バンド結成15周年イヤー前夜となる2017年に、鶴がニューアルバム『僕ナリ』をリリースする。2013年に自主レーベルのSoul Mate Recordを立ち上げてから5作目となるアルバムだが、今回は初めてプロデューサーに磯貝サイモンを迎えて制作。長く活動を続けてきた中で凝り固まった部分を解きほぐし、バンドに新しい風を吹かせるという意図を持って作り上げられた。今年1月〜3月には過去の全リリース楽曲からセレクトして、全会場で異なるセットリストで臨んだ“鶴TOUR2017「ALL TIME CLASSICS〜振り返れば曲がいる〜」”も10公演を完遂。そこで過去の歩みと自分たちらしさを見つめ直した上で辿り着いた、今の鶴が鳴らすべき音と届けるべき言葉が今作には詰まっている。公式サイト上では既に来春に予定されている“鶴 15th Anniversary「好きなバンドが出来ました」〜東西大感謝〜”へのカウントダウンが早々に始まっているが、『僕ナリ』を聴けば期待に満ちたドキドキ感がさらに止まらなくなるだろう。15周年からその先をも見据えるメンバー3人に迫る、スペシャル・ロングインタビュー。
「“ここまで来たか”というだけで、まだ続けていきたいという気持ちがあるから。もっともっと崩れていけるはずだと思うんですよ。バンドも上手いこと崩れていって、色んな形になっていけるはずだと思っていて」(秋野)
「今が一番、鶴というバンドをやっていて面白いなと思うんですよね。各々が変わっていけばいくほど、バンドは面白くなると思っていて。来年は15周年ですけど、20周年になったらまた面白くなっているんだろうなと」(神田)
「それぞれがどんどん変わっていくと、近くでそれを見ている側にも刺激になるから。“俺も何かやらなきゃ”というプレッシャーも生まれるので“ライバル”でもあり、チームメイトでもあるという面白い関係性ができていて」(笠井)
●今年1月から開催した“鶴TOUR2017「ALL TIME CLASSICS〜振り返れば曲がいる〜」”では過去の全リリース楽曲からセレクトして、全会場で異なるセットリストでのライブをやったんですよね。そこで見えたこともあったんでしょうか?
秋野:“ALL TIME CLASSICS”自体はこれまでにも不定期で開催しているスペシャルワンマンなんですけど、今年1月からのツアーはそのスペシャルなライブが10本あるという感覚でしたね。そこで改めて“鶴のお客さんはどういう曲を好きでいてくれたのか?”とか、“今の自分たちがやったらこうなるんだ”ということを認識できたんです。それがあったからM-9「グッドデイ バッドデイ どんとこい」みたいな曲が、自然と生まれたのかなと思いますね。
神田:凝り固まった脳みそがほぐされた感じもありましたね。あの期間で昔の曲を色々とやってみたことで発見もあったりして、最近狭くなっていた視野がほぐされたというか。実際そのツアーでもやった「あしたのおてんき」が今作にも入ったりもして、刺激的な時間でした。
笠井:ライブのスタイルも、そこから変わってきたところがあって。僕らはリリースも多いので普段のライブは新しめの曲を中心にしていて、過去を振り返る機会があまりなかったんです。今年1月からのツアーをやったおかげで、今回のアルバムにも無意識のところでかなり影響は出たんじゃないかなと思います。
●考えが凝り固まってしまっていたところもあったんですか?
神田:ライブのやり方やセットリストの組み方とか色んなものが研ぎ澄まされていくのと同時に、ちょっとずつ視野が狭くなって頭が凝り固まっていくような感覚が、長く続けているバンドにはあると思うんですよ。僕らもそうなっていたところに、良いタイミングで“ALL TIME CLASSICS”のツアーを10本できましたね。ナイスマッサージでした(笑)。
●頭を揉みほぐしてくれたと(笑)。2013年に自主レーベルのSoul Mate Recordを立ち上げてから自分たち主導でこれまで作品を作り続けてきたわけですが、今回は磯貝サイモンさんをプロデューサーに迎えたこともそういう凝り固まったものをほぐしたいという気持ちからでは?
秋野:(自主レーベルになって)最初の頃の作品では、自分たちの思うがままにやれるという良さのほうが大きくて。伸び伸びとやりながら、自分たちが良い音だと思うものを作ってきたんです。でもそういう作品を何枚か作ってきた中で今回はそろそろ第三者的な耳を持っている人にやってもらいたいという気持ちになって、そこで磯貝サイモンくんの名前が挙がったんですよね。
●サイモンさんに頼もうと思ったキッカケとは?
秋野:僕らが『我がまま』(2012年)というアルバムを出した時にプロデュースしてもらった橋口(靖正)くんという何でもできる人がいて、彼が去年急に亡くなってしまったんです。橋口くんは顔が広かったのでサイモンくんとも知り合いで、生前に「サイモンくんと一緒にやったら良いじゃん」ということも言われていて。それがキッカケで知り合って、橋口くんのトリビュートライブではバックバンドの練習を一緒にやったりもしたんですよ。そういう流れもあって今回のアルバムを作るタイミングで、“サイモンくんも何でもできる人だし、鶴に新しい風を吹かせるにはちょうど良いんじゃないか”ということでお願いしました。
●鶴に新しい風を吹かせてくれそうな人というイメージがあったんですね。
神田:鶴というバンドのことを、良い意味で知りすぎていないというか。変な先入観やイメージを持ちすぎていない人のほうが良いなと思っていたんですよね。お互いの名前は知っていても、“鶴はこういう雰囲気でこういう曲をやるバンド”というところまでは知らなかったと思うから。そういう人にフラットな耳でデモを聴いてもらってアレンジをしてもらうことで、僕らもビックリするようなアレンジになったり、逆に“そんなにシンプルで良いの?”というものになったりもして。そういう発見もあったので、すごく良かったですね。
●この人なら面白くしてくれるはずという予感もあった?
秋野:それはありますね。橋口くんも信頼のおけるアレンジャーでありプレーヤーでもあったので、その彼が「サイモンくんは良いよ」と言っていたから“間違いはないだろう”と思っていて。実際に“磯貝サイモン”という名前もすごく色んなところで聞きますし、一線で活動している人だから間違いはないだろうなと。
●色んなところで実績を残されている方ですからね。
神田:(秋野が)「サイモンくん、KARAとかやってるじゃん!」って、テンションが上がっていましたからね(笑)。
秋野:俺が超ハマっていた時期のKARAの曲を担当していたんですよ(※2011年〜2013年頃に楽曲提供/編曲などで参加)。いちファンとして盛り上がっていました(笑)。
●自分が好きなアーティストを手がけていたというのも大きかった。
秋野:何となく匂いはわかるというか。実際に今回一緒にやってみて、“やっぱりすごいな”と思いましたね。
●7月にリリースしたシングル『グッドデイ バッドデイ どんとこい』から、一緒に制作していたんでしょうか?
秋野:いや、今回のアルバムからですね。アルバムの半分くらいの曲は、サイモンくんにお願いするつもりでいたんですよ。収録したい曲のデモが出揃ったタイミングで「この曲をやってみたい」とサイモンくんに伝えて、一緒に楽曲を作っていくところから始まりました。それぞれの楽器の音色のことから、歌詞に関してもデモの状態で渡したものをパッと見たイメージでアドバイスをくれたりして。全てにおいて、意見をもらったというか。
●それによって新しい風が吹いたわけですよね。
笠井:そうですね。やっぱり自分たちの中から出てくる曲やアレンジのパターンって、15年もやってくると煮詰まっていたところが多少あって。そこにサイモンくんのアイデアが入ることで、“この曲にこんなパターンを当てはめてくるんだ!”という驚きがすごくあったんです。今後の刺激にもなりましたね。
秋野:手クセを壊してくれました。
●手クセや自分たちの中での“お決まり”を壊してくれたというか。
神田:ただ、それがある意味では“勝ちパターン”だったんですけどね。
笠井:今までそのやり方で勝ってきたんですけど、それを見事に“そう行く!?”という方向に変えてくれるので面白かったです。
●予想外の方向に変えてくれた。
神田:レコーディングの時も(自分たちでは演奏が)良い感じだなと思っていたら、「鶴は上手すぎるなぁ。もっとだいたいで良いよ」と言われて。最終的に自分と秋野は、イスの上に立って足元がグラグラしている状態で弾いたんですよ。
●それくらいラフな状態でやったほうが良い演奏になると。
神田:あんまりキッチリしすぎずに、“もっと音楽を楽しもうぜ!”みたいな感じでやろうと言われて。そこで“なるほど”と思ったんですよね。たとえばライブではお客さんに煽られるので演奏が粗くはなるんですけど、ステージでやっている側もノれるのでライブ音源としてはすごく良くなったりするんですよ。でもスタジオで弾くと何かキッチリした感じになっちゃうところを、彼はほぐしたかったんだろうなと思います。
●まとまりすぎてしまうというか。
神田:ヘッドホンを付けると色んな音が聴こえてくるので、性格上“きちんとやろう”としちゃうんですよ。そこをブッ壊してもらえたのが良かったなと思いますね。
●そういう演奏にしたほうが良いものになるというイメージが、サイモンさんには見えていたんでしょうね。
秋野:“はみ出す”ということがキーワードだったというか。こっちが“やり過ぎたかな?”と思ったことも「全然、普通だからね」と言われて、そこで教わることもあって。昔は何も考えていなかったから自然とはみ出したりもしていたんだろうけど、ここまで続けてきた中で最近は“少しのズレも許さない”みたいな気持ちになってしまっていたんだと思います。サイモンくんが、その価値観を壊してくれたんですよね。“はみ出たほうが面白いからOK”というところには、自分たちだけではなかなか辿り着けなかっただろうから。新しい風を吹かせて欲しいということで、プロデュースをお願いした甲斐があったなと思いました。
●続けていく中で、自然と“ちゃんとする”ことが当たり前になっていた。
秋野:やっぱりちゃんとできるようになると、ちゃんとやってしまうから。
笠井:ちゃんとしなくても良いのに、“ちゃんとしなきゃいけない”という使命感を勝手に背負い込むというか。
神田:それがこの歳でほぐされて良かったなと思います。
●ちなみに、今作でサイモンさんと一緒にやった5曲とは?
神田:M-1「低気圧ボーイ」、M-2「アメニモマケズ」、M-8「真夜中のベイベー」、M-10「北極星」、M-11「バカな夢を見ようぜ」の5曲ですね。
秋野:その他の「グッドデイ バッドデイ どんとこい」とM-5「beautiful days」は、先行シングルで出していて。M-6「あしたのおてんき」とM-7「僕なりの愛を」は既にライブでやっていて、サイモンくんからも「これはもうできているものだから手をかける必要ないよね」ということでした。M-3「ソウル最前線」はデモを渡した時に「これはこのノリのままが良いと思う。バンドの勢いに任せる」ということで、サイモンくん自身も“自分が入ったほうが面白い”という曲を選んでやってくれた感じですね。
●一緒にやる意味がある曲を選んだわけですね。
秋野:全部聴いてもらった上で、(一緒にやることで)化けそうな曲をやってもらいました。
●実際にやってみて、“化けた”感覚はあった?
秋野:基本的にはどれも化けたと思うし、デモの段階に比べて想像以上のものができましたね。特にラストの「バカな夢を見ようぜ」は、人と一緒にやらないとできない仕上がりになったなと思っています。あと、1曲目の「低気圧ボーイ」も自分たちだけでは、こういう突き抜け方はできないなという感覚があって。サイモンくんは、引き出しが多いんですよ。
●そこから自分たちにないアイデアを出してくれる?
秋野:僕らが一生懸命はみ出そうと思って作った、その2〜3歩先のアイデアを出してくれる感じがあって。結果的にできあがったものを聴いてみると、メジャー感があるというか。自分たちだけでやっていたら狭いところで固まっていたかもしれない音楽が、もっと表に出た場所で鳴っているように聴こえる魔法をかけてくれた感じがします。
●狭いところにとどまらずに、外へとどんどん広がっていくような音というか。
秋野:自分たちだと、どうしても細かいところに耳が行っちゃうんですよね。ギターの音がどうだとか、歌のニュアンスが違うだとか。でもサイモンくんはそういうところじゃなくて、第三者が聴いた時に“全体として良い曲になっているか”というのを判断する耳があるんです。そういう意味で、「低気圧ボーイ」と「バカな夢を見ようぜ」は特に化けたなと思います。
●サイモンさんと一緒にやる中で、また新しい勝ちパターンも生まれたのでは?
秋野:武器を増やしてもらったというか。3ピースって、どうしても音数に限界があるから。ライブでも3人でやっているので、そこと音源との差がありすぎると気にかかるということは先に伝えておいたんです。サイモンくんもそこは気を遣ってくれて、多少アレンジを変えたり重ねたりする時に「これ、やっても大丈夫?」と訊いてくれて。上手くバランスを取りながらやってくれたなと思います。
●ライブでの良い意味のラフさやグルーヴが、音源でも伝わるようにバランスを取ってくれた。椅子の上でギターやベースを弾くというのも、その一環なのかもしれないですね。
秋野:そういうシチュエーションだったり、ディテールにこだわることもすごく大事なんだなと思いました。ミスなく演奏することだけが全てじゃないということを、36歳にもなって教えてもらって。“バンドって、こんなもんじゃん”というラフな感じが、良い方向に転がったなと思います。
●歌詞に関しても、30代半ばを迎えたからこそ歌える内容になっている気がします。
秋野:ようやく年齢が追いついてきたというか。昔のアフロだった時代の曲でもいわゆる人生ソングみたいな曲はあったんですけど、あの時よりも今それを歌ったほうがすごく伝わるなと思って。自分たちがようやく、そういうものになれたのかなと思いますね。
●歌っていることに年齢が追いついた。
笠井:僕も歌詞を書くんですけど、経験しないと書けないことはもちろんあるし、昔は想像で書いていたことが実際とはズレていることもあって。今は等身大のことを書けるようになっているので、想像で書いていた頃とはまた感覚が違いますね。
秋野:当時からイメージだけはあったんですけど、表現する側の自分たちがまだ足りていなかったんだなと改めて感じました。脳みそだけが先に行っていたのかもしれない。ようやく心と身体が合ってきて、“鶴”としても充実してきた感じがします。
●バンドとして発するメッセージ性も強まるというか。
秋野:説得力が増してきましたね。だからと言って、達観しすぎたくはないとは思っているんですよ。昔から「自分なりの価値観や世界観で良いじゃん」と言い続けてきたことが、ようやく人の心を押せるような年輪になってきたというか。色々なものが合ってきましたね。
●「グッドデイ バッドデイ どんとこい」ではまさに“君が選んだ道ならいいじゃないか”と歌っていますが、すごく肩の力が抜けていて良い空気感が伝わるメッセージだなと。
秋野:「グッドデイ バッドデイ どんとこい」では、鶴として伝えたいメッセージを全部言えた感じがあって。でも僕自身が強引に引っ張っていくタイプではないので、昔から肩の力は抜けているようなメッセージを発信してきたんですよね。自分の中にも譲れないものはありつつ、“何となく俺はこう思いますけどね”と歌ったことに同調してくれている人がいたら素敵だなと思うんです。最近はようやく肩の力が抜けていて適当にやっているように見えるけど、真面目なことも言える“自分”というキャラクターができてきたのかなと思います。
●ユルさと真面目さのバランスが良い感じに取れるようになったんでしょうね。
秋野:どっちもちょうど良く出せたら良いなと思っていて。これでも自分はまだ真面目すぎるんだろうなと思いますけどね。人のライブを観ながら、“俺は真面目すぎるなぁ”と思ったりするんですよ。
神田:そう思うこと自体、真面目なのかもしれない。
●確かに(笑)。
秋野:僕、真面目なんですよ(笑)。だから理想としては、ちょっと崩れた人間に憧れてしまうんです。
●そこにだんだん近付けている?
秋野:ようやく崩れ始めたところですね。
●今も進化を続けているからこそ、来年迎える15周年も“ゴール”というよりは“新たなスタート”だと捉えているのかなと思いました。
秋野:実際、自分たちの中で“ゴール”感はないですからね。“ここまで来たか”というだけで、まだ続けていきたいという気持ちがあるから。もっともっと崩れていけるはずだと思うんですよ。バンドも上手いこと崩れていって、色んな形になっていけるはずだと思っていて。そういう可能性を感じられるのが大きいですね。
●自分たちに可能性を感じられている。
神田:今が一番、鶴というバンドをやっていて面白いなと思うんですよね。各々が変わっていけばいくほど、バンドは面白くなると思っていて。来年は15周年ですけど、20周年になったらまた面白くなっているんだろうなと。だから鶴というバンドの未来にワクワクするというか、“何をしてやろうかな”という気持ちでいますね。
笠井:それぞれがどんどん変わっていくと、近くでそれを見ている側にも刺激になるから。“俺も何かやらなきゃ”というプレッシャーも生まれるので“ライバル”でもあり、チームメイトでもあるという面白い関係性ができていて。だから、この先が楽しみですね。
●今が一番充実しているというのは、今作からも伝わってきます。ちなみにジャケットのイラストにはどんな意味を込めているんでしょうか?
秋野:鶴の(形をした)蓄音機というイメージですね。最初に自分たちの中にあったアイデアとは違うものになったんですけど、デザイナーさんにいくつか頂いた案の中でこれに関しては全く予想外の角度からぶん殴られたような感覚になって。すごくオリジナリティのあるデザインが素敵だし、“鶴なりの音を出している”という意味でもすごくハマっているなと。
神田:本当にすごいと思いました。シンプルで無駄がなくて、でもまとまっていて言いたいことが全部言えている。そのままTシャツにもできちゃうくらいだし、グッズ展開のことも色々とイメージがふくらみますね。『僕ナリ』には、ピッタリだと思います。
●『僕ナリ』というのも、すごく鶴らしいタイトルですよね。
秋野:“色んな形で良いじゃん”っていう。それで“もし何かあったらライブに来て、みんなと騒げば良いじゃん”という空気が一段と増していく15周年になりそうだなと。今回の作品で、俺たちがまた広がったかもしれない。“鶴の愛が広がったかな”というイメージはあります。自分たちがただ楽しくてやりたいというだけでは、ここまで続けられなかったという想いが強くて。今後も続けていく上で自分たちの音楽を聴いてくれて応援してくれる人たちは絶対に不可欠なので、来年は感謝イヤーにしたいですね。
●来春に予定されている15周年イベントへのカウントダウンを公式サイト上ではかなり早い段階から始めていますが、その意図とは?
秋野:“僕らもドキドキしているので、みんなもドキドキしてね”ということで、期間が長めの共有をやっています。まずは共有できるところからしてもらって、参加してもらうということが重要かなと思っていますね。
●「好きなバンドが出来ました」というタイトルにはどんな意味が?
秋野:これは“好きなバンドがこれだけできましたよ”という自分たちからの報告と、15年の間に鶴というバンドを好きになってくれた人たちの気持ちを汲んで、その2つの意味を込めています。僕らの気持ちを共有してもらって、鶴を好きでいてくれる人たちの気持ちも汲んだ上でやれば、喜んでもらえるんじゃないかなと思って。“みんな、鶴のこと好きでしょ?”みたいな(笑)。
●自分たち自身も、鶴というバンドを愛しているわけですよね。
笠井:愛しています。何か気持ち悪いですけど(笑)。
神田:そうじゃなかったら、47都道府県ツアーを2周とかできないですよ。
●好きじゃないと絶対にできないことをやっている。それにまだまだ、やり切っていない感もあるんじゃないですか?
秋野:“まだ楽しめるでしょ?”っていう気持ちはあります。来年か再来年あたりに3周目の47都道府県ツアーに突入するとかフザけて言っていますけど、“どうせ行くんでしょうね…”と半分は諦めながらも、もう半分では楽しめているというのが良いなと思いますね。
Interview:IMAI
Assistant:室井健吾