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NoGoD

まだまだ続くNoGoDの“証明”。この正直すぎるバンドからは目を離せない。

“NoGoD TOUR-2017-AUTUMN - 「 prúf 」”
2017/12/2@渋谷CLUB QUATTRO

 

現メンバーで10周年を迎えたNoGoDが、渋谷CLUB QUATTROにて、9月から駆け抜けてきたワンマンツアー[prùf]のファイナルを迎えた。CLUB QUATTROは10年前にNoGoDが現メンバーで初めてステージに立った思い出の場所。最新アルバム『proof』を引っ提げた長いツアーのファイナルと同時に、NoGoDにとってもファンにとっても深い意味のあるライヴとなった。

 

真っ赤な照明のなか、アルバム1曲目にも収録されている鋭く耳を刺す「In the cage…」でステージにメンバーが集結していく。照明が眩しく輝きを放つと団長(Vo.)が登場。「break out!」へ。会場では一斉に力強く拳が上がる。“元気だったか東京!! 今日はよろしく!”。ハイトーンでシャウトするように叫んだ団長にファンは大歓声で応えた。華凛(Ba.)のベースフレーズとK(Dr.)のドラムフレーズが交互に響く。会場の熱は急上昇し、コーラス部分はメンバーのみならずファンも大合唱となって、ライヴはこの上ない最高のスタートを切った。

 

次に披露されたのは「Arlequin」。タフで妖しい道化師にステージの雰囲気はガラッと変わる。Kyrie(G.)のハモリも耳に心地いい。「カクセイ」ではKyrieが激しくも繊細なギターソロを放つと、Shinno(G.)は会場全体を包み込むような優しい笑顔でKyrieを継ぐ。“お待たせ! 俺らがNoGoDだ!! 証明しようぜ、お前ら!!”と団長が煽ると、歓声はもはや嵐のようだ。

 

さらに放たれた「蜃気楼」は、NoGoDの楽曲の中でも異質のオリエンタルな響きが広がる。揺蕩うように刻々と変わる展開に、心まで持っていかれそうになる。そこから急激にダークサイドに堕ちる「ヘンリエッタ」へ。団長の“跳べ!!”の声に力強く跳ぶファンで起こった地響きも、ライヴならではの効果音となった。

 

「浮世Rocks」では団長とファンのコールがシンクロする中、フリもまるで練習したかのように揃い、一体化を存分に感じさせた後はグッと時を溯り、フロアに浸透させるように未来を感じさせるインディーズ時代の楽曲「七色」を贈る。ちょっと所在なさげにステージから捌ける団長に少し笑いが起きつつも、楽器隊の魅力が詰まったインストナンバー「矜持と共に」では、緻密に叩き出すKyrieのギターソロから、弦が引きちぎれそうなほど荒々しいShinnoのギターソロへと。呼吸を合わせる華凛とKが笑みを交わす。

 

高まった空気の中、Kのバスドラムを全身で感じつつ再登場した団長。Kyrieのギターに惹かれるように天井を仰いでから語るように歌いだす「Missing」は、元々曲の持つ壮大さがさらにライヴで活き、エモーショナルな団長の歌声が切なく心に突き刺さった。再びステージはムードを変えて色気漂う「emotional disorder」へ。華凛のベースと団長の歌声が耳に心地いい“静”が同じくシンと静まったフロアにねっとりと絡んでいった。

 

これでもかと勢いを叩きつけてくる「煽動」では団長に覆いかぶさっていくように楽器隊が猛る。その波にのまれることなくファンの日常のモヤモヤさえも全部受け止めて歌う団長。さらにドロップされた「最高の世界」は澱のようなダーティーな様相からサビで一気に昇華して解放される美麗な陽の成分がメンバー間に広がっていく。それぞれが視線を合わせて笑い合い、その笑顔がファンにも伝染し、タイトル通りの“最高の世界”が見えた。

 

アルバムの核ともなったタイトル曲の「proof」は、今までのNoGoDとこれからのNoGoDへの強い決意と意思を感じさせる楽曲。切なさを内包したメロディと終わりを示唆する歌詞でありながら、その先を強烈に感じさせる熱い“proof(=証明)”。本編はNoGoD自身の証明を身体全体に味わわさせられて終了した。その気持ちよさは当たり前だがもっと欲しくなる。メンバーがステージから居なくなるのを食い気味に“NoGoD”コールが巻き起こった。

 

乞われて再び登場した、楽器隊の面々。“(渋谷CLUB QUATTROは)色んなNoGoDのターニングポイントになるライヴをやってますね”。記憶を辿りながら振り返るKyrie。その間に、Shinnoの前にアコースティックギターがスタンバイされた。優しい光がShinnoを照らしだし、力強くも暖かい雰囲気を醸すアコースティックギターのストロークにのり、ささやくように団長が歌いだす。ゆったりと回るミラーボールが美しい光の粒を投げかけ、メンバー全員の音が加わってもサウンドは優しさを保ったまま会場の隅々まで沁みていく。大事そうに歌を噛みしめながらどんどん高みにあがっていく団長のハイトーン・ヴォーカルはほとんど咽んでいるようだ。

 

“最近は休止してしまったり解散してしまうバンドも多い。でも俺らは、こんな幸せな空間を手放したくない。これからも一緒に、この空間を生き続けてください”。団長の言葉にステージに向けて惜しみない拍手が送られる。感動が高ぶった会場を、次の「神風」で、カオスに変えるNoGoD。大合唱と共にフロアは全員ジャンプし地響きが起きる。
アンコールとは思えないパワーで、さらに「Tonight!」をぶつける。Kのドラムの疾走感にのって華凛は頭を激しく振り、Shinnoは左右に楽し気に揺れる。Kyrieが近づいていくとお尻を向ける団長。顔を見合わせて笑う様子は、本当にこのライヴがずっと続いてほしいと願わずにいられない。

 

“何を信じていいか分からないなら、信じるものが何もないなら、俺らがお前らの生きる糧になってやるぜ!”と放たれたのは「敬虔」。地の底から響くようなKのドラムが轟き、「ノーゴッド」にもつれ込む。ヘッドバンギングの海に団長がダイヴ。華凛も最前の柵に足をかけて分厚くベースを聴かせた。左右に激しく動くShinnoと客席は完全に動きが一致し、お立ち台に乗ったKyrieが上からギターソロを落とす。Kも立ち上がってパワフルにスティックを振り下ろすが、その表情は満面の笑顔だ。“俺らは最高に幸せなバンドだ! ありがとう!!”。団長の感謝の叫びで終演を迎えた。

 

しかし会場からのNoGoDコールが鳴りやまない。公演終了のアナウンスが2回、3回と繰り返されても、コールが止まらない。幸せな表情で再び登場したNoGoDは、全員一言ずつ自分の言葉で感謝の気持ちをファンに伝えた。
“何を言われても、NoGoDが最高のバンドだということを、一生かけて証明してやるよ! 死ぬまでついて来いよ!!”。その言葉を信じてついていくしかない。煮えたぎるパワーを真っ向からぶつけてくる、この正直すぎるバンドからは目を離すことができない。まだまだ続くNoGoDの“証明”を括目して欲しい。

TEXT:団 鱒ゑ
PHOTO:大塚秀美

 

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