、“ザ・スパイシー打ち合わせ”と書いてあったんです。“ゲストで呼んで下さった方のお名前を勝手に略するなんて失礼な…!”と思っていたんですけど、会ってみたら本人たちから“ザ・スパイシーです”と挨拶されたという(笑)。“いつの間に…!?”という感じで、ビックリしましたね。
ナカーノ&コウバヤシ:ハハハ(笑)。
●ザ・スパイシーは今年4月にも純烈をゲストに迎えて渋谷CLUB QUATTROでイベントを開催したわけですが、それも心機一転のキッカケになったのでは?
ナカーノ:そうですね。普段はロックバンドと一緒にやることが多いんですけど、純烈は歌謡コーラスグループということで、ジャンルが全然違っていた。でも少しは似通う部分もあるだろうと、思い切ってコラボレーションすることで、“クロスオーバー”させようと試みたんです。そこで色々と学ぶことも多くて、“垣根は意識しなくても良いんだな”とか、“もっと大振りでやって良いんじゃないか”と思うようにはなりましたね。
●垣根を取り払うキッカケになったんですね。
ナカーノ:だから今回のイベントにゲストをお呼びするとなった時も、もはや“音楽”という垣根も超えて、“お笑い”のほうにまで行っても良いかなと思えたんです。パーマ大佐さんと一度共演させて頂いた時がすごく楽しくて、ずっと印象に残っていて。しかも音楽系のネタをたくさんやられていたり、音楽一家で育たれたこともあって音楽への造詣も深かったりするんです。それだったら一緒にやっても良いんじゃないかということで、今回オファーさせて頂きました。
●初めての共演は何だったんですか?
ナカーノ:パーマ大佐さんのラジオ番組(FM NACK5「ラジオのアナ〜ラジアナ」)に、僕らがゲストで出演させて頂いたんです。そのラジオ出演が本当に楽しくて、そこから色々とパーマ大佐さんのことを調べたりもして。ずっと心に引っかかっていた感じでした。
パーマ大佐:ありがとうございます。ゲストコーナーにいらっしゃった方とはTwitterで相互フォローしたり、連絡先を交換したりして、たまにその中で“一緒にごはんでも行きましょうよ”という方がいるくらいで。今回のようにイベントにゲスト出演のオファーを頂くというのは、番組を2年くらいやってきた中で初めてのことなんです。すごく思い入れを持って下さっているんだなと思って、嬉しかったですね。
●ザ・スパイシー側からの思い入れも感じられた。
パーマ大佐:初めて今回のイベントの打ち合わせをした時も、“ありがとうございます!”とすごく感謝して頂いて。あと、この対談前に事務所に行ったら、ファンレターみたいなものが届いていたんですよ。スタッフに渡されて“誰からだろう?”と思って封筒の裏を見てみたら、“スパイシーナカーノ”と書いてあったという…。
ナカーノ:ハハハ(笑)。まあ、ファンレターみたいなものですけどね。
パーマ大佐:そこにも“この度はまことにありがとうございます”と書いてあって。それくらいの思い入れを持ってゲストに呼んで頂けたことが非常に光栄だし、すごく嬉しいんですよね。
●最初のラジオ番組での共演はいつ頃?
パーマ大佐:今年の3月末頃です。だから、実は出会ってまだ半年も経っていないくらいで…。
ナカーノ:急展開ですよね(笑)。
●パーマ大佐さんから見て、初対面の印象はどうだったんですか?
パーマ大佐:僕の中ではまず“スパイシーコウヤドウフ”という名前が特徴的だなと思っていたのと、MVを見させて頂いた時に“楽しい“イメージが強かったんです。だから、もしかしたらチャラチャラした感じの人が来るのかなと思っていたんですよ。でも実際に会ってみたら、ビシッと姿勢良く座って真面目な音楽トークを繰り広げるという…。
ナカーノ&コウバヤシ:ハハハ(笑)。
パーマ大佐:でもそのギャップが良くて、僕の中に印象がすごく残ったんです。“すごく真面目にやっている方なんだな”と思いましたね。
●確かに真面目さは今回の対談でも感じられます。
ナカーノ:ライブハウスによく出ていて、お酒をたくさん呑んで騒いで…みたいな典型的な“ザ・バンドマン”という人もいるじゃないですか。そういう感じとは、僕らはやっぱり違っていますね。他のメンバーも含めて、わりと真面目な人間が集まっているとは思います。
パーマ大佐:そこの部分に、逆に僕はすごく親近感を覚えたというか。僕も元々は、クソ真面目なんですよ。だから元々は真面目な人が何かを表現したいというところで“弾けたい!”となる気持ちはわかるし、わりと似ている部分があるのかなと思っています。
●共通点もある両者が共演すると。
パーマ大佐:今こうやって対談している時もこんなに真面目な2人が“果たしてライブの時にどんな姿を見せてくれるのか?”っていう。もしかしたらめちゃくちゃ“スパイシー”なことをライブでやるかもしれないですし、そこらへんも含めて一緒にライブを作り上げていきたいなとは思っています。
ナカーノ&コウバヤシ:よろしくお願いします!
●それぞれが順番にパフォーマンスするという普通の構成ではなく、コラボレーションのようなことも考えているんでしょうか?
パーマ大佐:ワンマンにゲストが参加する場合に、お客さんが想像する“こういう構成だろうな”という定石みたいなパターンがあると思うんです。でも今回は、それを完全に無視した内容でお届けしようかなと思っています(笑)。それが吉と出るか凶と出るかは当日のお楽しみですけど、観た人たちに“すごいライブだったな”と思ってもらえるようにはしたいですね。ただ、“普段とは違う”というところでどこまでやって良いのかは、僕も芸人なのでよくわかっていないところがあるんですよ。
ナカーノ:いや、そこはもう行けるところまで…(笑)。
●せっかくなら、とことんやって欲しいですよね。
パーマ大佐:それこそ1回目の打ち合わせの段階でも、フザけているところが多々あって。もちろん“真面目にフザける”んですけどね。
ナカーノ:“真面目にフザける”というのが、今回のコンセプトかもしれないですね。今も真面目に色んなことを話しているんですけど、そういうことや理屈は全部抜きにして、お客さんには何も考えずに来て頂いても楽しめる内容にしたいなと思っています。“ここまでは音楽的な要素で、ここからはお笑い的な要素”というふうには分けずに、両方が混ざっているというか。そこの境界がない感じでやれたら良いですね。…どうなるかわからないですけど(笑)。
●自分たちでも、実際にやってみるまでわからないところがある。
パーマ大佐:でもその“何が起こるかわからない”というワクワク感が、お客さんにも伝われば良いなと。どんなことが待ち受けているのか自分自身もわからない状態でステージに上がるので、そういうところも含めてお客さんと一緒に楽しみたいですね。
ナカーノ:しかも今回は“We Are THE SPICY!”というタイトルなのもあって。“ザ・スパイシー”として初めてのワンマンライブだから、“これがザ・スパイシーです!”というものを見せるという目的がまず1つ。さらに“We”と言っているように、“お客さんも巻き込んで、みんなで一緒に面白いことをここから始めていこう”という意味合いもある。そういう感じで、色んな人と一緒に“ザ・スパイシー”を作り上げていけたらなと思っています。
●みんなで新しい“ザ・スパイシー”を作り上げていく場でもあるわけですね。
パーマ大佐:コウバヤシさんも自分が加入して最初のワンマンというところで、“ザ・スパイシー”として心機一転みたいなところも見せていきたいのでは?
コウバヤシ:新しくなった部分を加速させるという意味では、客観的に見て“面白い”だけじゃなくて、メンバーの1人として自分自身がやっていて楽しいものをやりたいというか。演奏者自身が楽しんでいれば、それが伝わってお客さんにも楽しいと感じてもらえるところは大いにあると思うんですよ。だから“自分が楽しむ”ということは最低限の前提として、その上で“ザ・スパイシー”を提示するという部分で、今回はパーマ大佐のお力をお借りしたいと思ったんです。
パーマ大佐:メンバーも楽しんで、ゲストとして参加する僕も楽しんだ上で、この2組が共に楽しんでいるということがお客さんにも伝わって、みんなで“We Are THE SPICY!”になれば良いということですよね?
コウバヤシ:そのとおりです!
ナカーノ:そうなったら最高ですね。僕らは老若男女国籍人種などを問わず、色んな人に向けてやりたいという気持ちが強いので、バンドのライブに行ったことがないという人にもぜひ来てもらえたら嬉しいです。
Interview:IMAI