西日本豪雨によって2日とも中止となった“京都大作戦2018”。7/6(金)の時点で初日の中止が発表され、そして7/7(土)午後に2日目の中止が発表。本当に残念で、悔しくて、どうしようも出来ない状況に打ちのめされた。
10周年記念として3日開催となった昨年の“京都大作戦2017”。3日目の夕方、雷雨によってライブが一時中断となり、再開したときには残り時間が限られていて、マキシマム ザ ホルモン、ROTTENGRAFFTY、SHANK、G-FREAK FACTORY、10-FEETの持ち時間が大幅に削られた。当日太陽が丘にいた人はもちろんのこと、Blu-ray/DVD『京都大作戦2007-2017 10th ANNIVERSARY! 〜心ゆくまでご覧な祭〜』にもその時の様子が収録されているので、あの日太陽が丘で何が起こったかを知っている人は多いと思うが、雷雨で一時中断となり、再開してから全員が力を合わせて終幕まで辿り着いた一部始終は、奇跡としか言えないものだった。出演者、観客、スタッフ、全員が協力してイベントをゴールまで導いたエネルギーは素晴らしいものだったし、簡単にいうとめちゃくちゃ感動した。「こんなフェス、他にはない」と心から思った。
しかし、決して「万々歳で終わった」というわけではなかったように思う。ステージで音楽を鳴らすことが最大の表現であるアーティストにとって、曲を削るということがどれほどのことなのか。“京都大作戦”のステージで馴れ合いではなく最高のライブをすることが、主催者である10-FEETに対して最大のエールになると考えるであろう彼らが、準備していた100%を出し切れないことがどれほどのことなのか。マキシマム ザ ホルモン、ROTTENGRAFFTY、SHANK、G-FREAK FACTORYという10-FEETと繋がりの深い歴戦の猛者たちが、10周年を迎えた“京都大作戦”のステージに賭ける想いはどれほどのものだったのか。そして、彼らのライブを心から楽しみにしていた観客たちの想いと期待はどれほど大きなものだったのか。
何より、観るたびに我々の度肝を抜くマキシマム ザ ホルモンの100%のライブを“京都大作戦”で観たかった。何度も凄まじいステージで我々の胸を打ってきたSHANKとG-FREAK FACTORYのライブを“京都大作戦”で観たかった(ライブ再開後は時間がなく、源氏ノ舞台から牛若ノ舞台まで観に行くことができなかった)。“京都大作戦”で何度も自己最高を塗り替えてきたROTTENGRAFFTYの気迫あふれるステージを観たかった。たくさんの奇跡を太陽が丘で生み出してきた10-FEETの、10年目の100%を観たかった。
“山人音楽祭2017”と“ポルノ超特急2017”でのG-FREAK FACTORYとROTTENGRAFFTY、そして10-FEETのライブを観る限り、彼らの中で“京都大作戦2017”はまだ決着がついてないようにも見えた。そして“京都大作戦2018”のタイムテーブルが発表され、初日のマキシマム ザ ホルモン、ROTTENGRAFFTY、SHANK、G-FREAK FACTORY、10-FEETという並びを見て、昨年の借りを今年返そうとしていることに合点がいった。やっと自分の中で“京都大作戦2017”を締め括ることができる。そういう想いを持って“京都大作戦2018”に参戦するつもりだった。
しかし“京都大作戦2018”は開催されなかった。今年すべて解消される予定だった2017年のモヤモヤは、更に大きくなってしまった。
7/8(日)、太陽が丘に行ってきた。京都の街のいたるところで“京都大作戦2018”のTシャツを着た人を何人も見かけたし、自分と同じように太陽が丘まで足を運ぶ人も非常に多かった。会場では既に撤去作業が始まっていて、そんな様子をじーっと眺めている人もたくさん居た。みんなモヤモヤしていたのだ。当然のことながら会場に来ても何かがあるわけでもなく、何をするわけでもないのだが、居てもたってもいられなくなって太陽が丘に来てしまった人が自分以外にもたくさん居ることを知って、少し嬉しかった。同時に、行き場のない悔しさもこみ上げてきた。
そんなわけで、モヤモヤは大きくなってしまったが、現時点で確信していることがある。来年、“京都大作戦2019”は絶対に素晴らしいフェスになる。何度も苦難を乗り越えてきた10-FEETと京都大作戦チームは、今年の中止を経て更にパワーアップするだろうから。10年間毎年書いてきた「参戦後記」、今年は「参戦」は叶わなかったが、“京都大作戦”に対する想いは今まで以上にとても強くなった。
TEXT:Takeshi.Yamanaka