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BRAVE NEW WAVE

SPECIAL LIVE REPORT:内田雄一郎、COTO、Maison book girl、ヤなことそっとミュート。4組による化学反応がドープでカオスな夜を創り出す

JUNGLE LIFE × CLUB251 presents “BRAVE NEW WAVE”
2017/9/8@下北沢CLUB251

内田雄一郎 / COTO / Maison book girl / ヤなことそっとミュート

 

2017年9月8日、下北沢CLUB251を大勢の観客が埋め尽くすイベントが開催された。その名も“BRAVE NEW WAVE”。出演者は、筋肉少女帯のベーシストとしてもお馴染みの内田雄一郎、三浦俊一とPEVO1号によるユニット・COTOというBeat Surfersの2組に対して、Maison book girl、ヤなことそっとミュートという新進気鋭のアイドル2組だ。年代もジャンルも超越した予測不可能なイベントの一部始終をレポートする。

 

 


トップバッターは、ヤなことそっとミュート。まるで妖精のような佇まいでステージに降り立った4人は、息の合った振り付けで会場を魅了していく。どこか儚げでエモーショナルなサウンドは、初めて彼女たちの音に触れる人の耳にもすんなりと入ってくるのだ。「Just Breathe」など激しいロックチューンに乗せて力強く踊る姿に、今までイメージしていたアイドル像を根本から覆されてしまう。コアな音楽好きまでも巻き込む“ヤなミュー”のステージに見惚れていた時間は、あっという間に過ぎていった。

 

 


続いて登場したのは、有頂天やケラ&ザ・シンセサイザーズなど様々なバンドで活動してきた三浦俊一と、PEVOやShampooなどでも活躍するPEVO1号によるユニット・COTO。2人は今年5月に発売されたアルバム『freedom』の収録曲を連発し、フロアを未知なる世界へと誘っていく。合間のMCでは自虐を交えた軽妙なMCを挟んで笑いを起こしつつ、刺激的でダンサブルなサウンドでオーディエンスの高揚感を煽る。PEVO1号のキレ味鋭いギターが光る「OO Nerd」など攻めまくりのセットリストを堪能し、終わる頃には地の底から湧き上がってくるようなエネルギーで身体が満たされていた。

 

 


ミステリアスな空気を身にまとって現れたのは、コショージメグミ、矢川葵、井上唯、和田輪によるニューエイジ・ポップ・ユニット、Maison book girl。4人の息遣いが直に聴こえてくるような「rooms」でいきなり圧倒すると、そこから7曲をほぼノンストップで歌い上げる。一筋縄ではいかない変拍子のサウンドと独特なメロディは中毒性があり、一度聴いたら耳から離れない。そんな曲に合わせたキレッキレのパフォーマンスに凛々しさを感じて、目は釘付けに。“アイドル”という範疇には到底収まらない、ダイナミックで鮮烈なステージに酔いしれた。

 

 


この日のトリを務める内田雄一郎はステージに立つやいなや、レコードバッグから拡声器や一輪の花をわらわらと取り出しながら、観客に手拍子を促す。不思議な空気の中で放たれたのは、筋肉少女帯の「イワンのばか」。ハードロック調の原曲から大胆な発想でテクノポップ風にアレンジされた楽曲に、底知れぬパワーを感じた。その後「お客さんも未知の分野にカモン!」と呼びかけてから始まったのは1972年に発売されたヒット曲、ちあきなおみの「喝采」だ。往年の名曲を奇天烈なテクノサウンドに乗せて、心地よさそうに熱唱する内田。既存の曲に斬新な解釈を施したユニーク極まりないライブに、ド肝を抜かれた。

アンコールでは内田がCOTOの2人を呼び込み、尾崎紀世彦の「また逢う日まで」を披露。三浦は内田が持ってきた光るおもちゃを、PEVO1号はライトセーバーを持ちながら、観客も巻き込んで熱唱する。その瞬間、誰もが今夜の下北沢CLUB251が日本で一番ドープでカオスな場所だと確信したはずだ。

何が起こるか全く予想できなかったイベントは、フタを開けてみると新たな音楽や解釈との出会いばかりで、興奮する瞬間の連続だった。Beat Surfers×アイドルという異色の組み合わせから生まれた化学反応は、新たな音楽イベントの可能性を提示したに違いない。

TEXT:室井健吾 / PHOTO:伊藤由岐

 
 
 
 

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