全ラインナップが発表され、音楽フリークの間で「今年のオトダマはなんかちょっと違う?」という噂でもちきりの“OTODAMA'18~音泉魂~”。そんな今年のオトダマの真相に迫るべく、主催者である清水音泉の野原氏と、今年の出演および音楽シーンを良く知るFLAKE RECORDS・DAWA氏のスペシャル対談を敢行。音楽シーンの最前線を見てきた2人による、“OTODAMA'18~音泉魂~”を余すことなく楽しむための音楽&バンド談義。
「ここ最近の音楽シーンのスピード感は爆発的じゃないですか。その中で、僕らはフィジカルというか、生で、ライブをちゃんと観てもらうための場所を作りたい」
野原:「今年はなんかちょっと違う?」と言われることが多いんですけど、今年の“OTODAMA'18~音泉魂~”を紐解くためには出演者と繋がりの多いDAWAさんと話をするのがいちばんいいのかなと思ったんです。
DAWA:今年のラインナップすごいね。ここ数年で力をつけてきた人たちと、今までずっと活躍してきた人たちがバランスよく並んでいる感じ。
野原:特に今年“大浴場ステージ”でトリをやってもらうSuchmosですけど、僕は2015年に渋谷TSUTAYA O-nestで初めてライブを観たんですよ。そこで衝撃を受けて。
DAWA:そのときは、清水音泉でSuchmosを担当することは決まってなかったの?
野原:決まってなかったです。ちょうどウチの清水も近いタイミングで観ていて、その年の “OTODAMA'15~音泉魂~”の宴会場テントに出てもらえたんです。
DAWA:なるほど。
野原:その後、Suchmosが2016年1月に心斎橋SUNHALLでCD購入者向けイベントをやったんですけど、そのイベントにはDAWAさんがDJとして出演していて、結局お客さんは450人来たんですよね。あの日に何か、大阪にも波が届き始めて来た感じがあった。それ以降ワンマンはずっと売り切れで、未だ観れていない人もいっぱい居る。そういうのもあって、“OTODAMA'18~音泉魂~”を利用してSuchmosを観てほしいし、他の出演者たちとの相乗効果も出ればいいなと。
DAWA:例えば今年の出演者でいうと、Yogee New Wavesの大阪初ライブはFLAKE RECORDS企画だったんだよね。
野原:おお、そうだったんですね。Yogee New Wavesは“露天風呂ステージ”のトリなんですけど、このタイムテーブルにも思惑があって。
DAWA:SuchmosとYogee New Wavesは世代も同じで仲いいもんね。
野原:そうなんです。昔、TOWER RECORDSの「NO MUISC, NO LIFE」にSuchmosとYogee New Wavesとnever young beachが3バンドで取り上げられていて。当時はまさに「ヤバい新人が出てきた!」みたいな感じだったんですけど、今やメインストリームになっている。この3組に揃って欲しかったのもあります。今年は珍しく、最初のイメージに近い形でブッキングが出来たんです。
DAWA:タイムテーブルいいよね。すごくハマってる。音楽性の流れがちゃんとあるというか。例えばYogee New Wavesの前にFISHMANSとか、すごく“わかる!”っていう感じがする。
野原:休めないから超しんどそうですけど(笑)。
DAWA:みんな元気やから大丈夫(笑)。
野原:キイチビール&ザ・ホーリーティッツはライブ観たことあります?
DAWA:どこかでチラッと観たことあるかな。まだちゃんと観たことはない。
野原:ウチの新人スタッフのシングルマンが企画した“ヤングタイガー 2018 ~千日前虎の穴・虎軍奮闘編~”に出てもらったんですけど、すごく良くて。野心があるっていうか「俺たち上にいくぞ!」っていう気持ちがすごくステージに出ていて。
DAWA:うんうん。Yogee New Wavesやnever young beachが作ってきた道のネクストブレイカーっていう感じがあるよな。
野原:そうですね。Suchmosもそうなんですけど、この世代のバンドはちゃんと向上心があるのがいいなと思うんです。
DAWA:しかも急にブレイクしたわけじゃないからね。ちゃんと段階を経ている気がする。CHAIとかも。
野原:CHAIも段階を踏んでますよね。ただ、盛り上がりのスピード感は速いです。2年前、寺田町Fireloopで観たときはお客さん8人くらいしか居なかったのに(笑)。
DAWA:CHAIは俺らの周りのバンドとよく対バンしてたんだけど、「全然お客さん呼べなかった」という話をよく聞いていて。7インチシングル『Sound & Stomach/ボーイズ・セコ・メン』(2017年3月)が出たときに俺は食いついたんやけど、その後も大阪で何回もやってて全然やったもん。
野原:いつ頃からですか?
DAWA:「sayonara complex」(2ndシングル『N.E.O./sayonara complex』収録)で火が点いた。
野原:女子ウケがすごいですもんね。
DAWA:心斎橋Pangeaでよく2マンをやっていて、「次に2マンやるの誰か居ないですか?」って相談されて、DENIMSとやったやんか(※2017年8月)。俺はそれにDJとして出てて。そのときはもう清水音泉?
野原:その頃ですね。Youtubeに象徴されるように、ここ最近の音楽シーンのスピード感は爆発的じゃないですか。その中で、僕らはフィジカルというか、生で、ライブをちゃんと観てもらうための場所を作りたいなと思うんです。
DAWA:イベントはそういう場所やもんね。
野原:イベンターをやっている限りは、そういう作業をちゃんとしたい。もっと雑多なブッキングでもいいと思うんですけど、今年のオトダマくらい系統を立てた方が、ハマってもらえる可能性が高くなると思うんです。
DAWA:お客さんの層が変わりそうな気がするもんな(笑)。
野原:逆に今までのオトダマは元気すぎて来なかった人も居るだろうし。今年のオトダマが終わってそれぞれのバンドの動員が増えるっていうのが僕らの目標ではあるので、そうなってほしいなと思います。CDやレコードも売れてほしいし。
DAWA:今年もオトダマっぽいと言えばオトダマっぽいもんね。OKAMOTO’SやTHE BAWDIESもよく出てるし。でもそれぞれが大きくなって間口が拡がっているから、ちょっと印象が違うのかな。
野原:もちろんレキシ、ハナレフジ、東京スカパラダイスオーケストラっていう兄さんたちの力も大きいんです。今年これが成立すれば、来年以降の方法論が増えるような気がしていて。そうなると全国見渡してもおもしろいイベントになるんじゃないかなと思っています。
“OTODAMA'18~音泉魂~”
9/8(土)泉大津フェニックス
https://shimizuonsen.com/otodama/18/
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PHOTO:河上良(bit Direction lab.)