『ほねざんまい』発売記念&結成10周年記念ワンマンライブ “スーパー骨殺しナイト”
2017/9/30@Zepp Tokyo
ピアノゾンビが新作『ほねざんまい』発売記念&結成10周年記念ワンマンライブ“スーパー骨殺しナイト”を、9/30にZepp Tokyoで開催した。開演時間を迎えて場内が暗転すると、誰もがご存知あの有名なスペースオペラの壮大なテーマ曲がバックの映像とともに流れ出し、たくさんの拍手に包まれながらメンバーが登場。
ニューアルバムと同様のオープニングナンバー「Feeling」にホネヌキマン様(大王)とGEBOKU(下僕)がのっけから踊り狂う姿に、いきなり場内は大盛り上がりを見せる。続く「Hey You!!」では白鳥のコスプレをしたGEBOKUがお腹の肉をたぷたぷと揺らしながらステージ上を動きまわり、オーディエンスを爆笑の渦に巻き込んでいく。
最初のMCタイムでは、ホネヌキマン様が「10周年だからお祝いしよう!」と高らかに宣言する。そして石●裕次郎もびっくりの巨大なワイングラスに、GEBOKUの手によって容赦なく注ぎ込まれたボトル丸々1本の赤ワインを景気良く飲み干してしまった。
「酔っちゃった…」とふらつきながらも、おもむろにキーボードの前に座ったホネヌキマン様。「10年間練習したきたピアノの成果を見せてやるから!」と、「君がいない」のイントロを華麗に弾きこなしてみせる。いつもは笑わせてばかりなのに、大事なところでは美メロで酔わせてしまう大王が心憎い。
その後も「リンボー」では骨形の棒を持ってきてリンボーダンスをしたり、どう見てもかの有名な少年名探偵のパロディにしか見えない“荒川ヘナン”を演じるヘルプマン(Dr.)を中心に寸劇を繰り広げるなど、もうやりたい放題だ。
さらに「幻の世界」では炭酸ガスが吹き出す中でジュ●ィ・オングばりに羽を広げて美しく舞ったかと思えば、「お祭り大王」では力強い和太鼓のビートに合わせて神輿に担がれて客席を縦横無尽に闊歩する大王。そのエンターテインメント性に満ち溢れたライブパフォーマンスは、底が知れない。
どうしても面白いところにばかりに目がいきがちだが、「敬礼」ではヘドバンの嵐が湧き起こるほどのヘヴィなサウンドに興奮させられ、「dream tablet」では“そのうち僕らは 骨になる”とアキパンマンが歌い上げる美しいメロディに心打たれるなど、その音楽性の高さも確かなものだ。
そして本編ラストは、再びホネヌキマン様がキーボードの前に座り、流麗な指さばきで「うさぎ」を演奏。アキパンマンの「10年間で一番上手いです」という賞賛の言葉に会場からも拍手喝采が起こり、温かい雰囲気に包まれて本編は幕を降ろした。
アンコールではメンバーが浴衣姿で登場し、「ほねざんまい」を全員で大合唱する。そして最後は「世界平和ロックンロール」によってフロアの熱を限界まで引き上げたところで銀テープが発射され、盛大にフィニッシュ。
ホネヌキマン様が「夢で会おうぜ!」と言ってステージを後にしてからも、オーディエンスからの拍手と歓声はしばらく鳴り止むことはなかった。その後「大王の独り言」のBGMが流れる中、10年間の軌跡を捉えた数々の写真をまとめた映像が流れ出す。最後の最後まで観客を楽しませるべく、“お・も・て・な・し”の気持ちを忘れない姿勢に心を揺さぶられた。
メンバーそれぞれの濃いキャラクターとパロディ満載のステージで、どれだけ笑ったかわからないほど抱腹絶倒の楽しい時間を生み出したピアノゾンビ。10周年記念ワンマンライブをまさにお祭り騒ぎで自ら祝った彼らは、これからも大王を神輿に担いで最高のエンターテインメントを生み出すことで、世界平和の道を突き進んでいくに違いない。
TEXT:室井健吾
PHOTO:尾池香里