FootRock&BEERS&JUNGLE★LIFE presents
Enjoy Music Enjoy Life2018〜GABUっと行こう#3〜
2018.06.03 SUN@246LIVE HOUSE GABU(大阪・十三)
ACT:栗田裕希BAND / 堀望美 / ララヨウナ / FootRock&BEERS PUB LIVE SYNDICATE
JOYSOUND、オンデマンド楽譜配信サービスD-STYLE、ライブハウスFootRock&BEERS、そしてJUNGLE★LIFEがタッグを組み、新しい音楽との関わり方を提唱するイベント「EnjoyMusic EnjoyLife2018 ~GABUっと行こう~」。6月3日に行われた#3のレポートをお送りする。会場は前回までに引き続き、十三「246ライブハウスGABU」。
最初に登場したのはララヨウナ。例えるなら、鬱蒼とした暗い森を裸足の少女が脇目も振らず走り抜けるイメージ。例えるなら、ミクロの決死隊になって、血管の濁流を旅するイメージ。ベースラインが心臓のポンプの役割を果たし、ドラムのビートと絡み合って、フロア全体にリズミカルな脈動を伝える。ギターのフレーズが、そこに変幻自在の色を加え、混沌とした万華鏡の様な景色を、女性ボーカルの歌声が貫いていく。一聴すると、オーソドックスな歌ものバンドだと感じたが、ものの数分もすると、その印象は大きく変わる。意表をつく斬新な展開、アレンジは、観客を飽きさせることなく引き込んでいく。何度もライブに足を運ぶと、益々その良さを体感できるバンドだと感じた。
続いてステージに現れたのは、FootRock&BEERS PUB LIVE SYNDICATE。異色のバンドである。syndicateという単語には色々な意味があるが、この場合はミュージシャンという一種の個人事業主の集合体と捉えるのが自然か。バンドを構成するメンバーは、それぞれが個々に活動するミュージシャンであり、かつFootRock&BEERSで定期的に開催されている、「PUB LIVE」という欧米式のイベントの出演者でもある。欧米では入場料無しで音楽を楽しめる飲食店ベースのライブが多い。ミュージシャンは良い演奏をして客を踊らせ、酔わせ、店の売り上げに貢献する。店はそこからミュージシャンにギャラを支払う。簡単に言えばこういう仕組みだ。FootRock&BEERSでは、この仕組みを日本でも定着させようと定期的にPUB LIVEを開催している。個々のミュージシャンの集まりだけあり、実にバラエティに富んだライブ内容。肩の力を抜いて音楽を楽しもう、というメッセージが見て取れた。
三番目の登場は堀望美。鍵盤での弾き語りライブが多い彼女だが、今回は、技術の高い熟練者ぞろいのバンドを引き連れての登場。演奏力、そして堀望美の歌唱力の高さからか、今までとは少し違ったリッチな空気がホールを満たし始める。意地っ張りだけど本当は寂しがりやで弱さを隠している(誰にでも当てはまることかもしれないが)、そんな女性の心情をアダルトなアレンジで聴かせる。安定感ゆえか、爆発の寸前のようなもどかしさも感じられたが、上質な演奏は流石で、安心して楽しむことができた。
今回トリを務めたのは栗田裕希BAND。ギターボーカル、ベース、ドラムにアコーディオンという変則的な編成。バンドメンバーの演奏もさることながら、彼のライブで特筆すべきは、その歌声であろう。ありそうで無い、力強さと優しさが同居するその声質は、ギフトを思わせるほどの説得力がある。アメリカの匂いがするメロディ。メッセージ性の強い歌詞も多いのだが、決して押し付けがましく聞こえないのは、その歌声によるものか。ただ側に居てくれるような感覚。暖かい空気が会場を包んだ。
エントランスでは、出演者の楽曲のカラオケ配信のお披露目や、楽譜の販売も行われた。回数を重ねるうちに、どのような化学反応を起こしていくのか。今後がますます楽しみなイベントである。
TEXT:Takaomi Matsumoto PHOTO:Shunya Hirai