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ラックライフ SPECIAL LIVE REPORT

奇跡の出会いと必然の再会を確信した、 忘れがたい名演のツアーファイナル。

メジャー1st full album “Life is beautiful”リリース
「生きてるだけで丸儲け」ワンマンツアー(大阪)
2017/7/21@梅田CLUB QUATTRO

通り雨が過ぎ去って少しじめっとした空気が流れる中、梅田CLUB QUATTROには長い行列ができていた。そこに並んでいる人たちの顔を見ると、実際の曇り空とは裏腹にまるで晴天のように明るい表情が印象的だ。

そんな観客たちがSEに合わせて鳴らす手拍子に迎えられ、ステージに登場するメンバー。ライブの幕開けを飾ったのは、「変わらない空」だ。SEが鳴り始めた瞬間からずっと両手を上げたままの観客は、その勢いのままハンドクラップを続ける。Vo./G.PONが「もっとちょうだい!」と煽り、みんなで一緒に会場の湿度を軽快に吹き飛ばしていく。真っ直ぐに耳へと入ってくる歌声と有機的なバンドサウンドが化学変化を起こしながら、会場を高揚感で包み込んだ。

冒頭からフルスロットルのまま、「チキンボーイ」「フールズ」まで3曲を立て続けに演奏。PONが「嬉しい!」とまず歓喜の声を上げた後で、「長いことライブハウスでやってきて、床や壁に歌うこともあった」と語る。「でも今はこんなに俺らの歌を好きって思ってくれる人がいるのが嬉しい! ライブハウスへようこそ!」と勢い良く伝えてから、「素晴らしい世界」を奏で始めた4人。PONの歌声にG./Cho.イコマによる透明度の高いハーモニーも加わって、目の前の世界がより色鮮やかになったような気がした。

続く「ラブリープリティーミュージック」では一転、フロアを派手なパーティー会場へと変えてしまう。変幻自在のライブは、アトラクションのように“楽しむ”という1つの目標にただひたすら突き進んでいく。「今日もたくさんの人がきてくれて、1回目(の出会い)は奇跡やったかもしれんけど、2回目(の機会)はあなたが作ってくれた。俺らが歌い続けたから、出会えた」。その言葉からPONの強い意思を感じ取りつつ、観客とステージという距離を超えて“より近付いた”感覚になった。

中盤の「その手とこの手」や「赤い糸」では、落ち着いたテンポの楽曲に合わせて身体を揺らしながら目を閉じて聴く観客の姿が多く見られた。それは「音楽をあなたの胸のど真ん中に届けたい一心でやってます」という言葉を、まさしく体現しているかのような光景だ。

曲中であっても思い付いたことを口に出すPONの動きは“ライブ”そのもので、メンバーも音量や緩急をそこに合わせていく。「思ったことしか歌にできません。歌ってるときぐらいは嘘つかず、ホンマのことだけ歌いたいなと思います」と話してから、「君の匂い」で終盤戦へと突入。飾らない言葉と透き通る歌声は、自然と顔を上げたくなるような気持ちにさせ、心に秘めた重荷をそっと下ろさせてくれるような爽やかな風が体内を駆け巡る。

「ライブハウスはあなたに会える唯一の場所」で、「なんか最近元気ないなと思ったら全然ライブをしてないときでした」と話したPON。観る者を元気にするためにライブをしていたはずなのに、逆にみんなから元気をもらえていることに彼は気づいたのだという。そう静かに語られる言葉に耳を傾けているうちに、目頭が熱くなっていた。そして演奏前に全員で円陣を組んでから始まった「サニーデイ」で、会場に再び満面の笑顔を溢れさせて本編を締め括る。

ニューTシャツに着替えて登場したアンコールでは8/23にリリース予定で、TVアニメ『最遊記RELOAD BLAST』 ED主題歌にもなっている「リフレイン」を披露。力強いバンドサウンドにエッジの効いた言葉が乗るマイナー調の楽曲に、新鮮な衝撃を感じた。リリースに伴い“Change The World TOUR”の開催を発表した後は、いよいよこの日ラストの曲「ハルカヒカリ」へ。「またライブハウスで会いましょう。大阪高槻、ラックライフでした!」という約束は、きっとすぐ果たされることだろう。

この日に初めて奇跡の出会いをした人も、これまで何度も元気をもらい、分け合ってきた人も、誰もが二度とないこの日を大切にしていくに違いない。そう確信させてくれる、忘れがたい名演だった。

TEXT:Hirai Shunya

 

 

 
 
 
 

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