激しい低音が特徴のヴィジュアル系ロック・アイドルユニット、アンダービースティー。これまでに出した限定シングル2枚が完売、そして初の全国流通盤となった前作シングルがオリコン・デイリー・チャートで初登場3位を記録するなど勢いを増している彼女たちが1年ぶりにニューシングルをリリースする。新メンバーも迎えて6人体制となった今作では、武器であるヘヴィなロックサウンドを完全に解放。唯一無二の存在を目指す“アンビス”の新たな旅が、ここから始まっていく。
「全曲思いっきりアンビスらしい感じにしちゃいました。“こういうジャンルで私たちは活動がしたいんだ”っていうことがすごく伝わるシングルなんじゃないかと思います」
●まずメンバーチェンジについてお聞きしたいのですが、神谷さんが最近加わったんですよね?
神谷:私は今年の4月に新メンバーとして加入しました。だから、まだ入って半年くらいなんですよ。
●前作の3rdシングル『Black Jet / How many kiss?』(2016年11月)の時は、なぜかメンバーが4人だけでしたが…。
植竹:あの時はちょっと大人の事情で、1人いなくて…。別にモメたわけでもないので、本当は5人でやりたかったんですけどね。だから前回は正直、ちょっと辛い時期のリリースだったんですよ。でも今年やっと5人に戻って、新たに1人も加わって現メンバーが揃いました。
●前作でいなかったのは凛音さん?
凛音:はい、私です。一番かわいい子がいなかったんですよ(笑)。
●自分で言った(笑)。
凛音:“やっぱり私がいないとな”と思ったので、今回戻ってきました。
長瀬:前回は4人というのがすごく不安で…。でも結果的には良い数字を頂けたので、今回は6人になってどれくらい上に行けるのか期待もありつつ、不安もありますね。
●メンバーが1人いない状況だったにもかかわらず、前作は初流通盤にしてオリコン・デイリー・チャートで初登場3位を獲得したんですよね。
松下:初の全国流通盤を4人で出すのは、すごく不安だったんです。でも実際にやってみたらたくさんのファンの方々からの支えもあって、大きな結果を出すことができて。“4人でも頑張れて良かったな”と思ったし、自信にもつながりました。
植竹:あと、数字で結果が出ると、こんなにも反応が全然違うものなんだなと思いました。友だちとか家族にも「すごいね!」と言ってもらえたりして。中身ももちろん大事だけど、そういうところでの評価が周りには響くんだなと実感しましたね。
●結果を出せたことがやはり大きかった。
春乃:CDを出せることは嬉しいんですけど、出すからには結果を求められるし、上に行くにはそこも大事じゃないですか。だから“私たちが次に進むためには3rdシングルが大事だな”と思っていた時に4人になっちゃって、最初は“どうしよう…?”みたいな感じだったんです。そこを乗り越えられたし、今回はメンバーも6人になったから大丈夫だろうっていう気持ちもあるんですけど、そのぶん求められるものも高くなったと思っていて。前回以上の結果を出さないとダメだなと思っています。
●人数が増えたからこそ、より結果を求められる。
松下:そうなんです。目指すところがもっと高くなってしまうから。でも一番かわいい子が戻ってきたし、新たなかわいい子も加わったので行けるんじゃないかなと思っています(笑)。
凛音:私が戻ってきてリリースする今回のシングルが、逆に前回の数字よりも下だったらすごく申し訳ないなと思っていて。6人だから前回よりも上の数字を出せるはずだと信じて、頑張っていきたいです。
●神谷さんは新メンバーになって初のリリースですが。
神谷:加入してからまだ半年しか経っていないところでのリリースで…。でも半年とはいえ私も自分なりにすごく頑張ってきているので、やっぱり前作の数字を超えたいですね。“新メンバーが入って良かったな”と思われたいし、良い方向に持っていきたいというか。6人で上を目指して、前向きに進んでいこうと思っています。
植竹:やっぱり結果を出していないグループに誰も入りたくないと思うんですよ。前回のシングルがあったからこそ(凛音)茜ちゃんに戻ってきてもらえて、(神谷)美緒ちゃんが入ってくれたという部分もあると思っていて。そこは前回の記録があっての今の6人だなと思っています。だから私の中では“前作を超えよう”というよりも、“6人で新作を出せることが嬉しい”という気持ちのほうが今は大きいですね。
●新たに神谷さんが加わったことでの効果も感じられている?
長瀬:美緒ちゃんは今までにいなかったタイプなので、それもあって今までとは違う層のファンの方が入ってきていたりして。アンビスとしてもちょっとずつ違う雰囲気になっているので、面白いなって思います。
植竹:元々のメンバーはわりと真面目な子が多かったんですけど、美緒ちゃんは今時というか…。
松下:“最新”な感じがします。言葉遣いやファッションにもちゃんと流行りを取り入れているし、全てが最新ですね。
●新しい感性を取り入れられたというか。
植竹:今までアイドルをやってきた経験がないからこそ、持っているものもあるんだなと思います。私たちはもう4年活動してきて、毎日のようにライブばかりやってきたから。美緒ちゃんはそういうことをやってこなかったぶん、最新の文化とかも取り入れられているのかなって。
●他の5人は逆にここまで磨き上げてきたキャラクターや個性があるのでは?
松下:はい。私はおバカなお笑い担当みたいな感じでやっています(笑)。
植竹:私はリーダーとして作詞や作曲から振り付けを考えたり、フライヤーまで作っていたりとマルチな感じですね。(春乃)友夢ちゃんも振り付けを考えてくれているのと、歌もすごく上手なので“アンビスの歌姫”みたいた立場で。茜ちゃんはさっき自分でも“一番かわいい”と言っていましたけど、ナルシストなキャラなんです。長瀬さんはアンビスの中で一番“薄い”と言われていて…。
長瀬:そうなんですよ。でも最近は“ポンコツ”って言われています(笑)。
松下:前からポンコツだけどね(笑)。
●元々、ポンコツなんだ(笑)。
長瀬:色々やらかしちゃったりするんです…。
松下:ファンの方が長瀬さんのことを癒しキャラだと言うんですけど、アンビスの中ではポンコツという認識なのでムカつきますね。“一緒にいても癒されないよ!”っていう(笑)。
一同:ハハハハハ(笑)。
●そんな6人の新体制で初のリリースとなりますが、今回のシングルを作るにあたって何かテーマはあったんですか?
植竹:今回は全体的にアーティスト寄りというか、アイドルっぽくない曲ばかりで。今までのシングルって表題曲はロックでも、カップリングにはちょっとかわいらしい曲が入っていたりしたんです。そこでアイドルに寄せていた部分があったんですけど、今回はカップリングも含めて全曲思いっきりアンビスらしい感じにしちゃいました。“こういうジャンルで私たちは活動がしたいんだ”っていうことがすごく伝わるシングルなんじゃないかと思います。
●自分たちが本当にやりたいものを前面に押し出したと。
植竹:ロックアイドルが最近はあまりいないなと思っていて。王道アイドルはいっぱいいるので、その中に入っても埋もれちゃうから。自分たちは唯一無二のグループになりたいと思っているんですよ。だったら賛否両論あってもイチかバチかで、ガツッとしたものをわかりやすく出したほうが良いのかなと思って、そういう曲をまとめてみた感じです。
●歌詞の面でも、ここまで英詞のパートが多いアイドルグループは他にいないのでは?
植竹:前回のシングルから英語が増えたんですけど、やっぱりカッコ良い方向で行きたいなという想いがあって。あまりアイドルっぽい楽曲じゃないし、メロディも速いテンポのものが多いので、日本語だとハマらないことが多いんですよ。あと、世界観的にも日本語ではっきり歌うより、英詞にしたほうが色んな意味で捉えられて幅広い解釈が生まれるので良いなと思うんです。
●確かに抽象的な歌詞も多いですが、もしリスナーが本来の意味とは違う解釈をしても構わない?
植竹:そうですね。逆に違う解釈を言ってもらえると、“あっ、そういう考え方もあるんだ。じゃあ、それで良いや”となったりして。歌詞にはこだわっているんですけど、意味にはあまりこだわっていないんです。だから自由に解釈してもらって、たとえば聴いた人が勝手に励まされて“頑張ろう!”となってくれたら良いなと思うんですよ。私自身もそういう経験が多いので、それはそれで全然アリだと思っています。たまにメンバーが本当に意味のわからない解釈を言い出すこともあるので、そういう時は怒りますけどね(笑)。
松下:だから、私は基本的に英語パートはもらっていません(笑)。私は日本語も得意じゃないんですけど、英語はもっと苦手で…。「new journey」(M-2)という曲名をずっと“ニュージャニ”と読んでいたんです。
●“ニュージャニ”って何なんですか(笑)。
植竹:とある動画撮影で、松下が告知文を声に出して読んでいる時に気付いて。いったん撮影を止めて、「これは“ニュージャニ”じゃなくて、“ニュージャーニー”だよ!」と言いました(笑)。逆に友夢ちゃんは歌うパートが多いのもあって、ちゃんと意味を調べてきてくれるんですよ。私が歌詞を書いているのに、レコーディングを迎える頃には私よりも全然上手く歌うから本当に嬉しいなと思います。
●メンバーもちゃんと意味を知った上で歌っている?
神谷:一応、自分の中で色々と解釈して理解しているつもりではいます。たとえば「love pain」(M-1)だったら私の中では大人の危ない駆け引きというか、不倫みたいな関係を歌っているのかなと想像していて。そういうことをイメージして、歌ったり踊ったりしていますね。
春乃:私はメンバー内で一番年下なんですけど、最初にこの曲の歌詞が送られてきた時に“リーダーはなんていう恋愛をしてきたんだろう…?”と思いました。
植竹:「love pain」に関しては絶対にみんな恋愛の曲だと思うはずなんですけど、
実はそういうテーマで作ったものじゃなくて。
●えっ、そうなんですか?
植竹:ライブで一番最後を迎える時の、ファンの気持ちを想像して書いたんです。
●だから“まだ帰りたくないでしょ?”と歌っているんですね…。
植竹:“会えない時間だけはwhy so long?”というところも、ファンの気持ちを考えて書きました。でもそれをそのまま率直に出してしまうと普通のアイドルっぽい曲になってしまうし、そういうのはアンビスっぽくないなと思って。だからちょっと抽象的にして、恋愛の意味にも取れるように書いたんですよ。
●メンバーの予想に反して、不倫をテーマにした歌詞ではなかったと。
神谷:リーダーはすごい大人な恋愛をしてきたんだと思っていました…。
松下:てっきり不倫の歌だと勘違いしていたけど、ただの恥ずかしいヤツやないかいっ!
一同:ハハハハハ(笑)。
●「Taboo Magic」(【type B】M-3)は、恋愛の歌でしょうか?
植竹:「Taboo Magic」は完全にそうですね。曲中でカードを使ってパフォーマンスしているんですけど、Bメロの英詞部分はマジックの手順を言っていて。マジックと恋愛をかけている感じを楽しんでもらえたらなと思います。
●「TOKYO monster」(【type A】M-3)は、自分たちのことを歌っている?
植竹:そうですね。“アンダービースティー”という名前なので、よく“野獣”という表現をされるんです。だから“monster”を自分たちに重ねて、“東京のモンスターになろう”という意味で歌っています。
●「new journey」も自分たちに重ねているのかなと思ったんですが。
植竹:来年に東名阪ツアーが控えていて。“journey”も旅という意味なので、“来年から初めてのツアーが始まるよ”という自分たちの気持ちを書きました。この曲が一番、これまでのアンビスの曲に近いというか。アンビスらしさがドンと出ている曲かなと思います。
●サビの“The dense journey”は、どういう意味で歌っているんですか?
植竹:“dense”は深いという意味があるので、奥深い旅というか。“いつ終わるかより the dense journey”という歌詞は、長さを求めるんじゃなくて“深い旅”が良いという意味なんです。もちろん長くやることも大事にしたいんですけど、それよりも今を大事にしたいなという想いがあるから。
●このメンバーだからこそ、一緒に深い旅ができるというのもあるのでは?
植竹:私から“これがやりたい。あれがやりたい”と提案するんですけど、それに対して他のメンバーも“これは良いと思う”とか“これはちょっと変じゃない?”とハッキリ答えてくれるんです。逆に全部に対して「やろう! やろう!」となったら、それも変なことになっちゃうと思うんですよ。6人いても、ちゃんと1人1人が自分の意見を持っているというのは大きいなって思います。
Interview:IMAI